◆開始前に◆
 

GM:じゃ、前回から結構間が空いたけど……次は街シナリオでまだやってない奴で、尚且つ前回の冒険で縁が出来た相手からの依頼にしようか。

クラウス:そんなのがあるのか? まぁ、あるならそれで。

GM:うん。それで成長は?

クラウス:おっと。えーと、クラウス・ビーダーシュタット、筋力が1上がりました。スカウトが3から4に成長して、これでレベル4技能が3つとレベル3技能が1つという驚きの平たさに。(一同笑)

GM:あー、まぁ、ソロだから仕方ないね(笑)。名誉点ばかりが高くなって行くという……。

クラウス:あんまり高くなるようなら、剣の欠片を名誉点に変えずに換金するのも視野に入れるかな。実力以上に評価されてる状況ってのは好ましくないし。

GM:そこは好きにしてくれて良いよ。それで買い物とかは?

クラウス:あいよ。マジックコスメとスティールブレイドを売り払って、専用化した発動体のフランベルジュ+1を購入した。それと筋力増強の腕輪だな

GM:なるほど。攻撃力を上げて来たね。……成長はこれで以上かな?

クラウス:だな。他に買い物があったわけでもないし。―――それじゃ、始めるとするか。

GM:はーい。今回は街シナリオ7番、題して『はじめてのおつかい』だね!

クラウス:……は?(笑)
 

名前:クラウス・ビーダーシュタット
種族:人間 性別:男 年齢:23 生まれ:冒険者
身長:185cm 体重:66kg 髪の色:銀
経歴:家族に冒険者がいる 有名人の友人がいる 育ての親に拾われた
能力値ダイス:技8 体9 心10 A8 B7 C9 D8 E6 F8
最終能力値:器用度16+2 敏捷度16+2 筋力22+2 生命力18 知力17+1 精神力20
保有経験点:240
合計名誉点:146
保有名誉点:46
HP:30+2 MP:32
冒険者技能:ファイター4 コンジャラー4 スカウト4 セージ3
一般技能:マーチャント5 ハンター5
戦闘特技:防具習熟/非金属鎧 武器習熟/ソード
武器:専用発動体フランベルジュ+1
防具:ボーンベスト カイトシールド
アクセサリ:筋力増強の腕輪 知力増強の指輪 敏捷度増強の腕輪 渦巻き鉱のお守り 専用ブラックベルト 赤の眼鏡
所持品:冒険者セット スカウト用ツール 付けヒゲ 水袋×2 保存食5日分 マジックコスメ メイド服×2
所持金:192
 

◆はじめてのおつかい◆
 

GM:さて、それでは今回はゲームスタート前に冒険者の店に依頼人が来る事になるね。クラウスが店で昼飯を食べていると、見知った顔がやって来るよ。彼女はクラウスを見て驚いたような声を上げる。

クラウス:誰だ?

GM/フィオナ:おっと失礼。前回知り合ったフィオナです。 「ヨークさんから信頼出来る冒険者を紹介されて来たんだけど……貴方だったんだ?」

クラウス:はい? ……どういう事だ?

GM/フィオナ:「ちょっと待って。今、店を通した依頼にするから。形式上その辺はしっかりしないと不味いでしょ」 と、フィオナは店の主人の所へ行って話を通します。紹介状みたいなのを渡して、やはりその紹介状の中にクラウスの名前が書かれていたらしく、フィオナはクラウスのテーブルにやって来るね。 「やっぱり。……えーと、貴方を名指しで依頼があるんだけど良いかな?」

クラウス:俺、メシ食ってる最中なんだが…(笑)。

GM/フィオナ:「失礼、そうだね。待とうかい? それとも私も食事をしながら話をしても良いかな?」

クラウス:そっちが気にしないなら食べながらで良いさ。カジノの支配人って事は忙しそうな身だしな。……あぁ、でもあんたと食事したらヨークの旦那が怒る気もするが。

GM/フィオナ:「そんな度量の狭い人じゃないから平気だよ。……まぁ、色恋沙汰が押しの一手なのはどうかと思うけどね。なんていうか、こう、分かってないんだよなぁあの人」 と言いながらもフィオナは席に座って、適当に注文をするね。

クラウス:なんだ、意外と脈ありか? ヨークの旦那の様子を見るに、すげなくあしらわれてるもんかと思ってたんだが。

GM/フィオナ:「あー……押しが強すぎて思わず引いちゃうんだよね。嫌ってわけでもないんだけど、こう……ガッつき過ぎって言うの?」 と、フィオナは苦笑するも、すぐに首を振って話を切りかえるよ。 「って、違う違う。私のそういう事情はどうでも良いの。今のはオフレコでね」

クラウス:了解。……しかしどんな仕事か知らんが、何で俺なんだ。いや、謙遜でも韜晦でもなんでもなく、信頼出来る手駒が欲しいならぶっちゃけヨークの旦那の護衛とかで充分だろ。アレ普通に俺より腕利きが揃ってたぞ。

GM/フィオナ:「まぁね。流石に《夜を統べる者たち》には戦力的には貴方を上回る人材もかなり居るし、ヨークさんに頼めば動かせる……ううん、私の権限でも一人や二人ならイケるかな? でも今回のはそういう話じゃないんだ。あくまで私個人の事情の話であって、そこで《夜を統べる者たち》は動かせない。下手に動かすと……まぁ、大火事になる心配があるんでね。ヨークさんに頼んで、信頼出来る冒険者を教えて貰ったのさ」

クラウス:……内容次第だ。随分キナ臭いからな。詳しく聞かせて貰うのが先決だ。

GM/フィオナ:「だろうね。……内容はとある子供がお使いに行くのを気付かれないように護衛して欲しい」

クラウス:あぁ、なるほど。だからシナリオの題名が『はじめてのおつかい』と……(笑)。って、何でそれでわざわざ冒険者に依頼するんだよ?

GM/フィオナ:「……まぁ、仕方ないか。ヨークさんが信頼出来ると言った貴方を信じよう。ただしこれはオフレコだよ」 と、少し悩んでからフィオナは切り出すよ。 「私は元孤児だ。『ひまわり園』という所の出身で、私は今でもあそこを故郷だと思っているし、仕送りなども多くさせて貰ってる」

クラウス:……なるほどな。そこがあんたのアキレス腱である事を、多くの人に知られたくはないと……だが理由としてはそれだけじゃ弱いな。それだけなら、それこそ《夜を統べる者たち》の信頼出来る相手に頼めば良い。それをしない他の理由は何だ?

GM/フィオナ:「そのお使いの内容が少々ね。要は分不相応な大金の運搬役になるわけなんだけど……」 ……んー、本来ならシナリオではこの段階ではそこまで明かさないって書いてるんだけど、クラウス的確にこちらの情報の穴を突いて来てるしなぁ。フィオナは先程より長く悩んでから、 「……貴方はヨークさんの紹介だ。信用させて貰うよ」 と前置きをして話を続けます。

クラウス:……ヨークの旦那、あんたの努力は実は結構実ってるんじゃね? この子、あんたの事を完全に信頼してるぞ。(一同笑)

GM/フィオナ:かもね(笑)。さて、話を続けるよ。 「『ひまわり園』の経営は少し前まで大分危なかった。今は私が稼ぎ頭として、カジノの支配人として働いた報酬の殆どを送ってるから少しはマシになってるけどね」

クラウス:じゃあ膝太郎が毎度毎度膝を押して金策してるのは何なんだ。(一同笑)

GM/フィオナ:「膝太郎? ……ああ、ジャンさんか。彼は可能な限り私の送った金に手を付けないようにしているようなんだ。まぁ、匿名で送ってるせいなのもあるだろうけどね。それでも本当に頼らざるを得ないときは使ってくれてるみたいだけど……」

クラウス:……ああ、膝太郎の本名そんなんだったっけ……。(一同笑) んじゃ、あんたのこの依頼は膝太郎には話は通ってないのか?

GM/フィオナ:「通してない」 と、フィオナは頷きます。 「理由はあるから聞いて欲しい。経営が危なかった時期に、ひまわり園はとある高利貸しに金を借りてしまったんだ。だけどそこは少々危ない所と繋がりがあるのが分かってね。……テメリオか《街道の赤い焔》か、はたまた両方か……」

クラウス:……なるほど。そこの借金だけでも返させておきたい、というわけか。

GM/フィオナ:「そうなるね。ただし、私や《夜を統べる者たち》の者が出るわけにはいかない。テメリオも《街道の赤い焔》も私達の敵対組織だ。下手を打てばそれこそ、火傷じゃ済まない大火事になる可能性もある」

クラウス:あんたに取っても孤児院にとっても……か。成程な、事情は分かった。つーかそれ、子供に運ばせるんじゃなくて俺辺りが代わりに金を持ってくんじゃ駄目なのか?

GM/フィオナ:そこはこのシナリオの不自然な部分かもねぇ。まぁ適当に理由を付けよう。 「契約条項に『借りた孤児院の者が返済に行く』というのが含まれていたみたいでね。故に、君が行くというのもNGだ」

クラウス:……了解した。つまり俺はその子供に同行して、借金の返済が済むまで付き合えばいいのか?

GM/フィオナ:「いや……護衛が付いているのを悟られない方が良い。もし向こうが強硬手段に訴えようとした場合、護衛があるのが知られていた場合は護衛では対処しきれない戦力を持ってこられる危険がある」

クラウス:護衛が無いと思われた場合、何かが起こる可能性は上がるが、対処可能な戦力で来る可能性が高いってワケか。まぁ子供一人だしな。

GM/フィオナ:「どちらも危険だけど、こちらの方が最終的には危険は少ないだろうと判断した。向こうが何かしらの強行手段に出たなら、それを切っ掛けに適切な方面に働きかける事もできるようになるしね。……ビル―――その子供には危険な役目をさせる事になって、本当に済まないと思ってる」 と、フィオナは沈痛な表情を浮かべるよ。

クラウス:……この依頼も色々と自分の立場とか孤児院の現状とかを考えた上で、ギリギリのバランスを取っての苦肉の策、か。分かった、そう言う事情なら請けよう。

GM/フィオナ:「良かった、助かるよ」 請けるという言葉にフィオナは胸を撫で下ろすね。それじゃ、今回のシナリオのレギュレーションの話をしようか。
 

 シナリオ『初めてのお使い』では、幾つかの特殊レギュレーションが発生します。
 詳細に関しては「ワールドツアー買え!」ですが、簡単に言ってしまうと―――

1.少年ビルの移動はランダム。一応半々より良い確率で適切な方向へ向かう。
2.ある程度距離を取って尾行するので、ランダムイベントが発生してもそれがビルに影響する事は無い。
3.ビルを見失ったら(ビルとは別の区画に行ってしまったら)ミッション失敗。
4.NPCミッションの達成がほぼ不可能なレギュレーションなので、NPCミッションは条件が多少緩和される。
 
 と、言った所です。
 スタートは翌日の昼12:00。
 場所はひまわり園のある東トノール外縁部がスタート地点となります。
 
 そして翌日―――
 
◆東トノール外縁/初日◆

 

クラウス:さて、当日になったら東トノール外縁でスカウト技能を使って隠密行動をしているぞ。あ、ジニーから以前貰った付けヒゲを装備しておこう。(一同笑)

GM:うん、ではこそこそしながらひまわり園の様子を伺う怪しいクラウスの目線の先で、大きな背負い袋を背負った10歳ほどの少年がひまわり園から出て来ます。ジャンに話を通していないから、見送りとかはないのかな。彼が勝手にひまわり園の為にやってるって感じで。

クラウス:この状況を創る為にフィオナも色々根回ししたんだろうなぁ。まぁヨークの旦那との事は応援したい気分だし、この件に関しても全力を尽くそう。それじゃ追跡を開始するぜー。

GM:はいはい。ひまわり園を抜け出したビルはランダムで移動を開始するね。ちなみに最初の目的地は北アルトゥールにある《夢の天球》です。そこでフィオナがお金をビルに渡す事になってるね。

クラウス:って事はまだあの背負い袋カラか。

GM:だね。で、少年ビルは―――(ダイスを振る)……えー、道をいきなり間違えて、事もあろうにリオスで最も治安の悪いゴールドコースト外縁部に踏み込んで行きます。(一同爆笑)

クラウス:アホガキィィィィィ!!?(爆笑) ええい、いきなりなんつー方向に! と、とりあえず追うぞ。最悪の場合リスク覚悟でビルの前に姿を現す覚悟が要るか……。

GM:いや、私もびっくりだわこれ。まぁそれじゃ、ゴールドコースト外縁部に移動、っと。
 

◆ゴールドコースト外縁/初日 12:00〜13:00◆
 
 いきなりボンクラぶりを見せてくれた少年ビルの初めてのお使い。
 まさかのゴールドコースト外縁部直行に、いきなりGM・PL共に嫌な予感がぬぐえません。
 そしてゴールドコースト外縁部にてランダムイベント勃発。

 

GM:野菜の入った荷車を引いているリルドラケンが居て、彼を狙おうとしている強盗を発見してしまいます。

クラウス:誰だ!?(笑)

GM:野菜の叩き売り商人、リルドラケンのグラッツェ(NPC番号:65)だね。傷物の野菜や果実を安く仕入れて、それを叩き売りする豪快な商人です。まぁ冒険者技能とかは書いてないんで、豪快言うても戦闘に期待されても困るけど。

クラウス:見知らぬ顔か……しかし放置も出来んな。さっきのレギュレーションからすると、ここで戦ったりしてもビルに気付かれる心配も無いし、見失う事も無いんだよな?

GM:そうだね。時間が過度に経過しない限りは大丈夫。

クラウス:なら問題無し。強盗は?

GM/強盗:(ダイスを振る)魔道に魅入られた魔法使い、か。ソーサラーで良いかな。そいつが物陰から飛び出して、グラッツェに向けて杖を突き付けた所です。 「止まりな。命が惜しければ有り金を置いて―――」

クラウス:あ、そこでこっちも飛び出す。 ヒャッハァ! 強盗狩りだァァァァァ!!(一同爆笑)

GM:うわ、モヒカンみたいな叫び上げながら来た!!(爆笑)
 

◇VS強盗◇
 
 さて、強盗は4Lv魔法系人族である『魔道に魅入られた魔法使い』です。
 ……魔法系ですね。ええ、前衛が居ませんとも。
 ちなみにこの時、何故か私もクラウスPLも先制判定を忘れておりました。お詫び申し上げます。

 

クラウス:物理攻撃は取るに足らん相手だし、盾要らんな。両手で+1フランベルジュを構えて突撃する。ヒャッハー試し切りだー!!(爆笑)

GM/グラッツェ:「ひ、ひぃ!? 更になんか来た!?」(爆笑)

クラウス:(ダイスを振る)えーと、当たってダメージクリティカルで29点。あらやだ両手持ちフランベルジュって素敵。

GM:え、それ一撃で落ちたんですけど。

クラウス:柔らかいな。流石に魔法系。

GM:いやまぁそれでも前回のアードラーよりは硬いんだけどね。(一同笑)

クラウス:どんだけ柔らかかったんだよアードラー……(笑)。あー、まぁ良いや。んじゃ、ヒャッハーと叫びながら盾を回収して走り去ろう。今はあまり時間をかけていられん。

GM:え、これ、グラッツェはどうすればいいの?(一同笑)

クラウス:……困惑すれば良いんじゃないかな。(一同笑) それで、ビルは次はどこに向かうんだ?

GM:(ダイスを振る)…あ、今回はちゃんと最短ルート選んでる。ゴールドコースト中央だね。

クラウス:OK、俺も追おう。
 

※NPC好感度変動まとめ
 グラッツェ:0→1(何だか良く分からないけど助けられたのは理解したので一応上昇。ただし通常の1D6上昇じゃなく1固定)
 
◆ゴールドコースト中央/初日 13:00〜14:00◆
 
 遭遇NPCは代筆屋の未亡人、アルミ・チャントハムさん。
 しかしイベントもNPCミッションも何も無く、軽く会話した程度で終わります。
 全くの余談ですが、フィオナが脈ありのヨークと違い、アルミに想いを寄せているトンミの方は現状あまり脈は無い模様でした。
 
※NPC好感度変動まとめ
 アルミ・チャントハム:1→2
 
◆アルトゥール島南部/初日 14:00〜15:00◆
 
 そして悠々と道を間違えるビル少年。目的地のある北部アルトゥールではなく、南部に来てしまいます。

 

クラウス:こいつに仕事任せたアホは誰だ……あぁ、フィオナか。(一同笑)

GM:あ、ちなみにランダムイベントが発生するよ。ここら港湾になってるんだけど、港湾作業員同士のいざこざが発生している模様だね。登場NPCは―――(ダイスを振る)おや。

クラウス:おや?

GM/ジョーイ:いや、おめでとうクラウス。国軍軍人ジョーイ・リックベイン……つまりはクラウスのお父さんの旧友が登場です。最初からあった設定なのに、これまで全然出て来てなかったからなぁ。ともあれクラウスがその騒ぎの近くを通りかかると、海軍のコートを纏った初老の男性が声をかけて来る。 「クラウス! おい、聞こえているかクラウス・ビーダーシュタット!!」

クラウス:お? ジョーイのおやっさんじゃねーっすか。

GM/ジョーイ:「久しぶりだな、最近街の内外で冒険者として働き始めたそうじゃないか。大いに結構。お前ならば狩人としても暮らしていけるだろうが、お前は奴の養子だ。このくらいで丁度良いだろう」

クラウス:まだまだ未熟ですけどね。剣士としても魔法使いとしても賢者としても斥候としても半端って感じで。……んでアレ、何の騒ぎっすか?

GM/ジョーイ:「あぁ、ラズベートの港湾は一つの港湾会社に一本化されている。これは歴史的背景が色々あったのだが、まぁ元々仲が悪かったものを無理矢理一本化させた物であり、作業の効率は上がったが内部の空気はお世辞にも良い物とは言えない。その為、度々こうして作業員同士の諍いが起きるのだよ。港に船を止めている海軍軍人としては看過し難い事にな」

クラウス:へー……じゃあアレ止めるんすか?

GM/ジョーイ:「本来であれば看過し難いとはいえど、嘴を挟みはせん。事あるごとに口出しをするようになっては、我らにとっても港湾会社にとっても良い関係とは言えんだろうからな。だが今回は話が別だ」 と、ジョーイが見やる先では作業員同士が魔動機械を持ち出して睨み合っているね。

クラウス:(ダイスを振る)……魔物知識判定は成功。ありゃ双方共にレンザバン(4Lv魔動機械)か……。何やってんすか、あの馬鹿ども。

GM/ジョーイ:「エスカレートし過ぎたようでな。馬鹿と、そして馬鹿が魔動機械などまで持ち出したようだ。下手をすれば死人が出る。国軍軍人として、それこそ看過できん。仲裁に行く」 と言って、ジョーイは腰の軍用サーベルを抜いた―――ところでクラウスに向き直ります。 「いや、待てよ? そうだ、クラウス。多少は腕を上げたのだろう。あれを仲裁してみんか? ん?」

クラウス:いやいやいや、セメント過ぎるだろジョーイのおやっさん!? なんで『仲裁』と言いながらサーベル抜いてるの、ねぇ!?(一同笑)

GM:この人、ガチガチの軍人だしねー。交渉は苦手で殴り合うのが本業の人だし。

クラウス:交渉の努力はしようぜ……。ええい、仕方ない。このままジョーイのおやっさんに任せるのも色々な意味で大惨事になりそうだし……。でもこれ、仲裁の余地あるの?(笑)

GM:無いね。そう言うイベントじゃないし。仲裁に入ろうとした瞬間、両方から魔動機械けしかけられます。(一同笑)

クラウス:ええい、ジョーイのおやっさんと言いこいつらと言い、何で南アルトゥールの住人はこんなセメントなんだよ!!?(爆笑)
 

◇VSレンザバン×2◇
 
 さて、そんなわけで巻き込まれて戦闘突入したクラウス。
 しかしこのイベントで出る魔動機械は作業員達が持ち出してきた品で、完品ではありません。
 具体的にはどこかしらに問題のある不良品で、有り体に言えば弱体化しています。1/6で完品で出て来るんですけどね。
 
 ともあれ今回の弱体化は、レンザバンAはHPが半分。Bは命中が-2されているという物です。
 そしてレンザバンは魔動機械。電気が弱点で、クラウスは弱点を抜いており、尚且つ彼はコンジャラー。
 結果何が起こるかと言うと―――

 

クラウス:開幕スパーク。レンザバンAとBに弱点込み12点ダメージ。

GM:ぎゃああぁぁぁぁ!? レンザバンAが一発で死んだ!

クラウス:よっしゃ、作戦通り。あとはピンゾロ以外で避けられる攻撃をしてくるBだけだな。ゆるりと潰そう。
 

 レンザバンはレンガードと同様、複数集まって合体する事でレベルに見合わない戦闘力を発揮するタイプのモンスターです。
 砲身に虫の足が付いたような形をしており、連結する事で高威力高命中の高圧水流を発射するのですが……。
 それを魔物知識判定で知っているクラウス、開幕速攻で一体を落とします。
 すると残ったレンザバンは1体。しかも命中に-2の補正が入った為、クラウス側がピンゾロを出さない限り攻撃を当てられないレンザバンです。
 
 結果、レンザバンBは2ラウンド目にあっさり斬り潰されたのでした。
 南無……。

 

クラウス:っしゃぁオラァァァァァ!!(一同笑)

GM:おぉ、吼えた(笑)。では港湾作業員は、魔動機械がやられたら迅速に散っていくね。

クラウス:あっ、くそ! 待てお前ら!!(笑)

GM/ジョーイ:「放っておけ。流石に魔動機械を持ち出す事こそレアだが、港湾作業員同士の諍い自体は珍しくもない。現場でどうこう言うより、私が上の方に抗議文を出した方が効果があるだろう。流石に魔動機械は見過ごせないからな」 言いながらもジョーイは満足そうだね。 「しかし少し見ぬ間に成長したものだな、クラウス。いずれ国軍に入るつもりならば歓迎しようぞ」

クラウス:今の所そういうのはちょっと……。っと、すいません。仕事中なんでこれにて。

GM/ジョーイ:「む? なんだ、そうだったのか。呼び止めてすまなかったな」 (ダイスを振る)―――あ、ビル少年は今度こそアルトゥール北へ向かうみたいだね。

クラウス:OK、ではおやっさんに軽く手を振ってから、ビルを追うぜー。
 

※NPC好感度変動まとめ
 ジョーイ・リックベイン:10→15
 
◆アルトゥール島北部/初日 15:00〜16:00◆
 
 アルトゥール北部は最初のチェックポイントです。
 ここに到着したビルはカジノ『夢の天球』に赴き、フィオナからお金を受け取るわけですね。

 

GM:ちなみにここ、会員制で出入りがかなり厳しい筈なんだけど、ビルは少し待たされた後で普通に入って行きます。

クラウス:悪目立ちしねぇだろうな……俺以外に誰か、今のビルに注意を払ってる奴は居るか? 或いはカジノから出て来た後、それを追うような影は。

GM:現状は居ないね。……ただ、ビルが出て来た後すぐにカジノから出て来た男が、ビルの後をつけ始めるけど。

クラウス:……へぇ? んじゃ、そいつの後を尾行していくか。

GM:まだ手は出さないんだねぇ。

クラウス:相手がビルに手を出そうとする動きを見せたら即座に行くがな。……状況が読み切れないうちに手を出したくはない。
 

 ちなみにクラウスは相手の素性が分からないを考えて手出しを躊躇していましたが、これは殴って良い相手でした。カジノで大負けした客が、ビルが大金を手にしているのに気付いて襲って金を奪おうとしているのです。
 本来であればPCは襲撃寸前に気付く相手ですが、相手はカジノから尾行してくるであろう事、クラウスがカジノからの尾行をピンポイントで警戒していた事もあり、先に気付いてOKとしています。
 程無くして人通りの少ない通りに差し掛かったところで男が武器を懐から出してビルの方へ行こうとしたので―――

 

クラウス:こっちが尾行してる身なんだから、隠密で忍び寄れるか?

GM:あー、出来るかも。んじゃ、13を目標値に隠密判定して貰える?
 
クラウス:(ダイスを振る)あ、駄目だ12。気付かれたか。

GM:ではクラウスの接近に気付いた男は、焦った様子で振り向くよ。不味い所を見られたと思ったのかもしれないね。

クラウス:チッ。……まぁ良い。おい、貴様誰の差し金で動いている?

GM/ゴロツキ:「あぁ? テメェ、何をワケのわかんねぇ事を……いや、ここを見られたからには生かして帰すわけにはいかねぇなぁ!」

クラウス:あっそ。 ……こいつ、ただのゴロツキかな?

GM:はてさて? ちなみにデータ的には山賊の首領相当の相手だね。

クラウス:このデータとは何度戦ったかなぁ……。

GM:知らんがな(笑)。
 

◇VS山賊の首領◇
 
 さて、第八話と第九話で一回ずつ出現している山賊の首領。
 しかも第九話では二人同時に襲い掛かって来た相手なのですが、今回は一人。
 更にはクラウスは毎話徐々にとはいえ確実に強くなっています。
 
 つまり何がどうなるのかと言えば―――

 

クラウス:(ダイスを振る)ダメージ16てーん。あ、そっちの攻撃は避けました。

GM:はっはっは。無理ゲー。
 

 命中8、回避8の相手に命中6、回避6のモンスターデータで挑む無謀。
 固定値なので13・13なのですが、全力攻撃しているのでクラウスは命中は出目4で当てて来るし、回避は5で避けます。
 
 結局良い所が無いまま敗れた山賊の首領。
 ただしダイス目で事故が発生しかけます。

 

GM:えーと、HPは−5か。生死判定―――(ダイスを振る)……あ。

クラウス:気のせいかな。ピンゾロに見えるんだが。(一同笑)

GM:私にもそう見えるね。……どーしよコレ。

クラウス:あ、そいつ人間じゃん。《運命変転》しろよ。

GM:それだ。……あっぶねぇ、事なきを得たか。

クラウス:んじゃ、治療して叩き起こすか……。
 

 危うく涅槃までカッ飛ぶところだった山賊の首領。
 辛うじて現世に留まった彼に対し、クラウス事情聴取。
 結果、彼は大負けしたカジノの客である事と、ビルを襲おうとしたのは金目的である事を白状します。

 

クラウス:……なるほど。大した裏事情も無し、か。どーすっかなコイツ。俺は急ぐから官憲に突き出せもしないが、ノーペナで放置したくもないし……。

GM:まぁその辺の判断は任せるけど。

クラウス:じゃあ身ぐるみ剥ぐか。剥いだ身ぐるみは邪魔になるようならその辺に捨てて行こう。(一同笑)

GM/山賊の首領:「……お、鬼だ……!!」

クラウス:年端もいかないガキ襲って金を巻き上げようとした奴には言われたくねーぞ。まぁ、どうしてもというなら仕方ない。首一つで勘弁してやるか。そっちの方が後腐れも無さそうだし……。

GM/山賊の首領:「……や、ヤベェ。こいつ平然と言ってるけど冗談を言ってる気配がしない……! 敵対した相手には容赦をしない気配がする……!」 って言うか首一つで勘弁と言いながら、ダイスを握るな!!(一同爆笑)
 

 結局、剥ぎ取り相当の身ぐるみ剥ぎで済ませます。
 約500ガメル分の身ぐるみを剥いだクラウス、ビルの後を追っていきます。
 その背後にはパンツ一丁で座り込む山賊の首領の姿があったのでした……。
 
◆ゴールドコースト中央/初日 16:00〜17:00◆
 
 ビルは次は真っ当なルートを選択。
 次のチェックポイントとなる午後の陽射し通りへ向け、最短経路となるゴールドコースト中央へ向かいます。
 ちなみにランダムイベントは無し。
 バルガンと遭遇し、多少会話を交わした所で別れます。
 
※NPC好感度変動まとめ
 バルガン・コクスクロス:9→10

◆中央広場/初日 17:00〜18:00◆
 
 こちらもランダムイベントは無し。
 いつぞやのサーカスの依頼人である、レリーシャ・エルセネルエと遭遇します。

※NPC好感度変動まとめ
 レリーシャ・エルセネルエ:3→4
 
◆西トノール中央/初日 18:00〜19:00◆
 
 そして道を一本間違うビル少年。
 文化のストリート呼ばれ、大劇場や博物館、美術館、図書館などが立ち並ぶ西トノール中央にやってきてしまいます。 
 正しい道を選んでいれば、午後の陽射し通りに到着出来たのですが……。
 
 そしてここでランダムイベント発生。
 起こったイベントは『いきなり闘技ショー』。
 大劇場で行われる闘技ショーの出演者が食中毒でぶっ倒れた為、大劇場のプロデューサーが代役を探しており、武装していたクラウスに目を付けて声をかけてきたわけですね。

 

クラウス:んー……それ請けたらビルは?

GM:ルール的には問題無いよ。じゃあ、ビルはうっかりその闘技ショーの観客席に紛れ込んでしまった事にしよう。(一同笑)

クラウス:何やってんだあいつは……(笑)。まぁ、そう言う事なら別に良いか。良いぜ、プロデューサー。その依頼受諾する。……プロデューサーって言うと、どうしてもアイドルマスター思い出すな。(一同笑)

GM:確かに(笑)。
 

 ちなみにこの戦い、あくまでショーなので敵も味方も空砲や竹光を使い、互いにダメージが無いように戦います。
 ダメージなどは疑似的に累積していき、HPが『疑似的に』0になった場合、舞台に倒れて行動不能になったフリをするという……まぁ一種の模擬戦ですね。
 魔法なども全て舞台効果で代用されます。
 
 で―――

 

GM:クラウスが舞台に上がると、観客席の方に見知った顔が居るね。両脇に水商売の姉ちゃんらしき女性を侍らせた、ペイトン・ソンダートさんです。

クラウス:何やってんだあの旦那は……(笑)。

GM:デートじゃね?(笑) ちなみに向こうもクラウスに気付いたようで、にやりとした笑いを浮かべるよ。あ、ちなみに敵はフラービィゴーレムが2体ね。クラウスはコンジャラーだから自動的に正体に気付くよ。

クラウス:(ダイスを振る)弱点も抜いたな。さて、何か微妙に長期戦になりそうな相手だが…(笑)。
 

 フラービィゴーレムは4Lvモンスターですが、ゴーレム系の例に漏れずやたら頑丈です。
 材料が肉だからか防護点は低いですが、HPはLv4にして45。参考までに紙で有名なアードラーさんはLv5にして25です。だからお前は何故こうまで紙なのか。
 
 ともあれフラービィゴーレムは高いHPを武器にした盾型前衛であり、回避は低く攻撃力も然程ではありません。
 それが2体。
 結果どうなるかと言えば、地道極まりない削り合い―――になるかと思いきや。

 

クラウス:(ダイスを振る)……お? クリティカルで25点ダメージ。

GM:うっげ、それで1体目は落ちるね。……割と攻撃力上がってるなぁ。

クラウス:んじゃ、敵も減ったし盾を捨てて両手持ちに切り替えよう。こいつら火力は低いから、盾が無くてもそこまで怖くない。
 

 火力の上がったクラウス、与えるダメージは出目7で16程度にまで向上しています。
 3ラウンド目にクリティカルで一体目を処理し、更に両手持ちに切り替えた結果、6ラウンド目に2体目の撃破にも成功します。

 

クラウス:案外早く済んだな。

GM/ペイトン:だね。ちなみにプロデューサーは1000ガメルの報酬を渡してくれるよ。あと、戦闘が終わって控室に戻ったら、ペイトンが女連れで訪ねて来るね。 「よォ。随分マシな動きをするようになったじゃねーか。ウチの新米どもに見習わせたいぜ」

クラウス:そいつはどーも。両手に花で羨ましいよ、旦那。

GM/ペイトン:「驚いてねーのな。やっぱお前、闘技ショーのど真ん中で観客席に目を払う余裕があったわけだ」 にやにや笑いながら、ペイトンは『差し入れ』と言って輝く牙(戦利品。1200ガメル相当)を投げて来るよ。 「腕はまぁ、腕利きってとこだな。お前より強いのはウチの騎士団にも何人も居るが、どいつもこいつもまぁ脳筋でなぁ。お前みたいな冷静な切れ者が手を貸してくれると楽なんだが、どうよ? 入団したいってんなら口利きしてやるぜ?」

クラウス:そういう私兵騎士団ってのは血縁の繋がりじゃなかったのか? 言いながら、投げられた輝く牙を受け取ろう。

GM/ペイトン:「基幹となるメンバーは確かにそうだが、外からの受け入れが皆無ってワケじゃねーしな。何ならウチの一族の女とお前がくっつけば、それこそ基幹メンバーになれるかもしれねーぜ?」

クラウス:勘弁してくれ。そういう政略結婚じみた事は御免だね。高く評価してくれるのはありがたいが、今は仕事中だ。寄り道というか時間潰しで出ただけだし、そっちのご婦人がたもこんな色気の無い会話を聞いてるんじゃ退屈だろうよ。

GM/ペイトン:「おっといけねぇ。ちぇっ、お前が入ってくれれば仕事を押し付けても上手くやってくれそうな奴が増えると思ったのによ」 と、軽く笑いながらペイトンは両脇の女性を連れて去っていくね。

クラウス:やれやれ。……それじゃ、ビルの追跡に入ろうか。
 

※NPC好感度変動まとめ
 ペイトン・ソンダート:6→12
 
◆午後の陽射し通り/初日 19:00〜20:00◆
 
 そして到着した午後の陽射し通りにて、ビルは一軒の家を目指します。
 そこでは何故かトンミがビルを待っており、彼はビルが来たのを確認すると一緒にその家の扉をノックして中に入って行き―――

 

クラウス:なんでここでトンミが出て来るんだ?

GM:その答えは程無くして出るよ。暫くするとトンミとビルは家の中から出て来て、ビルはトンミにお礼を言って歩き出すね。トンミは偶然、クラウスが隠れている方に歩いて行きます。

クラウス:好都合。近くまで来たところでトンミを呼びとめる。 いよっす、トンミ。どうしたんだこんな所で?

GM/トンミ:「ああ、クラウス。いや、少し頼まれ事でね」 と、トンミはクラウスを見付けて人の良い笑みを浮かべるね。

クラウス:頼まれ事? 今、そこの家から知らん子供と一緒に出て来てたが。

GM/トンミ:あくまで『ビルとは無関係』という立場で通す気なのね。じゃあトンミは少し考えてから、 「あそこの家は有名な高利貸しの家でね。あの子供が借金を返す際に、立会人となるように頼まれてたのさ。子供じゃ証文の返却すら誤魔化される危険があるしね」

クラウス:……成程。どこをどう経由したのかは知らんが、フィオナの手回しか。

GM:そのようだね。トンミはそれ以上の事情を話そうとはしないよ。

クラウス:まぁこっちも事情を打ち明けるわけにもいかんしな。軽く世間話でもして、別れよう。

GM:OK。で、このイベントが終わったらビルは後は真っ直ぐに東トノール外縁へ帰ります。今後はビルの移動にランダム性は無くなるね。

クラウス:それは助かるな。んじゃ、後は帰り道―――か。
 

※NPC好感度変動まとめ
 トンミ・モグバード:11→12
 
◆中央広場/初日 20:00〜21:00◆

 さて、家にまっすぐ帰るビルを追って移動したクラウス、次の移動場所は中央広場です。
 しかし後は帰るだけというこのタイミングに限って――――

 

GM:あ、NPCミッション発生。レリーシャがクラウスに、西トノール外縁までの配達/伝言ミッションを頼んでくるね。(一同笑)

クラウス:俺これから東トノール外縁まで真っ直ぐ行くんだが(笑)。無理だ、無理! 他の奴に頼め!8笑)
 

※NPC好感度変動まとめ
 レリーシャ・エルセネルエ:4→5
 
◆東トノール中央/初日 21:00〜22:00◆
 
 さて、東トノールに到着したクラウス、ランダムイベントに巻き込まれる―――のですが。
 この時にGM少々ミスをしております。
 発生したランダムイベントは「大荒れの結婚式」。しかしこれ、09:00〜17:00までの発生イベントなんですよね。
 まぁ大勢に影響は無かったので見逃して頂ければ。

 

GM:それじゃ、通りがかると東トノール街区にあるティダン・シーンの両神殿の前で結構披露宴が行われているね。ラスベートでは結婚式において、宴の席を外に用意して道行く人々に酒や料理を振る舞う習慣があります。その家の財の規模によるらしいけど、ここは結構大きな商家同士の縁談らしいね。

クラウス:そんなに豪華なのか?

GM:料理は知らんけど場所がね。メインストリートで神殿前っていう最高に人通りの多い場所だから、今時間でも街灯に照らされたり篝火があったりで十分な光量が確保できてるし、大勢の人が宴を楽しんでいます。今は時間が時間だから、酒盛りモードだけど。ちなみに登場NPCは……(ダイスを振る)ありゃ、またペイトンか。じゃあ、さっきとは別のお姉ちゃんを侍らせて宴の真ん中で楽しそうにハシャいでいます。(一同笑)

クラウス:ええい、元気だなぁあの旦那……(笑)。

GM:周囲のお姉ちゃん達含めて華やかなんで、『この宴の主役誰だっけ』って感じかも(笑)。そしてそんな所にザイア神官が慌てた様子で走って来ます。手配中の強盗達がこの辺りに来た筈だとのこと。

クラウス:げっ。

GM/強盗:そしてその言葉を聞いた瞬間、一般人に混ざって宴席に居た人々の一部が立ち上がり、舌打ちしながら武器を抜きます。 「畜生! このまま紛れ込んでいれば上手く撒けると思ったのに!!」

クラウス:ったく、折角の門出に無粋な真似してんじゃねェよ、なぁオイ! 強盗団が動いたならこっちも動くぞ。良いな?

GM:勿論。で、ザイア神官と強盗団が激突する中、強盗団の一部が人質を取ろうと近場の一般人に手を出そうとするんだけど……その強盗が一般人の女の子に伸ばした手が、斬り飛ばされるね。

クラウス:……ペイトンの旦那か!!

GM/ペイトン:「おうよ。……ちょいと違うだろ、なぁ? 女ァ泣かすのはベッドの上だけってのが俺の信条でね。増してやこんな小さい小娘相手ってなぁ、俺でもあと五年は待つぜ? 堪え性の無い奴だなぁ、オイ!」 と、ペイトンは両刃の大剣……クレイモアを担ぐようにして構えるね。背後にお姉ちゃん達や今狙われた女の子を庇って、構えます。

クラウス:流石リオス100人NPCの中でも最強格のファイター……。

GM/ペイトン:「クラウス、俺の雄姿に見惚れるのは良いが、そっちにも行ったぜ!」

クラウス:……あの時の言葉、そっくり返す。あんたこそ、美人侍らせて飲んでる割にはこの騒ぎの中で俺の存在に気付く程度の冷静さと観察眼はしっかり残してるんじゃねぇか。見た目以上に切れ者だな、あんた。 ……で、GM。こっちには誰が来るんだ?

GM:んーとね、『山賊の首領』。

クラウス:もうそいつの相手飽きた。(一同笑)

GM:よく出るよねこいつ……(笑)。あ、ちなみに今回は後ろに一般人(Lv0NPC)を庇っての戦いになるから気を付けてね。

クラウス:まぁ全力で逃げるように指示を出して、敵は俺が止めれば良いだろ。遠距離攻撃無いんだし。
 

◇VS山賊の首領◇
 
 まぁ実際、問題は起こりませんでした。
 既に四戦目となる山賊の首領相手の戦い。クラウス、多少の手傷を負いながらも危なげなく撃破します。

 

クラウス:(ダイスを振る)……ダメージ18。これで終わりだな。

GM:うん、やられたね。クラウスが目の前の敵を斬り伏せ終わると、遠くではペイトンが3人ほどの強盗を倒し終わった所です。他の強盗はザイア神官たちが倒したみたいだね。クラウスとペイトンの活躍もあって、この騒ぎの規模なのに、怪我人は逃げる途中で転んで怪我した人が出た程度で済みます。そっちの治療はザイア神官がやってくれるね。

クラウス:じゃあ、ペイトンの旦那に近寄ります。んで、近寄りつつ片手を上げる。

GM/ペイトン:じゃあ、ペイトンも近付きざまに片手を上げて、パァンと景気良く打ち合わせてくれるよ。 「―――よォ、クラウス。まだお仕事の最中か?」

クラウス:まぁな。不幸な通りすがりって奴だよ、旦那。そっちも巻き込まれみたいだけどな。

GM/ペイトン:「まーな。ったく、粋も風雅も弁えねぇ連中だぜ。祝いの席だっての理解しろってんだ」

クラウス:同感。……ところで、ソンダートの騎士であるあんただったら俺の身分証明程度は出来るだろ? 悪いが、俺はまだ仕事の途中なんだ。神官への事情説明、頼んで良いか?

GM/ペイトン:「貸し一つだぜ?」 と、茶目っ気のあるウィンクを返して来るね。 「そうだな、美人のお姉ちゃんでも紹介してくれりゃチャラにしてやる」

クラウス:他の事で頼む。痴情のもつれに巻き込まれたくはないんでな。 んじゃ、片手を上げて立ち去ろう。ビルを追わんとならんし、今言った通り事情説明は旦那に任せる。

GM:オーライ。それじゃ次が最終目的地だね。
 

※NPC好感度変動まとめ
 ペイトン・ソンダート:12→16
 
◆最終イベント◆

 

GM:では東トノール外縁部だね。ビルはひまわり園にまっすぐ帰宅するけど、これで依頼が終わったかと思ったのもつかの間。当のビルがすぐに出て来て、東へと歩き始めます。

クラウス:……東? ここって東トノールの外縁部だよな。ここから東って何かあったっけ?

GM:危険な廃墟とかー、荒れ地とか。

クラウス:……出て行こう。呼び止める。

GM:……えっ。
 

 さて、ネタばらしになるのですが……。
 ビルがこの後、東に向かう理由は高利貸しにお金を返した後、立ち会い人であったトンミに気付かれないように『すぐにそこへ向かえ』と脅されていたからです。
 そうしなければ院長先生も死んでしまうと脅されていたのです。
 
 シナリオ的には追って行った所で、待ち伏せしていたボスに襲われるビルを救出するという流れになるのですが、このタイミングでクラウスは呼び止めにかかります。
 これをやられると敵側はどうするか―――
 
・遠巻きにビルを監視している可能性は高い。(ビルに接触したか否かがボスの強化フラグになる)
 →まず、クラウスの存在は敵に把握された。
・クラウスがどのような立場かが把握されるか否か?
 →否。これまでクラウスはビルに接触していなかった。敵はクラウスがどのような立場か把握出来ない。
 
 つまり、ビルを監視している敵―――高利貸しとグルのテメリオ信者からすれば、クラウスはこれからという所でターゲットに話しかける謎の人物と言う事になります。
 GM、クラウスの行動如何によって敵側の対処を決める事に決定。
 で、肝心のクラウスの行動は―――

 

クラウス:おー? お前、膝太郎……ジャンのトコの孤児院のガキじゃねーか。どうしたんだ、こんな夜中に。 と、少し大きな声で声をかけます。

GM/ビル:無関係を装う気か……。じゃあ、ビルはびくりと身を竦ませるよ。 「お、お兄さん誰……? 院長先生の知り合い……?」

クラウス:膝太郎の……あれ? なんだ? 友人?(一同笑)

GM:微妙か(笑)。

クラウス:まぁ友人と言う事にしておこう。んで、お前は何やってんだ小僧。今時間からどこへ行く気だ?

GM/ビル:「えぇと……それは……」 と、ビルは挙動不審に言い淀むね。

クラウス:ふむ、テメリオ相手だから警戒してたが、薬物で洗脳されてるってわけでもなさそうだな。んじゃ、今まだひまわり園の前だよな? ひまわり園の方に向けて声を上げるぞ。 おーい、膝太郎ー!

GM/膝太郎:うわ、やりやがった(笑)。では、ビルが更に身を竦ませ、ジャンが程無くしてひまわり園の中から出て来ます。 「ん? ……クラウスじゃないか、どうしたんだこんな時間に? それと……ビル!?」 と、驚いた声を上げるね。

クラウス:抜けだそうとしてた所を見付けた。悪いな小僧っ子、夜遊びはまだお前にゃ早いぜ?

GM:―――と、言った所でクラウス。当然警戒してるよね?

クラウス:無論。

GM:じゃあ不意打ち判定とかは良いや。クラウスは東の方から焦った様子で近付いて来る男と、その横に立つ目深にフードをかぶったヒトガタの何かに気付きます。

クラウス:――――止まれ。 と、そっちに向けて声をかけます。口元にはにやりと笑みを浮かべつつ。 釣れたな。間抜けが。

GM/膝太郎:「は……?」 と、クラウスの態度の豹変にジャンがきょとんとして、ビルが東から来た人物を見て青ざめます。ネタばらしになるけど、彼は高利貸しに金を返した時に、帰ったらすぐに東の廃墟に行くように脅されていたんだよね。そうしないと院長先生も死んでしまうと脅されて。

クラウス:あぁ、なるほど。自分が行かなかったから、それを実行する為に高利貸しの仲間が来たと思ったか。まぁ強ち、ハズレでもない気もするが。

GM/男:いやまぁ、本音を言えばひまわり園への直接攻撃なんざテメリオ側もやりたくないんだけどね。何せ権力や武力は無いけどこの街の有名どころではあるから、下手に手を出したらあちこちから目を付けられかねないし。 「……釣れた、だと?」 と、男はクラウスの言葉に顔色を変えて呻くよ。

クラウス:とある筋からの依頼でね。裏で高利貸しと繋がりがあるテメリオ教団への内偵を頼まれていたのさ。―――高利貸しの家を張っていたら、いかにも何も知らなそうな純朴そうな子供が大金背負ってやって来た。こりゃ何かあるなと思って尾行したら、家に帰った子供がすぐに出て来たんだ。すぐに分かったぜ、お前らに何か吹き込まれたんだってな。

GM:……すげぇ。よくそんなすらすらと架空の設定を言えるね。

クラウス:フィオナの立場とか考えると、そっちに繋がる証拠を出したくないんだよな。

GM/テメリオ:まぁそう言われたら、自分が完全にしてやられた事に気付いたテメリオ信者は顔を真っ赤にするね。 「……人通りのある道ばかりを歩かれた為、金を奪うことには失敗したが……せめてその子供だけでもと思えば、こんな所でも邪魔が入るとは!」

クラウス:へぇ、ビルの身柄を狙ってたんだ。……何で何事も無かったんだ?

GM:条件満たさなかったから襲撃イベントが発生しなかっただけ。ちなみにビルが何か超古代文明の末裔とか隠れ設定は何も無く、フツーに生贄とか洗脳して労働力とか狙いね。で、激昂したテメリオ信者はクラウスに襲い掛かってくるよ。ちなみに隣のフードの何かも、フードを取っ払って襲い掛かってくる。こっちは魔神っぽいなんか二足歩行。(一同笑)

クラウス:雑な説明だな。(ダイスを振る)……魔物知識判定は成功。スポーンか!!

GM/膝太郎:うん。で、まぁ今回クラウスの対応が本当に相手の目論見を潰し続けていたから、ボーナス。スポーンが正体を現した瞬間、クラウスの横からフォースが飛ぶよ。 「なんだか事情はほとんど分からないが、ビルに手を出そうとしたことは確かみたいだね」

クラウス:膝太郎か!?

GM/膝太郎:イエス。 「……どうやら全く関係無い所から追っていたみたいだけど、君がいてくれて助かったよ、クラウス。あっちの魔神は任せてくれ」 

クラウス:……そりゃ助かるけど……お前、大丈夫か? タイマンとか。

GM:まぁ大丈夫という事にしておこう。プリースト4だから、真っ向勝負なら適性レベルではあるし。避けないけど。―――と、いうわけでスポーンは膝太郎が相手してくれますので、クラウスはテメリオ神官だけ相手にすれば良いよ。相手は―――(ダイスを振る)やだ、魔道に魅入られた魔法使いってどうしろってんだコノヤロウ。(一同笑)
 

 テメリオ神官が敵になる場合、『通常データに神聖魔法のデータをくっつけてMPを増やす』という処理をするのがリオスワールドガイドです。
 ――――が、そのシステム上、元からガチ魔法使いタイプが敵に出た場合、非常に損した気分になります。GMが。
 一応欠片補正があるとはいえ、元が魔法系。
 とりあえず真語魔法をくっつけて見て、そこに神聖魔法4Lv追加。無駄にMP48(補正込み)ですが、使いきるまで生きていられるでしょうか。HPは46。欠片補正込みでもフラービィゴーレムと互角程度の耐久性に乾杯。
 
◇VSテメリオ神官◇

 

クラウス:両手持ちで良いな。フランベルジュを両手で構える。

GM:やーん。
 

 先手を取ったクラウス、両手持ちしたフランベルジュで斬りかかって来ますが、元が後衛であるこのテメリオ神官、回避能力も低いです。
 直撃を食らった上に―――

 

クラウス:(ダイスを振る)あ、ダメージダイス11。

GM:アジャパー(悲鳴)。

クラウス:次が9で、32点ダメージ!

GM:一瞬でHPがほぼ1/3になったわ!? いかん、回復量の期待値はおよそ10〜11……回復しても絶対にもたない。クラウスの火力の方が高い!

クラウス:ヒャッハー気分良いぜー! 火力が高いと良いねェ!

GM:反撃は……えーと、この場を切り抜けられそうな手段ってスリープだけなんだけど、クラウスさん確か赤の眼鏡持っていらっしゃいましたでございまするね。(一同笑)

クラウス:言語野がおかしくなる程度には詰んだか(笑)。

GM:……うん。とりあえずリープスラッシュでも撃つかー、威力高いし。

クラウス:達成値は? 14?(ダイスを振る)あ、抵抗した。今回出目良いな。

GM:ですよねー。
 

 結局、次のラウンドの一撃で吹っ飛んだ神官。
 ボス戦史上最速の2ラウンド決着でした。
 尚、48点もの豊富なMPは、リープスラッシュ一発以外は全く使われる事無く終わりましたとさ。
 ぐすん。

 

GM:じゃあ、それ終わったら膝太郎と協力してスポーンも倒しましたって事で良いよ。

クラウス:うん、じゃあそうする。……んで、事後処理はどうなるんだ?

GM/膝太郎:まず膝太郎はクラウスに感謝するね。 「すまないクラウス、助かったよ」

クラウス:良いって事よ。それじゃ、このテメリオ神官は引き取っていくぜ? ……まぁアレだ。口から出まかせだったが、ヨークの旦那からしてもテメリオは厄介な手合いらしいから、情報源になりそうなこいつを引き渡せば貸しにはなるだろ。あ、奥歯に毒とか仕込んでそうだから、気絶してる間に歯ぁ引っこ抜いて良い?(一同爆笑)

GM:未だかつてないほどセメントな対応を見た……。いや、確かにこの手のテメリオって奥歯に自害用の毒薬仕込んでるのが定番だけどさぁ……(笑)。まぁ、ひまわり園側に余り裏事情を知られたくなかったフィオナとしてもアリな対応だったね。

クラウス:まぁ、その辺はともかく。小僧っ子、お前は説教されてこい。ひまわり園の事を考えてやったのは認めるが、無駄に危険な橋を渡ろうとしたのは褒められた事じゃないからな。んじゃ、膝太郎。後は頼んだ。

GM:ん、そうだね。ここからはひまわり園の問題か。

クラウス:あ、そだ。去り際に振り向いて、100ガメルくらいの硬貨の入った革袋をビルに投げる。

GM/ビル:「え? うわっ」 と、これから今まさに説教されようとしていたビルはそれを受け取るよ。んで、意図は?

クラウス:褒められた事じゃなかったが、良いガッツだったぜ、ビル。おつかいにはお駄賃が付き物だからな。それで園の皆とお菓子でも食ってくれや。

GM:……うん。じゃあビルはその言葉を聞いて、目を輝かせてクラウスにお礼を言います。

クラウス:んじゃ、振り返りもせず肩越しに手を振って、歩き去ろう。
 

※NPC好感度変動まとめ
 ジャン・ファルシネリ・膝太郎:13→15
 
◆エピローグ◆

 

GM/フィオナ:さて、それでは後日談。いつもの冒険者の店の酒場部分で、全てを聞いたフィオナは自分の見通しの甘さに顔を蒼くするね。まさか向こうが金を失っても子供だけは生贄に、とまでやるとは思ってなかったらしく、クラウスに重ねてお礼を言ってくれるよ。 「……ありがとう、本当に助かったよ」

クラウス:最後は俺だけの働きじゃなかったがな。意外とやるもんだ、膝太郎。

GM/フィオナ:「あー、うん。膝とか肩とか無ければ割と神官としちゃ有能なんだよねぇ」 と、フィオナもそれを聞いて苦笑するね。 「引き渡された神官に関しては、ヨークさんが専門の部署に引き渡して、そっちで尋問をやってるらしいよ。まぁ、私はそっちには関わってないけど」

クラウス:盗賊ギルドの中でもかなり暗部に近い位置の話だろうしな。関わらないに越したことはない。俺の名前も出してくれるなよー。

GM/フィオナ:「そこは気を付けてたよ。私もヨークさんもね」 で、フィオナは報酬を渡して酒場の席から立ち上がります。 「さて、それじゃあ私はもう行くよ。本当にありがとう、クラウス。また何かあったら頼りにさせて貰うね。組織に属していない君はフットワークが軽い上に、口も堅く頭も切れて義理がたい。ヨークさんが君を紹介した理由がよく分かったよ」

クラウス:持ち上げすぎだろ。……ま、褒められて悪い気はしないがな。

GM:と、いうわけで今回はここまでです。……何か徹底してテメリオ側の目論見が潰されたなぁ。

クラウス:ならば良し、って所か。んじゃ、お疲れ様でしたー。

GM:うぃー、お疲れー。
 

※NPC好感度変動まとめ
 フィオナ:3→8
 ヨーク・バイルガンド:13→16
  
 獲得経験点:1320点(※膝太郎が倒したスポーンも計算。まぁ上手くやったボーナス)
 獲得名誉点:12点(かけら4つ)

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