◆◇◆真・女神転生 覚醒篇リプレイ◆◇◆
◆第二話 お買い物に行こう◆


 さて、真・女神転生覚醒篇。
 ……何を間違ったか、続いてしまいました。
  
 時は200×年の春。
 悪魔による事件が表面化し始めた東京。架空の街、斗有市にて高校生をやっている少年少女達。
 前回の事件で得た報酬で装備を整えようとした彼らが、うっかり世界の裏側に更に足を踏み込んでしまったお話です――――。
 

◆プリプレイ◆
 

GM:さて、それでは今回のプレイを始めましょう。

虎次郎:……買い物は?

GM:買い物シナリオになる予定なので、欲しい物の候補だけ決めておいて下さい。リストを作っておくと後で楽かもしれません。

小春:買い物シナリオ?

GM:買い物を題材として組み立てたシナリオってわけですよ。

姫子:OK、分かったわ。GPだけ教えて。

GM:はい。GPは7になりました。

小春:…順調に異界化が進んでますね。

GM:それと、前回のラストに忘れていた『宿命』を。変化させるなら変化させちゃってくださいなー。
 

 宿命は以前も解説した通り、平たく言えば『大事なものポイント』です。
 アイテムや特技、悪魔、人物などに割り振る事でボーナスを得たりペナルティを得たり。
 そしてその宿命は、初期の背景情報やシナリオ中のイベント以外に、シナリオ終了時にも僅かに動かせるわけです。
 で、その結果―――

 

姫子:はーい、それじゃあ私は≪信頼:鳴海虎次郎≫を1点増やすわ。

虎次郎:俺かよ。(一同笑)

GM:まぁ、前回のグール戦を見てますとねぇ(笑)。

虎次郎:……まぁ、別に良いけどな。俺は≪友情:犬飼東≫に1点で。

東:こっち来た!(一同笑)

GM:姫子さんと虎次郎さんは人間関係系ですね。残りのお二方は―――

東:≪属性/カオス≫に1点。

小春:≪得意技/マハザン≫に1点です。

GM:属性系と得意技ですね。得意技は虎次郎さんは初期の命運で習得してましたが、累計10点になる事でその特技による判定にプラス10%のボーナスが付きます。

虎次郎:説明台詞乙。(一同笑)

小春:ええ、このままザン系を極めようかと思いまして。

GM:順調に厭らしい魔界魔法使いへの道を歩んでいますね……。(一同笑)

小春:褒め言葉ですね(笑)。

GM:…動じないなぁ(笑)。まぁ、そんな感じで、現在のGPで買いたい物はメモしましたね? 宿命の変更は? 部屋の隅でガタガタ震えて命乞いする準備はOK?(一同笑)

姫子:最後以外はOK(笑)。

GM:はい、それならOKです。―――では始めましょうか! 宜しくお願いします!

一同:宜しくお願いしまーす!!
 

◆ゴブリン・マーケット◆
 

GM:さて、それでは前回から一週間ほど経過しました。事は東さんが新たな装備を求めて、ツテである自衛隊の士官を訪ねた事から始まります。同行したい人は同行OKですよ。

虎次郎:じゃあ、俺もついて行くかね。東に引っ張り出されました。(一同笑)

東:だってお前じゃないと刀の良し悪しなんて分からねぇじゃん(笑)。というわけで、黒木のオッサン。来たぞー。

GM:はい、では斗有市の中央公園を接収してキャンプを築いている、自衛隊の屯所ですね。東さんの訪問を聞いた黒木三佐は虎次郎さんも一緒に個室に通してくれます。と言っても、プレハブで作られたちまい部屋というだけですが。棚と机とパイプ椅子があるだけの殺風景な部屋ですね。

虎次郎:ちなみにどんな人よ、黒木三佐って。

GM:歳の頃は30過ぎ。エリートコースを歩いていたのですが、個人としても指揮官としても優秀でありながら、度を越した刹那主義者でもあり、上からの受けは極めて悪くこれ以上の出世は見込めないという所でしょうか。

虎次郎:あー、東の知り合いっぽいわー……(笑)。

東:で、以前色々あって目をかけられててな。頼めば色々と用立ててくれるぞ、多分。

GM/黒木:で、鋭い目つきが印象的な黒髪の男―――黒木三佐がパイプ椅子に腰かけ、煙草に火を付けます。 「―――さて、犬飼。今日は何の用だ? そっちの小僧は初見だな。黒木重蔵、自衛隊三佐だ」

虎次郎:鳴海虎次郎、東のダチです。……今日はわけもわからずこいつに連れて来られました。(一同笑)

東:だって俺じゃ分からねぇもん(笑)。なぁ、黒木のオッサン。金持ってきたから、装備色々こっちに流してくれね?

GM/黒木:「……また唐突だな。まぁ、お前からの頼みだ。何か面白い事に首を突っ込んでるんだろうが――――あぁ、なるほど」 にぃ、と何かを悟ったように黒木は頬を歪めて笑います。 「―――悪魔関係か?」

東:話が早いようで。そっちでも話は掴んでるんだな。

GM/黒木:「お偉方の中には、見間違いや誤報だっつって聞かない奴も居るがな。現場指揮官としては、起きた事柄を事実として受け止めると同時に、可能な限り情報収集しておくのが当然だ。色々な事件とその影に見え隠れする、常識じゃ説明できない事象―――悪魔、と呼ぶんだったな」

東:正解。でまぁ、こいつや他数名も含めて、俺もちょっとそっちに首突っ込む羽目になってね。色々と、装備があれば心強いんだ。

GM/黒木:「…良いだろう。用立ててやる。お前らが勝手に動いて悪魔関係の事件を解決してくれるんなら、こっちの負担も減るかもしれんしな。何が欲しい?」

東:……何が要る?(一同笑)

姫子:一応、欲しい物のリストはあるわよー。

小春:出来れば、呪文石も換金したいですね……。

GM:あぁ、それは換金して構いません。シバブーストーンでしたら100万円ですね。アギ・ストーンは50万円です。

東:りょーかい。まぁ、何はともあれとりあえず虎次郎の日本刀じゃね?

GM/黒木:「あるか、阿呆」(一同笑)

東:……え?(笑)

GM/黒木:「自衛隊を何だと思ってるんだ、お前は……。ナイフや銃、ボディアーマーの類ならまだしも、日本刀なんかは専門外だぞ。それが欲しければ骨董商の所にでも行け」

小春:……まぁ、言われてみればその通りですけど(笑)。

GM:まぁ、もう少しGPが上がってくれば取り扱う装備もカオスになってくるのかも知れませんが、現段階では自衛隊では日本刀を扱ってくれません。

東:……ど、どうしよっか?(一同笑)

GM/黒木:「…あー、まぁ待て。そう言えば……」 と、思い出したように黒木はプレハブの中にあった棚を漁り始めます。で、数秒して、 「あったあった。これだ」 と、東さんに一枚のカードを投げて来ますね。

東:…何だ? 受け取りますが。

GM:手作りくさいカードに、手書きで『ゴブリンマーケット・パス』と書かれています。裏面には地図も。

東:……オッサン、これは?

GM/黒木:「こっちが任務で対峙した悪魔が、見逃す代償としてくれたカードだ。何でも、悪魔同士で色々な品を集めてのマーケットをやっているらしくてな。別に敵対的な奴じゃなかったから、それを貰う代わりに見逃した」

虎次郎:……良いのか、それ(笑)。

GM/黒木:「敵対的じゃない奴まで相手して回れるほど、物資も人材も無ぇんだよ。無害そうな奴らはとりあえず放置だ。……それに、そこに行けば狙いの品があるかもしれねぇぞ?」

虎次郎:……ゴブリンマーケット、ねぇ?
 

 『ゴブリンマーケット・パス』。妖精ゴブリンを初めとする一部悪魔が所持しているアイテムです。
 妖精たちが選りすぐりの品を持って集まる市場の招待チケットで、1枚につき1つまで出現値Bまでの装備を購入出来る優れ物。

 

東:……って、めっちゃ便利じゃん。これくれんの?

GM/黒木:「一枚しか無いがな。刀が欲しいってんなら、役に立つだろ」 ちなみに、刀以外のアイテムでしたら好きに購入してくれて構いません。無論、コネを使っての通常購入ですので出現値B装備は2倍価格ですが。

東:刀の分以外はルール通りに買えって事だな。

GM:ゴブリンマーケットなら通常価格で売ってくれますので、それを考えた上で資金をその分残しておいて下さいねー。

一同:はーい。
 

 そして始まる買い物タイム。
 前衛から順に色々と装備品を買い漁ります。
 要らない装備は下取りして貰ったりしつつ、呪文石を売り払った金のお陰でかなり良い装備を買って行きます。
 結果―――

 

虎次郎:おー、すげぇ。防御力が16まで上がった!

姫子:私は15。……ううん、流石に学生服とは段違いね(笑)。

GM:ガッチガチに固めて来ましたね……(笑)。

東:あと、GP7の自動拳銃「モーゼル・ルガー」を買った。セミオートなんで、ラウンド2回攻撃出来るのが強みだな。南雲の旦那も持ってた序盤のシューティング使いの定番装備。ニューナンブは下取り。

GM/黒木:「……お前はどうしてこんなもんを拾って来たんだ」 と、下取りに警察の制式拳銃を渡された黒木三佐は呆れたような声を上げてますよ(笑)。

東:倒した悪魔が持ってた……っつーか、死んだ警官が悪魔化してた?

GM/黒木:「ああ、成程な。……まぁ、これは俺の方で然るべき所に返しておこう」

東:あいさ、頼むわ旦那。んじゃー、このゴブリンマーケットっつーのに顔出してみるかね……。

虎次郎:行くなら姫子と小春も誘うか。…小春はともかく姫子は、黙って行ったら絶対拗ねる。(一同笑)

姫子:分かってるじゃない!(親指グッ)

GM/黒木:「…まぁ、俺の仕事を増やさない程度に頑張ってくれ。お前らが悪魔退治をした事で俺の仕事が減れば万々歳だ」 と、売り買いが終わったのでもう用事は無いとでも言いたげに、黒木三佐はパタパタと手を振ります。

東:あいよ。じゃ、またな。黒木のオッサン。
 

 と、いうわけで導入終了。
 自衛隊の黒木三佐から貰ったゴブリンマーケットのチケットを手に、東と虎次郎は姫子と小春を誘ってゴブリンマーケットに向かってみる事にします。
 チケットによると時刻は夜。電話を受けた姫子と小春を含め、パーティー一同は夜に待ち合わせをしてゴブリンマーケットに向かったのでした―――。
 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇
 

GM:では、現在は夜の六時頃。ゴブリンマーケット・チケットを手に、チケットの裏に書いてある地図に従い街中や裏路地、公園などを歩いて行きます。ただ、不思議な事にルート指定が複雑で、同じ場所をぐるぐる回るような指示もあれば、その後に先程来た道を戻るように指示されてたり。

姫子:何よー、一直線に目的地に行きましょうよ。

小春:あ、GM。私、こういう動きに何か知識あります?

GM:そうですね。一種の魔術的結界か何かじゃないかと思います。特定のルートを通ってないと、目的地に辿り着けないみたいな。

小春:じゃあ、それを話しましょう。だからヒメ先輩、とりあえずは指示に従いましょう。ね?

姫子:…小春が言うなら仕方ないわね……。 じゃあ、ちょっと頬を膨らませて詰まらなそうにしながらついて行きます(笑)。

虎次郎:せっかちだからなぁ、ヒメは。

姫子:うっさいわね、文句あんの!?(笑)

GM:それで、ですね。最終目的地となっていたのは単なる工事中のビルです。

姫子:……何よここ。単なる工事中のビルじゃない? じゃあ、てってけ歩いて入ります!

GM:はい。では、一歩踏み込んだ瞬間に景色が反転します。工事途中のビルの中の筈が―――目に映るのは、森の中の広場に作られたフリーマーケットに!

姫子:ひゃい!?(一同笑)

GM:勿論、客に人間の姿は見えません。ピクシーやゴブリン、ノッカー、コボルト、ブラウニーなど……って、アナライズしてないと分からないかもしれませんけどね。妖精や小鬼、小人と犬頭にまた小人などが客をやっていたり売り子をしていたりします。

姫子:・……ぽかーん。

GM:他にも色々な種族の悪魔がいますが、まぁ、今はそこは気にしないでください。必要になればその都度、アナライズなどの指示を出しますんで。で、ぽかーんとしている姫子さんに少し遅れて、他の皆さんもその不思議なマーケットに来て良いですよ。

東:…おぉう、なんじゃこりゃ。

虎次郎:すげーな、どう見ても廃ビルの中には見えねー。魔法か、これ。

GM/ゴブリン:で、緑色の肌をした身長1mばかりの小鬼が一匹、貴方達に駆け寄って来ます。 「おっと、人間か。アンタ達、マーケットのパスは持ってるかい?」

東:ほい、これ。間違い無いかい? パスを提示する。

GM/ゴブリン:「確かに。それは今回限りで、次回からは使えないから気を付けな」 と、パスを確認したゴブリンは頷きます。

姫子:ね、ね。 そのゴブリンの肩を掴みます(笑)。 凄い沢山いるけど、普段から街中にこんなに悪魔がいるの?

GM/ゴブリン:「んー? いやいや、そういうわけでもない。俺らみたいな小物は確かに、人間界には出易いけどね。ゲートの開いている地域だと特に。まぁ、マーケットだから皆あちこちから集まって来てるのさ。人間界からも、魔界からもね」
 

 魔界。実際に悪魔が棲んでいる世界の事ですが、その神族や種族ごとにその世界は結構バラバラです。
 ゲートパワーは、その魔界と現実世界との境界がどれだけ緩んでいるかの目安、という捉え方も出来ますね。

 

姫子:へぇー……何か意外。

GM/ゴブリン:「悪魔も色々だからね。人間との関わり方もそれぞれだよ」

東:そもそも悪魔は世界に出て来る為にはマグネタイトが必要だけど、それにしたって信仰から得る事も出来れば、驚きや恐怖と言った感情から得る事も出来る。人間を襲って殺すばかりが悪魔じゃないって事だ。

GM/ゴブリン:「そうそう、分かってるじゃないか兄ちゃん」

東:まーね。っていうかそれくらい分かってなけりゃ、わざわざマーケットに足を踏み入れねぇよ。

GM/ゴブリン:「それもそーだ。じゃあ、楽しんで行ってくれよー」

小春:あ、はい。わざわざありがとうございました。 じゃ、そのゴブリンにお礼を言って、きょろきょろとマーケットを見て回りますか。

虎次郎:…まずは刀だな。

GM:ああ、出現値Bのアイテムはマーケット・パスの数だけしか買えませんが、出現値Aのアイテムでしたら好きに買って構いませんよ。買い物の雰囲気を楽しんで下さい。

姫子:トラ、私あの髪飾り欲しい!(一同笑)

虎次郎:ちょっと待ってくれヒメ!?(笑) まず俺、刀買わないとならんから!!(笑)

GM:ちなみに欲しい刀はどの刀ですか?

虎次郎:龍牙刀。あれ、コストパフォーマンス良いんだ。
 

 龍牙刀。何か凄そうな字面ですが、何の事は無い室町時代に倭寇が日本から持ち出した大振りの日本刀の事です。
 同レベル帯の武器と比べて安いですが、性能は遜色ありません。唯一、事故値の低さ(=壊れ易さ)だけが不安要素ですが……。
 まぁ、武器を破壊しそうな命中ダイスを出したら、その時は命運で振り直せば多分そうそう壊れないでしょう。

 

GM:では、少し探せばコボルトが売り子をしている店で、お目当ての刀を発見できます。二足歩行する犬頭の獣人という感じですね。

虎次郎:よ。兄ちゃん、これ幾らよ?

GM/コボルト:「ん? おう、人間か。マーケットに人間が来るってーのも珍しいなぁ……えーと、このカタナだっけ? これは28万円でどうよ?」

虎次郎:……値段聞くと少し腰が引けるぞ(笑)。 ……も少し安くならね?

GM/コボルト:「おいおい、こりゃ相当な業物だぜ? それを28万ってんだから、この時点で十分感謝して欲しいくらいだ」

虎次郎:…確かに元々の価格が28万なのは分かってるが、PLは分かっていてもPCは納得しがたいぞこの価格!!(一同笑)

姫子:高校生にはキッツいわよねー……(笑)。

東:……横から口を出そう(笑)。 とりあえずその刀、見せてやってくんね?

GM/コボルト:「んー……まぁ良いか。壊したり汚したりするなよ」 と、コボルトは素直に刀を渡してくれますね。

虎次郎:じゃあ、それを少しだけ引き抜いて刃を鑑定したりしてる。―――……むぅ。

東:どうよ、それ?

虎次郎:………悪くないな。確かに言う通り、少なくともナマクラじゃねぇ。これが28万なら、確かに安い。安いが――――高校生にはキツい!!(一同笑)

東:OK、じゃあ買おう。即金で払う。

虎次郎:……あぁ、それだけの金があれば牛丼が何杯……。(一同笑)

GM/コボルト:「毎度ありー♪」 ではコボルトは『にぃ』と犬顔に笑みを浮かべ、金勘定が終わったら刀を渡してくれます。 「いやぁ、話が分かるねそっちの兄さん」

東:ありがとよ。……しかし悪魔の中でも金って流通してんだな。

GM/コボルト:「まぁ、その辺は人間の文化が流入してきたって感じかねー。マグネタイトも最近は金でも買えるし」

小春:ああ、生体エナジー協会ですね。

姫子:そういう難しい話は良いの! それよりトラ、このイヤリング似合わない?(笑)

虎次郎:そこそこ。(一同笑)

姫子:こっちを見もせずにやる気の無い返事をした馬鹿に、膝蹴りを叩き込みます。(一同笑)

虎次郎:もばろッ!!(一同爆笑)

小春:ああ、トラ先輩が凄い悲鳴を上げて吹っ飛んだ!!(笑)

GM:で、そんな事をやっていると、マーケットの一角が騒がしくなって来たのに気付きます。

小春:いえ、ここも十分騒がしいですが。(一同笑)

GM/???A:いえいえ、もっと殺気立った感じです。 「ちょっと、やめてよ!!」 と、女性の声が響き―――

GM/???B:「ゲヘヘ……良いじゃねぇか、ちょっと付き合えよ」 というくぐもった男の声が続いて聞こえます。

姫子:なに? そんな会話が聞こえたら、ダッシュでそっちに行くわよ。

虎次郎:あ、おいヒメ! 仕方ないので追いかけます。

GM:はい。ではそちらに向かうと、そこに居たのは一見して人間の女性に見える悪魔と、彼女に絡んでいる豚面の悪魔が2体ですね。アナライズするならどうぞ。

東:(ダイスを振る)……成功。威力ダイスで回ったんで、Lv14までの悪魔なら判別できる。

GM:おや、凄い。では両方判別できますね。女性型悪魔はLv12妖精ルサールカ。豚面はLv10邪鬼オークです。
 

 ルサールカ。Lv12妖精です。スラブ地方の水の妖精。若くして死んだ乙女の霊とも言われます。
 人間を水に引き摺りこんでしまうと言う伝承のある悪魔で、攻撃/回復/魅了といった魔法を自在に使いこなすこのレベルにしては高位の魔法使いだったりもします。
 ただし、妖精系の常として肉弾戦能力は低めです。
 
 オーク。Lv10邪鬼です。豚面の悪鬼であり、残忍で貪欲、好戦的です。
 「指輪物語」で悪役として有名になりましたが、伝承などには余り出てこないそうですね。
 ルサールカとは逆に肉弾戦能力に優れる代わりに、魔力は低めです。

 

小春:意外とレベルの高い面々ですね。さて、何が起きているのでしょうか?

虎次郎:とりあえず、事情が判明するまでヒメが暴走しないように羽交い締めしておきます。(一同笑)

姫子:ちょ、止めないでよトラ! 女の敵に鉄槌をー!!(楽しそうにジタバタ)

東:その辺の他の悪魔に聞いてみるぞ。どうしたんだこれ。

GM/ブラウニー:「あのオーク達が勝手に商品を持って行こうとして、ルサールカの姉さんが注意したのさ。そしたら今度はあいつら、ルサールカの姉さんに絡み始めて……」

GM/コボルト:「多分、ここにも妖精か地霊辺りからマーケットのチケットを奪い取って来たんだろうな。くそ、あいつらちょっと強いからって調子に乗りやがって!!」 と、他の悪魔たちはご立腹です。

姫子:ちょっと、あのトンカツどもは殴って止めて良いの?

GM/ゴブリン:「止めれるなら止めて欲しいけど……あいつら強いし気性が荒いから、殺し合いになっちまうぞ?」

姫子:まぁ、その覚悟があるなら実力行使OKって事よね。さすが悪魔、実力主義社会。

東:まずは口で止めるだろ。

姫子:そね。じゃあ、そこの豚!!(一同笑)

虎次郎:いきなり喧嘩を売ってる件。(一同笑)

姫子:嫌がる女の子を無理矢理連れて行こうなんて言語道断! そんなだからモテないのよ、やーねぇ?(笑)

虎次郎:うわ、楽しそうだ(笑)。

GM/オーク:「あぁ!? ンだ人間、喧嘩売ってるのか!?」

姫子:あーら、ブヒブヒ言っちゃって。何語? ねぇ、私は豚語は分からないのよ。(一同笑)

東:……その間に、ルサールカを避難させておこう(笑)。 はい、姉ちゃんちょっとこっち来てくれ(笑)。

GM/ルサールカ:はいはい。このルサールカは歳の頃16歳程度の、赤髪の小柄な少女の姿を取っています。 「え? 人間? ちょっと、どうして人間がここに居るのよ?」

東:えーと、知り合い……つまりは別の人間からこのマーケットのチケットを貰って、買い物をしに。

GM/ルサールカ:「危ないわよ! オーク種は馬鹿だけど力は強いんだから、あの子殺されちゃうわ!」

東:いや、むしろ同情すべきは敵方っつーか……。(一同笑)

虎次郎:あのなぁ、ヒメ。もう少し言い方ってもんがあるだろ。……ほら、豚の皆さん。養豚場はあちらですから、お帰り下さい。(一同大爆笑)

GM/オーク:「おぉぉぉい! 敬語だけど敬語なだけで、お前の方が失礼だから!!」(一同爆笑)

姫子:あ、養豚場考えてたのに言われた! ちょっと待ってて、今もっと酷い罵詈雑言考えるから!!(一同爆笑)

GM/オーク:「……こ、この人間風情がぁぁぁぁぁ!!」 と叫んで、オークABは虎次郎さんと姫子さんに殴りかかります! それじゃあ、戦闘開始しましょうか!

東:……ちなみにGM。

GM:何でしょうか?

東:ここって上手くやれば戦闘回避も出来た所だったりする?(笑)

GM:ええ。会話チェックをして貰って、成功すれば穏便にお帰り願えた場面だったりします。(一同笑)

小春:……会話チェックすら無く戦闘突入しましたね(笑)。

東:まぁ、あれだけ喧嘩大特売してりゃあな……(笑)。
 

◇VSオーク◇
 

GM:というわけで、敵はオークが2体ですね。両方前衛です。

虎次郎:こっちは俺とヒメが前衛だな。腰に龍牙刀を差して、武器は鞘に入れたままにしておく。

姫子:グ、パと拳を握って開いてやって、屈伸運動っと。

GM:…慣れ始めてるなぁ、戦闘に(笑)。

東:俺もルサールカを下げたら、後衛にやって来るぞ。

小春:私も後衛に。全員参加ですね。

GM:OKです。それでは、始めましょうか!!
 

▽ラウンド1▽
 
 さて、第一ラウンド。
 このラウンド、唯一オークよりも先に動ける姫子は行動を遅らせた為(集中した後に攻撃を食らい、集中が解けるのを嫌った為)、オーク二匹が先手を取りPC達に襲い掛かります。
 悪魔の行動はランダム決定なため、何を血迷ったかオークAが無傷なのにいきなり回復魔法を使ったりしましたが、オークBはお得意の物理攻撃が虎次郎に向かいます。
 ―――が。

 

虎次郎:『見切り』。回避率は40%で……(ダイスを振る)53、スワップして35で回避成功。回避が成功した瞬間、『居合い切り』で反撃。(ダイスを振る)24で命中して、回避が失敗したならダメージ36!!

GM:ギャース!!?

姫子:武器を振り上げて殴りかかったオーク。しかし攻撃を回避された上に、すれ違いざまに一閃されたって所かしらね。

虎次郎:しかし、武器が変わると違うなー。強さボーナスも上がってるんで、ダメージダイスの数も違うし。

GM:うう、居合い切りのダメージボーナスも相まって、前回とは比べ物にならん数値を叩き出してますね……。しかもダメージダイス、これで平均値以下だし…。

小春:じゃあ、このまま押し込んでしまいましょう。えい、マハザン!(ダイスを振る)発動してますよー。

GM:全体攻撃は嫌ぁ!(一同笑) (ダイスを振る)えーと、Aは回避しましたがBは回避失敗してますね。

小春:ダメージ10点、副効果はありません。うーん、出目が悪い。

GM:魔法攻撃なんでそれでも微妙に抜けて来るんですけどね……いたた。
 

 続く東はセミオート拳銃を二射するも、一発目は素でハズレ。二発目はオークB、クリティカルの出目で回避します。
 一話前半の虎次郎ほどではありませんが、出目に恵まれない東です。
 虎次郎と行動を遅らせていた姫子は、各々『燕返し』と『曲がり』を当てるため、集中を選択。
 そして―――
 

▽ラウンド2▽
 

姫子:高度な技で10%ペナルティかけてオークBに『曲がり』。(ダイスを振る)よし、集中かけてたおかげで命中ね。

GM:(ダイスを振る)……うーん、回避にペナが入ると避けられませんね。ダメージください。

姫子:OK、では頭部直撃の21点防御力半減ダメージ!!

GM:ぐぁ、オークBが段々ガッタガタになってきてますね。しかしこちらの反撃!(ダイスを振る)……う。AB共にスマイト…。
 

 スマイト。ウェポンマスターリィ技能にある、いわゆる『渾身の一撃』です。
 命中は低いですが威力は絶大。
 ……命中は低いですが。命中は低いですが。
 ええ、オークが使うと命中は僅か13%になります。スワップしても20%ちょっと。
 案の定―――

 

GM:(ダイスを振る)……両方スカ。(一同笑)

虎次郎:よし、チャンス!(笑)

東:スーパーフルボッコタイム!(笑)
 

 そして攻撃をスカしたオーク2体に向け、小春がマハザンを飛ばします。
 便利な全体攻撃魔法。しかし、出目が悪く攻撃は外れます。
 東はシェアショットを連射。1発は避けられるも、もう1発が当たりそこそこのダメージ。
 そこに、前回集中をかけていた虎次郎が―――

 

虎次郎:『燕返し』!(ダイスを振る)……げ、1発目は当たったけど、2発目でダイスが89……。

GM:武器がいきなり壊れますね、それ。

虎次郎:命運使って振り直す! 買っていきなり壊してたまるか!!(一同笑)

東:お前、それ壊したら予備無いの分かってるよな?(笑)

虎次郎:分かってるよ!!(笑) (ダイスを振る)よし、こっちも当たった。

GM:(ダイスを振る)片方は辛うじて避けました!!

虎次郎:じゃ、ダメージは33点!!

GM:……倒れました。虎次郎さんの抜刀術で、胴をざっくり斬られたオークは倒れ伏します。周囲のゴブリンやコボルトから歓声が上がりますね。

東:嫌われてたんだなぁ、こいつら……(笑)。

小春:万象一切、因果応報ですよ。

虎次郎:じゃあ、刀をひと振りして血糊を飛ばして鞘に納め直す。 ……木刀とは違うな、やっぱり。

姫子:そりゃね……っていうか、随分一気に強くなったわね、私ら。

虎次郎:潜った死線と、あとは装備の差かね。今ならグールも軽く倒せそうだ。

GM/オークA:「くそっ、こいつら人間の癖に強ェ!?」 と、オークAは悲鳴を上げています。

東:さて、どうする? 大人しく帰って、二度とここに顔を出さないってんなら見逃してやるぞ。

GM:そうですね、では魅力チェックをして貰いましょうか。

東:(ダイスを振る)77、ファンブル。(一同爆笑)

GM:……失敗すると戦闘継続なら、ファンブルの場合なんだろう(笑)。

小春:(ぼそっ)仲間を呼ぶ?

GM/オークA:あ、それ採用で。ではオークAは、「うるせぇ、人間風情が!」 と逆切れかまして叫びを上げます。 「おい、手伝え! こいつら皆殺しにするぞ!!」

GM/オークC:すると人ごみ……というか、悪魔ごみを蹴散らし、もう一匹豚頭が駆け込んできます。 「何だ何だぁ? 生意気な人間がいるってぇ!?」(一同笑)

虎次郎:……東、お前……(笑)。

東:ち、違う! 小春が余計な事言うから!!(爆笑)

小春:私!?(爆笑)

姫子:……さーて、どうしよっかこれ(笑)。
 

▽ラウンド3〜4▽
 

 さて、何か第一話の餓鬼戦に近い展開になってきました。
 敵増援が到来し、消耗戦の様相を呈し始めた第三ラウンド。
 姫子はまた『曲がり』を確実に当てる為、行動を遅らせます。

 その結果先手を取ったオークAとオークC、虎次郎と姫子に一発ずつ通常攻撃。
 姫子には当たらなかったものの、虎次郎は『見切り』を使っても回避失敗。
 防御力を差し引いても10点ほどの実ダメージを食らいます。

 そしてPC側の攻撃。
 小春はマハザンをぶっ放すも、出目が悪く発動失敗。
 東の射撃は一発だけ命中するも、ダメージダイスでまさかのピンゾロです。
 一応、2点だけ通りましたが……。
 
 虎次郎は抜刀術での攻撃を諦め、剣を鞘から引き抜きます。通常攻撃で戦う構え。
 姫子は『曲がり』に集中を始めました。
 

 続く第四ラウンド、前のラウンドの終わりに集中をかけていた姫子は高度な技をかけて『曲がり』を放ち、オークAにヒットさせます。
 そしてダイス目が―――

 

姫子:2D6+14で、出目が5と6。6を振り足して6の6の3で、合計40点!!

GM:げぶっ!!?
 

 防御力半減の効果も相まって、一気に頑丈な筈のオークのHPを半分以上削り取ります。
 オークAは自身の手番でディをかけて僅かにHPを回復したりもしますが、元々魔力の低いオーク。回復量は僅か6点。
 オークCは虎次郎にスマイトを放つも、これがなんとある意味奇跡的なダイス目。

 

GM:(ダイスを振る)……99。(一同爆笑)

姫子:遂に出たわね、絶対ファンブル(笑)。

東:出目00は絶対にクリティカルに、99は絶対にファンブルになる特殊な出目だからな。……で、どうなった?(笑)

GM:(ダイスを振る)……えーと、これは……。姫子さんの『曲がり』でフラフラになっていたオークAに、スマイトが直撃してダメージ43で一気に瀕死の重傷になりました。(一同爆笑)

小春/オークA:「ごぶぁ!? …お、お前何しに増援に来たんだ!!?」(一同爆笑)

虎次郎:ホントだよ! 出て来てむしろ助かってるよ!!(一同笑)

GM:直前に自前でディしてなかったら倒れてるダメージでしたよ……。

小春:じゃあ、そこにマハザン。(ダイスを振る)……あれー、出目88?(一同爆笑)

虎次郎:こっちも自爆ボンバー!!?(爆笑)

GM:…えー、このままですと味方全体に攻撃が飛びますが(笑)。

小春:命運! 命運で振り直します!!(笑) (ダイスを振る)…あ、駄目。普通の失敗。

東:なんともダイス目が怖い戦いだな、オイ(笑)。とりあえずボロボロのオークAに『シェア・ショット』。(ダイスを振る)…む、一発だけ当たり。

GM:(ダイスを振る)…回避出来ませんね。ダメージ下さい。

東:23点……どうだ!!

GM/オークC:お見事、それでオークAも倒れます。オークCは仲間があっさりやられた事に動揺していますね。 「てめぇら、人間の癖によくも!!」

虎次郎:(素で)……いや、半分くらいお前が当てたスマイトのせいじゃね?(一同爆笑)

GM:それを聞いたオークCは、豚面に冷や汗を浮かべます。(一同爆笑)

東:自覚してる!(笑) 自覚して冷や汗流してる!!(爆笑)
 

 で、最後に虎次郎の通常攻撃。
 しかし龍牙刀は空を切り、次のラウンドに戦闘はもつれこみます。
 

▽ラウンド5〜6▽
 
 第五ラウンド。姫子は相変わらず、限られたMPを有効に使う為に行動を遅らせて『曲がり』に集中を選択します。
 オークはその行動を遅らせた姫子に攻撃。回避し損ねた姫子、HPを15点ほど削られて一気に半減。ただし、行動を遅らせてからの集中を選択したお陰で、集中効果が打ち消される事はありませんでした。
 続く小春も、ブフを確実に当てる為の集中を開始します。
 
 そして、東&虎次郎―――

 

東:最後の『シェア・ショット』!(ダイスを振る)……出目スワップしても78と79!!(一同笑)

虎次郎:龍牙刀で斬りかかる。(ダイスを振る)出目96、スワップしたらどうにか69!!(一同笑)

姫子:帰れ!(爆笑)
 

 壮絶な出目でスカした二人。
 その後に姫子が集中し、第六ラウンドに突入します。
 そして集中込み高度な技10%『曲がり』を放つ姫子ですが、ここはハズレ。

 

姫子:……むぅ、まぁおおよそ50%だしね。毎回当たるわけが無い、か。

虎次郎:むしろお前は安定して当ててる方だと思うけどな。安定しないのは俺と東で。

東:いや、俺は安定してるぞ? 安定して悪い。(一同笑)

GM:最悪じゃないですか!!(笑)
 

 で、オークの攻撃は虎次郎に飛びますが、得意技化(成功率+10%)している見切りにより、やたら高い回避力を持つ虎次郎、あっさり回避。
 正直物理攻撃に関しては6割超の回避力を誇る虎次郎、回避壁としての実力は相当のものです。
 まぁ攻撃に関しては―――

 

虎次郎:(ダイスを振る)駄目ぷー。(一同笑)

姫子:こいつはもう……駄目なんじゃないかしらね。(一同笑)

虎次郎:あと、流石にMP尽きた。見切りももう使えないから、どうにか早めに決めよう。

GM:うーん、援軍のせいで長期戦になってますねぇ。

東:ちょっと待ってろこっち(後衛組)も大分必死だから!!(笑) ピクシー呼ぶべきだったかコレ……!?(笑)

GM/ルサールカ:後ろの方からルサールカのお姉さんが見てますが、ワタワタしてますな。 「だ、大丈夫!? 手伝う!?」(一同笑)

小春:まだです! 牛頭鬼や馬頭鬼の親戚と思しき豚頭に負けるものですか!

姫子:あれ一応西洋産だから、あんまり東洋の妖怪と関係無いと思うわよ(笑)。

虎次郎:イベリコ豚と黒毛和牛くらい違うな。(一同笑)

東:なんだその例えは(笑)。
 

 で、東と小春はこのラウンドは集中のみ。
 しかし続く7ラウンド目―――
 
▽ラウンド7〜8▽

 

姫子:行動遅らせて集中ー。

GM:オークは何故か無傷なのに回復魔法ー。(一同笑)

東:アホAIめ……(笑)。

小春:今が好機! 織田上総介信長公が見せた桶狭間ばりの好機です! 集中してたブフを―――(ダイスを振る)よし当たり!!

GM:うげっ。

小春:回避は失敗ですね? ダメージは―――(ダイスを振る)よし、6の目が出たんで副効果発生+振り足しです。ダメージ20、凍結効果付き!!

GM:うわ痛い。しかも凍った!! えーと、凍結はターン終わりに耐久チェック。ただしそれまで回避行動や自立行動は不可能、っと。

東:っしゃあ! 未だ、潰すぞ虎次郎!! シェアショットで―――(ダイスを振る)よし2発命中。敵は回避できないから、ダメージ出して、21点と24点!

虎次郎:続けざまに一閃。ダメージは1個回って33点だな!!

姫子:……ねぇあんた達、なんで相手が弱った瞬間に尻馬に乗るように強くなるの?(笑)

東:勝てる時に勝つ。これが必定だろ?(笑)

GM/オーク:ギャー、ボッコボコですね。ほぼ1/4までHP削られました。(ダイスを振る)……あ、こりゃあかん。氷漬けからの離脱も失敗。身体の各部が凍ったまま、オークはもがいてます。 「こ、この人間ども……!!」

姫子:はいはい、豚さんはブヒブヒ言ってなさい。 ―――で、ラウンド8になって、まずは私の行動ね。前のラウンドで集中してた『曲がり』を撃つわ。(ダイスを振る)……うん、集中してたから流石に命中。ダメージは―――(ダイスを振る)回ってダメージ26の装甲半減。どう?

GM:あ、駄目だ。その一撃でHPが0以下になって死亡します。

姫子:じゃあ、叩きつけた掌打で首の骨をへし折って、にこりと微笑みます。 ―――ただし、地獄でね?

虎次郎:お、おっかねぇ……。(一同笑)

GM:では戦闘終了ですねー。
 

◇戦闘終了・決算◇
合計経験値:150点(一人頭37点/端数切り捨て)
CP:60
 
◆世知辛い悪魔事情◆

 

姫子:うふふ、すっきり。戦闘終わったらハンカチで手を拭いて、にこにこしてます。

虎次郎:まぁ、刀の血糊をボロ布で拭いて、しげしげと刀を眺めてから鞘に収めよう。んで、周囲の野次馬見まわして、さっき俺にコレ売ったコボルトが居るなら声かけるわ。

GM:あ、はい。居ますけどなんて声かけるんですか?

虎次郎:これ良いな。悪い、さっきの兄ちゃん。これが28万ならお買い得だわ。高いっつったのは訂正する。

GM/コボルト:「え、あ、うん……そ、そう?」 と、コボルトさんは少し頬が引き攣ってますが(笑)。

東:あー、動じねぇなお前ら(笑)。とりあえず周囲を見回そう。このマーケットの責任者っぽいのは居るか? とりあえず対応を決めたい。さっきの反応見るに、マーケット側としてはこいつらは邪魔だったんだろうが―――

GM/ルサールカ:あ、ではルサールカが東さんに声をかけますよ。 「お兄さん達、強いわねぇ。人間にしちゃ相当だわ」

東:そらどーも。んで、姉ちゃん。ここらの纏め役的な奴は居るか? こいつらブッ殺した事で何かしら不都合とか出るのかその辺確認したい。

GM/ルサールカ:「纏め役、ねぇ。そういうのは居ないけど、一番強いのは私かなぁ?」 と、赤髪のルサールカはこてんと首を傾げますよ。 「まぁ、危ない所を助けて貰ったわけだし、まずは治療を―――っと」 と、メディア(低位全体回復魔法)を唱えます。全員20点ほど回復して下さい。

虎次郎:あ、それありがたい。あとMP回復は?(笑)

GM/ルサールカ:「一晩寝ろ」(一同笑)

虎次郎:じゃあ仕方ないんで、少し離れてマーケットの適当なゴザの上で寝っ転がります。(一同笑)

GM/ルサールカ:「誰が今寝ろと!?」(笑)

虎次郎:いやほら俺基本ゆるキャラだし、そのゆるキャラが剣振るって大立ち回りしたんで疲れたっつーかァ……(笑)。

姫子:(笑顔で)のそのそと寝転ぶトラの傍まで行って、おもむろにストンプ(踏みつけ)をカマします。(一同爆笑)

虎次郎:もロパッ!?(爆笑)

姫子:えー、そんで動かなくなったトラの胸倉ひっつかむようにして引き摺って戻って来ます。あ、トラが占拠しようとしたゴザの持ち主には丁寧に笑顔で一礼するわよ(笑)。 御免なさいね、馬鹿が迷惑かけて。

GM/ゴブリン:「……え、あ、はい、すいません」 と、何故かこちらが謝りながらゴブリンがカクカクと頭を縦に振ります(笑)。

姫子:で、戻ったらルサールカさんにも頭を下げるわ。 ごめんなさいね、このトラったら躾がなってなくて(笑)。怪我の治療、感謝するわ。

GM/ルサールカ:「えーと、うん。治療した以上のダメージを、今さっきストンプで与えたようにも見えるけど……」

姫子:気のせいよ。 と、満面の笑みで(笑)。

GM/ルサールカ:「…………………そう」 と、ルサールカさんは追及を諦めるかの如く遠い目をします。で、東と小春の方に向き直りますね。

小春:あ、私は周囲の悪魔の方々に『お騒がせしました、お騒がせしました。奉行所はどこでしょうか』と頭下げて回ってますんで(笑)。

GM/ルサールカ:「…………………デビルサマナーさん、少し話を良いかしら」(一同笑)

東:あ、コミュニケーション相手を俺に絞った!?(笑)

GM/ルサールカ:他がちょっとアレなんですもん!!(笑) 「こういうマーケット、というより下っ端悪魔への干渉って初めてじゃなかったのよ。まぁ悪魔にも縄張り争いがあるわけで―――ロウ、カオス、ニュートラルって言って分かる? おねーさんの楽しい悪魔講座なわけだけど」

東:大雑把に言って性格、傾向だろ? ロウは秩序と束縛、カオスは自由と混沌、ニュートラルはその中庸。

GM/ルサールカ:「その通り、良く出来ました。で、ロウとカオスはまぁ主義主張から合わないんで昔っから、それこそ神話の時代からあーだこーだやり合ってるわけなのよ。……で、最近また悪魔召喚プログラムとやらが出回ったせいで、また世の中ややこしくなってきたでしょ?」

東:あー……まさか縄張り争いとか、か?

GM/ルサールカ:「うんまぁ、それが騒がしくなってきてるんだけど、それに乗じて好き勝手しようってしょーもないチンピラ連中も居るわけよ、悪魔にもね。さっきの奴らはカオスとロウがにらみ合って動けないうちに、自分らの欲望満たそうとしてるアホ。―――なんだけど、そのアホの裏側がちょっと厄介でね」

小春:裏側ですか?

GM/ルサールカ:「実はこれ、カオス陣営が煽ってるのよ。―――堕天使アンドラス、って言って分かる?」

東:……調べて良い?

GM:そうですね。相手が目の前に居るわけではありませんが、アナライズで調べられるとします。レベル15ね。

東:いや、DDAだと出現値Cランク以上の敵は判別できないからなぁ。

姫子:まぁレベルだけでも分かれば。データどんなんだったかしら?

GM:あら。判別不可能でしたっけ。では、アンドラスについて簡単に説明しましょう。ソロモン72柱の1柱で、地獄の侯爵。狼に乗った黒い鳥……と、記述されていますが、メガテンでは鳥人間ですね。不和を振りまき争いを起こさせる事を得意とする堕天使で、強力な炎魔法を使えますが敵として出た時のAIは狂ったように通常攻撃を繰り返すクソAIです。(一同爆笑)

東:最後私怨混ざってね!?(爆笑)
 

 メガテン覚醒篇の敵の行動は、基本的にランダムダイスで決定されます。
 1〜6まで行動パターンがあり、2D6を振り低い方の目の行動パターンを行う―――のですが。
 1〜3が『通常攻撃』となっているアンドラスは、3/4の確率で通常攻撃を繰り返します。

 別に物理特化の悪魔だけならそこまで特筆する存在ではないのですが、この悪魔は何が悲しくて通常攻撃にこうまで拘るのか。
 せめて技使おうよ……。物理特化悪魔だったら大抵、通常攻撃と特殊技で殴りかかって来るんだから……。
 っていうか貴方の場合は魔法撃つのが一番強いのに、まず魔法を一度も撃たずに戦闘終わるし……。

 

虎次郎:でも分かり易いな。『不和を撒き、争いを起こさせる』悪魔なら、まぁニュートラル陣営を煽ってこうやって内部で暴れさせてるわけだ。

GM/ルサールカ:「同じ属性でも、考え方の差があるから色々細分化されるんだけどね。ともあれ妨害があって鬱陶しいのは事実と言うか、鬱陶しい通り越して今回はかなり不味かったし。―――で、さぁ。相談なんだけどぉ」 と、ルサールカは媚びるような目を向けて来ます。 「お兄さん達、強いんだし……よければアンドラスをブチのめしてきてくんない?」

姫子:オーケー分かったわ。そいつがまた、私らの街で好き勝手してるわけね。殴りに行くわよ、トラ、東、小春!!(一同笑)

虎次郎:待て待て待て待て!!(笑)

小春:……姫子先輩、流石に今回は幾許かの金子を要求しても罰が当たらない話かと(笑)。

東:まぁでも、不和の芽を撒くとか言う面倒そうな奴がこの街でブイブイ言わせてるってのもなんかなぁ。ちなみに出現値Cだし、かなり強い悪魔って認識で良いんだよな。

GM/ルサールカ:「魔界とのゲートの緩み具合が今ぐらいなら、かなり上位の悪魔じゃないかしらね」

東:ふーむ……。

GM/ルサールカ:「勿論タダとは言わないわ。そうねぇ―――合計で50万円分までの出現値B装備、とかでどう? あとは―――あっつーいキスとか」 と、妖艶な表情でルサールカさん笑います。

東:後者要らんから10万円分くらい上限上げて貰えね?(一同笑)

GM/ルサールカ:「そぉい!!」 と、太もも狙ってパーンとキック!!(一同笑)

東:おうふ!?(爆笑)

虎次郎:……元気だなー、お前(笑)。

東:い、今のは冗談としても、だ……。真面目な話、仲魔になってくれそうな悪魔、紹介してくんね? 流石にピクシー1匹じゃキッツい。

GM/ルサールカ:「……んー、そうね。じゃあ、紹介だけなら。実際に契約するかは当人間で決めて貰うって感じでどう?」 あ、ルサールカが紹介できるのは、ニュートラル属性のGP以下の悪魔だけです。

東:ぶっちゃけ前衛が欲しいんで、コボルト一択だな。
 

 コボルト。追加データ集出身の6Lv地霊です。
 地霊は耐久力が高い種族なので、コボルトはLv6にしてHP48を持つ頑丈な前衛ユニットですね。
 属性的にも氷無効や物・技半減など、高水準で纏まっています。
 弱点としては、壁としては有能でもあくまで壁としての役割以外には期待できないレベルで、攻撃性能が低いことでしょうか。
 一応、殆ど効果の無い補助魔法と雀の涙ほど回復する全体回復を使えます。MP自体は多め。
 麻痺と精神効果を解除できる魔法も覚えていますので、そちらに期待しましょう。

 

姫子:良いんじゃない? 前衛が居れば、ピクシーも自由に出せるようになるでしょ。これまで私達、ピクシー含めたら前衛2の後衛3だったからね。無理して東が前に出るくらいしか、フルメンバーで行く手段なんか無かったし。

東:うむ。これでコボを前衛に置きつつ、ピクシーを後衛に配置できるようにな……ればいいなぁ。交渉成立させんと(笑)。

GM:では、ルサールカが来てくれそうなコボルトを呼びに行きますんで、来たコボと交渉と参りましょうかー。

虎次郎:さっきの刀売ってくれたコボじゃ駄目なん?

GM/コボルト:「やめてください、しんでしまいます」(一同笑)
 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇ 

GM:さて、それでは悪魔との対話ですねー。コボさんは会話パターン『若者』です。会話成功後の魅力チェックには、前後の状況と合わせて+20%のボーナスを差し上げましょう。

東:おー、それはありがたい。
 

 悪魔との会話は前回インプ相手にやったように、ランダム表を用いて決定された反応を返して来る悪魔と交渉し、悪魔側の要求を満たした上で魅力チェックに成功すれば、こちらの要求を聞いてくれるというものになります。
 『その悪魔の会話パターンのランダム表で1D6』→『出て来た内容に対応する要求を満たし、魅力チェックに成功すれば相手がこちらの要求に対応(内容と反応による)』というのが悪魔会話の流れですね。
 しかし、悪魔の会話の中には要求に限らないものもあり―――

 

東:(ダイスを振る)とりあえず会話パターンは6。

GM:コボさんは逆上して襲い掛かって来ます。(一同超爆笑)

虎次郎:何した東お前!?(爆笑)

東:知るかァァァァァ!!?(爆笑)

GM/コボルト:「テメェ、殺すぅ!!」 と叫んで棍棒を振り上げるコボっさん。 「ちょっと強いからって良い気になってんじゃねぇぞォ!!」(一同爆笑)

姫子:GM、GM!(笑) ルサールカさんの反応はどうなってるの!?(笑)

GM:え、うん。呆然。(一同爆笑)

姫子:ですよねー!!(爆笑)

小春:こ、これは殴り倒しても宜しいのでしょうか?(笑)

GM:いやまぁ相手が殴ってくるんだから仕方ありませんね(笑)。
 

 ―――戦闘省略。
 いやまぁ、PC側のMPが尽きかけている状況ですが、装甲が15点とか16点ある姫子や虎次郎相手に、攻撃手段が9+2D6点ダメージの物理攻撃しか無いコボルトさんでどうしろと。
 そこそこタフ+銃が通じにくい+MP切れかけなので無駄にコボさんが粘り―――

 

姫子:(ダイスを振る)よし、ブン殴ってダメージ18だけど……。

GM:(さばさばと)あ、駄目っすね。それでコボさんは消えて行きます。

東:………とりあえず終わったら遠い目をしてルサールカを振り返ろう。 なぁ、ルサールカさんよ。俺、なんかしたか?(一同笑)

GM/ルサールカ:「……こ、交渉ダイスで6振った?」(一同爆笑)

小春:メタな!!(笑)

GM/ルサールカ:「…………えと、はい。すいません……渡す品、増やさせて頂きます」 と、ルサールカさんは綺麗な土下座をキメたのでした。(一同爆笑)
 

 で、ダイス事故でコボさんがいきなり何故か殴りかかって来た一戦を経て。
 出現値Bで合計60万円までの装備を約束されたPC達。
 貰ったのは―――

 

姫子:GP12の60万円装備、グーテンダークを買いました。これで使いきっちゃったけど。

小春:グーテンダークって何ですか?

姫子:棘付き鉄球付属の棍棒。主にMP節約用に。毎回毎回曲がりで殴ってたらMPがねぇ……。

GM/ルサールカ:「……なんだろう。棘付き棍棒を肩に担いだ貴方の姿に全く違和感が無い……」(一同爆笑)

虎次郎:前世からの因縁と言われても納得してしまう、圧倒的棍棒との相性……(笑)。

姫子:おもむろに素振りを開始します。トラの頭部に突き刺さるくらいの高さで。(一同爆笑)

虎次郎:ごめんなさい!(笑)

東:とりあえずそのごっつい棍棒が報酬なわけだ。まぁ、ウチの主戦力の片割れが気に入ったみたいだから別に良いけど。

GM/ルサールカ:「うん、それじゃ契約成立ね。敵は堕天使アンドラス。配下にも悪魔がいるみたいだから注意して。

東:それだけじゃ流石になぁ。なんか情報無いのか?

GM/ルサールカ:「うーん……あ! 連中も動くのにマグネタイトが必要な筈だし、部下には感情や信仰からマグネタイトを得られるタイプじゃない、相手を食う事で生体マグネタイトを得ている、獣みたいな悪魔も居た筈よ。だから―――」

姫子:最近出てる行方不明者を探せば或いは、ってとこ?

GM/ルサールカ:「話が早くて何より。こっちでも調べておくから、お願いできない?」

東:……うーむ、了解。それじゃ帰ったら、調査してみるか。

虎次郎:宜しくな、東!(笑)

東:お前もやるんだよ!!(笑)
 

◆行方不明事件を探して◆
 
 ―――で、翌日。
 とりあえずルサールカさんへの連絡方法を確保したPC達は、事件の調査を開始します。
 幸い学校が休みだったので、集まったのは前話でも使われた東の隠れ家。

 

虎次郎:さて、一晩寝てMPも回復した事だし!!

東:おう。

虎次郎:おもむろに隠れ家のベッドで惰眠を貪ります。(一同爆笑)

東:姫子、ゴー!!(笑)

姫子:(爽やかな笑顔で)ベッドの上のトラに4の字固めを仕掛けます。(一同爆笑)

虎次郎:ギブ、ヒメ、ギブ!!(笑)

姫子:Give? つまり下さいって事よね? もっとやれって事よね。OK任せなさい。(一同爆笑)

虎次郎:ぎゃああああああああああ!!(爆笑)

小春:あら、姫子先輩は英吉利語をよく知ってますねー(笑)。

東:……なぁ、小春。お前、英語の成績大丈夫なのか?(笑)
 

 ―――で、東、パソコンで調査。
 情報調査ソフト『わんぱくクリッパー』をインストールし、ネットを漁って界隈での行方不明事件などについて調べます。
 結果―――出て来た事件は3つ。
 
 駅前中心に、夜間にサラリーマンやOLが行方不明になっている事件。
 斗有高校とは別の高校で、学生が数名立て続けに行方不明になっている事件。
 そして、余り表沙汰になっていませんが、この街にあった小さな暴力団の構成員が次々に消えている事件。

 

東:……と、まぁ出揃ったわけだが。

小春:2つはハズレ、当たりが一つですかねぇ?

虎次郎:……んー、残り二つはアンドラス以外の悪魔がやってる事件なのか? それとも……。

GM:さーて、どうでしょうねー?
 

 ―――ネタばらしをしますと、これらは3つとも直接的にアンドラスに繋がるものではありません。
 それら3つには各々、アンドラスを追って事件を調査に来たNPCやら、アンドラスの手下やらが関わっています。
 ぶっちゃけどれを選んでも出て来るNPCや敵が違うだけで、大差はありません。

 まぁ当然PC側はそれが分からないので、被害人数やら時間帯やらの情報を元に議論が紛糾――――
 

東:はい、あみだくじ。

虎次郎:んじゃ、右から3番目の線で。

東:あいよー。……えーと、会社員やOLがやられてる奴だな。夜間らしいんで、解散してぐっすり寝てから、夜に調査行くかー。

姫子&小春:うぃー。

姫子:あ、学生服だと不味いと思うから、私服で集合ねー。

一同:おー。
 

 ―――……紛糾、しませんでした。
 何この議論をしようとする努力のかけらも見えない潔い意思決定。

 助けて、某ロイドのPLと某プリスのPL。
 より具体的に表現するならば、頭脳労働PL陣。
 そして一時解散したPC達は夜の駅前へ繰り出したのでした―――

 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇
 

姫子:では作戦を発表します。

小春:あい。

姫子:ロングコートの下に棍棒を隠した私が、無害な美人若手女性OLを装い街中を歩くから、皆はその後ろからついて来て下さい。私が襲われたら皆で急行してフルボッコで。(一同笑)

虎次郎:酷い詐欺もあったもんだな。どこが無害だよ、めっちゃ重装備じゃねぇかお前(笑)。

東:GM、それで大丈夫か?(笑)

GM:ええ、そうですね。問題ありません。囮となる姫子さんが3回加護チェックして貰います、としますか。1回でも成功すれば当たりを引きます。ファンブルしたら無関係なトラブルに巻き込まれます。3回とも外れたら、調査はハズレという事になりますね。

小春:残念無念また明日、と言う事ですか。

姫子:さーて、私の加護はメンバー中最低値なのよね。まぁ大差ないんだけど。
 

 そんな感じで始まった、対アンドラス(仮定)囮捜査。
 姫子を囮として、他の面々が離れた場所から追跡しますが―――

 

姫子:(ダイスを振る)78。あっぶね、失敗。おどおどしながら、周囲を怖がるような素振りを見せつつ、人気の無い裏路地を歩いて行きます。

離れてる虎次郎:(ボソ)似合わねー。

姫子:獲物を射殺す鷹のような眼光をそっちに向けます。(一同爆笑)

離れてる虎次郎:ひ、ひぃ!?(爆笑)

離れてる東:……真面目にやれ、お前ら(笑)。
 

 とか。
 

姫子:(ダイスを振る)……やっべ、2回目も駄目ね。ちょっと方向性を変えて、千鳥足で歩いて電信柱をゴスゴス叩きながら架空の上司の愚痴を電信柱にこぼしてます。(一同笑)

離れてる小春:やだ……なにあの迫真の演技。(一同笑)

離れてる虎次郎:俺が仮に行方不明事件の犯人だとしても、アレは近寄りがたいな(笑)。

姫子:あんたら好き勝手ね……(笑)。
 

 とか、なんか見事に空振りしつつ。
 3回目の判定―――

 

姫子:(ダイスを振る)……今度は当たり! 出目08で成功よ!!

GM:おぉ、おめでとうございます。では少し離れた路地で男性の悲鳴が上がりますね。

姫子:私に来るんじゃないの!?(一同爆笑)

東:まぁ仕方ない(笑)。モーゼル抜いて、そっちへダッシュしてくぞー。

虎次郎:嬉々としてやがる(笑)。

姫子:ええい、仕方ない。合流してそっちに向かいます。GM、OK?

GM:勿論です。―――では、裏路地を駆け抜けた皆さんが見たのは、皆さんと同じか1,2歳程度年上に見える、紫に近い銀色の髪の西洋人女性が、レイピアを手にして悪魔と対峙している光景です。その背後には気絶した様子の、サラリーマン風中年男性が。

虎次郎:……なんだこの状況? 足を止めて、刀に手をかけるぞ。

姫子:棍棒振りかざして悪魔の方に突っ込んで行きます!!(一同大爆笑)

虎次郎:お前本っ当にブレねーなオイ!!(爆笑)

東:いや、見た目バーバリアンなのはどうかと思うが、俺もここは姫子に賛成だ。明らかにその女性、襲われてたと思しきサラリーマンを庇ってるみたいだし。

GM:まぁ、待って。状況描写をさせて下さい(笑)。まずその女性は、肩にかかる程度の長さのセミロングの髪と、怜悧そうな眼鏡が特徴の女性ですね。胸元には十字架、ロザリオが光っています。

東:―――メシアンか、この女!?
 

 メシアン。メガテン世界に存在する、メシア教という宗教団体の教徒となります。キリスト教系の新興団体、という設定になりますね。
 ロウ、つまり秩序属性の大派閥であり、平和的なキリスト教に比して排他的で攻撃的な要素が強いですが、純粋に弱者救済などを目的とする信者も当然居ます。
 また、原作メガテンでも力無き人々を保護し一大勢力を築いている―――のですが。
 前述の排他的・攻撃的な部分に加え、狂信的な部分が描写される事が多く、厄介な狂信者という印象を持っているメガテンプレイヤーは多いのではないでしょうか。

 ちなみに2chの『やる夫系スレ』における『できる夫の相棒は全知全能なようです』シリーズさんなどは、そういったイメージとは違う魅力的、かつ人間的なメシアンの姿が描かれたメガテン系スレです。
 ロウ、カオス、ニュートラル。全ての陣営が魅力的に描かれた傑作ですので、やる夫系スレに忌避感が無く、メガテン系に興味のある人は読んでみるのをお薦めします。
 面白いですよ!
 
 ―――ちなみに。
 奇しくもそのシリーズの主人公の「できる夫」と、このメシアンの少女には共通点があったりしますが、それはまた後々。

 

GM:で、メシアンの女性は腕にアームターミナルを装備していますね。どうやら悪魔召喚師でもあるようです。そして彼女と相対している悪魔は、冠を装備したフクロウのような悪魔が2体です。

東:アナライズはしていいのか?

GM:構いませんよ、今どうぞ。

東:(ダイスを振る)あ、駄目だ。なんだこれ。(一同笑)

GM/メシアンの女性:『不確定名:フクロウ』ですね(笑)。ではメシアンの女性は飛び込んで来た皆さんに向けて叫びます。 「―――っ!? 逃げなさい、ここは危険です!!」

小春:と、叫んだメシアンのお姉さんの目に飛び込んで来たのは、ネクタイを鉢巻のように頭に巻いて棍棒を振りかざす姫子先輩。(一同爆笑)

姫子:ネクタイ!?(笑)

小春:え、さっきまで酔っ払ったリーマンの真似をしてたんでは?

姫子:ま、まさかその演技のせいでネクタイ頭に巻いてる扱いされるとは思わなかったわ……(笑)。まぁ、言われた以上は仕方ない。ネクタイを頭に巻いたまま、棍棒をフルパワーでフクロウに振りおろします。

GM/フクロウ?:まぁ姫子さんは判断が異常に速かったので、先制攻撃を許しましょう(笑)。―――あ、命中ですね? ではフクロウは、「ふっ、また愚かな人間が我らの餌になりにって何その棍棒もバロげああああああああああ!!?」 と吹っ飛ばされます。(一同大爆笑)

虎次郎:うわぁ、何だか凄い事になっちまったぞぉ……(笑)。

姫子:(淡々と)あ、ダメージ回った。35点。(一同爆笑)

東:強っ!?(笑) 出現値Bランクの武器だけあって、強っ!?(笑)

GM:あの、すいません。その一撃で不確定名フクロウ―――まぁぶっちゃけますけど、堕天使ストラスのHPが半分近くになったのですが(笑)。

小春:あのぉ、メシアンのお姉さんの反応は如何に?(笑)

GM/メシアンの女性:ポカーンとした表情で、交通事故にあったみたいに吹っ飛ぶストラスを一瞬目で追ってから、ハッとしたように残ったもう一匹に注意を戻します。 「―――貴方達は、少なくとも敵ではありませんね?」 と、声だけで確認取って来ますが。

東:話が通じるなら、こっちから喧嘩売る理由は無いわな。 そう返事しつつ、モーゼルをストラスに突き付けて、にやりと笑おう。 ―――C'mon Baby! 遊んでやるよ!!

GM/メシアンの女性:不真面目な東さんの言動に少し眉を顰めた女性ですが、軽く頭を振ってアームターミナルを操作。彼女の背後に、法衣を纏った性別不明の幽霊のような悪魔と、翼の生えた女性のような悪魔が出て来ます。 「ホーリーゴースト、ハーピー。その男性を保護しつつ、周辺警戒を」

東:良い悪魔連れてるなぁ……。
 

 で、ここまで出て来た悪魔についての簡易解説。

・ストラス。11Lv堕天使。
・ソロモン王の72柱の1柱であり、占星術や宝石、薬草に詳しい知恵者。
・物理と魔法をバランスよく操る、魔法戦士型悪魔。堕天使の種族は力も魔力もバランスよく高いので、この手のタイプの悪魔が非常に多い。
・……アンドラスもステータス的にはそうである。あいつは何故か、AIがかなりのクソっぷりを発揮して通常攻撃オンリーに近い生物になっているが。
 
・ホーリーゴースト。5Lv天使。追加データ集出身。
・その名前の通り神聖な霊であり、世界中あまねく存在し、あらゆる自然現象を起こしている力とも考えられていた。
・レベルの割に優秀な魔法使い系であり、火、氷、電、風への耐性も持っている。

・ハーピー。8Lv妖鳥。
・女性の上半身と鳥の下半身を持つ、翼有る女性。
・回復魔法と睡眠魔法を使えるが、物属性(主に鉄砲系)に弱いので注意が必要。

 

GM/メシアンの女性:「素人では無いようですが、甘く見ないで下さい。敵は下位とはいえ堕天使。侮って良い相手であはりません」

東:忠告は覚えておくよ、メシアンのねーちゃん。で、あんたはどーしてその『侮って良い相手じゃない』敵に、パンピー庇って戦ってんだ?

GM/メシアンの女性:「……無辜の、戦う力を持たない人を救う事に、理由を求めますか?」

東:……あ、成程。こいつ、メシアンでもそういうタイプか。んじゃ、肩をすくめて言葉を返そう。 ―――東。犬飼東だ。とりあえず共同戦線張るのに、名前も知らないってのもアレだろ?

GM/メシアンの女性:「―――リーゼロッテ・ブルイユです」 と、名乗られたならば言葉少なに返事をしますね。 「これがお互い交わす最後の言葉になった、などとならないよう、注意して下さい。遊びじゃないのですよ」

東:ノリが悪ィな、姉さん。こういう事件に関われるなんざ、実際そうそうある事じゃねーだろ。あんた映画とか見るタイプか? ホラーとかパニックとか、そういう映画ったら危ない場所に進んで行くのが常道だろ。じゃなきゃ、話が進まない。

GM/リーゼロッテ:「で、貴方の役どころは被害者Aですか?」

東:俺的にはヒーロー狙ってたりとかするんだがね。

姫子:ぶんぶん棍棒振り回してゴキゲンでそっちに振りむきます。 私は美少女ヒロインって奴ね!!(一同爆笑)

虎次郎:元気にホラー映画の敵を殴り飛ばして笑顔で追撃するヒロインがどこにおるか!(笑) それ単なるホラーをネタにしたコメディ映画だわ!!(笑)

姫子:あ、GMGM。この武器って副効果発生すると相手転倒さすんだけど、さっきブッ飛ばしたフクロウ、転がらないの?(一同笑)

GM:あ、じゃあ殴り倒された方のストラスは転がってもがいてます。(一同爆笑)

東:……ま、ジャンル違いも居るがね、身内には。 と、乾いた笑いを浮かべますか(笑)。

GM/リーゼロッテ:「……そのよう、ですね」 と、こちらは小さく溜息を吐きます(笑)。じゃ、戦闘開始しますかー。リーゼロッテは敵を1体引き受けてくれるのでもう1匹を皆さんで、とか言うつもりでしたが、既に1匹半分死んでるんで、2匹VS皆さん+リーゼロッテにさせて下さい。そうしないと秒で終わりかねない。(一同笑)

姫子:酷い事する奴もいるもんね。

一同:お前(あんた)だよッ!!(大爆笑)
 

◇VSストラス◇
 
 ―――さて、戦闘です。相手は11Lv堕天使ストラス。
 しかし1匹が瀕死、かつ転倒状態から始まったこの戦闘は―――
 
▽ラウンド1▽

 

GM:えーと、行動的にはストラスが最速で、僅差で姫子さんとリーゼロッテの同時行動に続くわけですね。そこから下にかなり離れて残りの3名、っと。

姫子:あら、リーゼロッテさん素早い。流石はフェンシング使い?

GM:フェンシングも骨法と同じく、敏捷に補正入る技能ですしね。まぁ、ストラスズの行動からです。ストラスAは転倒状態から、よっこらしょと1アクション消費して起き上がります。(一同笑)

小春:不憫な……(笑)。

東:あー、でもフクロウが転んだ状態から起き上がるのって少し可愛いかもしれんな(笑)。

姫子:そこ狙ってすかさずブン殴るけどね。(一同笑)

東:容赦無いなぁお前!(笑)

GM:ストラスBは、っと。(ダイスを振る)翼から剣が飛び出してきて、それで切りかかります。相手はランダムで―――姫子さん。(ダイスを振る)あ、外れた。

姫子:掌を上に向けて、くいくいと手招きしましょうか。挑発挑発。

虎次郎:さて、どーする? 実質的に全て先手取られてるし、行動遅らせれば好きな順番で攻撃できるぞ。

小春:あ、じゃあ私がまずマハザン叩き込んでみますか。転倒するかもしれないですし。

姫子:更に私が転倒可能性のある棍棒でブン殴ってから残りのメンバーが行動。OK、合理的ね。

GM/リーゼロッテ:「……貴方達は、退魔師か何かですか? 酷く手慣れていますが……」 と、そんな様子を見たリーゼロッテが疑問の声をあげますが。

虎次郎:いいえ、科学部です。(一同爆笑)

GM/リーゼロッテ:「……なんなんですか、この国」 と、リーゼロッテさんは頭痛を堪えるように頭を押さえます(笑)。

小春:それじゃ、行きますよー。えい、マハザン!(ダイスを振る)当たりかけてますー。

GM:(ダイスを振る)あ、AB共に回避失敗です。

小春:やたっ。ダメージは回って15です!

GM:ふははは! しかしストラスは風属性を半減するので、その攻撃は殆ど効きません!!

小春:でも転倒はしますよね?

GM:(しおらしく)……うん。(一同爆笑)

姫子:よーし、敵は2体とも転んだわよ! 殴れー!!(笑)

一同:おー!!(笑)

GM:やめてぇぇぇぇぇぇ!!(笑)
 

 ―――で。
 すっ転んだストラスに、嬉々として殴りかかるPC達。
 特にイイ笑顔で燕返しを放った虎次郎、いつもの攻撃時の出目の悪さを投げ捨てて2発とも直撃させ、転んでいたストラスAをあっという間に葬り去ります。

 で、残ったストラスBには姫子が―――
 

姫子:あ、出目55。やっちゃった、ファンブルだ。

東:げっ。

姫子:(ダイスを振る)……当たるのは自分か。なら振り直し無し。手からすっぽ抜けた棍棒が回転しながら自分の頭頂部に落ちて来ました。 げふっ!?(一同爆笑)

虎次郎:ギャグ漫画か!!(笑)

GM/リーゼロッテ:「……!?」 流石にぎょっとした表情で姫子さんを見てから慌ててストラスに視線を戻し、でも姫子さんを2度見してしまうリーゼロッテ。(一同大爆笑)

小春:気持ちは物凄くよく分かります(笑)。
 

 姫子がそんな身体を張ったギャグをカしたりしつつも。
 リーゼロッテ、火力の高い突き技『コル・ア・コル』を当て、転んでいるせいで回避にペナが入っているストラスに37点防御半減ダメージ。

 

GM:あかん。このレベル帯のフェンシング強い。(一同笑)

東:んじゃ、そこにシェアショット、っと。(ダイスを振る)良し直撃。

GM:か、回避―――(ダイスを振る)ファンブルァァァァァァアアア!! はい、ダメージ素通し入りましたー!!(一同爆笑)

東:Enemy Down!! 口笛を吹きませう。

GM:まだだ、ダメージ振ってない! 2D6でマイナス3以下が出れば生きてる!!(一同爆笑)

小春:……どうやって?(笑)

GM:なに、次元連結システムのちょっとした応用ですよ。(一同笑)

姫子:1ターンで終わるとは、思わなかったわ……(笑)。

虎次郎:俺らコボルトには4,5ターンかかったのにな(笑)。

GM:堕天使自体、かなり耐久に劣る種族ですもん。……ぐすん。
 

◇戦闘終了・決算◇
合計経験値:120点(一人頭24点)
CP:48

◆メシアン・リーゼロッテ◆
 
 ―――で、堕天使どころか単なるフクロウなんじゃないかとしか思えない活躍(?)っぷりを見せたストラスを撃破したPC達+1。
 とりあえず全員5Lvに到達可能なだけの経験値が溜まったので、メシア教徒リーゼロッテ・ブルイユとの会話と並行して、レベルアップ作業を開始します。
 
 その結果―――
 

・虎次郎
 抜刀術成長 強さ・耐久・器用・直観+1 直観ボーナスブレイク

・姫子
 骨法成長 強さ・耐久・敏捷・精神+1 強さボーナスブレイク

・東
 コンピュータ成長 器用・耐久・精神・知力+1 器用ボーナスブレイク

・小春
 魔界魔法/強化成長 敏捷・耐久・精神・魔力+1
 
 レベルアップの結果はこんな感じです。

 

GM/リーゼロッテ:ではレベルアップも終わったみたいなので再開をしませう。 「―――さて」 と、リーゼロッテはレイピアを仕舞わずに、眼鏡越しに鋭い視線を皆さんに投げかけて来ます。

姫子:あ、私は棍棒が直撃した頭頂部を抑えて転げ回ってます。(一同爆笑)

虎次郎:ヒメェェェェ!?(爆笑)

小春:で、私はその辺に散らばっているストラスが残したマグネタイトを拾ってます。おねーさんおねーさん、これ分け前は半々で良いですよね!

GM:訂正。リーゼロッテは転げ回ったり介抱してたり笑顔でマグネタイト拾ってる人達を放置して、東さんに鋭い視線を向けます。(一同笑)

東:俺だけかよ! 他の連中から目を逸らすなよ!!(笑) ある意味俺より危険な連中ばっかなんだから!(笑)

GM/リーゼロッテ:「貴方が一番情報を持っていそうだと判断しました。貴方達は何者で、何のためにここに来たのですか? その武装―――明らかに悪魔とやり合う装備ですが」

東:……うーむ、さてどうしたもんかね。メガテン原作的にメシアンってのは苦手と言うか、おっかないんだが。

姫子:あー、ガッチガチの排他的秩序主義ってやつ?

GM/リーゼロッテ:その言葉に、リーゼロッテは怒るでもなく溜息を吐きます。 「警戒されていますね。まぁ、貴方のようなタイプの方は秩序主義のメシアンとはソリが合わないのは分かります。ですが、秩序と束縛については、私は必要だと考えています」

東:と、言うと?

GM/リーゼロッテ:「信仰の優位性、などと言うのは止めましょう。信仰者は心が綺麗だから云々とも言いません。この場合、信仰ではなく秩序の問題について論じます。そも、心が綺麗な事や信心が篤い事は素晴らしい事ですが、それが何より重要というわけではありません」

東:……俺らの思想にレベルを合わせて来たな。

GM/リーゼロッテ:「上から目線の押し付けには共感などできないでしょう? で、その理由は心が綺麗でも信仰心が無くても、義務を果たす事は出来るからです。人間や生物として果たすべき行動上の義務を果たさない事への言い訳には出来ません」

GM/リーゼロッテ:「出来ない。やる気が無い。あまつさえ、それらの原因を自分以外に求める有象無象。それらが今の世には多過ぎる。―――それならば、秩序の元に管理・束縛されても文句は言えないでしょう?」

東:……む。

姫子:つまりまぁ、やる気の無い連中に義務を果たさせる為に、秩序は必要って事?

GM/リーゼロッテ:「ええ。働かざる者食うべからず、とはこの国の諺でしょう。秩序とは畢竟、弱者を守る為の物であり、それを効率良く行うためには秩序だったシステムが必要かと考えます」

東:んー、賛否は人によって分かれるだろうが、少なくとも論理的に秩序の必要性を考えてる人間ではある、って感じだな……。原作の狂信的メシア教徒じゃない感じがする。

GM/リーゼロッテ:「……と、いきなり思想論から入るべきではありませんでしたね。改めて名乗ります。リーゼロッテ・ブルイユ。お察しの通りメシア教徒で―――しかしメシア教団に所属はしておりません。メシア教の教えを奉じながらも、独自に動いて悪魔退治を行っている身です」

虎次郎:……また、ややこしそうな立場の人が出て来たな。

GM:ん、この子は理論家で難しい事喋るけど、立場としちゃそんなに難しいもんじゃないですよ。単に組織のフットワークの遅さとしがらみの多さから、救うべき無辜の民を救えないという状況を厭ってソロ活動開始したメシア教徒です。

小春:理想主義、理論型、善意の人――――って感じですかね?

虎次郎:……俺からもそう見える。どーする、ヒメ、東?

東:……しゃーない。相手が名乗った以上、こっちも改めて名乗り返さなきゃ、カッコ悪いのは礼儀知らずな俺の方になっちまう。―――犬飼東。高校生で、デビルサマナーだ。こっちは仲間の虎次郎、姫子、小春だな。

姫子:ヨロシク! と、頭からだくだく血を流しながら、笑顔でサムズアップしましょうか。(一同笑)

虎次郎:おいヒメ、治療しろよ(笑)。

GM/リーゼロッテ:「……え、えぇ」 と、姫子さんの言葉には腰が引けた様子でリーゼロッテは返します(笑)。
 

 ―――まぁ、これがさっき言った某スレの人とリーゼロッテの共通点。
 この子、要ははぐれメシアンです。
 しかしはぐれとはいえ、秩序思想のリーゼロッテ。カオスよりな東は彼女に苦手意識を持っているようですが、リーゼロッテは姫子が苦手。
 なんで登場して間もないのに強弱関係が見え始めてるの、この人達。

 ―――ともあれ、リーゼロッテが悪人の類ではないと判断したPC達。
 襲われていた人を交番前に転がしておいてから、自分達が妖精から依頼を受け、堕天使アンドラスを探していた事を伝えます。
 特に隠すほどの情報も無いので、だばぁとあらいざらい伝える一同。
 仮にリーゼロッテに裏があったとしても、メシアンらしき彼女がアンドラスと同盟しているとは考え難いからです。
 

GM/リーゼロッテ:「妖精に……?」 と、リーゼロッテは顔を顰めます。 「成程、最近ここらで動いていたのはアンドラスの手勢でしたか……」

東:あ、なんか色々動いてるんか。俺ら高校生の放課後営業の悪魔退治だから、どーにも情報戦に疎くてなぁ。

虎次郎:東がパソコンでカタカタやるか、小春が蔵書調べるかしか調査手段ないからな(笑)。

姫子:私が足で聞き込みに行くという手も、場所が危険そうだと使い難いしねぇ。

GM/リーゼロッテ:「……最近、悪魔召喚プログラムのせいで、不用意に悪魔関係の事件に首を突っ込む一般人が増えて来たのは知っていますが……」 と、リーゼロッテは困ったように眉根に皺を寄せます。 「貴方達もその典型的なパターンですね。ただし、異常なほどに上手くこなせてしまった例のようですが」

虎次郎:異常なほど、ねぇ?

GM/リーゼロッテ:「貴方とそちらの方は、元々一定以上の修練を積んでいた。各々東洋の剣術と、そして恐らく格闘術。加えて先程の戦闘での迷いの無さ。明らかに、短期間の悪魔関連の事件で培った『だけ』の物じゃない。相当場慣れしてますね?」

小春:まぁ、お二人はウチの高校の最強戦力ですからねぇ。斗高の虎と姫と言えば、近隣の不良が聞けば逃げ出すネームですし。(一同笑)

虎次郎:いつの間にそんな設定が!?(笑)

GM/リーゼロッテ:「加えて、そちらの……のほほんとした貴方。魔界魔法の使用が手慣れている。貴方、本当にここ最近魔法に目覚めたのですか?」

小春:あ、いえ。ブフに限定すれば子供の頃から。他の魔法も、なんていうか多少はコツが分かりますし。

姫子:多分だけど、子供の頃から野球やってた人間の方が、サッカーやるにしろこれまで運動して無かった人間よりは遥かにマシって事と同じ理論でしょうね。基礎的な身体の動かし方を理解しているのと同レベルで、小春は魔力や魔法というものに馴染んでる感じ。

小春:成程。熟練の庭球選手の方が、素人よりカバディが上手いのと同じ理論ですか。

姫子:え、いやそれ違―――あれ、同じ? 同じなの?(一同笑)

虎次郎:迂闊に対応するな、小春ワールドに引き込まれるぞ。(一同笑)

GM/リーゼロッテ:「……何らかの理由で昔から魔界魔法に慣れ親しんで来た人間、でしたか。そして最後に―――」 と、ここでリーゼさんは東さんに鋭い視線を向けます。 「貴方の場合は武術も魔術もありませんが、これらの装備を用立てた能力と、先の二人と同等の場慣れ。そして恐らく、悪魔召喚師ですね?」

東:召喚師っつっても、ピクシー以外は何も呼べないよーなレベルだがな。……コボさんとは交渉決裂したし。(一同笑)

姫子:いやぁ、あのコボさんは本当に何が不満だったのかしら……(笑)。

虎次郎:こちらが何かしたのかと思い返しても、何かする前にノータイムでキレてたからな、あの地霊……(笑)。

GM/リーゼロッテ:「それはともあれ、貴方達は元々高い戦力を有していた。それが悪魔との戦いで更に研磨たのも相まって、かなり戦える状態にまで鍛え上がっているように見受けられます」 そう言ったリーゼロッテはそれを聞いて、頬に手を添えて何かを考えてる様子です。

姫子:どうしたの? 正直私らどっかのPL2名と違って思考機能が高くないから、言わないと伝わらないわよ。(一同笑)

GM/リーゼロッテ:ええい、嫌なぶっちゃけを!(笑) 「……少し、考えます。ついでにこちらが持っている情報も開示しましょう」 というわけで、リーゼが持ってる情報をだばぁしますよー。
 

 ―――と、いうわけで。
 はぐれメシアン・リーゼロッテからの情報提供タイム。
 彼女が持っている情報は以下の通りです。

・最近この街で、悪魔によるものと思しき行方不明事件が続発している。
・学校、駅前で起きたそれは、恐らく悪魔によるものだった。 → ストラスが居た。少なくとも駅前のそれは確定。
・学校のそれには、クズノハが調査に向かってる模様。(※メタ情報だが、最初にここに行けば南雲さんが居た)
・暴力団構成員の一件は、ガイア教団(※メシア教団と敵対する、カオス側の教団)が関わっているらしい。
・それ以外にも廃病院や倉庫街で悪魔を見たという目撃情報があったが……。

 

姫子:あら、新しい場所の情報が出て来た。廃病院や倉庫街?

GM/リーゼロッテ:「ええ。そちらにも悪魔が出たという話があるのですが、犠牲者が出たという話にはなっていなかったので……。ですが、アンドラスのような高位の堕天使が裏で糸を引いているならば、逆にそういう場の方が怪しいでしょう」

虎次郎:あぁ、犠牲者が出てる場所は真っ先に調べられるしな。自分は安全な場所から、運ばれる生贄のみをイタダキマスって事?

小春:成程。……しかしメシアンが知らない情報、よく妖精が知ってましたね。

GM/リーゼロッテ:「油断、でしょうね。大規模な組織に知られたら潰される危険がある。ですが小規模な、それこそ組織とも言えない相手だから、ボロが出たという所でしょう」

東:まぁ、あそこのマーケットとか、最強戦力がルサールカの姉ちゃんだったみたいだからな。

GM/リーゼロッテ:「……それで、ですが。私の立場ですと、メシア教には情報を聞きに行くのは出来ても戦力の供出を願うのは厳しいのです」

東:……もしかしてさっきの悩んでたのって、俺らを巻き込んで良いか否かとかだった?

GM:リーゼロッテ、躊躇いがちにこくんと頷きます。

虎次郎:俺としては巻き込まれずに家で寝てたいんだけど……。

姫子:でも私と東は突撃組よね? で、小春は―――

小春:多数派につきますんで、私。(一同笑)

姫子:うん、3対1で行かない思考のはあんただけよ、トラ?

虎次郎:ド畜生ッ!!(笑)

東:っていうか俺らそもそも、ルサールカから頼まれてアンドラス探してるわけだしな。先払いで姫子の棍棒貰った以上は、既に引くって選択肢無いぞ。

GM/リーゼロッテ:「……メシア教徒として……いえ。メシア教徒としてだけではなく一個人としても、お詫びします。ただの学生を巻き込んで良いような事案ではないのですが、今の私に選択肢は無いようです。倉庫街か廃病院、どちらかが当たり―――少なくとも何らかの手掛かりはあるでしょう。どちらかを担当して貰えますか?」

東:だから元から行くつもりだったっつーに。生真面目なやっちゃな、お前さん。

GM/リーゼロッテ:「貴方が些か、不真面目に過ぎるだけかと。忠告ですが、遊び半分で首を突っ込んでいると―――死にますよ?」

東:遊び半分ン? 違うね、本気も本気で遊んでるのさ。遊びだから手は抜かない。そうじゃなきゃ、つまんねーだろ。

虎次郎:……と、ウチのサマナー殿は昔っから仰っています。昔っからこうだからな、こいつ。死ななきゃ、或いは死んでも治らないんじゃね?

GM/リーゼロッテ:リーゼロッテは処置なし、とでも言うように頭を振ります。 「……貴方達、一度メシア教会に行きなさい。特に貴方、そう、東。社会秩序を形成するのに必要な常識とかを徹底的に教授されるべきです」

小春:教会ですかー。基本的に伴天連仕様の建築は合わないので、和風の教会があれば是非。(一同笑)

GM/リーゼロッテ:「……それは、遠回しな『行きません』という主張でしょうか」(一同笑)

小春:何故に!?(笑)

姫子:いや、だって純和風教会って、どんな異次元建築物よ……(笑)。
 

 ―――で。
 はぐれメシアン、リーゼロッテと情報交換をしたPC達。
 学校で出る予定だった南雲さんと、暴力団関係に行った際に出て来る予定だったカオス側の人材はまた今度。

 ともあれ怪しそうな場所、即ち廃病院と倉庫の情報を聞いたPC達は、廃病院に向かう事を選択します。
 理由はあみだくじ―――ではなく、メガテン1序盤に病院が出てたからという、“なんとなく”な相談結果でした。

 

小春:ロウヒーローが加入する病院ですねー。

虎次郎:未だに謎なんだが、スティーブンなんで牢屋の中で車椅子取り上げられてなかったんだろうな……。(一同笑)

東:まぁとりあえず、廃病院行ってみるか。今から行って手がかりあればよし。無ければその時考えよう。

GM:はいはい、移動ですね。では―――
 

◆決戦! 廃病院!◆
 

GM:―――廃病院に到着すると……そうですね。直観で判定して貰って良いですか? 成功者は、廃病院の勝手口の奥から漂って来る血の匂いに気付きますね。知力でのチェックに成功したならば、ドアの蝶番が不自然に新しいのにも気付いて良いです。まるで廃病院が閉鎖された後に、誰かが使っていたかのように。

姫子:……血の匂いには気付いたわ。ぺろりと舌舐めずりします。

虎次郎:(←どっちも気付かなかった)……何の変哲も無く、廃病院だなー(笑)。

小春:珍しく虎次郎先輩が直観で失敗しましたねー。あ、私も両方失敗。

東:んー、俺は蝶番にだけ気付いた。 妙に新しいな、この扉のパーツ。誰かが使ってんのか?

虎次郎:それ言われたら調べてみよう。GM、足跡とか無い?

GM:そうですね。では直観で判定をどうぞ。

虎次郎:(ダイスを振る)……あかん。今日の俺、あかんかもしれん。(一同笑)

GM:何も分かりません。他の皆さんも駄目ですか?(笑)

姫子:そうねー。これはもう踏み込むしかないんじゃない?

東:踏み込むって―――

姫子:GM、ここで私はくるりと華麗にターンをキメて、後ろ回し蹴りをドアに叩き込みます!!(一同爆笑)

GM:ドアが!?(爆笑) ……え、えー……それでは体重を乗せた回し蹴りを叩き込まれたドアは、新品の蝶番が吹っ飛ぶ程の破壊力に晒された結果、ひしゃげて異音と共に建物の中に吹っ飛んで行きます。(一同笑)

姫子:全体重を乗せ、渾身の力で放つ回し蹴り―――。これが、私が使える唯一の魔法。アバカムよ。(一同爆笑)

東:そんな物理的な魔法があるかァァァァァ!!(爆笑)

姫子:高度に洗練された科学は魔法と区別がつかないという。そして、最近の武術は科学的な手法も取り入れている。つまり、高度に洗練された武術=魔法。何もおかしくはないわね。(一同爆笑)

小春:なんとゆー三段論法でしょうか……!!

GM:つーか鍵開いてたんですけどね、コレ。(一同爆笑)

姫子:良いのよ。椿の乙女は振り返らない! つーわけで、倒れているドアをずかずかと踏み越えて、廃病院に入って行きましょうか。

虎次郎:……外からは不自然に見えないように、ドアを入り口に立てかけておこう(笑)。

東:ひしゃげてるがな。(一同笑)
 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇
 
 ―――で。
 この廃病院、簡易的なダンジョンとしてデータを用意していたわけですが……。

 

GM:―――さて、廃病院とは言っても、3階建てくらいの大きさの建物なわけですが。皆さん華麗に1Fと2Fを無視して3F一直線でしたね。(一同笑)

姫子:え、いや、ボスって高い所に居るのが定石じゃなーい?(笑)

GM:探索もせずに一直線にボスに来るとは思ってなかったって話ですがな。―――ん、さて。では、皆さんが辿り着いたのは院長室というプレートがかかった部屋の前です。部屋の中からは、不気味な魔力を感じますね。また、ここまで来ると血の匂いも隠せないほどに強くなっています。

虎次郎:……無言で、腰の刀に手を当てつつ、前に出るか。

小春:私は下がっておきますね。……ピクシーはどうしますか、東先輩?

東:びっみょーだなぁ……。ピクシー呼ぶ場合、俺が前列だし……。そうなると、回避も防御も虎次郎と姫子に比べて弱い俺が、タコ殴りにされて早急に倒れる危険もある。今回は止めておこう。

GM:了解です。では、皆さんが陣形を組んだ辺りで、両開きのドアが勝手にギギィと音を立てて開きますね。―――そこに居たのは、高そうな革張りの椅子に腰かけた、鳥の頭と羽を持つ偉丈夫です。

小春:(すかさず)ドアを閉めます。(一同大爆笑)

虎次郎:小春ゥゥゥゥゥ!!?(大爆笑)

小春:え、あ、いや! こう―――チャンスだ、とか思いませんか? 今みたいな場面だと。(一同爆笑)

東:思わねぇよ!(笑) 見ろ、GM腹抱えて笑ってるぞ!!(笑)

GM:〜〜〜〜〜っ! 〜〜〜〜っ!!(悶絶中)
 

 ―――GM行動不能につき、数分休憩。
 

GM:……えー、ごほん。一度は小春さんに閉められたドアが、再び開きます。今度は閉めるなよ。フリじゃないですからね。フリじゃないですからね!?(一同笑)

虎次郎:なんか気が抜けたが、内部はどうなってる?

GM:はい。羽を持つ偉丈夫―――まぁ、アンドラスですね。アンドラスが偉そうに椅子に座っており、その左右に子牛程の大きさを持つ黒い犬が2匹控えています。犬はガリガリと音を立てて何かを貪っていますが―――良く見るとそれは、人の腕です。周辺に散らばっている血から察するに、恐らくその腕の持ち主は既に犬の腹に収まったと考えるべきでしょうね。

姫子:奥歯を強く噛みながら、睨みつけます。 ―――随分とこの街で、好き勝手やってくれてるみたいね。

GM/アンドラス:「―――ほう。我が住居を嗅ぎつけたのは、秩序の徒かはたまた悪魔退治屋かと思えば……。青臭いガキどもだとはな」 と、アンドラスは鼻を鳴らすようにして笑います。 「まぁ良い。こいつらの餌も尽きた所だ。丁度良い餌が向こうからやって来たと思おう」

虎次郎:……メシアンやクズノハは警戒してたのか。

GM/アンドラス:「来た所で返り討ちにするだけだがな。……貴様らも見たところ、全くの素人ではないようだが……よもや、地獄の侯爵たる私に勝てるとでも?」

姫子:でもそのくせ、覚醒段階愚者でも頑張れば倒せそうなデータなのよねこいつ。その辺ってどーなってるの?

GM:分霊、という概念の解説を良く聞きますね。つまり、こいつらの本体はもっと高レベルなんだけど魔界から出られず、こいつらは魔界から出て来た、力に劣る分身みたいなもんだと。だからゲーム版メガテンでも、あんなにぽんぽん複数体で出てきたりするんですよ。元の設定的に何匹もいるのはおかしい悪魔が、何体も出てきたりするでしょう?

姫子:……本体はもっと強い、ってわけね。

GM:そうなります。少なくとも、このキャンペーンではその設定を採用しますね。

東:んじゃ、口の端歪めて笑いますか。 少なくともお前、そこまで馬力あるようには見えねぇな。昨日やりあった梟モドキもそうだ。魔界とやらからこっちに来るには、お前らにとって何らかの制約がある。制約を越えて来たお前らは、多分滅茶苦茶弱体化してる。それこそ、俺達でもどうにかなる程度に。

GM/アンドラス:「言いおる。半端な力を手に入れて調子に乗っておるか、悪魔召喚師」

東:口が減らないのとノリが軽いのは、DDSプログラムを手に入れる前からの生まれつきだよ。―――つーかお前相手に、悪魔召喚とか出来そうもねーし。うち、ピクシーしか居ないんでな!!(一同笑)

虎次郎:迂闊に出したら死ぬからな……(笑)。

姫子:新しいわね、召喚しない悪魔召喚師(笑)。

GM/アンドラス:「ならば、力を使いこなせていないだけだ。使いこなせぬまま―――死ぬが良い、無知なまま踏み込んで来た、愚かなガキどもよ!!」 と、アンドラスが言うと同時。彼が座っていた椅子がアンドラス自身の身体から噴き上がる炎によって焼け落ち、同時に左右の犬―――まぁ、名前だけ出しますね。ヘルハウンドが吼え猛ります。

姫子:私の縄張りで好き勝手される。胸糞悪いのよ、そういうのは!! と、こっちも武器を構えましょうか!

虎次郎:鞘に収めたままの刀に軽く手をやって、嫌そうに首を振ろう。 まぁ、何でもいい。とっとと斬って、とっとと帰ろう。

GM:言いおるわ。―――では、ボス戦を開始しましょう!!
 

◇VSアンドラス◇
 
 ―――ボス戦に突入です。
 敵はこの街の中で色々と暗躍していた、堕天使アンドラス(Lv15)。更にお供に、妖獣ヘルハウンドを2体引き連れています。
 ペットのわんこ。主食は人肉。

 さて、戦闘行動の順番は、アンドラス→姫子→小春→同値でヘルハウンド→東→虎次郎。
 なのですが―――

 

小春:GM、ここで『悪魔との遭遇』で覚醒判定して良いですか?

GM:お、そういえば皆さんこれまで覚醒判定してないですね。良いですよー。
 

 覚醒判定。これは前世の運命や、生まれ持った神族の使命やら、秘められた力の覚醒やら、そういった事象によって技能に目覚める(思い出す)事です。
 覚醒段階が一定以上でないと高位の特技は使用できず、覚醒を行う事で目覚めた技能に対応する能力値も大きく向上します。
 更にHPとMPは完全回復し、宿命1つを消す事が可能。バッドステータスも全て消えるという、そりゃもう物凄い大盤振る舞いです。
 また、ハウスルールですが覚醒段階はシナリオ終了後に得られる経験点にも関わってきます。

 覚醒判定は保有する命運を能力値に見立てて、判定を行います。成功したら覚醒。
 ちなみに覚醒には適したレベルがあり、そのレベル以下であれば適宜大きなペナルティを食らいます。
 また、命運に関しても、覚醒篇のバランスの厳しさを緩和する為にハウスルールで獲得をし易くしております。

 具体的には命運は本来、

・レベルアップ時に1点ずつ入手。
・覚醒判定に失敗すると1D6点入手。

 という方法でしか得られないのですが、ハウスルール下では

・レベルアップ時に1点ずつ入手。
・覚醒判定に失敗すると1D6点入手。
・シナリオ終了ごとに2点入手。

 という風にしています。
 こうしないとゲームバランス次第ですが、命運ってガリガリ減って行くんですよねー!!
 覚醒判定ってキャンペーン通して回数限定ですし。
 ちなみにシナリオ終了後の経験点は、20×レベルから、20×パーティーで最も高い覚醒段階×レベルとなっています。

 この辺りはハウスルールマシマシですが、ご了承ください。
 キャラ作成も割とハウスルール込み込みだったんですよね。

 

小春:えー、私の命運は15点。成功率は正味30%あるかないかですけど……(ダイスを振る)あ、失敗前提で振ったら成功した。

GM:げっ、マジすか。

小春:マジです。えーと、覚醒するスキルは……(ダイスを振る)ムエタイ、魔界魔法/結界、ムエタイ。(一同爆笑)

姫子:ダイスの神は貴方に何を望んでんのよ(笑)。

小春:……む、ムエタイマスター?(笑) まぁ、これなら一択ですね。魔界魔法/結界に目覚めます。1Lv以下の悪魔の出現を抑制できる魔法を覚えましたって、役に立ちませんねこれ。(一同笑)

GM:ですが基礎ステータスは、欲しい所が上がりましたね。

小春:後は覚醒時に新たにシバブーストーンと魔道書をゲットしました。シバブーストーンは1つ100万円で売れます。(一同笑)

虎次郎:わぁ、売る気だこいつ……(笑)。

小春:ともあれこれで、一気に魔力と精神力のステータスが上がりました。武器を構えたアンドラスを見た瞬間に、前世の自分を思い出すんですね。―――あぁ、そう言えば。前もこんな事があったなぁ、と。

東:じゃあ、同じ後衛グリッドに居る俺は、動きを止めた小春に気付いて不審げに横を向こう。 ……小春?

小春:で、その瞬間。バサバサと音を立てて、虚空から羊皮紙が舞い踊ります。そして数秒とせず、それらは自分から集まって一冊の本になり、私の目の前に集まる、と。 ……既知感、でしたっけ。こういうの。 と、言いながらその本を手にとって、ぼんやりと呟きます。

GM/アンドラス:「貴様、まさか覚醒者か!?」 と、アンドラスが警戒するような声を上げますね。
 

・覚醒者。つまりは小春のように、『一度何らかの覚醒体験を経た人間』の事。覚醒段階2のキャラクター。
・他のメンバーのように一度も覚醒をしていないキャラは、『愚者』と表現される。覚醒段階は1。

 

小春:では、その言葉に対し僅かに微笑みましょう。 ……いやまぁ演出で出て来たこの本、レベル1悪魔を避けるだけという、ひっじょーに役に立たない品なのですが。(一同爆笑)

虎次郎:そこで落とすなァァァァァ!!(爆笑)

姫子:良いの!? 覚醒イベントそれで良いの!?(爆笑)

小春:良いんです。でも少し分かって来ました。―――世界の裏側、昔からずっと私達の知らない何かがあったみたいで、矛盾しているようですが私は少しそれを知っていたみたいです。……さぁ、始めましょうアンドラス。まだ色々知りたい事があるのに、その前に殺されて黄泉比良坂へ送られるわけにはいきませんから。

GM/アンドラス:「―――抜かせ、小娘ェ!!」 では、アンドラスから行動します!
 

▽ラウンド1▽
 

GM:……今の演出に合わせて、今ターンだけ自動的にマハアギラ(全体中位炎魔法)使っちゃ駄目?(笑)

一同:(口ぐちに)「良いわけあるか!」「良いから物理攻撃してろよ」「たまーに飛んで来るから怖いんですけどねぇ」「マハアギラと叫びながら物理攻撃」(一同笑)

GM:ちぇっ。ではダイスで行動を決めます。(ダイスを振る)はい、安定の通常攻撃。虎次郎さんに当たりかけてますが。

虎次郎:はいはい、『見切り』っと。(ダイスを振る)出目39、回避。

GM:虎次郎さんは6割以上の確率で回避するからなぁー!!(笑) 狙うなら、高度な技使わんと駄目かなぁ。そうすると命中がなぁ。

虎次郎:反撃に居合い切り―――と思ったけど、あんま攻撃にMPを割きたくは無いな。俺は基本、回避壁に専念するか。攻撃任せた、ヒメ。

姫子:オーラァーイ! 棍棒振りかざして殴りかかります。(一同爆笑)

東:骨法は!?(笑)

姫子:……この棍棒が現状で出現率Bランクなのもあってね。私、棍棒で殴った方が強い。(一同爆笑)

虎次郎:……骨法5レベルが泣くぞ(笑)。

姫子:素手格闘って序盤は厳しいし。一応、掌打の防御半減効果は相手によっちゃ有効だけど、この棍棒の命中+8が愛し過ぎて。(一同笑)

GM:ま、まぁ当人良いならそれでもいいです。攻撃対象は?

姫子:まず、ザコから減らすわ。ヘルハウンドAに―――(ダイスを振る)よし、当たりかけ!

GM:(ダイスを振る)あー、回避は失敗ですね。妖獣、敏捷もそこまで低くは無いんだけどなぁ。

姫子:耐久が高いから厄介なのよね、それ以前に。(ダイスを振る)……ダメージは31か。

GM:不満げな表情されてますが、それめっさ痛いですからね? ヘルハウンド、一撃でHPを2/3にされました。

東:……つえーな、棍棒(笑)。

小春:では続けざまに私も行動を。MPも上がりましたし、ガンガンと魔法をバラ撒いて行きます。ブフをヘルハウンドAに!(ダイスを振る)よし、当たりかけ!!

GM:うげっ。……(ダイスを振る)よし避けたァー!! ギリギリで飛び退って、氷を避けます。ヘルハウンド氷が弱点だから洒落にならん!!

小春:いつまで避け続けられますかねー? フフフ。
 

 小春、覚醒でMPが一気に上がった事もあり、ノリノリです。
 対するGM側、ヘルハウンドの行動。1匹は姫子に齧りつこうとして失敗しますが―――もう一匹はファイアブレス。
 炎の吐息を吐いて、攻撃を仕掛けます。この攻撃は拡散属性なので、対象として選んだ相手以外にも、隣近所に威力半減のダメージを与える優れモノ。

 結果―――
 

虎次郎:(ダイスを振る)あ、ファンブル。(一同笑)

GM:パワーヒット発生ですね! 防御力無視で22点どうぞ!!

虎次郎:まぁ、元の防御力とか僅か3だし、そこまで差は無いか。ヒメは?

姫子:食らったわ。私は直観低いから順当に、ね。とはいえそこまで痛くはないかな。私は魔法防御は5点あるし。私へのダメージは……あら、23? 大きいけど半減なら7点に実ダメージを軽減したわ。

東:虎次郎のHPが一気に削られたのが怖いな。生きてるかお前。

虎次郎:まぁ1/3まで削られたが、まだいける。ワンコどもの通常攻撃ならあと1撃は耐えられる。ブレスやアンドラスの攻撃が当たったらアウト。分かり易いな。

小春:いざとなったら命運ですね。

東:或いは臨死体験による覚醒に賭けるか、だな。

虎次郎:まぁその前に俺と東の行動だな。ほれ、お前からだぞ。

東:あいよ。シェア・ショットで削って行こう。アンドラス、銃は半減されるから……俺はワンコに狙いを絞って、だな。

姫子:こいつら、ブレスは馬鹿にならないしね。
 

 シェア・ショットの命中補正を得た東の攻撃は、実は結構な命中率を持っています。
 回避されにくいように10%の高度な技を使用しての銃撃は、その甲斐あって1発命中。
 姫子の棍棒に比べると小さい29点ダメージながらも、ヘルハウンドのHPを徐々に削ります。
 虎次郎の通常攻撃は当たりかけたものの、ヘルハウンド側が回避。

 ―――最初のラウンドの終了です。

▽ラウンド2〜3▽

 で、開始した第二ラウンド。
 最初に動くアンドラス、更なる通常攻撃。
 出目良く姫子に通常攻撃が直撃しますが―――

 

GM:えーと、ダメージは低いなぁ。30点です。

姫子:そんぐらいなら耐える。残りHP12ね。ばっさり切られながらも獰猛に笑うわよ。

虎次郎:やだこれ怖い。修羅かお前。

姫子:あらやだ、私は乙女ですわ。……なんてね?(笑)

GM:通常攻撃じゃちょっと火力が足りないなぁ。バレストラ(フェンシングの技。防御半減)使ってよ、アンドラス。

姫子:とりあえず、私の行動よね。さっきからダメージが蓄積してるワンコAに……(ダイスを振る)げっ、77。ファンブル!!

小春:また棍棒振りながらファンブルですか、姫子先輩(笑)。

姫子:さっきは梟相手に余裕ある戦いだったから放置出来たけど、今回は不味い。命運1点使って振り直して、(ダイスを振る)……駄目だ。通常失敗。

小春:じゃ、次は私ですか。下手にブフで弱点狙うより、マハザンで全体に火力をバラ撒いてみましょ。(ダイスを振る)……あ、クリティカル。

GM:げっ!? 全体攻撃クリティカルはちょっとヤバい!?(ダイスを振る)……ヘルハウンドBのみ、回避成功でダメージを半減に落とし込みました。しかし残り2名が直撃食らった!?

小春:やたっ♪ ダメージは―――(ダイスを振る)アンドラスに28点。ヘルハウンドAには26点。ヘルハウンドBに、回って19点差し上げます!!

GM:……ヘルハウンドAは倒れますね。アンドラスは結構なダメージ。ヘルハウンドBは副効果発生で転倒、ですか。

小春:あぁ、そうそう。こんな感じでした。楽しいですね、魔法ってやっぱり。 と、朗らかに笑いながら、魔法で作った風を手の中で回してます。

虎次郎:……なんか後輩がすっげーノリノリというか、ラリったテンション入って来てる件。(一同笑)

姫子:……なんでしょうね、あれ。いかにも『思い出した』とでも言いたげな感じで、これまでより格段に魔法を扱い慣れてる感じがしてるけど。リーゼロッテが『小春は魔法の扱いに慣れている』と言ってたけど、これまで以上よ、今の小春。

GM:ええい、これ以上やらせてなるものか。ヘルハウンドBはまたファイアブレスを吐きます! 今回も虎次郎さん狙いでゴオオオ!!

虎次郎:うへっ、物理攻撃じゃないからそれ、『見切り』使えないんだよなぁ。(ダイスを振る)……よし、避けた。

姫子:こっちは食らったけど……ダメージ回って30点? 半減して防御引いて、10点にまで軽減。あと2点で、満身創痍でまだ動けるわ。

虎次郎:おいヒメ、流石に大丈夫かそれ!?

姫子:火傷の痕が残らないように治療されれば大丈夫よ。気にするのはそこだけ。……まだ動ける、問題無いッ!!

東:やる気だ……。あ、GM。ヘルハウンド転倒解除してないから、まだ転んだままだよな?

GM:あ、はい。寝っ転がったままブレス吐いてました。(一同笑)

姫子:やだ、なにそれ可愛い(笑)。

虎次郎:お前それで殺されかけたの忘れんなよ?(笑)
 

 ―――で、転倒状態のままで回避にペナルティが入っているヘルハウンドBに、東のシェアショットが2発とも直撃。
 合計で30点もの実ダメージを叩き込み、かなりボロボロの状態にまで追いこみます。
 続けざまの虎次郎の攻撃は、スカ。

 そして第三ラウンドを迎えた所で、アンドラス覚醒。
 

GM:よし、今度はバレストラ出た! 剣を突きのようにして構えて、虎次郎さんに突きかかります!!

東:おぉ、珍しくアンドラスが通常攻撃以外の行動を。

小春:アンドラスの貴重な通常攻撃以外のシーンですね、分かります。(一同笑)

虎次郎:はい、『見切り』。(ダイスを振る)……うん、避けた。

GM:ですよねー!!(爆笑)

虎次郎:んで、戦闘が予想外の速度で推移してるし、ここはひとつ攻撃に転じてみるか。新技『双龍閃』で―――(ダイスを振る)……あ、駄目だ。

小春:(唐突に)ヒテンミツルギスタイル!!(一同爆笑)

東:おい、キワミ勢やめろよ!!(笑)
 

・キワミ勢。主にニコニコ界隈のネタ。
・元々はアニメ化された『るろうに剣心』の外国語版の技名などの発音が面白い、というネタから、空耳動画が一世を風靡したのが始まり。
・フタエノキワミ、アッー!! という相楽左之助の技「二重の極み」の空耳を切っ掛けとして、様々な空耳ネタが生まれた。
・……抜刀術のランク5習得技の「双龍閃」なんかは、モロに剣心の飛天御剣流に同じ名前の技ありますしね。

 

虎次郎:むぅ、回避しざまに抜刀術で切りかかったが回避されたという感じか。

GM/アンドラス:そうですね。突きかかった剣を咄嗟に防御に回して、その一撃を受けとめます。 「……チィッ! 小賢しい!!」

虎次郎:……むぅ。まだ甘いか。 と、言いながら軽くバックステップ踏んで距離を取ろう。 もう少しで上手く斬れそうな気がすんだけどなー。

東:はい。

虎次郎:なんだ東。

東:後ろから見てるとお前は冷静すぎて怖くて、姫子がノリノリ過ぎて怖いんですが。(一同爆笑)

姫子:トラって戦闘時、妙に淡々と斬りにかかるわよねそう言えば(笑)。

小春:以前にヒメ先輩がやられた時はノリノリでしたけどね(笑)。
 

 ―――で、そんな会話から、続く姫子の行動。
 転倒状態のヘルハウンドを狙って棍棒を振りおろすも、ヘルハウンドは奇跡的な出目(00)で回避します。

 

GM:寝そべった状態からころころ転がって回避!!

姫子:や、やだ! 可愛い!!(笑)

小春:(淡々と)じゃあそこにブフ。(ダイスを振る)えーと、当たりました。回避は失敗したなら、ダメージ弱点で倍掛けされて36点ですね。

姫子:あぁん、可愛かったのに!(笑)

東:お前、あれ人食いとかやらかしてたダーク属性の悪魔だからな!?(笑)

GM/アンドラス:「おのれ……よくも我が下僕を!」 と、ワンコを両方やられたアンドラスはお怒りですね。

東:残念だったな。どうよ、これでもまだ、ただの『愚かなガキ』かい? 侯爵殿。

GM/アンドラス:「……そうよな。少なくとも、メシアンや悪魔退治屋と同程度には危険と見なさねばあるまい。だが、勝つのは私だ!!」

東:言ってろ、鳥人間コンテストがァ!! シェアショットで、高度な技10%使用! (ダイスを振る)……1発当たりかけてるぞ。

GM:(ダイスを振る)回避しました。まぁ、耐性あるから食らっても然程痛くはないんですけどね。

東:チッ。銀の弾丸でも買っておくんだったかな。(※銀の弾丸は耐性により銃のダメージを半減する相手にも通常通りのダメージを与えられるようになる特殊弾)

虎次郎:じゃあ、そこに普通に斬るぞ。(ダイスを振る)よし、今度は当たりかけ。

GM/アンドラス:(ダイスを振る)回避します。堕天使、敏捷度は高めですよ。 「私に剣術勝負で勝つつもりか、人間!!」

虎次郎:へぇ、今のも避けるか。……うーむ、流石に長期戦は出来んな。早めに仕留めんと。
 

▽ラウンド4〜5▽

 ―――が。
 『早く仕留めよう』と主張する虎次郎の言葉に相反して、このラウンドは酷いグダグダが展開されます。
 具体的には、まず姫子に通常攻撃仕掛けたアンドラスの攻撃がハズレ。反撃として棍棒振りかざした姫子の攻撃もハズレ。
 小春はノリノリでブフを放つも、アンドラスが回避。東の攻撃は1発当たるも、耐性のおかげでノ―ダメージ。
 虎次郎の攻撃は安定のスカ。

 

GM:まさかの敵味方ともに有効打ゼロ(笑)。

姫子:うーん、何が酷いって、敵も味方も殆ど回避するまでもなく攻撃失敗で外してる点よね。(一同笑)
 

 で、5ラウンド目。
 相変わらず狂ったように通常攻撃を繰り返すアンドラスさん。また虎次郎に攻撃しますが、高度な技を狙ったせいで失敗。

 

GM:くっ、狙い過ぎた。

東:回避壁としてはマジ強いからな、虎次郎。10%程度のペナルティだったら、食らってもまだ回避目標値が30越えてる。つまり5割以上で避けるし。

虎次郎:ディーフェンス! ディーフェンス!(一同笑)

GM:やかましいわ!!(笑)

姫子:それじゃ、次は私の行動ね。えい、棍棒アタック。10%高度な技で―――(ダイスを振る)よし、当たりかけ。

GM:げっ。(ダイスを振る)―――回避失敗!!

姫子:よっしゃあッ!! (ダイスを振る)出目良し。回って41点、副効果で転倒ね!!

GM/アンドラス:それは受け入れられませんね。悪運を1点使って、ノ―ダメージに!! 振り下ろされた棍棒を、剣で受けとめます。 「あちらの東洋の剣術使いだけでも厄介だというに……!!」

姫子:力比べね。では、その形から弾き飛ばされます。 あぁん、もう! 一発大人しく殴られなさいよ!!
 

 続く他のメンバーの行動は、小春はMPに物を言わせてブフ。
 当たりかけた所で、アンドラスが無意味にクリティカルで回避します。
 東のシェアショットは―――

 

東:(ダイスを振る)ファンブル。あかん、自分に当たった。(一同笑)

虎次郎:それ暴発じゃねーの?(笑)

東:事故値は越えてないから、暴発はしてないが……ダメージは34とか、めっちゃ回ってんですが。(一同笑)

小春:何やってんですか先輩!(笑)

東:めっちゃ痛い。HPが残り9になった。(一同爆笑)

GM:こ、これはチャンス……なの?(笑)

虎次郎:アンドラスが後衛に攻撃できるならな。

GM:すいません、この悪魔8/9が前衛への物理攻撃しかしないクソAIなんです。(一同笑)
 

 ……ちなみにセミオート拳銃なので2回攻撃が出来る筈の東だが、自爆のインパクトのせいか2回目の攻撃が忘れ去られてます。
 続けざまに虎次郎の攻撃は、安定のスカ。

 

虎次郎:あるぇー?(笑)

姫子:……トラ、アンタ本当に攻撃はしょっぱいわね……(笑)。
 

▽ラウンド6〜7▽

 さて、相変わらずのクソAIっぷりを遺憾なく発揮し、『呪文つかうな』と命令されたドラクエの仲間よろしく通常打撃を繰り返すアンドラス。
 今回の攻撃は姫子に飛びましたが、格闘回避=敏捷度が高めの姫子、難なくその攻撃を回避。
 はっきり言って、延々と格闘攻撃を繰り返すクソAIに対して、『見切り』を使えば格闘回避が圧倒的に高い虎次郎と、素の回避能力が高めの姫子という組み合わせはかなり天敵だった気がしないでもありません。
 
 そして姫子が高度な技を使いつつ振りかざした棍棒に、また当たるアンドラス。

 

姫子:むぅ、出目悪いわね。ダメージ29っと。

GM:それくらいなら我慢できない事もないですね。通します。悪運はあと1点、残HPは23です。

小春:あー、結構押し込む事が出来てますね。では、MPが残り少なくなって来たので、ブフからザンに切り替えます。あと6発で打ち止めですね。

GM:延々撃ち続けて、まだそれだけ燃料残ってるって、なにそれ怖い。

姫子:小春はMP高いものねぇ。

小春:(ダイスを振る)当たりですね。回避は失敗ですか? ではダメージ―――(ダイスを振る)あ、(ダイスを振る)お、(ダイスを振る)えーと。

GM:ちょっと待て! 今、何回ダメージダイス回りました!?(笑)

小春:合計3回、出目6が出ました。合計で、えーと……29点魔法ダメージ+転倒!!

GM/アンドラス:あかん、それ食らったら死ぬ! 悪運で無効化します!! 「―――おのれ、魔女がァ!!」 と叫んだアンドラス、腕から炎魔法を出してザンを相殺!!

虎次郎:演出で魔法使ったな。通常攻撃しかしない分際で。(一同笑)

GM:た、たまにバレストラだって使うもん!(笑)

姫子:いや、魔法使わないでしょ、どっちにしろ(笑)。
 

 悪運を使い切ったアンドラス。既に後がありません。
 ここでHPも減って、銃での攻撃がクリティカルかパワーヒット以外ではほぼ通用しなくなった東、後列から更に下がって戦線外へ離脱。
 戦線の外でピクシーを召喚し、自身が抜けた穴に配置する心算です。まぁ、少しターンがかかる手順ですが、ピクシーの安全を重視しての行動ですね。

 一方、虎次郎の剣は安定のスカ―――ではなく、当たりかけますがアンドラスに回避されます。
 

虎次郎:おかしい。

姫子:おかしいのはあんたの攻撃の命中率だと思うの。それも割と悪い意味で。(一同笑)
 

 ―――で、7ターン目に突入してのアンドラスの行動。
 ここでまたバレストラによる防御半減攻撃を放ちます。

 

虎次郎:げっ、俺に来たか。『見切り』で―――(ダイスを振る)駄目だ、失敗した!!

GM:よしっ! ダメージは40点、防御半減ですね!

虎次郎:……駄目だ、死ぬな。覚醒狙いで臨死体験するのもありかもしれんが、正直怖いんだよなぁ。失敗したら瀕死になって、瀕死になったら10分後に死亡。つーか瀕死も死亡も、回復施設行かんと治して貰えないんだよな?

東:えーと、(ルルブを漁る)……お前が死んだら250CP払わんと復活させられんみたいだな。ちなみに現在の保有CP、142な。

小春:覚醒判定の成功率を命運で上げたり、失敗したら命運で振り直しとかじゃ駄目なんですか?

虎次郎:命運垂れ流す事になりそうだから、それはやりたくないんだよ。とりあえず今回は命運1点で攻撃を無効化。首を狙って放たれた突きを、かすらせるように僅かに身を動かして回避する。

小春:なんでそう危なっかしい避け方するんですか……(笑)。流石に悲鳴上げますよ、それ。

東:虎次ろ……って、避けてやがる。

GM/アンドラス:「攻めきれぬ……忌々しい!」 と、アンドラスもお怒りです。

姫子:そんなアンドラスに横合いから殴りかかるわよ。 ―――トラにばっかり構ってるんじゃないわよ! 私も居るのよ? 構ってくれないと、拗ねちゃいそうだわ!!(ダイスを振る)よし、当たりかけ!!

GM:(ダイスを振る)……あ、駄目だ。回避失敗!!

姫子:よし、ダメージダメージダメージ、(ダイスを振る)30点。ダメージは平均値以下だけど、回ったから転倒付与よ!

GM:うげっ!?
 

 22+3D6で、1個振り足しが出たならば、どう考えてもダメージ30になる筈はないのですが。(最低でも1、1、6、1で31点になる)
 ともあれ、大局に影響のあるミスではありません。
 姫子の一撃で転んだアンドラスに対して―――

 

小春:では、そこにブフを。命運を1点使って、成功率を上げつつ高度な技を10%使っておきます。(ダイスを振る)―――よし、命中。ダメージにも命運を使って、合計20点ですね。

GM:オワタァァァァァ!!
 

 ―――小春の放ったブフを食らい。
 堕天使アンドラスは、倒れ伏したのでした―――。
 
■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

 

GM/アンドラス:―――さて。では、倒れて既に消滅しかかっているアンドラスは、鳥面に憎々しげな表情を浮かべます。 「……まさか、貴様らのような半人前どもにこうもやられるとはな……」

虎次郎:半人前、ねぇ。

GM/アンドラス:「事実だ。これ以上悪魔の世界に首を突っ込むならば―――」 と、アンドラスは小春にちらっと視線を向けます。 「せめてそちらの魔女程度には、全員が目覚めてみせろ」

姫子:……アドバイスのつもり?

GM/アンドラス:「……さてな、私にも分からん」 と、憎々しげな表情を僅かに緩めて、アンドラスが苦笑します。 「……次に相見える時は、こうはいかん。貴様ら全員引き裂いて、その臓腑を貪り食ってやる」

小春:では、お互いの為にも次がありませんように。

GM:その言葉に苦々しげな表情を浮かべたまま、アンドラスは消滅していきますね。

虎次郎:……妙なプライドはあるっぽい相手だったな。

姫子:つっても、人食いやらかしてるような相手ですもの。敵は敵、ブッ潰すまでよ。

小春:とは言っても、これから次々ああいうのが出て来るとなると、確かにこのままでは厳しそうですね……。

GM:まぁ、とりあえずアンドラスは撃破しましたので、ボス戦はこれにて終了ですね。では、エンディングに移りましょう。

一同:はーい。
 

◇戦闘終了・決算◇
合計経験値:398点(一人頭100点)
CP:160

◆秩序と混沌◆
 

GM:さて、それでは―――皆さんが戦い終わって廃病院から出た所で、肩で息をしながらリーゼロッテが廃病院へ向かって来るのが見えます。

虎次郎:おー……救急箱が来た。(一同笑)

姫子:救急箱!?(笑)

虎次郎:いや、俺ら小春以外全員かなりダメージ受けてるし!!(笑)

GM:救急箱扱いされてもリーゼロッテは別に回復手段豊富じゃないんですがね。

虎次郎:ん? 全体回復魔法を使えたのは……ありゃルサールカさんか。

姫子:あの人仲魔になってくれれば心強いんだけど、出現値Bだし多分無理よねー。

GM/リーゼロッテ:次回以降出番があれば、という感じですね。未定ですけど。ともあれリーゼロッテは皆さんの所まで来て、息を整えながら満身創痍の面々を見て声をかけますよ。 「こちらはハズレでしたが……その様子から見るに、既にアンドラスとの戦いは終わったのですか?」

虎次郎:(ぼそっ)いや、約一名は悪魔にやられたんじゃなく、自分で自分撃ってたりしたわけだが。(一同笑)

東:やかましいわっ!(笑)

姫子:そんなアホ二人を放置して、私が対応しますか。 まぁなんとかねー。……これから回復スポット辺りまで行くところ。あー、なんか戦闘時はアドレナリン垂れ流しだったからそうでもなかったけど、終わってみると傷口がめっちゃ痛いわ。火傷もしてるし。回復スポットとか回復魔法だと、痕が残らないように治療できるから女の子的に助かるけどねー。

GM/リーゼロッテ:「あ、それなら……」 と、リーゼロッテはCOMPからホーリーゴーストを呼び出します。 「決して回復が得意な子じゃないですが、応急処置程度ならば」

東:あ、出来るんだ?

GM:2D6+4点回復のディが11回使えます。

東:……微妙だ(笑)。けどまぁ、俺らの回復なら時間かければ足りるか。

GM/リーゼロッテ:そですね。ダイス振るのも面倒ですし、ギリギリ全員HPは全回復出来たとして良いです。で、リーゼロッテは治療が終わった皆さんに向け、深く頭を下げます。 「……申し訳ありません。結局、殆ど見ず知らずの皆さんに危険な役目を押し付ける形になってしまいました」

東:ノリノリでやってるメンバーが多いんだし、そう気にしなくても良いんだがな。生き辛そうだぞ、そんな四角四面な生き方。

GM/リーゼロッテ:その言葉に、リーゼロッテは苦笑を浮かべます。僅かな苦悩と誇りが見える、酷く人間らしい笑い方で。 「そう、ですね。でも、そうでなければ私は私じゃありません。信仰者として、救い手として、そうある事が私の在り方ですから」

東:……あー。やり難そうに、頭を掻きます。 ……お前、この後どーすんの?

GM/リーゼロッテ:「この後、ですか。そうですね……この街は最近、色々と動きがあるように見受けられます。暫くは滞在し、様子を見ようかと」

姫子:南雲さんも同じような事、言ってたわね。……そんなにヤバいの? この街。

GM/リーゼロッテ:「少なくとも、メシアンとガイアーズが何かしらの動きを見せている事は間違いないかと」

姫子:なにそれこわい。メシアンとガイアーズの勢力争いでも始まろうっての!?

東:……うーむ、メシアンに肩入れするのも不味い気もするが……。GM、リーゼロッテに連絡先を押し付けておく。

GM:お。そうするんですか。

東:あぁ。名刺を投げて渡す。

GM/リーゼロッテ:では、投げ渡されたリーゼロッテは目を白黒させますね。 「……これは?」

東:他のメシアンは知らんが、お前はなんぼか信頼出来そうだ。お前がこの街で一般市民の犠牲を防ぎたいってんなら、まぁ姫子辺りとは大筋で利害が一致するだろ。必要ならこっちに連絡寄越せ。場合と報酬次第じゃ、手ェ貸してやる。

姫子:そうね。そういう事なら、この椿姫子さんに任せておきなさいな。それに貴方、情報収集にしてもCOMP頼りで、この辺の土地勘とかコネはないでしょ? 私、役に立つわよー。

GM/リーゼロッテ:「…………」 リーゼロッテは暫く迷う様子を見せた後に、躊躇しながらも頷きます。 「……お願い、します。こういう時、個人の無力さを実感しますね。組織の動きの鈍さを厭って、メシア教会を出て独自に動いているというのに」

小春:秩序派のメシアンが、しかし組織を抜けて独りで動くですか。不思議なスタンスですよね。

GM:そうでもないですよ。この子の行動理念、一貫してますし。基本的に『弱者救済』が行動理念で、それを効率良く行う為にメシア教を抜けて独自に悪魔事件に対処してるというわけで。

姫子:根っから善人ね。

GM/リーゼロッテ:ライト/ロウの、善人型秩序主義者ですからねー。 「―――このお礼はまたいずれ、改めて。ひとまず、メシア教に事件の収束を伝える報告だけは入れに行きます」 と、リーゼロッテは一礼して、皆さんの治療をさせたホーリーゴーストをCOMPに戻して立ち去ります。

虎次郎:……完全にメシアと切れたわけじゃないのなー。

GM:です。メシア教とは『協力者』というスタンスに近いものになっていますね、この子。

小春:まぁ何にせよ、私達も妖精たちに依頼達成の報告ですね!

GM:そこら辺は描写しなくても良いでしょう。これで今回のセッションは終了です。―――では皆様、お疲れ様でした!!

一同:お疲れ様でしたー!!

 

◇シナリオ終了・決算◇
ミッション達成経験値:1人頭200点

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