◆開始前に◆
 

GM:さて、それでは今回も春夏 秋さんという読者の方から届きましたシナリオを使用させて頂きます。他にもシナリオフックという形じゃなくて完品でシナリオを提供してくれた人はもう一人、拝さんという方がいらっしゃるんだけど……こちらは街シナリオと変則ダンジョンの合成なんで、時間的に厳しいので見送らせて頂きます、申し訳ありません。出来ればもう少し、小さく纏まっているとやり易いです。

クラウス:……フックではなく完品まで作って頂いて使えないというのも、なかなかに堪えるな。使う側として。

GM:だね。……でも長くなりそうなんだよなぁ、これ。どうにか使いたいんだけど……まぁとにかく、今回のシナリオ名は『お嬢様の災難』だね。幾つか特別ルールがあります。

クラウス:特別ルール?

GM:ん、こんな感じです。
 

☆特別ルール1
NPCリストで[042]メルセラ・クレサンスが出ても、彼女はミッションに深く関わっているため出てこない。

☆特別ルール2
午後の陽射し通りには、最終局面までPCたちは侵入出来ないものとする。
これはメルセラの調査を冒険者に依頼したと紫露草女学院に知られたくないための、ベアトリスのお願いである。

☆特別ルール3
このシナリオでは猶予時間が極端に短いため、NPCミッションを達成しにくいことが考えられます。
これを、緩和するために、すべてのNPCミッションは「配達/伝言T」であり、かつ、制限時間は「なし」とします。

 

クラウス:ほほー。春夏 秋さん考えてるなぁ。しかしこの内容から察するに、メルセラ関係のシナリオか。

GM:そだね。そういえばクラウスはまだ遭遇していなかったベアトリス・ファレットという少女が今回の依頼人です。メルセラの取り巻きで、彼女に心酔している少女だね。

クラウス:ほほー。そいつが……え、何で俺の所に?(笑) なんかそういうタイプからって、俺の立場だと嫉妬されてそうなもんだけど。

GM:メルセラ関係の依頼だし、クラウス自身何度か紫露草女学院には出入りしてるし。メルセラと関わりが深い人材という事で嫉妬はあるだろうけど、背に腹は代えられないみたいな感じで。

クラウス:あー、成程。まぁその辺の詳しい内容は本編で、か?

GM:そだね。それじゃ、始める前に成長や買い物をお願い。

クラウス:あいよ。セージが5に、アルケミストが2に上がって、アルケミでヴォーパルウェポン取りました。それと知力が18に上がったので、知力増強の指輪を外して信念のリングを買って装備。他にもカード類をぽこじゃか買いこんだ。

GM:うぅむ、厄介な。

クラウス:ソロだからここは本当に重要なんだよな。精神抵抗マジ大事。

GM:精神力もブレイク寸前だから、本当に抵抗力高いよねクラウス。―――さて、それじゃ今回のシナリオを始めようかー。

クラウス:おー。よろしくおねがいしまーす。
 

名前:クラウス・ビーダーシュタット
種族:人間 性別:男 年齢:23 生まれ:冒険者
身長:185cm 体重:66kg 髪の色:銀
経歴:家族に冒険者がいる 有名人の友人がいる 育ての親に拾われた
能力値ダイス:技8 体9 心10 A8 B7 C9 D8 E6 F8
最終能力値:器用度17+2 敏捷度18+1 筋力22+2 生命力18 知力18 精神力23
保有経験点:200
合計名誉点:214
保有名誉点:44
HP:33+2 MP:38+2
冒険者技能:ファイター5 コンジャラー5 スカウト5 セージ5 アルケミスト2
一般技能:マーチャント5 ハンター5
戦闘特技:防具習熟/非金属鎧 武器習熟/ソード マルチアクション トレジャーハント 鋭い目
習得賦術:バーク・メイル ヴォーパルウェポン
武器:専用発動体フランベルジュ+1
防具:ボーンベスト カイトシールド
アクセサリ:筋力増強の腕輪 敏捷度増強の指輪 信念のリング 渦巻き鉱のお守り 専用多機能ブラックベルト+アルケミーキット 専用赤の眼鏡
所持カード:緑Bランク4枚 緑Aランク5枚 緑Sランク2枚 赤Aランク5枚 赤Sランク2枚
所持品:冒険者セット スカウト用ツール 付けヒゲ 水袋×2 保存食5日分 マジックコスメ メイド服×2 魔晶石5点×3 魔晶石15点×1 知力増強の指輪 剣の欠片×24 アウェイクンポーション×4 カジノ『夢の天球』会員パス
所持金:4327

◆お嬢様の災難◆
 

GM:さて、話はクラウスが冒険者の店で管巻いてる時から始まります。

クラウス:気になってたんだが、前回のシーゲル議員に渡した情報の結果はどうなったんだ?

GM:ん? んーとね、翌朝早くに色煙を使って蛮族の襲撃を誘発して、急ピッチで作った攻性築城と退路封鎖で徹底的にボコった……という言葉も生温く殲滅したみたい。敵将はダークトロールだったんだけど、何も出来ずに殲滅されたに近いみたいね。

クラウス:鬼かあの人……。ダークトロールを策で封殺とか、無いわー。

GM:最終的には弱らせた所をシーゲル議員自らバッサリ切ったらしいよ。

クラウス:2.0本編ではシオンに近いなこの人。超万能型だ。
 

・攻性築城。どういう意味かとGMに聞いたところ、『守るための拠点』ではなく『攻めて来た敵を殲滅する為の拠点』という構造をしている拠点を指すGMの造語らしい。
・……長く見積もって十時間程度の準備時間しか無かったとはいえ、シーゲル議員にそんなもん作らせたらどうなったかは、想像に難くない。
・攻め手となったダークトロールの冥福を祈る。エイメン。

 

GM:ちなみにアリッサは悩んだ結果、それを一面記事にしたみたいね。色煙の件とかと合わせて記事にしたっぽい。

クラウス:……まぁ、上手くやってくれたなら良いや。今後も頼りにさせて貰うか、この人は。頼りすぎたら怖そうだけど。

GM/ベアトリス:GMやってて言うのもなんだけど、底が知れません(笑)。さて、それじゃあとにかく、冒険者の店に居るクラウスの元に見知らぬ少女が駆け込んで来るよ。眼鏡が似合うおさげの女の子です。 「失礼します! 貴方がお姉様の知人である冒険者ですね!?」

クラウス:え、いきなりそんな風に来たら目を丸くするぞ(笑)。お姉様って……誰?

GM/ベアトリス:「空っとぼける心算ですか!? 私がお姉様と呼ぶのは天地に一人、“完璧なる乙女”メルセラ・クレサンスお姉様ですわ!」 と、ベアトリスはビシッとクラウスを指差します。(一同笑)

クラウス:……あー、メルセラの……なに? 姉妹(スール)? 女子校ってそういうとこ魔境だからよくわからんわー……。(一同笑)

GM/ベアトリス:「んまぁ! お姉様の事を呼び捨てにするなんて、何たる狼藉!」(一同笑)

クラウス:うわ面倒臭ぇ!(笑) で、なに? お前何なの? 何も用無いなら俺そろそろ帰って良い?(笑)

GM:いや、ベアトリスはやや装飾過剰な物言いだけど、クラウスに向けて立て板に水のような勢いでメルセラの捜索を依頼するよ。

クラウス:捜索ゥ? 何したんだあいつ。

GM:それに関してはこんな事情がありまして……。
 

 今日の昼頃の事(ちなみに今は夕方)。紫露草女学院が休みだったので、ベアトリスとメルセラはヴェーラ島のサカロス神殿の大酒宴会に出ていました。
 ベアトリスは飲み比べなどはしないのですが、メルセラはそうではなく、周りから止めろと言われながらも参加していたと言います。飲めないのに。
 そしてメルセラの対戦相手は同じく下戸の、[047]アエラ・メイン。こちらもまた止めろと言われても参加するような娘です。
 二人の下戸による見苦しい対決は、互いに挑発し合って自分は飲もうとしないものでしたが、アエラの放った「酒も飲めないのか」発言に対しメルセラが発奮。一口飲んで勝利したはいいものの、潰れてしまったとのことです。

 

クラウス:アエラとメルセラかよ……気の強い女学生コンビじゃねーか。そりゃそういう意味不明な事態にもなるわ。

GM:だねぇ。で、ベアトリスは話を続けます。
 

 このまま酔っ払ったメルセラとともに午後の陽射し通りへ帰る訳にも行かず、ベアトリスはメルセラの酔いが覚めるまでヴェーラ島に居るつもりでしたが、その間にメルセラがいつの間にか居なくなっていたと言います。
 ベアトリスも散々探しましたが、如何せん専門ではないためメルセラの行方は分かりません。メルセラの知己の冒険者(クラウス)の存在を思い出し、所属する冒険者の店を何とか見つけ、必死で頼みに来た次第です。

 

クラウス:……成程。酔っぱらったお嬢様が一人で行方不明……有り体に言ってヤバくね?(一同笑)

GM/ベアトリス:「……有り体に言わなくても、ヤバいのです」 と、ベアトリスは脂汗を額に浮かべているね。 「と、いうわけで貴方にお姉様の捜索をお願いしたいのです。まさか嫌とは言いませんよね?」

クラウス:まぁな。知らない相手でもないし、仕方ない。ここは動くか。

GM:で、クラウスが事情を把握して動き始めた所でシナリオ開始ね。スタート地点はいつものゴールドコースト中央。現在時刻は18:00で、シナリオの期限は24時間です。ちなみにベアトリスはクラウスに同行するよ。

クラウス:オーライ。まずはヴェーラ島だな。移動を開始しよう。
 

◆アルトゥール島北部/初日 18:00〜19:00◆
 
 と、いうわけで移動開始したクラウス。
 まず向かったのは猥雑な歓楽街であるアルトゥール北部です。

 

GM:この時間帯だと、特に猥雑さが増してそうだね。お嬢様育ちのベアトリスは、眉を顰めています。

クラウス:あんま離れるなよ。この時間帯のこの場所は面倒事の宝庫だぞ。

GM/ベアトリス:「いちいち指図しないで下さい」 と、ベアトリスは嫌そうに返すけど、クラウスから離れないように小走りでついて来るね。(ダイスを振る)―――と、そこで共通イベント発生。『スリ』か……そうだね、クラウスはベアトリスの懐に素早く手を入れようとした男を発見します。捕まえるなら先制判定で目標値14でどうぞ。

クラウス:うっげ。(ダイスを振る)成功した。んじゃ、その男の手を掴んで捻り上げる。

GM/リフェール:と、同時にその男の手を横合いから掴む手がもう一つ。 「む? なんだ、クラウスではないか。久しいな、壮健か?」 と、二人同時に別方向に腕を捻り上げようとしたためにものっそい痛みで絶叫するスリを他所に、リフェールが軽く片手を上げてクラウスに挨拶するね。

クラウス:なんだリフェールか。おう、そっちも元気そうだな。

GM/ベアトリス:で、ベアトリスは捻り上げられた男の手から地面に落ちた自分の財布を見て、素っ頓狂な声を上げるよ。 「私の財布!?」

クラウス:だから気を付けろっつったろ。あ、ベアトリス。この優男はリフェール・バーク。こう見えて軍人な。 と、スリの腕を捻り上げながら。(一同笑)

GM/リフェール:「こう見えてとは失礼な。ところでクラウス、手を離したらどうだ。こいつは俺の手柄になる予定なのだが」 と、こちらも捻り上げながら。(一同笑)

クラウス:手柄ねぇ。何かあんのかこいつ。 と、更に強く捻り上げながら。

GM/リフェール:「富裕層狙いの連続スリだ。確か500ガメルくらいの賞金がかかっていた筈だな。……やらんぞ? こいつは昨日からマークしてたんだ」 こちらも負けじと捻り上げながら。あ、この辺でスリは泡吹いて気絶します。(一同爆笑)

クラウス:あー……じゃあこっちは流石にそろそろ離そう(笑)。 そう言う事ならお前にやるわ。こっちは今、ちょいと依頼がある事だし。

GM/リフェール:「ふむ、すまん。譲る心算は無かったが、そう簡単に引いて貰うとそれはそれで良心の呵責を感じる物だな」

クラウス:べっつにぃ? お前には世話になってるし、気にする事ぁ無ぇよ。んじゃ、行こうぜベアトリス。 と、歩き出そう。

GM/ベアトリス:「……本職の軍人さんと懇意なんですか?」 ベアトリスは慌てた様子でクラウスに追従しながらそう聞いて来るよ。

クラウス:あー、俺の親父の親友が海軍軍人なのもあって、軍とは縁が深い方だぞ。それと、今のでわかったろ。今回は近道だからここ通ってるが、お前らが歩く時は迂闊にここ通らん方が良いから気を付けろ。

GM/ベアトリス:「……肝に銘じておきます。財布、ありがとうございました」

クラウス:おや、意外に殊勝。……ま、そんなわけで次のパラグラフ、ヴェーラ島に急ごう。

GM:あいよー。
 

※NPC好感度変動
 ベアトリス・ファレット:0→4
 リフェール・バーク:15→17

◆ヴェーラ島/初日 19:00〜20:00◆
 
 で、やって来たヴェーラ島。
 ここでイベントが発生するのですが―――

 

GM/ミルナ:「カハハハハッ! 雑魚が! 人糞、いやさ牛糞以下の分際でこの私に粉かけようなんざ舐めてるにも程があるってもんよ!!」 と、高笑いするミルナ・ハラント女史。足元に意識を失った男どもを転がして両手に万能包丁を握って吼えるその雄姿に、周囲の人々は『ああいつもの事か』とすぐに興味を失って歩いて行きます。(一同笑)

クラウス:うわぁー関わり合いになりたくねぇー(笑)。

GM:ちなみに明らかにゴロツキというかいかがわしい感じの男たちが複数名転がってるけど、ミルナは無傷だね。魔物知識判定に成功すれば、転がってるゴロツキが山賊の突撃兵相当のデータを持っていると分かって良いです。

クラウス:幾らそのデータとは言え、楽に制圧とかこの人ぜってー素人じゃねぇだろ……(笑)。

GM/ミルナ:「はぁん? どっかで聞き覚えのある声―――っと、いつぞやの冒険者じゃないか。私の店に食事にでも来たのか? あれ何その女の子。当店にはリア充に食わせる飯は無ェ死ね!!」(一同大爆笑)

クラウス:相変わらずの人格破綻者だなコイツ!!(爆笑) そーゆーのじゃないから、こいつ依頼人!

GM/ベアトリス:ちなみにベアトリスは本来の彼女の性格を考えると思い切りミルナに反発しそうなもんだけど、今さっきの高笑いと倒れてるチンピラを見ているせいで腰が引けてます。 「ちょ、な、なんですかこの……色んな意味で形容しがたい残念美人!」(一同爆笑)

クラウス:あー……なんだろ。俺としても形容の言葉が出て来ないんだが(笑)。つーかもうお前でも良いや、ミルナ。人探ししてるんだけど、いかにも良いトコのお嬢様風の、ウェーブかかった金髪の女の子見なかったか?

GM/ミルナ:「ん、あー……見た見た。そこで伸びている豚の糞どもが私の前に、酔っぱらった様子のそんな女の子をナンパしてたよ。ただ、通りがかった騎士風の男に割り込まれてね。それで矛先変えてこっちに来たから、まぁ軽く遊んでやった」

クラウス:騎士風の男……?

GM/ミルナ:「誰だったかなアレ。私名前覚えんの苦手なんだよね。えーと、テヘペロ・ソンダート?」(一同笑)

クラウス:……もしかしてペイトンか?(笑)

GM/ミルナ:「あー、それそれ。そいつ。ナンパなように見えて意外と筋通ってる兄ちゃんだけど、あちこちで女に声かけてるのに私には未だかつて一度もナンパしてこないのは何故かが超絶気になる所。あれ、もしかして他は隠れ蓑で私が本命とか?」(一同爆笑)

クラウス:安心しろ、お前が女として見られていないだけだ(笑)。……しかし、ペイトンの旦那かぁ。これはこれで面倒事になりそうだなぁ。

GM/ベアトリス:「……どういう事ですか?」

クラウス:いや、あの旦那な。ソンダート私兵騎士団最強の男なんだけど、女好きで有名なんだよ。

GM/ベアトリス:「なっ……! 状況悪化してるじゃないですか! 早くどうにかしないと、お姉様の貞操が……!!」

クラウス:うん、そこがマジ心配。ミルナ、その二人はどっち行ったか分かるか?

GM/ミルナ:「あー、暫く酔っぱらった女の子がペイトンに絡んでたけど、遂には潰れて西トノール外縁部の方に歩いてった。っていうか、ペイトンに背負われてったのをこの豚の糞どもの相手をしながら見てた」(一同笑)

クラウス:相手しながらって、余裕あったもんだなお前(笑)。

GM/ミルナ:「食材探しに出歩く時に比べればこれくらい、ってなもんよ。まぁあんま危険な所には行かないから、そういう依頼があればまた頼むわ冒険者。それじゃ私、明日の仕込みがあるから」 で、言うだけ言ってミルナはさっさと歩いて行くね。ペイトンとかメルセラとかクラウスとかの事情にはもう興味失った感じで。

クラウス:……シーゲル議員とは別方向で我道の人だなこいつも(笑)。まぁ良い、西トノール外縁か……ちょい急ぐか、行くぞベアトリス。

GM:ん。ベアトリスもそんなクラウスの言葉に頷きます。
 

※NPC好感度変動
 ミルナ・ハラント:5→6

◆シルバーパール街区/初日 20:00〜21:00◆
 
 で、西トノール外縁へ向かうクラウス。
 シルバーパール街区は既に人通りがなく、あっさりと通過します。
 
◆西トノール街区外縁/初日 21:00〜22:00◆
 
 そして到着した西トノール街区。
 メルセラとペイトンの行方を探すクラウスとベアトリスは、すぐに二人が入ったと言う宿を発見します。

 

クラウス:宿に入ったって、これもう遅いんじゃね? 貞操的な意味で。

GM/ベアトリス:「そうだった場合、私は何としてもお姉様の貞操を奪った相手を誅殺します。酔っているのを良い事になど……!」

クラウス:……ですよねー。旦那ー、頼むから手を出してるなよ……。

GM:ただ、夜間に来ても宿は分かっても部屋は教えて貰えないってシナリオには書いてるんだよね。

クラウス:いや、教えて貰えないなら相応の手段を行使するぞ。早く止めんと何重もの意味で色々不味いから。

GM:ですよねー。じゃあ、シナリオ提供者さんには悪いけど少しアドリブ展開行こうか。どうにか相手の部屋を特定できそうな手段は思い付く? 

クラウス:方法としては宿屋の従業員に対する脅迫や買収だが、最後の手段だな。無駄に騒ぎが大きくなる危険もあるし……。とりあえず一度出てベアトリスと相談しよう。

GM/ベアトリス:今にも突撃せんばかりに鼻息を荒くしていたベアトリスだけど、クラウスがそう提案するなら渋々と宿からついて出るよ。 「……どうしたんですか。今にもお姉様の貞操が……」

クラウス:つっても、力押しじゃどうにもならん。一芝居打つから合わせろ。 ……その前にGM、宿帳を見れば誰がどこに泊まってるか分かる?

GM:あ、うん。偽名を使ってない限りは分かるんじゃない?

クラウス:そこはもう今から考えてもどうしようもない。良いかベアトリス、俺とお前はこれからこの宿に泊まる。

GM/ベアトリス:「……ちょっと、何を言ってますの?」

クラウス:良いから最後まで聞け。宿に泊まる客となれば、当然宿帳に記帳をするわけだが、その際に俺らの以前に泊まった人の記録を盗み見る。泊まる為に金を払えば宿の内部に入れるし、記帳の際のどさくさでペイトンの旦那とメルセラの部屋を把握できる可能性がある……失敗したらもう片っ端から足跡追跡なり聞き耳なりでどうにかする。とにかく方針としてはこんな感じだ。

GM/ベアトリス:成程。確かにスカウトであるクラウスなら出来そうだね。ベアトリスは納得した声を上げます。 「……不埒な目的じゃないんですね?」

クラウス:じゃあ二部屋取ろうぜ、別々に。それでも作戦には問題無いし。ンでお前は記帳の際に、従業員に話しかけて注意を引いてくれ。話題は……部屋の広さや内装、明日の食事が付くのかどうか、チェックアウト時刻はいつかとか、その程度で良い。注意さえ引いてくれれば、後はこっちでどうにかする。

GM:じゃあその言葉にベアトリスは頷くよ。……じゃあ実行の際は、そうだね。スカウト技能+器用度ボーナスで、目標値12で判定して貰える? 従業員の目を盗んで、宿帳の以前のページを盗み見れるかどうかの判定です。
 

 というわけで、本来のシナリオ予定とは少し離れた方向性で動くクラウス&ベアトリス。
 危なげなく宿帳を盗み見て、ペイトンとメルセラの泊まっている部屋を発見し、自分らが泊まる部屋(キーも渡された)をスルーしてペイトン&メルセラの部屋へ向かいます。

 

クラウス:(ダイスを振る)……聞き耳判定の達成値は16だけど、どうだ?

GM:あー、じゃあ小さな寝息と、剣の手入れでもしてるようなカチャカチャとした音が聞こえてくるよ。

クラウス:……ん、どうやらメルセラは寝てて、旦那は武器の手入れか。それじゃ、ノックするか。おーい、ペイトンの旦那。クラウスだけどちょっと良いか?

GM/ペイトン:「はぁ? クラウスか、何でお前が―――あ、いや。成程な。そこのお嬢様のお迎えか。鍵はかかってねぇよ、開けて良いぜ」 という声が中から聞こえて来て、それと同時にベアトリスがドアをバンと開けて突入するね。

GM/ベアトリス:「お姉様、御無事ですか!?」 と叫びながら飛び込んだベアトリス。クラウスは部屋のテーブルに長剣と短剣を置いて手入れしているペイトンと、奥のベッドに寝かされているメルセラの姿を発見します。ベアトリスはメルセラ一直線。

クラウス:衣服の乱れとかは?

GM/ペイトン:無いね。クラウスがメルセラの様子を確認したのを目線で悟ったペイトンは、軽く肩を竦めるよ。 「酔ってる相手や嫌がる相手をどうこうするのは趣味じゃねーよ。安心しろ、何もしてない。起きたら口説かせて欲しい美人さんではあるが……いや、あと2,3年後かな。俺の趣味的に」

クラウス:さよけ。……まぁ俺に関しては旦那の言う通り、メルセラのお迎えだ。そこの小娘に頼まれてな。

GM/ペイトン:「そいつはご苦労さんなこって」 ちなみにベアトリスも、メルセラの様子に安心したようだね。ペイトンに対しては前評判が前評判だから、警戒の眼差しを向けてるけど。

クラウス:まぁ何にせよこれで基本的な目的は達したわけだ。旦那、そいつ引き取って良いか?

GM/ペイトン:「どーすっかなぁー。その子、あんま性質が良くない相手に絡まれてたのを助けたわけだしなぁー」 と、ペイトンは明らかにからかうような口調と表情で、けど目は真剣にクラウスを見て来るね。 「そうだなぁ、お前がこのお嬢さんのエスコートをちゃんと出来るかどうか……少し試させてくれよ」

クラウス:……俺の実力に関しては、ある程度分かってるんじゃないか?

GM/ペイトン:「その筈だったんだがな。俺も色々ツテがあってね。ちょいとお前の話を聞いたわけだが、明らかに前より実力上げてるみたいじゃねーか」

クラウス:つまり……俺の今の実力を測りたいんだろ。メルセラを出汁にして。

GM/ペイトン:「……ま、そう言う事だ。ソンダート私兵騎士団に勧誘するって話、ありゃマジだぜ。その意味でもお前の実力を把握しておきたい」

クラウス:ありがたい話だが……ぶっちゃけ俺、将来どうするか考えてないからなぁ。そっち入るかどうかとか、保証出来んぞ。というか現状、入らない公算がかなり高い。

GM/ペイトン:「だったらそれで良いさ。多少なりとも可能性があるなら声をかけておきたい程度には、俺はお前を買ってるって事」

クラウス:……分かったよ、とりあえず俺の実力を把握したいってんなら、それは受ける。具体的にはどうすれば良い?

GM/ペイトン:「まぁそりゃ、明日の話だな。お嬢様は熟睡中だし、無理して起こす事も無いだろ。まさかまだ酒の匂いがする現状で、学院までお前が背負って行くわけにもいかないだろうしな」

クラウス:……学校はどうなるんだ?

GM:その質問にはベアトリスが、『明日も休み』と答えるよ。ちなみに酔い潰れた状態のメルセラ連れてったら、生活指導的な意味で面倒な事になりそうだから、確かに時間を置きたいとも。今日明日の休みの外出届は出してるから、無断外泊にはならないみたいだね。

クラウス:成程なぁ。んじゃ、問題ねーのか。

GM:というわけで、ペイトンはメルセラはこのまま寝かせて、明日以降改めて話をする事を提案するね。自分は部屋を移ると自分から提案するけど。

クラウス:……そだな。つってもベアトリスをメルセラと二人きりにするとそれはそれで色々大変そうだから、百合百合な意味で。(一同笑)

GM/ベアトリス:「ああ御姉様くんかくんかスーハースーハー……はっ!? 私のどこが信用ならないと言うのですか!?」(一同爆笑)

クラウス:お前ちょっと今の自分の姿鏡で見てみろ!!(爆笑)
 

 ―――で。
 結局フロントに戻って合計四部屋借りて、クラウス、ペイトン、メルセラ、ベアトリスは各々一人一部屋で宿に泊まり、その翌朝―――。
 
◆西トノール街区外縁/二日目 06:00〜07:00◆

 

GM:じゃあ、宿の裏庭辺りで良いかな。早朝のそこで、クラウスはペイトンと対峙しています。あ、ペイトンはクラウスに訓練用の剣を放り投げてくるよ。自分も訓練用のを持ってる。で、一晩寝て酔いが覚めたメルセラが少し離れた所に座っていて、彼女にべったりくっつくようにしてベアトリスも居るね。

クラウス:じゃ、投げられた訓練用の剣を受け取ろう。 ……あ、メルセラ。復活したんだな。

GM/メルセラ:「ええ、まぁ……クラウスにも騎士殿にもご迷惑をおかけしました。思い出しても恥ずかしいですわ。私、二度と酒など飲みません」 と、顔を赤くしてメルセラは俯くよ。どうやら酔った時の事を覚えている体質みたいだね。

クラウス:そうしろ。ペイトンの旦那が意外と紳士的だったから良かったが、そうじゃなかったら十八歳未満には見せられない事になっていた可能性も高いんだからな。

GM/ペイトン:「意外とはなんだ、意外とは」 クラウスに対峙しているペイトンは、不満そうに言いながら重さを確かめるように軽く訓練用の剣を振ってるね。 「俺様いつでも紳士だっつの。人妻には手を出すけど子供には手を出さねーの」(一同笑)

クラウス:胸張って言うような事かよ!?(笑) あー……それで、メルセラの護衛を俺に任せていいかどうか確かめるって名目で、俺の実力を見たいんだよな? つっても俺じゃ多分あんたに勝てねーんだが、どーすんだ。

GM/ペイトン:「勝たれてたまるか、俺の沽券に関わるわ。俺これでもソンダート私兵騎士団最強の男なんだからな」 と、言っているけど、メルセラが横合いから口を挟むよ。

GM/メルセラ:「謙遜ですわね。ソンダート私兵騎士団のペイトン・ソンダート……ソンダート私兵騎士団どころか、リオスに存在する私兵騎士団全ての中でも随一の腕の持ち主でしょうに」

クラウス:……そこまでか。

GM:9Lv〜10Lv帯ってのはその領域だと私は思ってる。リオスでは、ライフォスの最高司祭でも11Lvだったりするしね。私兵騎士団というカテゴリの中では、ペイトンは随一の実力の持ち主だと私は裁定するよ。

クラウス:益々もって勝ち目が見えねぇじゃねぇか。

GM/ペイトン:「別に勝てなんざ言わねぇよ」 などと言いながら、ペイトンは正眼に剣を構えて軽く手招きするね。 「打ち込んで来な。俺に一撃でも当てられれば合格だ」

クラウス:―――はん。そりゃ流石にちょっと舐めすぎだろ、旦那。

GM/ペイトン:「舐めすぎかどうかは、一撃当ててから言ってみな!」 と、いうわけで戦闘じゃなく、命中力判定による判定形式です。ペイトンの回避力は固定値で18として、5回の判定で1回でも当てたら合格。不合格でもメルセラは引き渡して貰える―――というか、メルセラの件に関しては既に実質的に口実だからメルセラもクラウスの方について行く事希望するし、ペイトン的にはクラウス信用してるからそれで良いんだけど。ともあれ不合格でもシナリオ進むけど、合格した方が良い事あるよ。周囲の好感度的な意味で。

クラウス:それを差し引いても、ちょっと甘く見られてるっぽいしなぁ。一撃当てる程度はやってやりたい。
  

 ちなみにGM毎にその辺(その冒険者技能のレベル帯がどれだけ希少か)の裁定は差があるでしょうが、竜鳴艦ではある程度統一性を持たせるために、その辺をある程度擦り合わせています。
 竜鳴艦でのSW2.0の場合は、
 
15Lv:英傑、それすら通り越して半分神域に足を突っ込んだレベル。その技能においては当代屈指の腕前である。世界にも片手の指で数え得る程度しかおらず、時代によってはこの領域の技能レベルの持ち主が存在しない時代も有り得る域。

13〜14Lv:
大英雄レベル。技能毎に世界に数名しかおらず、自らの国を興したりする者も居る。大国でも一人二人居るか居ないかの実力者の領域であり、小国には存在していない可能性も高い。時代によってはここが人族の最高峰であった時代もあったであろう。

11〜12Lv:
英雄レベル。向日葵兵団やぞんざい勇者団も殆どのメンバーがこの領域。小国ならばこの領域の実力者が、その国の最高の技能の持ち主である可能性も高い。大国でも非常に希少な実力者の域であり、一般的に言う『英雄』の条件を十分に満たし得る領域。大国の騎士団長でも、ルキスラのような超が付く大国やデュボールのような武門の国でもない限りこの領域くらいだろう。事実、リオスではラクシア最大宗派であるライフォスの最高司祭が11Lvである。また、公式でも10Lvを越える冒険者は英雄的領域であるとしばしば明記されている。

9〜10Lv:
準英雄レベル。大国でも決して多くはなく、小国では指折り。英雄的な活躍をした者も多い。大国でも正騎士の部隊の長を務めていても何ら不思議はないレベル。『私兵騎士団の当代一』であるペイトンもこの領域。とはいえ、リオスの公式NPCにも、この領域はペイトン含めて数名居るので、11Lv以上に比べて希少度は幾分下がって来たイメージがある。

7〜8Lv:
いわゆるベテラン、凄腕の域。実力派の『正騎士』がこのレベル帯なので、この辺りから希少度がかなり落ちて来るイメージ。正騎士で構成される騎士団がある以上、大国ならば相当数居るだろうし、小国にもそれなり以上に数は居ると思われる。ただしルールブックUでは未開の領域を切り開き得るベテラン冒険者が7Lv以上であり、その領域ならば上手く立ち回れば引退して国家の要職に就く事も可能である事が書かれている。

5〜6Lv:
いわゆる一般的に言われる腕利き、一流。クラウスも一応、この領域。ここらまでくると、希少度は相当下がってる感じがする。『腕利きの傭兵』がこの領域。

3〜4Lv:
まぁ一人前。駆け出しと呼ばれる域のイメージは無い。希少性は殆ど無い。

1〜2Lv
:駆け出し。希少性は全く無い。

 と、言う感じ。
 プリ技能だけはその神毎に分かれているんで、この表に比べて少し変わってくる感じです。

 ともあれリオスでも有数の腕利きであるペイトン。
 彼相手に挑むクラウスですが、ペイトンの回避力は固定値で18。
 回避側有利の法則を考えると、クラウスは出目にして10以上を出さないと当たらない計算になっております。
 
 とはいえ、出目10以上が出る確率は1/6。
 それでチャレンジ回数が5回あって、《運命変転》もあるとなると―――

 

クラウス:3回目。(ダイスを振る)……出目3を変転して出目11に。命中20で、一撃当てたぞ!! 極端に緩急を付けたフェイントから、渾身の一撃を叩き込む!

GM/ペイトン:お見事。これまでの二回の攻撃は軽く捌いていたペイトンは、巧妙なフェイントを混ぜた一撃に不意を突かれるね。 「―――へぇ」 と笑った次の瞬間、思い切り振られた剣がクラウスを直撃したりするけど。(一同笑)

クラウス:あ、じゃあ思い切り不意を突かれて吹っ飛ばされます(笑)。で、吹っ飛ばされた先で叫ぶぞ。 旦那テメェ、打ち込んで来いって言ったのはそっちだろ! 何だ今の反撃!!(笑)

GM/ペイトン:「反撃しないとは言ってない!」 と、胸を張りながら。(一同笑)

クラウス:テメェ!?(爆笑) くっそ、思い切り殴りやがってこの馬鹿力が!!(笑)

GM/メルセラ:ともあれクラウスが一撃入れたという結果と、その前後の鋭い攻防に、メルセラとベアトリスは驚いた様子だね。特にペイトンの評判を前から知っていたらしいメルセラは、 「あのソンダートの筆頭騎士に一撃当てた……? クラウス、いつの間にそんなに腕を上げましたの?」

クラウス:まぁ色々とやってる内に自然とってところか。で、どーすんだよ旦那。これで合格か?

GM/ペイトン:「まぁそうだな。あーあー、やっぱお前ウチの騎士団来てくれねーかなー。俺に当てれる程度に腕が立つ上に、何より頭回る奴ってのは替え難いしさー」 と、ぶつくさ言いながらペイトンは剣を仕舞います。 「んじゃ、そのお嬢さん二人のエスコートはお前に任す。あ、お嬢さんたち、あと2,3年したら口説きに行っても良い?」 などと言って、少女二人からブーイング食らってたり。

クラウス:……そこらはもう本人達の間で好きにやってくれ。俺が知るか!(笑)

GM/ペイトン:だね(笑)。じゃあ、ペイトンはクラウスに対する試しも終わったんで帰るけど、その前に一つ忠告を。 「お嬢さんを助けた時に、彼女に絡んでいた連中。少しばかり性質が悪そうだったぜ。注意しな」

クラウス:……全員残念美人コックに粉砕されてた気もするが。(一同笑)

GM/ペイトン:「そっちは知らんが、その前に俺が追い払った時に『兄貴に言い付けてやる』とか最高にカッコ悪い捨て台詞と共に逃げてったのが居てな。多分そっちには何の対処もされていないだろうし」

クラウス:ふむ。ペイトンの旦那のほうに行ってくれれば楽なんだが、メルセラの方に来る危険もあるってわけだな。そいつら以外のゴロツキを全滅させてたミルナは―――

GM:まぁ、そっちは心配しなくて良いよ。

クラウス:うん、まぁ心配するだけ無駄そうな奴だからなぁ、あいつ。(一同笑)

GM/ベアトリス:で、ペイトンはここで帰るけど、彼を見送り終わったところでベアトリスが提案するね。 「あの、クラウスさん。先にも言った通り、今日まで学校が休みなので……私とお姉様は、街を見て回りたい所です。もしよければ街を回る間、護衛としてエスコートしてくれませんか?」 との事。今のペイトンとの切り合いを見て、ベアトリスもクラウスの実力には一定の信頼を置く事にしたいみたいだね。

クラウス:街を見て回る、ねぇ……。

GM:具体的には18:00まで連れ回すか、6箇所以上のパラグラフを巡ってから紫露草女学院がある午後の陽射し通りに連れて行けば、好感度ボーナスがあります。そこまでせずに真っすぐ送って行っても、好感度ボーナスが無いだけでペナルティはないけどね。

クラウス:6箇所って、この西トノール外縁と最後に行く午後の陽射し通りはカウントに入るのか?

GM:あ、どうだろ? ……とりあえず、陽射し通りはカウントしません。西トノール外縁はカウントしても良いとします。

クラウス:了解。……んー……分かった。まぁ、ゴロツキの『兄貴』くらいなら俺でも対処可能だろうし、見て回る間の護衛くらいはやってやるか。

GM:了解。あ、ちなみに特にどこに行くかとかの希望はないそうです。ただ、午後の陽射し通りに入ると最終イベントが起きるから注意してね。

クラウス:あいよー。
 

※NPC好感度変動
 メルセラ・クレサンス:21→22
 ベアトリス・ファレット:4→8
 ペイトン・ソンダート:16→21

◆西トノール中央街区/二日目 07:00〜08:00◆
 
 さて、まずはクラウス達が向かったのは西トノール街区の中央部。
 大劇場や博物館、図書館などがある街区であり、文化のストリートとも呼ばれています。

 

クラウス:―――つまりは観光向きの場所って事だよな。お嬢様達の反応は如何に?

GM:二人とも楽しそうに見回ってるね。ランダムイベントも発生しなかったし、ごく普通に―――(ダイスを振る)……登場NPCがごく普通じゃなかった。一人の穏やかな雰囲気の美女が、メルセラに声をかけて来ます。豪華だけど品が良い服を着た女性で、メルセラが慌てて挨拶を返しているね。凄い緊張してる様子。

クラウス:ん? 誰?

GM/メルセラ:「クラウディア様!? お元気そうでなによりですわ……っと、えぇと、ベアトリス、クラウス。こちら、クラウディア・レアド様。リオス副首相であるケヴィン・レアド様の細君で、アイヤール前皇帝陛下の妹君であらせられる方ですから、失礼の無いように」 と、メルセラがベアトリスとクラウスにその女性を紹介してくれるよ。ベアトリスはそれを聞いて、緊張で噛みながら挨拶してる。メルセラは学友と、街に出ている間の護衛という形でベアトリスとクラウスを紹介します。

クラウス:ケヴィン・レアド……あぁ、以前依頼受けた事あったなそういえば! 一応ケヴィン副首相からの好感度持ってるよ俺、2点だけど。(一同笑)

GM:殆ど知ってるだけに近いね!(笑)

クラウス:まぁ無難に礼儀をもって挨拶をしよう。変な事はしない。……そもそもケヴィン副首相って、シーゲル議員の政敵だしあんまり関わりたくない。(一同笑)
 

 で、会った相手の身分が高かっただけでそれ以外は特に無し。挨拶だけして、クラウス一行はクラウディア女史と別れます。
 で、何事も無くあちこち見て回って観光したクラウス達、次のパラグラフへ移動します。
 
※NPC好感度変動
 クラウディア・レアド:0→1
 
◆中央広場/二日目 08:00〜09:00◆
 
 で、やって来たのはラスベートの中心にある広場。
 ここでもランダムイベントは発生せず、代わりにNPCミッションが発生します。

 

GM/クロンハート:久しぶりに会った商家の番頭、クロンハートがクラウスを発見して声をかけてくるよ。 「両手に花だな冒険者。以前うちの店に来た時に一緒に居たルーンフォークはどうした?」

クラウス:あの時も今も仕事だっつの。久しぶりだな、クロンハートの旦那。元気そうだな。

GM/クロンハート:「ああ。あの時は壁新聞が余計な事まで書いてくれたせいで、結局乗っ取りは失敗に終わったがな」 と、クロンハートは嫌そうに舌打ちするね。 「まぁ言っていても仕方ない。今は別の商家だが、暫くはこのまま番頭業務だ。ただ、前の所に比べると好感触だから、上手くすれば独立も可能かも知れんな」

クラウス:まぁ、あんたを内側に抱えておくと危険だし、そっちの方が商家の為でもあるよね……。(一同笑)

GM/クロンハート:「だろうな。あぁ、そうだ。そちらの二人は見た所、紫露草女学院の生徒のようだが……冒険者、お前今日中に紫露草女学院に行く用事はあるか?」

クラウス:ん? ああ、18:00くらいまでには行く心算。

GM/クロンハート:「そうか、都合が良い。これを先方の事務室に渡しておいてくれ。重要な書類ではない」 と、クロンハートは封筒をクラウスに渡すよ。

クラウス:重要じゃないって言うけど、いいのかそれ商人的に?(笑)

GM:いや、ぶっちゃけNPCミッションで『配達』が発生して、その目的地が都合よく午後の陽射し通りだったからそれに理由付けただけなんだけどね!(笑) まぁそこを突っ込まれたら、クロンハートは軽く肩を竦めて説明するよ。そうだね、今風に言うとダイレクトメールでしかない内容の書類、というか広告であり、外に出たついでに届けて来てくれと言われたらしいんだけど、彼の本来の用事の先と遠いから面倒だったみたい。

クラウス:あー、要は『俺の代わりにダイレクトメールを郵便受けに突っ込んどいて』レベルなわけね。了解、後でやっとくわ。
 
GM/クロンハート:「頼む。仕事中に引きとめて悪かったな」 と、クロンハートは去って行きます。

クラウス:じゃ、お嬢様二人の護衛と観光を続けるかね。……中央広場の見どころってなに?

GM:迷子が出るほど広いタワーブリッジじゃない? メルセラと最初に会った時とか、中で迷子が出ててクラウスとメルセラも探しに入ったっしょ。(一同笑)

クラウス:ああー、あったなそんな事!(笑)

GM/ベアトリス:メルセラもそれを思い出したようで、クラウスとメルセラは思い出話で盛り上がりました。その後ろでベアトリスはパルパルしています。 「パルパルパルパル……」(一同笑)

クラウス:止めろよ怖いよ!?(爆笑)
 

※NPC好感度変動
 クロンハート:10→11
 
◆コラーロサイド街区中央/二日目 09:00〜10:00◆
 
 で、続けてやって来たコラーロサイド街区中央。
 ここではランダムイベントが発生しました。

 

GM/ベアトリス:(ダイスを振る)……お。『大捕り物』のイベントだね。通りのど真ん中で大騒ぎが起こっています。どうやらどういうわけか、魔法生物が大暴れしているようだね。 「な、なんですのこれ!?」 と、荒事慣れしていないベアトリスなどは腰が引けてたり。

クラウス:うぅわ、何の騒ぎだよこれ!

GM:登場した敵とNPCは―――(ダイスを振る)ふむ。では、混乱した状況の中で、多くの兵士らしき姿がゴーレムやガストといった魔法生物と戦っているのが見えます。見たところ、誰か議員などの講演でもあったみたいだね。

クラウス:議員? ……なるほど、そこに大量の魔法生物……テロかこれ!!

GM:そのようだね。一般市民が大勢逃げ惑っていますが、兵士は市民の保護を優先して動いているようなので、市民に被害はないようです。そして敵を引き付けるように乱戦のど真ん中で、装飾されたレイピアを手にして、今まさに襲い掛かって来たストーンサーバントの攻撃を紙一重で避けて、返す刀で斬りつけているのは―――

クラウス:あ、うん。一人しかいねーから良いよ、そんな議員。(一同笑) ……シーゲル議員だな?

GM/シーゲル議員:正解。だけど流石に、レイピアで石に挑むのは無理があったようだね。レイピアが折れて、続くストーンサーバントの攻撃を回避したら、その横をすり抜けてクラウスの方へ来るよ。 「クラウスよ、良い所に居たな。ほう、両手に花とは羨ましい物よ。男児の本懐よな」 と、シーゲル議員は装飾されたレイピアの残骸を投げ捨てて嘯くね。

クラウス:いやいやいや、何を余裕ぶっこいてるんですか!?(笑)

GM/シーゲル:「そうよな。いやはや、私の講演の折を狙ってのテロとは、中々度胸のある事をする者が居るようだ。これが終わったならば、即座に探しだしてその顔を拝まねばなるまいなぁ」 くっく、と笑いながら、シーゲル議員は後ろを指すよ。そっちから、今しがたのストーンサーバントが追って来た所だね。

クラウス:おーい議員! なんかこっち来てるんですが!?(笑)

GM/シーゲル:「部下は皆、市民の避難誘導と被害を防ぐための防戦に出してしまって、私の供をする者が居らんでな。奴ばらの躯は、細剣では如何にも相性が悪い。まぁ素手でもやってやれぬ事はないが、それはどうにも雅に欠けるのでな。どうかな、クラウス。後ろのご婦人たちに良い所を見せる意味でも、そこな石人形をどうにかしてはくれぬか」

クラウス:で、貴方は? まさか本当に『雅に欠ける』理由だけで俺に押し付ける心算では無いでしょう?

GM/シーゲル:「……部下の救援をせねばなるまい」 と、飄々とした様子から真顔になって議員は言うよ。 「民草の避難の為に、盾になるような命を出した。真正面からやり合えば、この程度の敵は私の私兵ならば物の数ではないが……今回は民草を守るために部下に少々無茶をさせたのでな。まさかこんな事件で、貴重な私の手足を失うわけにもいかん。相性の悪い石人形は貴様に任せて、私は事態の収拾に回りたい」

クラウス:……了解。まぁ、今更背を向けて離れる方が、混乱に巻かれてはぐれる危険もありそうですしね。メルセラ、ベアトリス。凄く簡単に説明すると、ここでテロがあってこのゴーレムはその仕業。この人、リオスの議員殿。とりあえず今から背を向けて逃げる方が危険な気がするんで、この場は議員殿に協力する。俺の後ろから離れるなよ!

GM/メルセラ:「……分かりましたわ! クラウス、武運を!」 と、メルセラは巻き込まれない程度に、しかし離れすぎないように距離をとるね。ベアトリスも慌ててメルセラに従います。

クラウス:後でシーゲル議員には、巻き込む事になったあの二人への何らかの補填程度はお願いしても良いかも知れんな。ま、とにかく―――俺の相手はシーゲル議員を追ってこっちに来ようとしているストーンサーバントだな?

GM:だね。SW2.0だと一度乱戦したらその離脱には手間が云々というルール的な矛盾は今回は無視して下さい。シーゲル議員の一連の立ち回りは演出的な物です。実際にレイピア当ててた筈のストーンサーバントもダメージ無い状態で出てくるし。

クラウス:あいよー。それじゃ、始めるか。
 

◇VSストーンサーバント(かけら入り)◇
 
 さて、VSストーンサーバント戦です。しかもかけら入りです。
 刃物がクリティカルしない以上、クラウスにとっても相性の良い相手ではないストーンサーバント。
 攻撃能力が高いわけでもないので無駄に長期戦になるという、GMとしても勘弁してほしい相手です。

 

クラウス:(ダイスを振る)出目10。本来ならクリティカルなんだけどなぁ。あ、そっちの反撃は2発とも避けた。

GM:なにこのじわじわと嬲り殺しにされてる感。

クラウス:それ以外に手が無ぇんだよ、こいつクリティカルしないし。
 

 じわじわじわじわと削るしかないクラウス。
 攻撃があんまり当たらない上に、攻撃が当たっても攻撃力2D6+6に対してクラウスの装甲は(プロテ・バークメイル込み)12点という戦いです。
 
 結局、無駄に長引くだけ長引いた戦いは、6ラウンド目でようやく終わったのでした―――。

 

クラウス:まぁ、《マルチアクション》のおかげで多少はマシになったが、火力不足は未だに深刻だなぁ。あ、周囲の状況は?

GM/メルセラ:「……あの方、レアン・シーゲル議員殿ですか。彼が指揮を執り始めてから、瞬く間に立て直した兵士たちがゴーレムを駆逐し終わった所ですわ」 と、メルセラが報告してくれるよ。実際、ストーンサーバントが1体混ざってた以外はロームパペットやオークといった下位種だけだったみたいだね。もうここ以外の戦闘はほぼ終息しています。

クラウス:流石にあの議員が自由に動けるようになったならば、さもありなんって所だな。実際放っておいても、この戦力であの議員殿の首を取ることなんざ不可能だろうに。

GM/シーゲル議員:「いやいや、そうは言うがな。私は感謝しておるぞクラウス。私はともかく、私の兵には被害が出ていた可能性もあったでな。―――さて、手伝って貰っておいてすまんが、私はこれから少しばかり忙しくなりそうだ。そちらの女子達も、しょうのない事に巻き込んでしまった事は謝ろう」 と、事態の収拾を終えたシーゲル議員に頭を下げられて、メルセラとベアトリスは慌てた様子で首を振っていますね。

クラウス:俺は良いから、こいつらに何か埋め合わせできませんかね? 巻き込んでしまった負い目があるなら。

GM/シーゲル議員:「ふむ、そうよな。……居合わせたそなた達が事態の収拾に手を貸してくれたと言う事で、感謝状でも紫露草に送ろうか。学業の成績面で、多少のプラスにはなるだろうよ」

クラウス:ほほう。メルセラ、それってどうなるんだ? お前ら的にプラス?

GM/メルセラ:「在学中に社会貢献をした者に対して、うちの学院では成績に一定のプラスを認める事がありますわ。そこまで認められずとも、決してマイナスにはなりませんわね。……何もしていないのにそう扱われるのはどうか、とは思いますが」 と、メルセラは少し難色を示すけど、

GM/シーゲル議員:「いやいや、そなたらが居合わせてくれたおかげで、クラウスと言う便利な駒を投入できたのだ。収拾に一役買ってくれたのは事実ぞ。遠慮をするな、その辺りは多少柔軟にやっておくのが良かろうよ」 などとシーゲル議員に諭されて、メルセラも『まぁそれなら』と納得するね。ベアトリスは最初から『楽して成績ヒャッハー』と踊っていたので除外。(一同笑)

クラウス:ならよし(笑)。それじゃ、俺らもう行くから、頑張れよ議員殿。

GM/シーゲル:「うむ。舐めた真似をしてくれた相手には、相応の返礼をせねばならんからな」 で、シーゲル議員は立ち去るよ。

クラウス:よっしゃ、それじゃ次に行こうか。
 

※NPC好感度変動
 レアン・シーゲル:19→22
 メルセラ・クレサンス:23→25
 ベアトリス・ファレット:8→10
 
◆コラーロサイド街区外縁/二日目 10:00〜11:00◆
 
 コラーロサイド街区外縁部に移動したクラウス一行、特にランダムイベントはありません。
 ここは聖銅天子学院がある場所なので、ビルジニーが出たら面白かったのかもしれないですが、そう言う事も無く。出て来たのは国軍の新米兵士、ローベンでした。
 
 彼と挨拶をして別れ、周辺の街をメルセラ、ベアトリスと散策していた所で―――

 

GM/メルセラ:何やら興味を引く物でもあったのか、ベアトリスは小走りで先に行ってしまいました。で、ベアトリスが離れたところで、メルセラは不意に、クラウスに声をかけるよ。 「借り、そろそろ何個目でしたかしら。さっきの議員殿の件、結局働いたのは貴方だけなのに、わたくし達だけが得をした感じになりましたわね」

クラウス:だから気にするなつっとろーに。

GM/メルセラ:「そうもいきませんわ。“完璧なる乙女”たるもの、そのような事では礼を欠くという物です。―――ですが」 と、ビシッと指を突き付けて言っていたメルセラは、途中で失速します。 「……借りが詰み上がり過ぎましたわね。ベアトリスに頼まれて迎えに来てくれた事もそう、さっきの事もそう。……最初に会った時はいかにも駆け出し冒険者と言う風情だったのに、随分と強くなっておりましたし」

クラウス:色々あってな。……あれから、色々本当にあった。

GM/メルセラ:「わたくしは多分あの時からずっと、貴方にとっては妹か何かのような感覚なのでしょうね」

クラウス:……ああ、それが一番しっくりくる。お前、危なっかしかったからよ、最初っから。

GM/メルセラ:「多分それは、もう変えられないのでしょうね」

クラウス:……そーだな。多分そうだ。

GM/メルセラ:「……そう。そう、ですね。うん」 と、メルセラは頷き、何かを振り切るように首を振るよ。 「まぁ、傷口が深くなる前に諦められたと言う事で良しとしましょう」

クラウス:……あー、えと。

GM/メルセラ:「何も言わない事。乙女心が分かっておりませんわね、クラウス」 と言って、メルセラは小走りで先に走って行くよ。 「話しこんでいた間に、ベアトリスが先に行ってしまってますわ。追い付かないと、きっと拗ねます」

クラウス:……ああ。

GM:……まぁ、このシーンで言うべきはこんな感じかな。メルセラルートの道は潰えました。

クラウス:……ん、了解。今のって婉曲な表現使ってたけど、恋話の類だよなぁ。

GM:私としてはそのつもり。いやぁ、モテる男はつらいねぇ。

クラウス:いや、多分これで良かったんだと思う。この段階でこういう話が出来たのは、きっと僥倖だ。
 

※NPC好感度変動
 ローベン・ペルト:4→5

◆ライトニング通り/二日目 11:00〜12:00◆
 
 特にイベントは無し。
 クラウスとメルセラの間の少しだけ微妙な空気と、やや空元気じみたメルセラの様子をベアトリスが少し不審がったりしつつ、遭遇したコルニカと会話を交わしたのみです。
 
※NPC好感度変動
 コルニカ・サンガイル:5→6
 
◆午後の陽射し通り/二日目 12:00〜13:00◆
 
 ―――さて、当初の予定通り、合計6区画を見て回ってからメルセラ達を午後の陽射し通りに連れて来たクラウス。
 ここで、最終イベントが発生します。

 

GM/チンピラ:午後の陽射し通りに移動した直後に、いかにも堅気では無い姿の男達が絡んで来るね。一人が『あ、兄貴! あの金髪の女です!』とか叫んだりして。

クラウス:……あー。

GM/チンピラ:「へへへっ、あの強そうな騎士は居ないし、マブい姉ちゃんが一人増えてるじゃねーか!」 などといかにも小物じみたチンピラが言って、『兄貴』と呼ばれた奴がクラウスの前に出てくるよ。

GM/兄貴:「おい、兄ちゃん。俺らはそこのネエちゃん達に用があるんだよ。どいてくれねぇかなぁ」

クラウス:……あーあー、人がちょっと人間関係ややこしい時にこういうゴロツキは……(笑)。

GM/メルセラ:で、メルセラはそんなゴロツキ達を見て、呆れたように小さく笑います。 「全く、感傷に浸る間もくれないなんて、無粋ですこと」 で、それから彼女のいつもの気の強い笑みを浮かべて、ビシリとゴロツキ達を指差します。 「紫露草女学院が誇る、この“完璧なる乙女”メルセラ・クレサンスに声をかけようなど、一億年早いですわ! クラウス、やっておしまいなさい!!」

クラウス:……ははっ。 そのいつもの調子に戻ったメルセラの態度に、堪え切れないように笑いを浮かべるぞ。 御意に、お嬢様。お任せあれ!

GM:まぁ、メルセラについてはこんな感じで。彼女は失恋未満とでも言うような経験を経て、まぁそれでも彼女らしくある事を選択しました。ベアトリスはさっきまで空元気だったように見えたメルセラが、急にいつものペースを取り戻したのを見て目を白黒させてるね。

クラウス:よっしゃ、それじゃあお嬢様の御下命だ。さっさと道開けろ、ゴロツキどもォ!!

GM/兄貴:「あぁ!? やるってのかよ、優男が!」 と、そう言われたらこっちもそう叫んで、襲い掛かってくるね。それじゃ、戦闘と行こうか!
 

◇VSゴロツキ◇
 
 敵は剣のかけらで強化された『兄貴』含め、『腕利きの傭兵』相当の敵が2体です。
 先手を取ったクラウス、速攻で自己防御を強化しつつ、《マルチアクション》から殴ります。

 

クラウス:虎の子のSランク切って、これで俺は物理ならば14点止めるようになった。

GM:何この壁こわい。
  

 『腕利きの傭兵』データの敵は、全力攻撃ならば2D6+14点のダメージを与える事が出来ます。
 しかしそれでも、この装甲のクラウス相手には振ったダイス目と同じだけしかダメージが入りません。
 
 更には全力攻撃で回避が下がった所に、的確に攻撃を当てて来るクラウス。
 3ラウンド目で1人目(かけらの入っていない方)がやられ……。

 

GM:(ダイスを振る)じゃあ、『兄貴』は《運命変転》。ダメージ24点ね。

クラウス:10点抜けて、渦巻き鉱のお守り効果でそっちにリバウンド1点な。《マルチアクション》からの『アースヒール』で11点回復しつつ、反撃は当たって、補助効果合わせて25点だ。

GM:全然勝てる気がしねー!!
 

 ―――1対1になった時点で、完全に詰み。
 じわじわと毎ラウンド確実に削られ続けたボスは、結局8ラウンド目に倒れ伏したのでした……。
 

◆エピローグ◆
 

クラウス:……とりあえずこいつらに関しては、悪質なナンパって事で然るべき所に突き出すか。

GM:いや、その騒ぎは割と近くにあった紫露草女学院からも見えていたらしく、教師や警備員が慌てて駆けて来るのが見えるね。そっちに預ければ、事後処理は全部任せてよさそうだよ。

クラウス:マジで。預ける預ける。

GM:で、クラウスに対しては自分の所の生徒を守ってくれたと言う事で、教師から御礼を言われます。あ、NPC番号持ちのフィリシア・プローグ教師じゃなくて一般教師だけどね。御礼として―――(ダイスを振る)毒消しの薬である、アンチドーテポーションなんぞをくれたぐらいにして。

クラウス:マジでか。これは助かる、欲しかったんだ。

GM/メルセラ:で、メルセラはお縄についたゴロツキを見て、 「狼藉者が分際を弁えないからこうなるのですわ」 ふんと鼻を鳴らして、クラウスに向き直るね。 「御礼、しないといけませんわね」

クラウス:あー……別に良いよ。さっきの件もあるし。

GM/メルセラ:「だからこそ、ですわ。―――冒険者ですもの、これとか使えそうですわよね」 と、メルセラは……(ダイスを振る)サーマルマントなんぞをクラウスに押し付けるよ。

クラウス:これは……うん、確かに使う。丁度欲しかった所の装備だ。

GM/メルセラ:「ならば良し。妹分からのプレゼントと思い、大事になさってくださいな。それじゃ、クラウス。今日はお世話になりましたわね」 と、メルセラは最後に笑顔を見せて、クラウスに小さく手を振ってから女学院の方へ戻って行くね。

GM/ベアトリス:で、歩きだしたメルセラ。その後ろを慌てて追いながら、ベアトリスはクラウスに一度振り向いて頭を下げるね。 「昨日今日とお世話になりました。依頼料は後日届けます」

クラウス:おう、お前さんも元気でな、ベアトリス。

GM/ベアトリス:「私はいつでも元気ですわ。お姉様の匂いさえ嗅げればいつでもどこでも―――」(一同笑)

クラウス:ちょっと自重しろ百合娘!(笑)
 
GM:―――と、いうわけで。今回のシナリオは以上で終わりです。第一話で知り合った、ヒロイン候補陣の中で最も付き合いの長かったメルセラとの関係に、一区切りがついた形かな。

クラウス:実際、メルセラ側としてはどんな感じだったんだろうな。

GM:私はコイゴコロ未満の憧れだったと思ってる。だから、それが明確な恋心に変わる前に区切りを付けられて、メルセラとしても少しだけほろ苦いけど傷は小さい形だったんじゃない? 今後もメルセラは登場するけど、好感度が上がっても今後は彼女からの『異性/秘匿』属性の報酬は発生しないとします。

クラウス:りょーかい。

GM:ま、ギャルゲ風に言えばフラグが折れて、そっちルートへの道が閉ざされたって事ね。(一同笑)

クラウス:……そう言われると色々台無しだな(笑)。
 

※NPC好感度変動まとめ
 メルセラ・クレサンス:25→28
 ベアトリス・ファレット:10→13
 クロンハート:11→17(NPCミッション分)
  
 獲得経験点:1200点
 獲得名誉点:37点(かけら10つ)

NPCミッション報酬:光のアミュレット

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