◆さらば、霧の街◆
 
 ゾンネンフェレス戦の翌日。
 回復を終えた二人は、サンドリーヌ館の皆さんに事情を説明します。

 

ウィル:つーわけで、ポイントは稼ぎ終わった。

ミリィ:ザバール曰く、明日には出発できるそうなの。準備するの。

GM/クリス:「明日……また急だな」

GM/サンドリーヌ:「いえ、早ければ早い方がいいわ。もう、これ以上この街に未練は無いもの……」

ミリィ:未練は無くても、荷物の整理はあるの。サンドリーヌさんもきびきび動くの。(一同笑)

ウィル:もう背景でセバスチャンとメネが必死に荷作りしてるんじゃないか?(一同笑)

GM/サンドリーヌ:「ふっ……家の家財道具は概ねザバールに買い叩かれ―――……売り払ったわ」(一同大爆笑)

ウィル:待て、何を言いかけた!?(笑)

ミリィ:サンドリーヌさん、脱出後の生活費大丈夫!?(笑)

GM/サンドリーヌ:「問題無いわ。どうせ、外にまで持っていける物じゃないもの。脱出と言っても、家財道具一式積んでいけるわけじゃないでしょう?」

ウィル:まぁ、それは確かに。

GM/サンドリーヌ:「足元見られたのは業腹だけど、それでも生活費としては十分な額を得ているわ。こんな大きな屋敷を持とうとでもしない限り、大丈夫よ」

ミリィ:良いなら良いの。それじゃあ、私達は一足先に出ているの。サンドリーヌさん以外にも、この街で世話になった人たちがいるの。

ウィル:ま、挨拶回りだな。明日、ザバールのテントで会おうぜ。

GM/サンドリーヌ:「お待ちなさい。そういう事なら、メネも連れて行ってあげてくださらない?彼女も、挨拶したい相手くらいいるでしょう」

ミリィ:おお、流石の気配りなの。ナイス君主。

GM/メネ:「サンドリーヌ様……はい、分かりました!ウィルさん、ミリィさん、御願いできますか?」

ウィル:ああ、じゃあまず……追い剥ぎ小路だな。

ミリィ:あとはそのまま、施療院と鮮血城なの。この三つが密集していて、助かったの。
 

 と、いうわけで移動タイム。
 ウィルとミリィ、メネを連れて挨拶回りです。
 
 幸いにしてランダムイベントに巻き込まれる事も無く、追い剥ぎ小路到着。

 

ウィル:じゃあ、メネはムーランさんとメルキオレの家に預けとくか。

ミリィ:その間に、私達は風の旅団に挨拶なの。

ウィル:俺ら結局、この旅団関係の依頼とか何もやってねーな。

ミリィ:それは仕方なかったの。私達には私達の、目的と都合があったの。

ウィル:まぁ、挨拶はして行こう。トホテルの旦那とセイラの姐さん、いるかー?

GM/トホテル:じゃあ、トホテルさんが君達を出迎えてくれる。 「やぁ、君達。脱出計画は順調かい?」

ウィル:うん、まぁ明日街を出る。(一同笑)

GM/トホテル:「…それは……」 トホテルは目を丸くする。 「驚いたな、こんな短期間でか」

ミリィ:短期間だからこそ、なの。あまり長居して蛮族に目を付けられる前に、この街に馴染み過ぎてしまう前に、短距離走で脱出計画に邁進したからどうにかなったと、私は思うの。―――運も、大きいけど。

ウィル:まぁ、なんだかんだでザバールに拾われたのは幸運だった、って事だわな……あいつは根っから商人だ。それはつまり、成立した取引に対しては誠実だって事でもある。俺らの働きに応じた報酬をちゃんと、用意してくれたって事だ。

ミリィ:だから、今日は挨拶に来たの。何も手助けできなくて、悪かったの。

GM/トホテル:「いや、そうでもないさ。エドガーや私、メルキオレの妹……君達に助けられた人は多い。こちらこそ、何も手助けできず済まなかったね。君達の武運長久をル=ロウド神に祈らせてくれ」

ミリィ:ありがとうなの。私も、貴方達の武運をキルヒア神に祈らせて貰うの。

ウィル:……ところで姿が見えないから不安なんだけど、セイラさんは?(一同笑)

GM/トホテル:「ああ、彼女なら―――」 と、トホテルが遠い目をする。 「趣味の家庭菜園で、じっくり3年かけて蛮族の血のみで育てたチューリップが遂にモンスター化したとか叫んで、弓持ってどっかに走って行ったけど」(一同爆笑)

ミリィ:なにそれこわい。(一同笑)

ウィル:蛮族嫌いなのは分かるけど、むしろそれセイラさんのが怖ぇよ。(一同笑)

GM/トホテル:「まぁ、そんな些事はさておこう」

ウィル:異議あり。風の旅団が真っ当な組織なのかどうかの境界線上の議題だ!!(一同笑)

GM/トホテル:「―――君達の助力を風の旅団は忘れない。縁があれば、また会おう」(一同笑)

ミリィ:流した!強引に流したの!!(笑)

ウィル:流れねぇよあんなアクの濃い話題!?(笑)
 

 その後、メルキオレ宅にてムーランと抱き合って別れを惜しんでいたメネと合流。
 そのまま、次は施療院に向かう二人。

 

GM:(ダイスを振る)……あ、なんか居る。

ウィル:なんか?

GM/グラスランナー:うん、君らが施療院に着くと、ちょっと見覚えのあるグラスランナーがウルスラと話しているところだった。 「あれー、ここにも落としてないのかぁ。おっかしーなー」

GM/ウルスラ:「…あのね、ニルス。本っ当にどこで落としたか心当たりは無いのかい?その日の行動、もう一度ゆっくり思い返して御覧?」

ミリィ:……んん?もしかして、ほら、ウィル。こないだ拾った鍵。

ウィル:ああ、あれを落としてったグラスランナーか!!おーい、ウルスラさーん!

GM/ウルスラ:「ん?ああ、あんた達かい。ごめんよ、今ちょっと取り込み中でね」

ミリィ:そのグラスランナーさん、もしかして落とした物って、何かの鍵?

GM/グラスランナー:「え?うん、そうだけど……君達は?」

ウィル:覚えてないか。ほら、何日か前……霧がやたら濃くなったときに、俺らあんたとぶつかったんだよ。その時に、ほれ。これ落としたろ。

GM/ニルス:「ああっ!ほんとだ、ありがとう!」 と、グラスランナーのニルス君は嬉しそうに鍵を受け取る。 「これ、お礼。ありがとね!」 と、100ガメルをくれる。

ウィル:お、サンキュー。これは嬉しい。

ミリィ:ザバールポイントを稼ぐために、お金無駄遣いしたしね。ウルスラさん、今日は話があって来たの。

GM/ウルスラ:「話?」

ミリィ:私達、ザバールの馬車でこの街を出るの。

GM/ウルスラ:「……そうかい。あんた達ならもしかして……とは思ってたけど。寂しくなるねぇ」

ミリィ:それで、今日はお別れの挨拶に来たの。

GM/ウルスラ:「うん……ま、あんた達なら大丈夫だろ。しっかりやんなよ!!」 バンバン、と手荒く背中を叩いてくれる。

ウィル:ははっ、そっちも元気でな、ウルスラさん!! じゃあ、こっちもバンバン叩き返す。

ミリィ:その横で、叩かれた私はつんのめって転がっていたり。(一同笑)

GM/メネ:「…だ、大丈夫ですか?」(笑)

ミリィ:……私、ああいう体育会系なノリは苦手なの(笑)。
 

 そして、最後に到着したのは―――鮮血城。
 

GM/メネ:「……え、ここ入って大丈夫なんですか?」

ミリィ:大丈夫なの。まぁ、すぐに街から出るから大丈夫だと思うけど……ここの城主については、他言無用で頼むの。

ウィル:だな。とりあえず、入るぞ。

GM/ユディト:では、入って地下の部屋まで行くとユディトとアデが出迎えてくれる。 「あ、こんばんわ!このネックレス、可愛いってマーサにも言われたよ!ありがとう!!」

ウィル:御機嫌だな、ユディト。でもマーサって誰?

GM/ユディト:「あれ、会った事無かった?この部屋の奥にある図書館の司書をやってる私の家族だよ」

GM/アデ:「私と同じルーンフォーク、ですね」

ウィル:…こうして見ると、俺らかなりの量のイベントとかを見落として歩いてたんだなぁ。

GM/ユディト:「じゃあ、今日の夕御飯の時にでも顔合わせ、かな?まだ食べてないよね?」

ウィル:む、良いのか?なら御相伴にあずかる。それと、ユディト。こっちの子、メネな。俺らの友達。

ミリィ:今日一晩、泊めて欲しいの。私達、明日には街を出るから挨拶に来たの。

GM/ユディト:「……えー……折角友達になれたのに…」

ミリィ:なんだったら、ユディトにも外に出ると言う選択肢はあると思うの。港の船か、ザバールの馬車か……鮮血城の主なら、財力にあかせてどちらの手段を取る事も可能だと思うの。……まぁ、これはあくまで選択肢なの。どうするかは、ユディト次第。私よりお姉さんなんだから、自分で決めるの。

GM/ユディト:「外の世界、かぁ……うん、ちょっと今度、アデやマーサとも話してみようかな。どの道、すぐにどうこうって話にはならないだろうけど」

ミリィ:むしろ、すぐにどうこうしようとするなら止めるの。決断は考えて考えて考えて考えてからを推奨するの。

ウィル:一生に絡む事だから、か?俺としちゃ、そういうのって勢いとタイミングが重要だと思うんだがな。

ミリィ:…直感馬鹿。

ウィル:うっせ、理論チビ。

GM/ユディト:「あはは……ほらほら、喧嘩しないで二人とも。夕飯、ちょっと豪勢にするから、ね?」
 

 で、マーサ、アデ、メネ、ユディトと一緒に夕食タイム。
 初顔合わせな面々が多かったのですが、それは滞りなく終わります。
 そしてその夜―――

 

ウィル:……じゃ、俺はその夜、鮮血城の屋上で寝転がってる。

GM:ほう?

ウィル:…ま、脱出前にちょっと、ミリィと二人で話すシーンも必要かなとね?(笑)

ミリィ:確かに、それは欲しかったの(笑)。じゃあ、背後でバタンとドアが開く音がする。 ―――ここに居たの?

ウィル:じゃ、寝転がったまま応じる。 おー、ミリィか。ここからでも全然見えねーのな、街並みとか。

ミリィ:見渡せない、濃霧に包まれた魔都―――故にこその、霧の街なの。

ウィル:星も見えねー。けど、こうやって星を探そうとする機会もこれまで無かったな。見てみて改めて分かったわ。マジ見えねー。

ミリィ:……明日になれば、きっと見えるよ。

ウィル:……だな。

ミリィ:……ねぇ、ウィル。ウィルは……ここを出たら、どうするの?

ウィル:俺?んー……そうだな、何も考えてなかったや。冒険者を続ける……か、どうかはまだ未定だな。一先ずダーレスブルクに戻って、親に顔は見せとかんとな。

ミリィ:同感。私もダーレスブルクで、司祭様に挨拶しないと。……けど、それが終わったら?

ウィル:だから言ってるだろ。何もねーって。脱出に必死だったからなぁ……精々、冒険者を続けるか……傭兵ってのも選択肢かもな。

ミリィ:……少しは、地に足を付けて考えたら?

ウィル:…何かあるのかよ?

ミリィ:どこかに定住するって事。ウィルくらいの腕前の人が一人いれば、村の安全性も段違いに上がる。開拓村や……そうじゃなくても、農村なんかでも引く手数多だと思うの。

ウィル:開拓村でも良い気がするけどな。この街に比べりゃ天国だ。

ミリィ:私は、どこかの村でキルヒア神様を祭る司祭になるつもり。これまた、村に一人くらいいると歓迎されるし。

ウィル:…なんだよ、勝手に生き方決定しやがって。お前と冒険者やるのも、面白そうだったんだがなー。

ミリィ:そう?私は、冒険とかはもう良いかな。一生分の冒険を、この二カ月足らずで経験した気分なの。

ウィル:まぁ、否定はしねーけど。

ミリィ:―――ね、ウィル。

ウィル:……ん?

ミリィ:……私と一緒に来ない?

ウィル:……どこかの村に、か?

ミリィ:うん。―――どこに行くかは、決まってないけど。ダーレスブルクかルキスラ辺りの農村。

ウィル:……有り難いお誘いだな。

ミリィ:茶化さないで。

ウィル:茶化してねぇよ。確かにそりゃ、魅力的な誘いだ。けど、それを受諾するためには一つ決着付けないといけねー事があるな。

ミリィ:……この街を出る事?

ウィル:違う。……お前と一緒の村に行くなら、一つ質問する権利をくれ。

ミリィ:…なに?

ウィル:……なぁ、相棒。俺はお前の事、最高の相棒だと思ってる。

ミリィ:……うん、それは私も。ウィルが相棒じゃなかったら、私はきっと生きてなかった。

ウィル:聞くが、相棒。この関係を一生のものとする気はあるか?

ミリィ:……え?

ウィル:……あー、くそ。二度は言わねーぞ、ミリィ。……この街から出て、どこかの村に一緒に行くなら……俺と連れ添いになってくれ。

ミリィ:………………。

ウィル:…返答は?

ミリィ:じゃあ、それを聞いたら……寝てるウィルに覆いかぶさるようにして、キスをする。

ウィル:…うぉ!?

ミリィ:……告白は貴方から。なら、口付けは私から、なの。 くすり、と笑います。 ―――鈍い人。一緒の村に行こうなんて誘った時点で、私の心なんか決まってるような物なのに。

ウィル:……うっせーよ。女心なんて難しい物、専門外だね。 じゃあ、薄暗い中でも分かるくらい顔を赤くしてそっぽを向く。

ミリィ:もちろん、私の顔も負けないくらい赤いの(笑)。 ―――ね、ウィル。

ウィル:……おう。

ミリィ:これからも、宜しくね?

ウィル:……二世の先まで、宜しく頼む。
 

 ―――で。 
 

ウィル:―――さて、ハイパーラブコメタイム終了!!(一同笑)

ミリィ:(PL素で)やる事やったし、後は脱出するだけです(笑)。でも、これはウィリアム・ハザードとミリアム・レイクというキャラにとって必要な事だったと思いますし。

GM:この街を出た後の彼らを語る為にも?

ミリィ:そういう事です。さて、PLの素の語りは終わりにしましょう(笑)。

GM:ああ、ラブコメタイムの間、俺は頑張って空気との一体化運動をしてたからな。(一同笑)

ミリィ:じゃあ、切り替えるの。翌朝、鮮血城を辞してザバールのテントに向かうの。

ウィル:…もうすぐ脱出か……感慨深いな。

ミリィ:…そうだね。

GM/サンドリーヌ:OK、テントへは何の問題も無く到着できる。そこでは今や遅しと待っているサンドリーヌ館勢。 「……遅かったですわね」

ウィル:遅刻してねーじゃん。

GM/ザバール:「出発は昼。準備は朝から始めるのは道理だろうに」

ウィル:……あ。

GM/ザバール:「まぁ、良いだろう。君達はどうせ、他に荷物も無いだろう?そのまま乗ってくれ、出発するよ」 と、ザバールも荷台に乗りこむ。御者は彼に仕えるルーンフォークが引き受けるようだ。

ミリィ:じゃあ、乗り込むの。あ、ザバールさん。これ、ポイントカード。

GM/ザバール:「はい、確かに。全員分のポイントの支払いを確認したよ。ああ、奴隷の首輪は取ってしまおう。これを付けたまま街から遠くにまで行くと、首輪の魔力で殺されてしまうからね」

ウィル:うわ、マジか!?

ミリィ:……早く取って。

GM/ザバール:「はいはい」 と、ザバールが君達の首にかかった首輪を取ってくれる。

ミリィ:ふぅ……首が軽くなったの。

ウィル:おー、なんか肩が軽い感じ。

ミリィ:あれは正直、肩が凝るの。(一同笑)

GM/サンドリーヌ:「見るだに重そうだったものね」 と、サンドリーヌも苦笑してメネとセバスチャンの首輪を外しています。

ウィル:……さて、無事脱出できると良いが。

GM/ザバール:「まぁ、大丈夫だよ。私の立場を考えたまえ。私が外からの物流を一手に担っているから、この街の浮民や奴隷が死なずにいられるんだ。そして、浮民や奴隷を食らう蛮族からすれば、私は結局彼らの食事を握っている事になるんだよ」

ミリィ:……なるほど、蛮族側も強気に出られない相手って事なの。

GM/ザバール:「そうさ。故に検閲も受けずに馬車を使える。念のため、街から離れるまで毛布でもかぶって荷物の隙間でじっとしていたまえ」

ウィル:……言葉どおりにする。

ミリィ:同じくなの。

GM:―――では、ザバールの言葉通り馬車は誰にも邪魔されることなく、叫びの門へ到着する。門番の蛮族はおざなりに口頭で用事を確認したのちに、門を開ける。

ミリィ:……毛布に隠れたまま、ウィルの手を握るの。

ウィル:……握り返す。

GM/ザバール:そしてそのまま……何事も無く、馬車は門を抜ける。門から少し離れたところで、 「もう大丈夫だよ。とはいえ、まだ暫くはじっとしていてくれ」 と、ザバールが君達に言う。

ウィル:…分かった。

ミリィ:……抜けた……の?

ウィル:実感が、無いな。

GM/ザバール:他の面々も同じような反応だが、ザバールは楽しそうに笑う。 「良いだろう、サーヴィスだ。あと30分も歩けば、荷台から顔くらい出しても大丈夫だろうさ。遠ざかる霧の街を見てみたまえ。もう君達は一生来る事のない場所だろうからね」

ウィル:……だな。

GM:言葉通り、30分ほどしてから馬車から顔を出すと……遠ざかる霧の街の姿が、うっすらと霧の中に隠れて見えた。もっとも、すぐに霧に隠れて見えなくなるが。

ウィル:……。

ミリィ:……遠い……ね。

GM:そして、既に君達のいる辺りでは霧が晴れてきている。空を見ると……懐かしい、太陽の光が……薄くなった霧を貫き降り注いてきている。

ウィル:――――。 無言で、拳を振り上げる。

ミリィ:その拳に、拳をこつんとぶつけ合わせるの。そして、笑顔で言う。 ―――やったね、ウィル。

ウィル:……ああ!

GM:しかしその時―――その光が、ふっと翳る。

二人:……え?

GM/ザバール:「あれは……!」 ザバールが上空を見て舌打ちをする。空には太陽を覆い隠すように、翼を持つ巨大な爬虫類が何匹も飛んでいた。 「ワイバーン!?くそ、この辺に新たに巣を作った群か……ええい、霧の街の蛮族は何をしてるんだ!」

ウィル:おい、ザバール!どうすんだ!?

GM/ザバール:「どうするもこうするも、馬車でワイバーンから逃げ切れる道理も無いだろう!」

ウィル:……ま、そうだわな……。

GM/ザバール:「謝罪するよ、こんな事は年に一度もある物じゃない!君達はどうやら、相当に運が悪い時に乗り込んでしまったようだね!」

ウィル:謝罪すんなら、この状況どうにかしてからだ!ザバール、俺らも出るぞ!!

GM/ザバール:「頼む、後で謝礼は弾むよ!!」 と、ザバールは杖を取り呪文を唱える。彼の護衛であるルーンフォークも戦闘態勢に入り、その横に2体の魔神が影からずるりと這い出てきた。

ウィル:うえ!?

GM/サンドリーヌ:「“魔神使い”ザバール……その名の通り、魔神を従える魔術師ですわ。彼が霧の街で今の地位を築いたのは、商人としての腕前もさることながら……武力としての実力を伴っていたからですもの」

ミリィ:納得なの。ただの可愛くないウサギが、霧の街最大の豪商になんてなれるはずがないもの。

GM/ザバール:「手厳しいね。まぁ、とにかく私達も頑張るが、それでも手に余る数だ!抜けた奴らの相手は君達がやってくれ!!」

ウィル:まぁ、どう見ても戦力的に俺らよりザバール達のが上だからな。

ミリィ:魔神従えてる上、最低でも10Lvソーサラー。パネェの。(一同笑)

GM:さて、先制攻撃とでも言うように、ザバールがブリザードをぶち上げる。それと同時に、数匹のワイバーンが降下。ザバールの護衛達と接敵する。そして、彼らでは止め切れなかった2体が、君達の方に突っ込んできた!さぁ、霧の街脱出の最後の試練だ!!

ウィル:…こんなトコで死ねねーよ。可愛いけど性格悪い嫁さん貰って、のんびり暮らすって目標が出来たんでね!!

ミリィ:…私も、優しいけど鈍感な旦那に貰ってもらって、のんびり暮らすって目標があるの。負けられない!!
 

◇VSワイバーン×2◇
 

GM:さて、ラストバトルはワイバーン二匹だ。文句はSNEに言うように(笑)。

ミリィ:今度、投書しておくの。(一同笑)

GM:それと、サンドリーヌと一緒に脱出してるので、サンドリーヌは君達に助力してくれる。彼女は剣のかけらで強化されたラミアの能力値だ。

ウィル:ナイス!これで勝ち目が見えて来た!!

ミリィ:大見得切ったけど、ワイバーン2体に私達だけだと、正直死が見えてたの(笑)。とにかく、ウィル。先制を取って!サンドリーヌさんの範囲魔法でまず、ワイバーンの各部位を纏めて削って貰うの!!
 

 さて、最終戦闘です。
 敵はかけら補正ありのワイバーン2体。正直言って、この二人には荷が重すぎる相手です。
 サンドリーヌの戦力を存分に使い倒して、五分というところ。
 …向日葵兵団の連中は、凄いあっさり倒してたんですけどね、ワイバーン。
 人数と火力が違います。
 
 ともあれ、ミリィが『ペネトレイト』まで使って強引にワイバーンの弱点を抜き、同時にウィルは先手を取る事に成功します。
 

▽ラウンド1▽

 

ウィル:よっしゃ、先手!サンドリーヌさん、頼む!Aの頭狙ってライトニングだ!!

GM/サンドリーヌ:「分かりましたわ!」 ではサンドリーヌ、必殺のライトニング。(ダイスを振る)…お、すげ。この人出目7で抵抗を貫けるのか……達成値16で抵抗突破。というかお前ら、サンドリーヌさんのダイス振れよ。(一同笑)

ミリィ:じゃあ、私が担当するの(笑)。ともあれ、ライトニングは命中?なら貫通処理(ダイスを振る)…うん、Aは胴体、翼A、尻尾に。Bは胴体、翼Bに命中なの。ダメージ、14、13、16、14、12!!

ウィル:うし、双方の胴体に結構なダメージが入ったな……。

ミリィ:ウィル、長期戦は不利なの。ここはひとつ、魔法中心に速攻作戦……向日葵戦術なの!!(一同爆笑)

ウィル:魔法中心の速攻か、確かに向日葵戦術だ(笑)。
 

※リプレイ本編、向日葵兵団が良く使う戦術。とにかく先手を取って火力で押し潰す超速攻戦術。
 

ミリィ:と、いうわけで……この際、他の部位は無視するの。MPがもたない!敵双方の胴体に、拡大フォース!(ダイスを振る)……うん、抵抗は抜けた!ダメージはAに10点、Bに12点なの!!

GM:うげ、狙いを絞って来たか。かなり痛いぞ。

ウィル:うし、二人とも!俺が片方は食いとめるから、もう片方はどうにかしてくれよ!!敵陣に突っ込んで、エンゲージ!キャッツアイ・ビートルスキンを起動して攻撃!!(ダイスを振る)…胴体に命中17、どうだ!?

GM:残念、それは当たらない。で、こっちの番か……では、ワイバーンAはミリィとサンドリーヌのエンゲージにブレス!!生命力抵抗で17を出してくれ。

ミリィ:出るかい。(ダイスを振る)……私は15点、サンドリーヌさんは18点のダメージを食らったの。

GM:で、Aは残り翼と尻尾でウィルに攻撃。達成値17が3回。回避してくれ。

ウィル:(ダイスを振る)…くっ、翼で一発殴られた。流石に格上か……俺じゃ回避しきれん。トリーシャカモン。(一同笑)

GM:それでも2回避ける辺り、十分優秀な戦士だよお前は。ダメージは14点!!

ウィル:5点抜けた。ちょっち痛い。(一同笑)

GM:……微妙に強いんだよな、こいつ。で、ワイバーンBの行動は……ウィルの横を突っ切って、サンドリーヌとミリィにエンゲージ、だ!!

ミリィ:くっ、こっち来たの!!

GM:行動は、≪テイルスイング≫使用の上でダイス様に従い、ミリィに噛みつきと尻尾1発、サンドリーヌに羽2発と尻尾となった。死ねェ!!

ミリィ:御免こうむるの!(ダイスを振る)……く、全部食らった……。サンドリーヌさんは、尻尾は避けたの。

ウィル:ミリィ、大丈夫か!?

ミリィ:…ええい、変転して尻尾は避けるの!!両方食らったら、多分倒れる!!

GM:では、ミリィには18点、サンドリーヌには14点が2回だな。

ミリィ:う、駄目なの。後衛二人、それでめっちゃ削れてるの。私、残り5点。サンドリーヌさん、残り18点。

ウィル:おい、大丈夫かそれ!?

ミリィ:ぶっちゃけ、大丈夫じゃないの。このままだったら、もたない……回復に回っても、間違いなく後手後手なの。敵の攻撃力は、私の回復能力を上回ってる。イチバチで、攻勢に出るしか勝機は無いの。ウィル、そっちは何が何でも抑えて。ワイバーンを真っ当に抑えられるのは、ウィルだけなの。

ウィル:……分かった、どうにかする。

ミリィ:次のラウンドが、勝負なの。私が倒れる前に、どれだけ相手を削れるか……。
 

▽ラウンド2▽
 

ミリィ:まず、サンドリーヌさんがワイバーンBの胴体にブラストをぶち込むの。(ダイスを振る)うげ、抵抗抜けてない。ダメージは半減で、9点なの。そこに私が、目の前のワイバーンAの全部位とBの胴体にフォース!!

ウィル:うわ、倒れるの前提だな。

ミリィ:ぶっちゃけ、どう転んでも私はこのラウンド終わりに倒れると思うの。だったら、MP温存してても仕方ないの。(ダイスを振る)うん、出目7!達成値16で、ダメージはAの胴体から順に11点、13点、クリティカルで17点、10点、13点なの!!

GM:うげ、それでワイバーンBの胴体が落ちた!!

ミリィ:よし!仕事はこなしたの!!

ウィル:で、こっちか……補助動作でターゲットサイトを使いながら殴るぞ。(ダイスを振る)…くっ、命中18。変転しても18だから、当たらん……。

ミリィ:仕方ないの、ウィルは基本防御型なの。

GM:うーむ、一気に潰しに来たか。本当に向日葵戦術だな。では、ワイバーンAは仲間を倒してくれたミリィとサンドリーヌのエンゲージに火を吐く。

ミリィ:まぁ、予見はしてたの。最悪、死ぬけど……ええい、運を天になの!(ダイスを振る)…あ、駄目。抵抗失敗。

ウィル:おぉぉぉーい!!?(笑)

ミリィ:サンドリーヌさんも抵抗失敗、なの。これちょっとやばい?

GM:うむ、ではミリィに18点、サンドリーヌに21点のダメージ。

ウィル:でかッ!?

ミリィ:駄目、それでダウン。HPはマイナス13に……出目5以上で生存なの。(ダイスを振る)…6、生存!(ダイスを振る)サンドリーヌさんも、ピンゾロじゃないんで生存なの。

ウィル:…って、おおおーい!?俺一人であと戦うのか!?

ミリィ:ごめん、でも、後は任せるしかないの。

GM:翼と尻尾はウィルを薙ぎ倒さんと振り回されてるぞー。

ウィル:……チッ。(ダイスを振る)翼は両方食らった!

GM:ではダメージ、13点と15点!

ウィル:4点と6点で、合計10点か……まだ余裕はあるが。

ミリィ:硬さと回避が私達とはダンチなの。こういうときは、ホント頼りになるの、ウィル。
 

▽ラウンド3▽
 

ウィル:まず、羽を落として命中率を上げるか……いや、出目7以外のどれでも、変転使えば当たるんだ!胴体にターゲットサイト使用して、攻撃!!(ダイスを振る)……出目9!命中だ!!

ミリィ:頼むの、ウィル!!

ウィル:(ダイスを振る)…ああ、くそ!ここで出目7かよ!?ダメージ17……ミリィ、ワイバーンの残り耐久力は!?

ミリィ:HPが12、防御力7なの。

ウィル:……なら、これで丁度だ!!筋力増強の腕輪、破壊!!ダメージ+2!!

一同:おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!?

GM:OK、ウィルの斧を食らったワイバーンは一声鳴いて、そのまま倒れる!!ザバール達の方も、どうにか他のワイバーン達を追い払ったところだ。

ミリィ:馬車の中から見てた人達は、冷や汗ものなの。

GM/クリス:「サンドリーヌ!!」 と、クリスが馬車から飛び出して、倒れているサンドリーヌに駆け寄るな。もう、馬車の中では木の棒を構えたクリスとセバスチャンが今にも飛び出すところだった……とは、メネの弁。(一同笑)

ウィル:来るな御願い、ぶっちゃけ邪魔だ!(一同笑)

ミリィ:まぁ、もう戦闘終わったし(笑)。起こして、起こしてー(笑)。

GM/ザバール:「ふむ、まぁ、出血大サービスと行こうかね」 と、ザバールがその場に全員を集めて、レイジング・アースを何回か使う。毎ラウンド3点回復の範囲魔法。

ウィル:コンジャラーまで完備か、何このパーフェクトウサ公。

ミリィ:まぁ、何回か使ってもらえるなら、HPがプラスに戻るの。

ウィル:……すまん、ザバール。ありがとう。

GM/ザバール:「ふむ、殊勝だね。まぁ、未来の嫁の事となればそうもなるか」

ウィル:……う。

GM/ザバール:「いやはや、あの啖呵は聞こえて来たよ。仲が宜しくて結構じゃないか、君達」

ウィル:……うー。(一同笑)

GM/ザバール:「うん、君がそういう反応しても、全く萌えんな」(一同爆笑)

ウィル:うっせーよ!?(笑)

GM/ザバール:「まぁ、良いさ。今回の一件の報酬と引き出物は、人族の街に着くまでにでも考えておこうじゃないか」

ウィル:…宜しくお願いします。(一同笑)

ミリィ:で、そんなウィルの腕の中で……私はウィルの服を、ぎゅっと握っているのでした(笑)。霧の街には無かった太陽の光に照らされながら、ね?
 

◆到着、カシュカーン◆
 

GM:そして、その数日後……君達はカシュカーンの街に到着する。ザバールとはここでお別れだ。

ウィル:カシュカーン?

GM:レーゼルドーン大陸の入り口に作られた開拓村だな。今では人口が3千を数え、街と言うべき規模に育っているが。

ミリィ:ここから、テラスティア大陸のダーレスブルクにまで戻るの。大丈夫、そんなに遠くないから。

GM/サンドリーヌ:「…うー、気分悪いわ。あんまり強くないけど、頭痛がする」

ミリィ:……ああ、守りの剣。

GM/サンドリーヌ:「そういうの対策の護符は持ってきてるんだけど、それでもね……」 と、少し顔色の悪いサンドリーヌです。

ミリィ:難儀な話なの。

GM/ザバール:「さて、私はここで失敬するよ。仕入れなり何なりがあるから、いつまでも君達に構ってもいられない」

ウィル:そっか。こう言うのも何だが、世話になったな。ザバール。

GM/ザバール:「ではここは、社交辞令として『こちらこそ』と言わせて貰おうか。ああ、ウィル。手を出したまえ」

ウィル:……ん?

GM:ザバールは適当に、馬車に積んでいた品を幾つか投げて渡す。ゲーム的には、サンドリーヌと脱出した場合にサンドリーヌから貰える報酬なんだけど、今回はザバールからって事にしておこう。

ミリィ:まぁ、サンドリーヌさん、そのザバールに色々買い叩かれてるし…(笑)。

ウィル:…これは?

GM:ぶっちゃけると、$$$の宝物アイテムが5つ。何が出るかはお楽しみだな。

ミリィ:(ダイスを振る)……微妙に扱いに困る物が沢山出たの。

ウィル:使いもしないアイテムは、売れば4850ガメル。水晶の首飾りは、ミリィ。お前が付けとけ。

ミリィ:ウィルからのプレゼントと思って、ありがたく受け取るの。

ウィル:で、ザバール。貰ってすぐでアレだけど、水晶の首飾り以外は買い取ってくれ。

GM/ザバール:「はいはい。―――ああ、お客様。ザバールポイントをお付けしますか?」 と、ザバールは楽しそうににやりと笑う。

ウィル:じゃあ、それに対して苦虫を噛み潰したような顔をする(笑)。 もう二度と、世話になりたくねーんですが。

GM/ザバール:じゃ、ザバールはその顔を見てひとしきり大笑いしてから、代金を払って踵を返す。 「夢薬販売委任状の意趣返しだよ。それじゃ、精々達者でね。君達としては二度と会わない方が嬉しいだろうけど」

ウィル:世話になったのは事実だからな、覚えておくよザバール。むしろお前さんみてぇなアクの濃いウサギは、忘れようとしても忘れられねーな。

GM:それには何も言い返さず、ザバールは振り向きもしないで馬車の荷台で軽く手を振る。

ミリィ:……ふぅ、で、サンドリーヌさんはどうするの?

GM/サンドリーヌ:「ん……まぁ、まずはテラスティア大陸で、適当に家探しかしらね。守りの剣の無い場所が良いんだけど」

ミリィ:だったら、一緒に行かない?私達、どこか適当な農村にでも腰を据える事にするから。サンドリーヌさん達も事情を知ってる人がいた方が、良いでしょ?

ウィル:まぁ、俺らはその前に一度ダーレスブルクに寄るけどな。お互い実家に顔出さんと、家族が心配してるだろうし。

GM/クリス:「そうだね……じゃあ、その誘いに乗るよ。場所のあては?」

ウィル:さてね。ま、俺はどこでも良いさ。ミリィと一緒ならな。

ミリィ:……馬鹿。 それを聞いて、はにかんだ笑みを浮かべます(笑)。

GM/メネ:「それじゃあ、守りの剣はサンドリーヌ様のお身体に障りますし、私達はダーレスブルク近くの宿場町にでも宿を取ってます。終わったら、合流しましょう」

ウィル:おっけ。それじゃ、まずはダーレスブルクに向けて出発!!

ミリィ:おー!……なの。
 

ラストミッション達成。
獲得経験点:1760+1ゾロ分(最終脱出の経験点を1000点【★5つ】として計算)

成長@
ウィル:精神力+1 スカウト5→6
ミリィ:生命力+1  セージ2→4

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