◆◇◆真・女神転生 覚醒篇リプレイ◆◇◆
◆第一話 異変の始まり◆


 ―――真・女神転生 覚醒篇。
 およそ十年ほど前のゲームでありながら、サークル竜鳴艦では未だに時々遊ばれているシステムである。
 理由は単純。サークルのごく初期の時期に、このシステムで長編キャンペが行われていたから。
 そんなこんなで、サークル初期メンバーの一部が久しぶりに禁断症状を起こした結果、久々の覚醒篇が始まったのでした―――

 
 時は200×年の春。
 様々な怪事件が起き始めている東京にて、とある高校に通っている少年少女達の話―――。
 望む望まざるに関わらず、怪事件に関わる羽目になった彼らの物語です。
 

◆キャラクター紹介◆
 

GM:と、いうわけで。懐かしの女神転生覚醒篇のお時間です!!

一同:わーっ!!(拍手)

GM:私もPLやりたいのに、GMやらせた皆様に呪いあれ!―――それでは自己紹介をどうぞ!!(一同笑)

姫子:テンション高いわね……(笑)。

GM:お気になさらず。さて、それではメガテン世界では花形と言えるCOMP使いからお願いしましょうか。
 

 COMPとは、コンピューターの事。
 COMP使いとはDDS(デジタル・デビル召喚プログラム)を用いて、異界の悪魔を現世に召喚する召喚師です。
 GMが紹介した通り、メガテン世界では花形と言える職業でしょう。複数の悪魔を召喚する事で、一人で数人分の働きをする事も不可能ではありません。

 

東:あ、俺ね。犬飼東(いぬかい あずま)。年齢18、華の高校三年生。好奇心旺盛な少年で、科学部所属の部長。ただし、部員は四名。パソコン好きの少年だな。

GM:パソコン好きが高じてDDSプログラムを手に入れてしまったわけですね。

東:そうそう。そしたらピクシーと名乗る不思議生命体が出て来たんで、『え、何これ』って雰囲気になっている所。とりあえず、何か不思議な現象が発生したのは分かった感じ。

GM:なるほど、世界の不思議に片足突っ込みかけてる状態ですね。

東:性格的にはノリが軽く好奇心旺盛。何でも首を突っ込む性格で、どういうわけか不良自衛官とのコネもあったりする。見てこの横流しされた部品から作った改造エアガン!!(一同笑)

虎次郎:うっわぁ、なんつーもん作ってやがる!?(笑)

東:俺に関してはこんなもんか。成績は良いけどアウトローな人生送ってる不良学生っす。では次どうぞー。

姫子:じゃあ、私行くわね? 椿姫子(つばき ひめこ)、年齢は17で、これまた高校三年生。格闘技が趣味のイケイケ系の女子高生ね。よく科学部で我が物顔で漫画雑誌を読んでるわ。部員として登録はしてるけど、活動は何もしてないわねー。

東:完全前衛型だな。

姫子:器用度も魔力も低いからね。前に出て、格闘技で敵を殴る。これがお仕事。技能は『骨法』なんで、敵の防御力を半分無視できる技が多いのが特徴かな。
 

 骨法は格闘系技能の一つで、掌打を中心とした古武術です。
 掌打は敵の防御力を半分に計算する強力な技ですが、防御面に若干不安の残る格闘系特技ではあります。

 

姫子:あとは、魔除けの宝石なんてものを持ってるわよ。魔法防御が+3されるラピスラズリ。

虎次郎:あー、それはちょっと羨ましいなぁ。

姫子:でしょ? でもあげない、これは私の!!(一同笑)

虎次郎:いや、そういう曰くありげなのはちょっと……(笑)。

姫子:ぶー。まぁ、私に関してはそんな感じかしらね。若干防御面に不安のある前衛と言う事で。次どうぞ。

虎次郎:んじゃ俺か? 鳴海虎次郎(なるみ こじろう)。年齢17、高校三年生トリオ最後の一人だな。剣道部の幽霊部員で、どちらかと言うと科学部に顔を出す比率が高い。こっちも登録だけしてる名義貸しだけどな。ちなみに部室では概ね寝てる。

東:なんと、四名しか居ない部員の半数が漫画を読みに来てるか寝に来てるかの根性無しと判明したぞ!(一同笑)

虎次郎:そもそも何やってるんだよ、科学部って(笑)。

東:UNOやってる。(一同爆笑)

虎次郎:大して変わらんわ!!(笑)

姫子:で、トラの技能や能力は?

虎次郎:…トラって俺かよ。あー、そうだな。昔道場に通わせられてた関係もあって、技能は抜刀術。能力も必要な個所はちゃんと高くなってる。切った張ったが得意な善良な高校生だ。
 

 抜刀術は武器を用いた格闘系技能の一つです。
 全ての物理攻撃に対して直観の能力値で回避判定を行える『見切り』と、反撃技が多く揃っています。
 反面、抜刀術系の攻撃技を使用する為には武器を鞘に納めていないといけないという縛りがあり、若干扱いの難しい特技です。

 

東:善良な高校生は切った張ったが得意じゃねぇよ。(一同笑)

虎次郎:良いんだよ、俺は心根は善良だから。お前と違って。

東:失敬な、俺も善良だぞ物凄く。

虎次郎:善良な奴は改造エアガンなんぞ持ち歩かねぇよ。(一同笑)

東:お前だって木刀持ち歩いてるじゃねぇか……。

虎次郎:……冷静になると、木刀で抜刀術の特技使えるってのも凄いな。(一同笑)

東:……竹光なんだろ、鞘付きの(笑)。

小春:最後、良いですか? ……私がそんなアクの強い先輩方に囲まれている、科学部唯一の二年生。葛木小春、16歳です。

GM:UNOを部長と一緒にやっている、正しい科学部員。(一同笑)

小春:いえ、そんな事はしていませんよ。ここは本を読むのに良い場所ですからね。(一同笑)

姫子:え、東もしかして一人UNO?(一同笑)

虎次郎:さ、寂し過ぎる!!?(爆笑)

東:今日も自分から自分へのドロー4をドロー4で跳ね返す作業が始まるお……。(一同爆笑)

小春:……あんまり寂しそうだったら遊んであげますよ?(笑)

東:うわぁー、年下の女の子に憐れまれて同情されてるぜ俺。何か新しい趣味に目覚めそうだ。(一同笑)

虎次郎:……駄目な奴だなぁ、お前……。(一同笑)

小春:性格は……先輩三名が濃いので、善良な女子高生でいようかと(笑)。ただ、実家に祖父が蒐集していたオカルト関係の蔵書が非常に多彩にあり、その中にあった魔道書を読んだ結果……子供の頃に試してみたら、魔法が使えたと言う稀有な子でして。

GM:もしかしたら御爺様も魔法使いだったんですかね?

小春:さぁ、そこまでは。……まぁ、そんなわけで氷系魔法『ブフ』を操れる、現代の魔法使いです。
 

 ブフ系魔法は、高めの攻撃力と強力な状態異常である『凍結』を与える強力な攻撃魔法です。
 反面MPの消費は大きく、初期の精神力に恵まれている小春でも乱発は出来ません。

 

東:燃費悪いなぁ。

小春:いざって時は投石。某SW2.0から始まった、サークル竜鳴艦後衛伝統の最終防衛手段です。(一同笑)

虎次郎:二次大戦の頃の日本の竹槍みてぇだ。(一同笑)

GM:と、まぁこのようなメンバーで始まる、久しぶりの女神転生です。どうぞ皆さん、よしなにお願いしますね。

一同:よろしくお願いしまーす!!
 

◆キャラクターデータ◆
 

名前:犬飼 東
年齢:18 性別:男
Lv:1 経験値:0 覚醒段階:1
神族:無し 属性:N/N

強さ:18 耐久:17 器用:26 敏捷:18 直観:14
魔力:8 精神:16 知力:25 魅力:20 加護:18

最大HP:18
最大MP:17
命運:10

▼属性値
Light:0
Dark:0
Law:0
Chaos:0

▼背景情報
専門家のコネ/自衛隊の士官:5点
秘密の隠れ家:5点
コネクション/業魔殿:−
コネクション/DSS−NET:−

▼宿命
黒木 重蔵(自衛隊三佐):5点

▼技能
コンピューター:Lv1

▼武器
・改造エアガン(SS)
基本命中値:26 基本威力:5+2D6 事故値:77

▼防具
胴体:学生服 防御力:1
胴体:白衣 防御力:1(対火属性+2) 備考:学生服と重ね着可能
手:ライダーグラブ 防御力:1
足:レザーブーツ 防御力:1

総合防御力:6(対火:8)
総合魔法防御力:2(対火:4)

▼道具
COMP

▼ソフトウェア(メモリ 3/3)
DDS
DAS
タイム・ガール
わんぱくクリッパー

▼所持金
0円

▼CP
18点

▼仲魔
ピクシー

▼備考
虎次郎に借金10000

▼設定
斗有(とある)高校科学部の部長を務める少年。
パソコンが趣味で、それが高じてDDS(デジタルデビル召喚プログラム)なるものを手に入れてしまう。
しかし楽観的な性格をしており、あまり深刻には考えていなかったり。
パソコンから出て来た『悪魔』を名乗る謎の妖精について気にしつつも、普通(?)の高校生活を送る少年。
召喚がメインの為、本人の戦闘能力は低い。
 

 

名前:鳴海 虎次郎
年齢:17 性別:男
Lv:1 経験値:0 覚醒段階:1
神族:無し 属性:N/N

強さ:27 耐久:20 器用:19 敏捷:16 直観:27
魔力:8 精神:19 知力:9 魅力:16 加護:19

最大HP:22
最大MP:20
命運:14

▼属性値
Light:0
Dark:0
Law:0
Chaos:0

▼背景情報
知名度:5点

▼宿命
得意技/見切り:10点

▼技能
抜刀術:Lv1

▼武器
・ひのきの木剣
基本命中値:32 基本威力:4+2D6 事故値:90

▼防具
胴体:皮ジャン 防御力:1(対物:3)
手:ライダーグラブ 防御力:1
足:レザーブーツ 防御力:1

総合防御力:7(対物9)
総合魔法防御力:2

▼道具
学生服

▼所持金
0円

▼備考
特に無し

▼設定
東京にて生活している高校生。
姫子曰く、まるで駄目な男。略してマダオ。やる気の無い少年。
実家が道場であり、加えて姫子によく引き摺り回されている。その為、単なる高校生にしては妙に腕の立つ男。
普段はまるで駄目な兄ちゃんだが、やる時はやる男。逆説、普段は全然やらない。
回避力に優れた前衛キャラ。
 

 

名前:椿 姫子
年齢:17 性別:女
Lv:1 経験値:0 覚醒段階:1
神族:無し 属性:N/N

強さ:26 耐久:19 器用:10 敏捷:25 直観:17
魔力:9 精神:19 知力:11 魅力:19 加護:17

最大HP:20
最大MP:20
命運:18

▼属性値
Light:0
Dark:0
Law:0
Chaos:0

▼背景情報
魔除けの宝石:10点

▼宿命
魔除けのラピスラズリ:10点

▼技能
骨法:Lv1

▼武器
・拳
基本命中値:26 基本威力:0+2D6 事故値:−

▼防具
胴体:ブレザー 防御力:1
手:ライダーグラブ 防御力:1
足:レザーブーツ 防御力:1
頭:鉢巻き(ヘッドギア相当) 防御力:1
装飾品:魔除けのラピスラズリ 魔法防御力:3

総合防御力:7
総合魔法防御力:5

▼道具
胴着

▼所持金
10000円

▼備考
特に無し

▼設定
天下無双の鉄拳型女子高生。
押しが強く強引な性格をしており、よく虎次郎を引きずり回している。
押せ押せの女王様系で、面倒見が良い姐御肌。だが、可愛い物好きと言う側面もあったりする。
虎次郎とは『ヒメ』『トラ』と呼び合う腐れ縁。
火力に優れた攻撃型前衛。
 

 


名前:葛木 小春
年齢:16 性別:女
Lv:1 経験値:0 覚醒段階:1
神族:無し 属性:N/N

強さ:13 耐久:12 器用:16 敏捷:20 直観:11
魔力:27 精神:25 知力:18 魅力:19+1 加護:19

最大HP:13
最大MP:27
命運:10

▼属性値
Light:0
Dark:0
Law:0
Chaos:0

▼背景情報
特殊な施設の使用/膨大な蔵書:10点

▼宿命
膨大な蔵書:3点

▼技能
魔界魔法/ブフ系:Lv1

▼武器
・駄々っ子パンチ
基本命中値:13 基本威力:0+1D6 事故値:−

・自棄っぱち投石
基本命中値:21 基本威力:0+1D6 事故値:−(使い捨て)

▼防具
胴体:ブレザー 防御力:1
胴体:白衣 防御力:1(対火属性+2) 備考:学生服と重ね着可能
足:レザーブーツ 防御力:1
頭:チョーカー 魔法防御力:1 魅力:+1
頭:眼鏡 魔法防御力:1 備考:他の頭部装備と併用可能

総合防御力:5(対火7)
総合魔法防御力:5(対火7)

▼道具
魔導書(ブフ系)
シバブーストーン×1
アギストーン×2

▼所持金
0円

▼備考
姫子に借金5000円

▼設定
姫子、虎次郎、東の後輩にあたる斗有高校科学部の副部長。二年生。
実家に祖父の遺した膨大な魔術・悪魔関係の書物があり、それを読んで育ったインドア派少女。
子供の頃にごっこ遊びで祖父の遺した魔術書で魔法を唱えてみたら、本当に魔法が使えるようになったと言う経歴を持つ。
基本的に善良なのだが、妙に古風な言動をしており、他のキャラクターに度々『お前はいつの時代の人だ』と突っ込まれる。
攻撃魔法を操る火力型後衛。燃費悪し。
 

◆猟奇殺人◆
 

GM:さて、それでは開幕です。まずは……そうですね、高校の科学部部室に目を向けましょうか。

虎次郎:高校の名前決めね? とある高校とか言ってると不便だろ。

GM:そですね……では、『斗有(とある)高校』で。(一同笑)

東:これはひどい。(一同笑)

GM:うっさい。……さて、では斗有高校科学部部室。校舎の隅っこに作られた科学部部室、現在は昼休みです。皆さんは何をしていますか?

虎次郎:じゃあ、部室のソファを占領して寝ています。

東:机の上にパソコンを置いてカタカタと。

小春:文庫本を読んでいます。

姫子:漫画雑誌を読んでるわ。あー、今週も週刊少年ステップの海賊漫画ワンパークは面白かったわね。(一同笑)

東:ああ、俺も読んだけど来週から新展開だっけ。何が起こると思う?

GM/校内放送:そんな会話をしていると、校内放送がかかります。 『生徒の皆さんに連絡します。これより緊急の全校集会を行いますので、すぐに体育館に集まってください。繰り返します―――』

姫子:……とりあえず全校集会が起こったわね。

東:だな。……どうしたんだろうか。やっぱ最近、あちこちで起こってる怪事件についてか? 吉祥寺とか凄いらしいぜ?

GM:…あー、吉祥寺なら有り得ますね。
 

 吉祥寺―――真・女神転生2における、序盤の舞台です。
 何か霊的に呪われているのか何か分かりませんが、同シリーズの他のゲームでも、やたらと事件が発生する土地柄。
 このキャンペーンでも東の言う通り、何かが起こっていても全くおかしくない。むしろ吉祥寺なら何か起こるべき。

 

東:……まぁ、ただでさえ目を付けられている以上、これ以上教師の心証悪くするのもアレだわな。とりあえず行くか。

姫子:はいはい。ほら、トラ。起きなさい? 全校集会だそうよ。

虎次郎:うーん、あと三ヶ月……。(一同笑)

姫子:いつまで寝てる気よ(笑)。

小春:ぱたん、と本を閉じます。GM、何か心当たりってあります?

GM:さて、東さんが言う通り色々な怪事件が発生し、付近では行方不明者も出ていたりしますからねぇ。色々心当たりはありますよ。

小春:それ系ですよね。……とりあえず、行きましょう。

姫子:待って! ちょ、起きなさいよトラ! 起ーきーろー!!(一同笑)
 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇
 

GM:さて、では虎次郎さんを起こしてどうにかこうにか体育館についた皆さんです。程無くして三々五々と生徒達が集まって来ますね。

虎次郎:何だ何だ、何が始まるんだ?

GM:大体集まった所で、壇上に校長が上がります。八割は校長特有の無駄な長話ですが、要約すると東さんや小春さんの予想通りですね。

東:……あー、何かあったんだ。

GM:はい。どうやらこの付近で猟奇殺人事件が発生したようで……。いえ、獣の仕業かも分かりませんけどね?

小春:……もしかして、食い殺されていたとか系ですか?

GM:正解です。昼前に近くの公園の茂みから、この付近に住むサラリーマンが遺体になって発見されました。腹を裂かれ、食い荒らされて……です。

姫子:……物騒な世の中ねぇ。

GM:その関係で、今日の授業はここまで。全員帰宅の上、自宅で待機する事が命じられます。

虎次郎:まぁ妥当か。とりあえず、一度教室に戻って鞄持って、今日は帰ろう。

GM/男子生徒:はい、それでは小春さん以外の三名のクラスで、数名の男子生徒が語らっているのが耳に入って来ます。 「ラッキー、休みになったぜー」「どこ遊びに行くよ?」「ゲーセン行こうぜ、ゲーセン」 などなど。

姫子:……呑気なものね。

虎次郎:まぁ、あんなもんだろ。お前はどーすんだ?

姫子:か弱い女の子ですもの。小春を送って行ったらすぐ帰るわよ。

虎次郎:……じゃあ、俺もついて行くか。

姫子:ありがと。頼りにしてるわよ、トラ。

東:んー……俺も行くか。ちょっと気になる事もあるし。

虎次郎:気になる事?

東:ちょっとな。 鞄の中に突っ込んだラップトップ型PCをポンと叩きます。

姫子:……何かが起こり始めている。それがもしかして、自分のパソコンから出て来た不思議な妖精に関わっているんじゃないかと疑っている。そんな所?

東:そんな感じ。正確には、これと似たようなのを他の人も呼び出してるんじゃないかっていう懸念かね。

GM:ああ、犯人がそれ系の……言ってしまえば『悪魔』を使って悪事を働いているのではないかと?

東:そこまで明確なものじゃないけど、そんな感じ。

虎次郎:ふーん……。 と、欠伸をしながら東を見やる。 まぁ良いさ。んじゃ、さっさと帰ろうぜ。あんまり残ってると、先生方がうるせーからよ。
 

 そして、帰り道。
 意外と素直に真っ直ぐ帰ろうとするPC達ですが―――

 

GM:では、そうですね。小春さんの家まで皆さんで送って行こうとすると、その途中……ビルとビルの間の裏路地の方から、音が聞こえます。【直観】でチェックして貰えますか?

姫子:スワップは?

GM:無論OKです。
 

 このゲームでは、主に判定はD100で行われます。
 十面ダイスを2回振り、片方を一の位に、もう片方を十の位に据えるわけですね。
 そしてもう一つ、このシステムはスワップ・ダイスシステムを使っています。
 これが何かと言うと、要は二個振った十面ダイスのうち、どちらを十の位にしてどちらを一の位にするのかを入れ替えられるという事です。
 例えば2D10して「3」と「6」が出たら、判定値を「36」にするか「63」にするのか選べるわけです。
 
 ちなみに、スワップ不可の判定の場合は前もってどちらが十の位でどちらが一の位か決めておかねばなりません。
 逆スワップという場合、高い方の出目を十の位に、低い方の出目を一の位にせねばなりません。
 まぁ、状態異常にでもかかってない限り、あまり見ない事ではありますが。
 
 そして、判定の成否は判定で出した出目が目標値以下であるか否かで決まります。
 つまりこの判定の場合、各キャラクターの【直観】値以下の出目がスワップダイスで出れば成功となるわけですね。
 
 ちなみに目標値20とかそれくらいだと低いように思われがちですが、スワップありならば目標値20で36%、30で51%の成功率になります。大体目標値30が成功率半々の境目ですね。

 

虎次郎:(ダイスを振る)……ん、成功したのは俺と姫子か。何が分かる?

GM:ええ、そうですね。……裏路地の方から、女の子の悲鳴と銃声が聞こえます。

虎次郎:……足を止めて、そっちを見ます。

姫子:……今の……。

虎次郎:お前もか、ヒメ。

姫子:まぁね……ちょっと、小春はここで待ってて。

虎次郎:おいおい、首突っ込む気かよ。

姫子:女の子の悲鳴よ? 放置できないでしょ。

東:……何かあったのか?

虎次郎:聞き間違いじゃなけりゃ、この路地の方から……悲鳴と、多分銃声?

東:おいおい、何だよそりゃ……と言うか良く銃声なんか聞き分けられたな。

虎次郎:どっかの誰かさんがパンパン撃ってるからな!!(一同笑)

東:実銃じゃねぇよ!(笑) 匹敵する威力だけどエアガンだよ!!(笑)

小春:た、種子島ですか?(一同笑)

虎次郎:種子島って、お前いつの時代の人だよ!?(笑)

姫子:とりあえず、様子見に行きましょ。義を見てせざるは、百戦危うからずよ。(一同笑)

東:いや、色々違う!!(笑)

GM:ああ、いえ。行くまでもなく向こうから人影が走って来ますよ。脇腹から血を流している男性と、その男性を支えるようにして必死に走ってきている制服姿の少女。貴方達と同じ学校の制服です。二年生だから、小春さんは知ってますかね? 東条恵さんという、大人しい少女です。

小春:恵ちゃん!?

GM/恵:「小春ちゃん!? ……駄目、逃げて!!」

東:知り合いか!? っていうか逃げろって何が―――

GM/???:そう叫んだ恵と男性の後方から、歪な姿をした人型の生物が二匹飛び出してきます。 『食わせろ……食わせろォォォォ!!』 と叫びながら、男性に飛びかかろうとします。で、恵は彼を庇うように両手を広げて立ち塞がりますが―――何か行動します?

東:エアガンを発砲。

虎次郎:木刀で殴り飛ばす!

姫子:蹴り飛ばす!!

GM:迷い無ェ!!(爆笑)

小春:ひ、ひぃ! 皆さん好戦的!!(一同笑)

GM:ちなみにその人型生物は、身長1mと少々。大きな口とでっぷりした腹が特徴の、青い肌の生物ですね。

虎次郎:人間じゃねぇな少なくとも。

GM:ま、とりあえず判定して貰いましょうか。折角だから、初手は譲って差し上げましょう。

姫子:え、マジ? やった。じゃあ『突き蹴り』で攻撃!(ダイスを振る)目は43、スワップして34で命中しようとしてるわよ。

GM:(ダイスを振る)……回避は失敗ですね。ダメージどうぞ。
 

 このシステムの場合、攻撃は命中判定が成功した段階で、『当たろうとしている』ものとして扱われます。
 その後に防御側が回避に失敗した場合、攻撃は命中。回避判定に成功した場合、攻撃は『当たりかけたが避けられた』という事になるわけですね。
 攻撃側は自分の命中判定にペナルティを入れる事で、防御側の判定に同値のペナルティを入れる事が出来ます。
 
 そして、『突き蹴り』は骨法の基本技の一つです。膝を支点に繰り出す低空の蹴り技ですね。
 骨法の特徴である防御力半減はかかりませんが、命中率が高く威力もそこそこです。
 
 ついでに姫子がダメージを出す前に説明すると、このゲームにおいてダメージは『基本威力+XD6』となります。Xの値には、主に判定に使った能力値のボーナス値(十の位の値)が使われます。
 姫子の『突き蹴り』の場合、基本威力が『技能値+10』で11。追加ダメージが2D6です。
 ダメージダイスは6が出た場合、振り足しとなります。

 

姫子:(ダイスを振る)16点……びみょ。

虎次郎:充分だろ。ちなみに俺の剣はハズレた。

東:(ダイスを振る)俺の銃、当たりかけてるけど?

GM:(ダイスを振る)回避しました。姫子さんの蹴りで吹っ飛ばされたところで、銃で撃たれそうになって飛び退ります。

東:……チッ。

小春:い、今の内に恵ちゃんと男の人を安全地帯へ。恵ちゃんの反対側から、男の人を支えましょう。

虎次郎:そいつが悪人だったらどーすんだ。

小春:恵ちゃんが懐いている人ですから、多分大丈夫です。……多分。

GM:ちなみに男性の手には、硝煙の煙漂う自動拳銃が。(一同笑)

小春:だ、大丈夫です。………………た、多分。(一同笑)

虎次郎:……ホントかよ(笑)。

GM/男性:ちなみに男性は血の気の無い顔で、 「いかん……悪魔は君達のような学生の手に負える相手じゃない。逃げるんだ……」 と言ってますが、小春と恵以外には聞こえませんね。

虎次郎:……よー、ヒメ。アレ蹴った感触として、どうだ?

姫子:そうね。まぁ……蹴り続ければ死ぬんじゃない?

虎次郎:手応えアリってとこか。

姫子:ついでに言うと、本気で蹴ったわよ私。……人間だったら内蔵破裂して悶絶するレベルで。

虎次郎:……ますます人間じゃねーな、ありゃ。

東:つってもな……。 ちらっと横目で、小春と恵と男性を見ます。 ……コレ放って逃げるか?

虎次郎:……人間じゃないからって人間より強いとも限らんしな。やれる感じだろ、ヒメ?

姫子:ま、チーマー4,5人に絡まれるよりはマシでしょ。……やるわよ、トラ!!

東:……俺を忘れるなよぅ。泣いちゃうぞ?(一同笑)
 

◇VS???◇
 
▽ラウンド1▽
 
 さて、このシステムの戦闘は、敏捷度から算出される移動力によって行動順が決まります。
 結果、姫子→東→虎次郎→???×2という行動順に。
 ちなみに隊列は、姫子と虎次郎が前衛。東が後衛となります。
 小春と恵、負傷した男性は戦闘エリアの外扱い。

 

姫子:さて、じゃあ行くわよ。さっき殴った奴に狙いを絞って、『突き蹴り』!! (ダイスを振る)よし、成功!

GM:む、それは厳しい。(ダイスを振る)……駄目、避けれませんね。

姫子:よっし。ダメージは……(ダイスを振る)今度は良い感じ。20点!!

GM:あいたた。かなり削れています。

東:……俺はこの現象に微妙に心当たりがあるんだよなァ。正確にはこの現象と言うより、何だかよく分からない人外の生物に。

小春:ああ、そう言えば私も御爺様の蔵書でそういうのを読んだ記憶が……。

東:悪魔召喚プログラム……それと一緒にダウンロードしたデータの中に、DASなる悪魔判別システムがあった筈……!!

GM:お、そう来ますか。

東:DAS起動!敵の能力をアナライズする!!

小春:あっというまに起動するパソコンですね(笑)。

姫子:ウィンドウズに見習わせたいわ(笑)。

GM:まぁ、その辺は気にしないでください(笑)。東さん、使うならどうぞー。

東:ん。まず、『基本操作』のスキル判定には成功。Lv8までの悪魔を識別できる。

GM:では、分かります。そこに居るのは幽鬼・ガキ(餓鬼)ですね。欲望のままに行動する悪霊の一種……それが肉体を持って現世に這い出て来たモノ、とDASは判定します。

東:………マジ? ホントに判別できた。……マジモノか。

虎次郎:東、お前この非常時にパソコン開いて何やってんだァ!!(一同笑)

東:うるせぇ、こっちだって色々一杯一杯なんだよ!!?(笑) えーと、とりあえず要点だけ言うぞ! 見ての通りだが、やっぱそいつら人間じゃないっぽいから、思う存分殴り倒せ!!

姫子:その情報、得られる前と得られた後で私達の行動が何か変わる?

東:………あ、いや、全然変わらんわ、うん。(一同笑)

虎次郎:一行動無駄にしたな(笑)。……ま、とりあえずヒメが蹴飛ばして弱らせた奴に、木刀で一閃!(ダイスを振る) よし、当たってダメージが……(ダイスを振る)3と6で合計7。ただし6は振り足しで、出目で合計14。基本値足して18!!

GM:げ、嘘。あっという間に!! ではそれで餓鬼Aは弾き飛ばされて倒れ、消滅していきます。

虎次郎:……ホントに人間じゃねぇな。っていうか……真っ当な生き物でもなくね?

GM:ふふ。ではその真っ当な生き物ではない餓鬼の行動です。(ダイスを振る)『デスタッチ』ですね。対象は虎次郎さんに!(ダイスを振る)……あちゃ、ハズレ。

虎次郎:……意外と弱いぞ、こいつ。

姫子:そうね、どうにかなりそう。

小春:えーと、怪我してる人、悪魔って何ですか? ……なんかもう片方消えちゃいましたけど。(一同笑)

GM/男性:「なん……だと……」 と、男性は驚いていますね。 「訓練された警官や軍人が手こずる相手を、あっさりと……」

小春:斗高最強タッグですからねー、あの二人。(一同笑) あ、ちなみに傷の具合は如何に。

GM:深々と抉られています。餓鬼の爪のようですね。

小春:命に別条は?

GM:まぁ、適切な治療を施せば問題は無いでしょう。

小春:仕方ありません、自分の白衣を鞄から取り出して、止血に使いましょう。

東:そう言えば、あの科学部で何故活動に白衣が必要なのか謎だ。(一同笑)

小春:それは言わないお約束でしょうね(笑)。それに白衣って頑丈過ぎて、破って包帯にしたりには向いてないでしょうが……まぁ、止血に使う程度は出来ますよね?

GM:そうですね、まぁ頑張ってください。(一同笑)

姫子:…投げやりな(笑)。

GM/恵:ちなみに恵は、 「南雲さん! しっかりしてください、南雲さん!!」 と、男性に呼びかけています。

東:仮名南雲さん、と。……俺もこっちに来ようかなぁ。餓鬼って属性相性の関係で銃が効き難いから、俺向こうに居てもやる事無いんだよね。(一同笑)
 

▽ラウンド2▽
 
 ラウンド2の行動は、前ラウンドと変わりません。
 姫子が『突き蹴り』で、虎次郎が通常攻撃で餓鬼Bに攻撃を仕掛けますが―――残念な事に双方不発。
 餓鬼の攻撃もハズレで、敵味方共に有効打無し。

 一方で、自分が戦力外と判断した東は戦場から離脱。
 南雲さん(仮)の治療をしている小春の所にやって来ます。

 

東:オッス。(一同笑)

小春:あの、先輩。向こうで大立ち回りが続いていますが、こっち来て良いんですか?(笑)

東:まぁ、俺はどっちかっつーと頭脳労働が仕事だし? つーかオッサンの傷とか大丈夫なのかよ、これ。

小春:……分かりません。 ううう、こんな事なら攻撃魔法だけじゃなくて回復魔法も覚えておけば……と、内心で(笑)。

東:……まぁ、良いや。とりあえず、だ。オッサン、一つ聞きたいんだが……アンタはあれが何か知ってるのか?

GM/南雲:「……あれは悪魔。そう呼ばれる者の一種だ」

東:悪魔……なんつー大層な肩書の割に弱ぇなオイ。同数の高校生相手に互角だぞ。

GM/南雲:「あれは最下級の連中に過ぎない……くっ……」 と、傷口を抑えて呻きます。

小春:……先輩、余り喋らせちゃ……。

東:……そだな、少なくとも俺よか知識はありそうだし。 ここでCOMPを操作して、ピクシーを召喚する。

姫子/いきなりピクシー:「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん! 妖精ピクシー、お呼びとあらば則参上!!」(一同笑)

小春:……ふえぇ!?

東:………こいつについても、ナンボか話が聞けそうだしな。

GM/南雲:「……悪魔召喚師……?」

東:ただし、知識の一切無い、な。……DDSなる変なプログラムをダウンロードした結果がこれだよ。その辺についても何か分かるってんなら、治療してやらんでもない。以前呼び出したときに、こいつがそれ系の事が出来るって言ってたし。

GM/南雲:では、南雲は暫く逡巡した後に溜息を吐きます。 「……話そう。君もどうやら他人事ではなさそうだ」

小春:で、それを見て私は目を白黒させています。恵ちゃん、コレどういう事?(一同笑)

GM/恵:「…後で詳しく話す。ごめんね、巻き込んで……」

姫子:謝るなら最前線で命張ってる私らに謝れ!!(一同笑)
 

▽ラウンド3▽
 
 そしてラウンド3。
 姫子は消費の大きい(4点)『突き蹴り』から、消費の少ない『弾き』へと攻撃手段を変更します。
 『弾き』とは掌打による、骨法の基本打撃技。威力は低いですが、敵の防御力を半分にして計算出来ます。
 
 ……が、いかんせん命中が足りず、攻撃は不発。突き蹴りに比べて当たり難いのが欠点です。
 虎次郎の剣も、酷いダイス目でハズレ。もう少しで武器の事故値以上の数字が出て、武器がブッ壊れる所でした。
 
 で、餓鬼Bの反撃は虎次郎に命中しますが―――

 

GM:……8点。餓鬼の爪が虎次郎さんを引っ掻きますが……これは酷いダメージ。

虎次郎:1点だけ抜けた。あんまり痛くない。

姫子:ちょっと、トラ! 大丈夫!?

虎次郎:ご覧の通り、かすり傷だな。お前とつるんでる間にもっと酷い怪我をした事もあっただろ、俺。

姫子:そりゃ分かるけどね……変な病原体とか持ってないでしょうね、こいつら。

虎次郎:うわ、それは怖い! 不吉な事言うな!!(一同笑)

東:で、俺はそんな戦場を後目にピクシーに指示を出すぞ。このオッサンの怪我を治せー。(ダイスを振る)……よし、信頼度以下の数値が出たんで命令を聞いてくれた。
 

 召喚した悪魔は、悪魔召喚師の指示に必ず従うわけではありません。
 1D6(その悪魔が嫌がる行動の場合1D10)を振り、その悪魔ごとに定められた信頼度以下の数字を出さないと言う事を聞いてくれないのです。
 参考までに、ピクシーの信頼度は4。普通の指示なら2/3程度で聞いてくれます。基本的に悪魔の信頼度は3〜5の範疇ですので、まぁ平均。
 その悪魔に宿命を割り振る事により信頼度を上げる事も出来ますが……宿命に関する説明は長くなるので割愛。『大事なものポイント』とでも思っておけば間違いは無いでしょう。

 

姫子/ピクシー:「はーい。そーれ、治れぇ!!」 と、ピクシーがディを使うわよ。

GM:……あれ、何でピクシーを姫子さんが演じてるんだろう。(一同笑) ……まぁ良いや。回復量は……10点? では、南雲さんの傷は多少癒えます。とりあえず、今すぐどうこうって傷ではなくなりましたね。具体的には、HPが1から11まで回復。

東:そりゃ危ない所だったな……。

GM/南雲:「……すまない、助かった」 と、南雲氏は身体を起こします。 「俺は南雲雄仁。クズノハのエージェント……と、言っても君達には分からないか」

東:うむ、分からん。(一同笑)

小春:東先輩、威張らないで下さい(笑)。クズノハ……葛之葉? ……まさか、安倍晴明を祖とする……実在していたなんて。 とか、御爺様の蔵書から得た知識を呟きましょう(笑)。

東:あ、ずりぃ(笑)。
 

 クズノハ。要は悪魔退治屋のネットワークで、真・女神転生覚醒篇においては割と良く出てくる組織です。
 元々は小春が言った通り、安倍晴明を祖とする陰陽師がルーツだったそうですが、時代と共に変遷した結果、悪魔退治屋達のネットワークと言う形に落ち着いている模様。
 東のような悪魔召喚師も多く所属しています。

 

GM/南雲:「……知っているのか?」 と、雄仁は視線を小春に向けますね。

小春:あ、う、えーと、そのー……。

GM/南雲:「素人が何らかの理由で、上辺だけ存在を知った……そんな所か」

小春:まぁ、その、何と言うか御爺様の文献に……いえ、それはそれとしまして。南雲さん、恵ちゃんとはどのような御関係ですか?

GM/南雲:「彼女は……仕事上の相棒だ」

GM/恵:「し、仕事上の……うん、仕事上の……相棒です」 と、恵は少ししゅんとします。(一同笑)

小春:わぁ、分かり易い(笑)。しかしそうなると、恵ちゃんもこの手の事件に関わりがあるのですね。……はっ、もしや学校をちょくちょく休んでいたのはその為に!?(一同笑)

GM:勝手に設定された!(笑) えー、では恵はそれに躊躇いながら頷きます。……と、言った所でこのターンはここまでにしましょう。(一同笑)

虎次郎:お前らが話し込んでる間に、俺らが前線張ってるんだからな。覚えとけよ?(一同笑)
 

▽ラウンド4▽
 

虎次郎:さて、第四ラウンドだな。

姫子:ええい、この、倒れろ! 最後の『突き蹴り』……(ダイスを振る)あ、当たった!!

GM:む、それは回避出来ません。ダメージどうぞ。

姫子:(ダイスを振る)回った! ダメージ合計、23点どかーん!!

GM:うげ、一撃で半分持って行かれましたね。餓鬼はギィギィ耳障りに喚いてます。

虎次郎:おっしゃ、チャンス。そこに木刀で一撃……(ダイスを振る)……当たるわけがないですよねー。(一同笑)

姫子:当てなさいよ!(笑) あんた私より基礎命中高いでしょ!!(笑)

虎次郎:いや、そうは言うけどさぁ……高いっつっても基本値32だから、実質半々よ?(笑)

姫子:半々の攻撃を五回中四回も外すなァァァァァ!!(一同爆笑) 敵に回避ダイスすら振らせず避けられてばかりじゃないの、あんた!(笑)

GM:なんか実質、姫子さん一人で戦ってますよねこれ(笑)。

姫子:小春は真っ先に戦線離脱、東は識別だけしてどっか行ったし、トラはダイス目が最悪! ああ、可哀想な私!!(一同笑)

GM:こんだけ元気にハシャぎ回ってボコり回されていると、全然『可哀想』って感じがしないんですが……。(一同笑)

姫子:良いじゃない、ちょっと酔わせてくれたって(笑)。

GM:まぁ、お好きに(笑)。……さて、餓鬼の行動は……(ダイスを振る)……おや? 『仲間を呼ぶ』ですか。

東:うげっ。

GM:でもこれ成功率低いんですよねぇ。06%って事はスワップ使っても10%程度の成功率しか、(ダイスを振る)仲間が来ました。(一同爆笑)

一同:げげぇ――――っ!!?(爆笑)
 

 まさかのハプニング。
 2体で済むと思っていたら、なんか敵が増えたでござる。
 
 前衛二人が無双やっているように見えますが、殆どは姫子の功績だったりしますし、その姫子のMPも既に尽きかけです。
 GMも『あっれー?』と首傾げ中。うーん、殺したい。
 
 しかしここで、彼女が動きました。

 

小春:……なんか、トラ先輩とヒメ先輩の方を見たら、敵が増えてるんですよね。

GM:そうですね、そう見えます。

小春:……じゃあ、口許をぎゅっと引き締めて駆け出します。 東先輩、ここはお願いします!!

東:あ、おい小春!?

小春:GM、このラウンドの行動で戦場に介入します。後衛エリアに出現して良いですか?

GM:ふむ、構いませんよー。

姫子:じゃあ、駆け込んできた小春を見て驚くわよ。 小春、何しに来たのよ!?

小春:先輩達が戦っているのなら、私だって! 祖父から受け継いだ伴天連の魔術、しかと見なさい!!

虎次郎:色々無視して一番気になったとこだけ突っ込むが、伴天連ってお前いつの時代の人!!?(一同爆笑)
 

▽ラウンド5▽
 

GM:小春さんの敏捷は20なので、姫子さんの後、虎次郎さんの前に行動ですね。

姫子:ま、それより先に私よね。『弾き』で殴る!(ダイスを振る)……くー、当たらない。

虎次郎:『集中』しても良かったかもな。行動を放棄して『集中』を宣言する事で、1ラウンドにつき10%ずつ行動の成功率を上げられるぞ。

姫子:ああ、そう言えばそんな技術も。でもダメージ食らったら集中も解けるのが欠点よね。その場合1ラウンド無駄にするだけだし。

GM:説明台詞をどうも。さて、このラウンドに駆け込んできた小春さんですが。

小春:当然、魔法です! 手を掲げて餓鬼Bに向けて、ブフ!(ダイスを振る)やった、当たりかけてますよ!!

GM:(ダイスを振る)……回避出来ません!

小春:なら、魔法ダメージで13点です! 凍ってしまいなさい!!

姫子:いっ!? 突然の氷に思わず、小春の方を振り向くわよ。

虎次郎:小春、今の何だ!?

小春:伴天連の妖術です。(一同爆笑)

虎次郎:だからお前いつの人!?(爆笑) 絶対俺より100年くらい前の人だろその感覚!!(笑)

小春:えーと、後で説明しますので今はとにかくそいつらを倒しましょう! 延々と仲間を呼び続けられたら、たまったものではありません!

虎次郎:了解。後で聞かせろよ? さて、俺は……どうすっかな。半々で当たるんだし、攻撃を続けるか。木刀で姫子と小春が弱らせた餓鬼Bに打撃!(ダイスを振る)……あるぇー? またハズレ。

姫子:ダイス変えろ!!(一同笑)

GM:ちなみにこっちの反撃は、虎次郎さんに一発通常攻撃が飛びましたが。

虎次郎:『見切り』を宣言。(ダイスを振る)……避けた!!

GM:ちっ、回避能力の高い……。
 

▽ラウンド6〜7▽
 
 さて、小春の参戦を切っ掛けに状況は動きます。
 6ラウンド目には姫子と虎次郎は攻撃を外し、小春は『集中』を宣言。弾数の少ない魔法を確実に当てに来ます。
 更には、小春が戦場に向かったので南雲を恵に任せて慌てて追いかけて来た東、再度戦闘に参戦。一緒に来たピクシーを前衛に配し、自身は後衛に立ちます。

 

姫子:なんか来たー! 可愛いー! お持ち帰りー!!

東:持ち帰るな、うちの戦力を!!(笑) あー、あとで説明する! これ味方! 以上!!(一同笑)

虎次郎:なんつーぞんざいな説明だ!!(笑)

姫子:可愛いは正義! この妖精=可愛い! この妖精=正義!!(一同爆笑)

虎次郎:おい、こいつ殴って良いか!? 何か状態異常になってるだろこれ今!!(一同笑)
 

 そんな馬鹿を言いつつ、餓鬼の攻撃は『デスタッチ』が一発虎次郎に。
 相手のHPを吸収する攻撃ですが、虎次郎が的確に『見切り』で回避。
 回避となると出目が良いです、この男。
 
 そして7ラウンド目、姫子の『弾き』で遂に餓鬼Bが撃破され、残る餓鬼Cにピクシーのジオ(電撃魔法)が直撃。
 副効果(ダメージダイスで6が一個でも出ると発生する追加効果)により『感電』のバッドステータスにかかった餓鬼C、回避と行動が一切不可能になった所に小春の集中込みブフ。
 
 ボッコボコになった所で、虎次郎が木刀を振りかぶり―――

 

虎次郎:(ダイスを振る)ファンブル。(一同爆笑)

姫子:死ネ。(一同笑)

GM:88……見事なファンブルですね。もう少しで武器壊れましたよこれ。

虎次郎:事故値以下で助かったぜ……。
 

 クリティカルとファンブルは、ゾロ目によって発生します。
 判定時にゾロ目が出た場合、それが判定成功の範疇に含まれる数字であればクリティカル。
 判定失敗の範疇に含まれる数字なら、ファンブルとなるわけですね。
 つまり、判定の基準値が43の場合、00、11、22、33はクリティカル。44以降のゾロ目はファンブルになります。

 

GM:えーと、攻撃のファンブルは味方に攻撃が命中ですね。誰に当たるかはダイスで決めてください。

虎次郎:(ダイスを振る)……あ、自分に当たった。ダメージは13点……痛ェ。

姫子:ちょ、トラ!? なに自爆ボンバーしてるのよ!!(一同笑)

虎次郎:なんかさぁ……さっき餓鬼に食らったダメージの6倍くらい痛いんですけど。(一同笑)

姫子:あんたもうダイス変えなさい! ううん、変えて! 私からのお願い!!(一同笑)

GM:……で、そんなどうしようもない状況中、餓鬼は感電中なので行動はありません(笑)。

東:じゃあ、そこを狙ってエアガンで射撃。(ダイスを振る)……駄目か。
 

▽ラウンド8▽
 
 そして、迎えた第8ラウンド。
 遂にMPの無くなった姫子は通常パンチで攻撃しますが、回避されます。
 しかしそこに飛び込んだピクシーのジオが命中。

 

姫子/ピクシー:(ダイスを振る)…ダメージは11点ね。

GM:生きてるー! ギリギリですがそれ、生きてますよー!!

小春:ならトドメ。えい、ブフ!(ダイスを振る)……駄目ぷー。(一同笑)

GM:じゃあ餓鬼はゲラゲラ笑って指差してやります。(一同笑)

小春:ええい、面妖な!(笑)

虎次郎:……戦場で他所見とは、余裕だな?(ダイスを振る)うっしゃ、久しぶりの命中。

GM:げっ!?(ダイスを振る)……あ、避けれない!!

虎次郎:(ダイスを振る)ダメージ、10点だが…。

GM:それで餓鬼Cも撃破されますね。倒れてそのまま、霞のように消えていきます。

虎次郎:……ふっ、撃墜スコア2。俺の実力だな。(一同笑)

姫子:……あんた、敵へのトドメ以外一切攻撃当ててないじゃない。(一同笑)

虎次郎:言われてみればその通りだが、勝った者が正義。勝者こそウィナー!!(一同笑)

東:……元気だなァ、お前ら(笑)。

GM:ちなみに一番何もしてないのって、東さんですよね?

東:チッ、言わなければ誰も気付かんような事を……!(笑)
 

◇戦闘終了・決算◇
合計経験値:54点(一人頭13点/端数切り捨て)
CP:21
 

◆悪魔についてのおはなし◆
 

 さて、GM曰く『予想外に敵が増えた』初戦闘。
 この結果、なんかLvアップするだけの経験点がいきなり溜まりました。
 ので、レベルアップ作業と並行しつつ話が進みます。
 
 ちなみにうちの場合、8年ほど前の初期キャンペから伝統的に使われているローカルルールで、成長時の能力値上昇が『2か所成長』から『4か所成長』に変わっています。
 ……理由は忘れましたが、レベルが高くなるにつれてPCが悪魔に比して弱くなって行くのを防ぐため……だったような。
 詳しくデータを知らない方は気にしなくても良い変遷なので、まぁスルーしちゃってください。

 

GM/南雲:とりあえず成長は後で聞くとして、まずはこちらの事情を説明しますか。雄仁がまだ若干ふらつきながら、貴方達の方にやって来ます。 「…すまない、助かった」

東:礼は良いぜ。その分しっかり話を聞かせて貰うからな。

小春:けど、南雲さんはまだ怪我してますよね?

GM:うん。しかも血塗れ、拳銃片手。

虎次郎:……つーか、あんだけ大立ち回りしておいて大丈夫だったのか? 目撃者とか。

GM:裏路地の方に少し踏み込む形になっていたせいか、目撃者は居ませんね。

東:……ふむ、どうするか。とりあえず、傷の治療なんだが……救急車呼ぶか、それともうちの隠れ家で治療するか。

虎次郎:……隠れ家?

東:うむ、こんな事もあろーかと。(一同笑)

GM:どんなこんな事もあろうかとですか(笑)。

姫子:冷静に考えると凄いわね、隠れ家持ってる高校生(笑)。

虎次郎:近くの鉄橋の下に作られた、管理小屋か何かみたいなプレハブの中に隠された地下室を見つけてだな。元々廃棄されたプレハブっぽかったし、地下室を勝手に整備して発電機とか持ち込んで電気引いて、いやぁ大変だった。(一同笑)

姫子:……まぁ、突っ込みどころは色々あるけど今は良いわ。どうやって行くのよ、そこ。

GM:まぁ、ご都合主義ですがここから近いと言う事で良いですよ。裏路地を経由するので運が悪くなければ誰にも見つからずに行けそうです。

虎次郎:運が悪くなければ……?

GM:加護判定をして頂き、誰か一人でも大失敗したら人と遭遇します。

虎次郎:(ダイスを振る)98だが別に大失敗じゃないよな?(一同笑)

姫子:ギッリギリじゃない!!(笑)

東:人の気配を感じて隠れたレベルだなそれ。

姫子:壁に貼り付いたり、妙に手慣れた動きで。(一同笑)

GM/南雲:「……手慣れているな。君達は本当に素人か?」

姫子:ふっ、伊達に風紀委員や教員の妨害を撒いてないわ!!(笑)

東:斗高科学部を舐めるなよ!!(笑)

虎次郎:見つかると後々面倒臭ぇからなぁ。自然とこういうのが上手くなるわけで。

GM/恵:「……そういえば、科学部ってそういう評判だったっけ……」 と、恵は困ったような半笑いです。

小春:私もすっかり隠行が得意になってしまいまして……困ったものです。 と、肩を竦めます。

虎次郎:お前は相変わらず一々言葉が古風だよな……(笑)。

GM:まぁ、全員失敗は無しですね? それでは、隠れ家に到着します。

東:一見すると暴走族やら不良に破壊された感じのプレハブで、天井も壊れてるし壁も一面が無かったりする。けど、地面に隠し戸があって、そこから下に梯子が伸びている……と。(一同笑)

虎太郎:……すっげ。

東:換気装置は一応あるけど、煙草とかは勘弁してくれよ? そう言いながら、梯子を下りていく。

虎太郎:ついて行こうか。

姫子:……あー、スカートの中が見えないように注意してついて行きます。(一同笑)

GM:……そういえば、スカートであの立ち回りをしていたんですね(笑)。まぁ、地下室は地下とは思えないくらい広く、整備された作りになっています。電気も引いているのかコンセントもありますし、どこから持って来たのかベッドやソファ、テーブルに電気ポットなども完備していますね。

虎太郎:ベッドにダーイブ。俺は寝る!!(一同笑)

姫子:ベッドは怪我人が使うのよ! あんたピンピンしてるじゃない!!(笑)

虎太郎:馬鹿な、俺は7点ものダメージを負っているんだぞ!?

姫子:6/7が自爆ボンバーでしょうが!!(一同笑)

小春:とりあえず向こうは放置しましょう(笑)。恵ちゃんと南雲さんから、事情を聞かないと。

東:あー……そうだな、向こうは放置するか(笑)。さて、GM。ピクシーは呼び出して一時間は居てくれる筈なんだが、まだ居るか?

GM:あ、そうですね。まだ居ます。きょろきょろと珍しげに周囲を見回しています。

東:……まぁ、ミルクティーでも淹れて機嫌を取ってやろう。ピクシーや、悪いけど向こうのオッサンの傷を癒してやってくれ。

姫子/ピクシー:「分かったよー。そーれ、治れー治れー!」(ダイスを振る)えーと、7点回復。しょぼ……もう一回使って11点か。まだ要る?

GM/南雲:いえ、ほぼ全回復しました。1点だけ減っていますが、むしろ既に虎次郎さんの方が重傷ですしね。 「大丈夫だ、ありがとう」 と、雄仁は頷きます。

姫子/ピクシー:「どういたしまして〜☆」 じゃあピクシーは砂糖たっぷりのミルクティーに顔を突っ込むようにして夢中になってるから。(一同笑)

東:よし、放置だ(笑)。 ……さて、ピクシーも含めて……南雲さんだったな。アンタはアレ系の生き物に詳しいのか? 『悪魔』……だったか。

GM/南雲:「……古来より、あの手のオカルトは人間社会の裏に確かに息づいていた。私が所属するクズノハとは、それらが引き起こす事件に対抗する為の悪魔退治屋の寄り合いだ。ああ、あれらの生き物を私達は全てひっくるめて『悪魔』と呼んでいる」

東:それが最近、急激に表に出始めた?

GM/南雲:「鋭いな」

東:まさか。馬鹿でも分かるさ、ここ最近の猟奇事件の増加と、実際に動いている悪魔の存在の両方を見ればな。

GM/南雲:「DDSネット―――Dr.スティーブンの試みも、それに対抗する物らしい」

東:Dr.スティーブン……つーと、DDSネットで悪魔召喚プログラムを配った奴か。

GM/南雲:「ああ。毒を以て毒を制すというわけか……悪魔の増加に対抗する為に、悪魔を使役する悪魔召喚プログラムを広めた……らしい。詳しくは私も分からん」
 

 スティーブンとは、真・女神転生におけるキー・パーソンの一人。
 悪魔召喚プログラムを、DDSネットを通して配布した人―――なのですが。
 今回はその程度知っておけばOKです。名前以外出てくる予定はありませんし。

 

GM/南雲:「それ以外にも、古来からその手のオカルトに関わってきた人間は多い。……そちらの魔法使いの祖父も、その系統だったのだろう」

小春:私、ですか……。

GM/南雲:「そういうことだろう」

小春:そう言えば、恵ちゃんは? 恵ちゃんも私と同じ現代の魔法使いですか?

GM/恵:「ううん。私は悪魔召喚師の方。……けど……」 と、恵は表情を曇らせます。

GM/南雲:「先程、餓鬼とは別の悪魔と遭遇して……その折に彼女の仲魔はやられてしまった。私達も辛うじて逃げ出した所で、餓鬼の群に遭遇してこのザマだ」

東:………あー、さっきの餓鬼が猟奇殺人の犯人ってワケじゃねーんだ?

GM/南雲:「残念ながら、もっと強力な悪魔だった。詳しい事はまだ分からんが……」

小春:うーん……御爺様の蔵書で調べれば、何か分かるかなぁ?
 

 さて、ミルクティに夢中になっているピクシーやしょーもない事で言い争っているヒメトラコンビを放置して、東と小春は南雲と恵から情報を引き出します。
 結果、分かった事を纏めると―――
 
・南雲と恵はクズノハからの任務で、この街に出現した悪魔を追っていた。
・その悪魔が予想よりも強力なものであり、南雲と恵では手に負えなかった。
・その悪魔が先ごろ起こった猟奇殺人の犯人。
・先の餓鬼の出現も、その悪魔の影響だろう。
・これからクズノハに援軍を要請していては、来るのが何時になるか分からない。
 
 と、言った所です。

 

東:……うーん、なんていうか、流石に困ったぞ。知ったからと言ってどうすれば良いんだ。

GM/南雲:「別に、素人衆にそこまで期待しちゃいないさ。事はクズノハがどうにかして収める」

小春:私達に説明したのは、助けられた事に対する義理と……無知な素人が暴走しないようにする為、ですね?

GM/南雲:「その通りだ。頼むから、軽挙を起こしてくれるなよ」

東:なんぼか場馴れしてるっつっても、ワケも分からずバケモンに挑むほど愚かじゃねーよ。

小春:そうですね……では、南雲さんや恵ちゃんも、クズノハからの援軍が来るまで待機の方向なわけですね?

GM/恵:「うん、そうなる……かな」 と、辛そうに顔を歪める恵です。 「ごめんね、もう少し私が上手くやれれば……」

小春:恵ちゃんのせいじゃありません。 ……委員長タイプかな、この子。

GM:そですね。生真面目な子で、風紀委員の皆様とも仲良しです。

姫子:無茶しないと良いけどね。いや、PL発言だけど。

虎次郎:ちなみにPCとしての姫子は向こうで虎次郎にジャーマンスープレックスをかけております。(一同爆笑)

東:ああっ、なんか酷い事に!!?(笑)

GM:あと、ピクシーはそろそろ消えます。ミルクティーを腹いっぱい飲んで、『けぷっ』と可愛らしいげっぷをした直後に送還されますね。

東:常に呼び出しておけるわけじゃないのが辛い所だなぁ。

GM:CPも食いますしね。ピクシーと言えど、ただではありませんし。
 

 悪魔は世界に顕現する時、ただで出て来る事は出来ません。
 召喚する際には保有しているCP―――生体マグネタイトというものを代価とする事で、初めてこちらに物質的に顕現出来るのです。
 先程の戦闘でも倒した敵からCPを回収していましたが、これはこうやって使うわけですね。
 
 ちなみに、召喚されたわけじゃない悪魔は自身が存在する為の生体マグネタイトを求めて、人間を襲ったり、脅かしたり、或いは信仰させたりしようとします。
 その辺り、どのような行動をとるかはその悪魔次第ですね。

 

東:……んー、まぁ、現状ではこんな所か。現段階では俺らがこれ以上首を突っ込む要素は、好奇心以外には無いしな。そういう事件の原因は悪魔だってことを念頭に置いた上で、一先ず解散かな?

GM:ああ、解散するなら雄仁は一時的にこの拠点を借り受けられないかと東さんに聞きます。

東:ふーむ、クズノハの援軍が来るまでの臨時拠点か。良いぜ、貸してやる。ただし、煙草とか吸うなよ。匂いが付くし、中で一酸化炭素中毒なんかになられたら目も当てられん。

GM/南雲:「すまない、これはその対価だと思ってくれ」 と……(ダイスを振る)サファイヤの宝石をくれますね。売却すれば20万くらいになるでしょうか。

東:お、これは大きい。じゃ、ありがたく頂いておこう。

姫子:で、どーするのよ? とりあえず、トラ虐めが終わったんで戻って来ます。(一同笑)

虎次郎:その辺でモザイクがかかった物体になってます。(一同爆笑)

小春:ひ、ひぃ! スプラッタ!!(笑)

東:今日はこれで解散。後は専門家にお任せってとこだな。

姫子:了解。ほら、帰るわよトラ。いつまで寝てるのよ!!

虎次郎:………鬼だ……この女、絶対鬼だ……。(一同笑)
 

◆幕間・レベルアップ◆
 

GM:さて、では皆さんは一旦帰るんですね。この日はこれ以上何も起きませんし、恵も若干意気消沈しつつも自宅に帰ります。

虎次郎:そういや、俺はまだダメージ残ってるんだけど。(一同笑)

東:いや、8割以上自分で自分をブッ叩いた自傷の結果なんだから、我慢しろよ。(一同笑)

GM:それと、皆さん。さっきの会話の間にレベルアップ作業は済ませましたね?

一同:おぅいぇー。

GM:では、成長報告をお願いします。

東:あいさ。耐久、器用、知力、魅力が上昇して、技能はシューティングを新規で習得しました。少しは戦えるように……なったかねぇ。エアガンなんつー装備なんで、不安は拭えないけど。

姫子:早めに装備の充実を図りたい所ね。私は上がった能力は強さ、耐久、敏捷、精神。耐久と精神はボーナスが上がったのが大きいわね。

東:ああ、そうか。HPやMPが大きく上がったワケだな。

姫子:そゆ事ね。技能は骨法が2Lvに。防御技の『掌握』を覚えた……けど、消費が大き過ぎて当分は使えないわね。

虎次郎:まぁ、そんな感じだろうな。俺は上がったのが強さ、耐久、直観、精神。技能は抜刀術を2に上げて、『燕返し』を覚えた。攻撃技で、2回攻撃が出来る。やっぱり消費が欠点だけどな。

東:序盤に覚えたばかりの特技は燃費がなー……。

小春:私はその燃費を解消する為に新魔法を覚えました。えーと、成長した能力は魔力、精神力、敏捷力、知力ですね。

GM:風による衝撃系魔法ですね。威力は低いですが燃費が良く、副効果が発生すれば相手を転倒させる効果があります。

小春:その燃費と言うのが重要でして。これでしたら私なら10発撃てます。

GM:燃費良いなぁ……まぁ、Lvアップ作業は以上ですね?

一同:はーい。

GM:では、翌日になりました。一晩十分な休息を取ったなら、HPは耐久力ボーナスの数だけダイスを振ってその目分だけ、MPは全快します。

虎次郎:むぅ、あと1点減ったままか。じゃあ、頬に絆創膏貼ってる。

GM:では、続きを始めましょうかー。
 

◆続く事件◆
 

GM:さて、それでは翌日。早朝から斗有高校の学生皆に連絡が入ります。―――今日の授業は中止だそうです。良かったですね?

小春:……わぁい、リアルなら喜び勇んで3度寝しますけど……何があったんですか? 何かあったんですよね?

GM:ええまぁ。三年生トリオと同じクラスに居た、ゲーセン寄ってこうとか言っていた男子生徒の一団が、昨晩死体で発見されたそうです。

小春:良かった、てっきり夜の内に責任感を感じて抜けだした恵ちゃんが死体で発見されたのかと。

GM:私はどんな鬼畜GMだ。(一同笑)

東:まぁ、状況は理解した。確実に悪化しているわけだな。……ま、プロのお手並み拝見と行きますか。布石だけは張っておくけどな。

GM:ふむふむ、何をするつもりですか?

東:パソコン使って情報収集だな。まず、被害の出た区域の特定……次いで、推定される敵の正体について。

小春:私も御爺様の蔵書で色々と調べてみます。

虎次郎:超寝てる。(一同笑)

姫子:こら、トラ―――っ!! バタンとドアを開けて乱入!!(一同笑)

GM:朝っぱらから乱入かけた!?(笑)

虎次郎:うぉわ!? なんだ、ヒメ!!?(笑)

姫子:いつまで寝てるのよ! 昨日の件について調べに行くわよ!!

虎次郎:え? いや、だって専門家に任せるって話は決まったんじゃ……。

姫子:ここは私らの街よ!

虎次郎:いやまぁ、そうだけど……。

姫子:それに犠牲者、私らのクラスメイトでしょ? ……名前なんだっけ。(一同笑)

虎次郎:うわぁ、唐突に不憫になってきたぞ(笑)。

姫子:うるさいわね、私は過去には拘らないのよ。

GM:速攻で『過去』扱いにされたクラスメートに涙が止まりません。(一同笑)

姫子:まぁ、とりあえずGM。私はトラを拉致って、他二人がやってるようなインドア調査では分からないような生きた情報を探しに行くわよ。無論、人通りの多い所を選んで!!

GM:はい、分かりました。皆さん、結構アクティブに動きますね。

姫子:自分の縄張りを荒らされるのが嫌なのよ。

小春:友達の関わっている事ですし……。

東:知ったからには、もう少し調べてみたくなるのは人情っつーかぁ?

虎次郎:……寝てたい……。(一同笑)

GM:……それでは、各々の行動を処理しましょうか(笑)。
 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇
 

GM:さて、まずは……部屋に篭ってネットをしている東さん。

東:そう言われると途端に引き籠りになった気がするんで、家の庭先でやったろうか。(一同笑)

GM:いえ、庭先にパソコン持ちだされても困ります(笑)。

東:じゃ、仕方ない。とりあえずネットで色々情報を漁ってみよう。DDSネットでも話は聞けるだろうしな。

GM:では、パソコン通信の判定をお願いします。

東:はいはい。その前にソフトウェアを入れ替えて、パソコン通信の判定にボーナスの付くわんぱくクリッパーを起動……っと。(ダイスを振る)46だけど、これでも成功だな。

GM:はい。では―――
 

・事件は市街中心部で起こっている
・不審な人影(?)の目撃情報もその辺りに
・まだ事件扱いはされていないが、死体として発見された以外にもその辺りで行方不明者が何人か出ている
・事件は概ね、夜間に起こっている。推定時刻は午前零時から午前二時前後?

 

東:はっはぁん。真夜中くらいにその辺をうろついていると、出るってわけだ。

虎次郎:例の連中は夜遊びが過ぎたな。まぁ俺らも、日の昇っている内は人通りの多い場所を歩けば安全か。

GM:かもしれませんね。ただ、敵の正体に関する情報はネットからでは絞り切れません。ここはむしろ、悪魔関係の蔵書などが強みになる話ですしね。どうしてもチャレンジするなら逆スワップでどうぞ。

東:うげっ。事故値が怖いから、ここは止めておく……小春、頼んだ。

小春:任されました。東先輩は庭先でそのカラクリで遊んでいてください。(一同笑)

東:なぁ、お前現代人だよな? 実は江戸末期辺りの人って事は無いよな?(笑)

小春:(しれっと)御爺様の蔵書を読んで育ちましたから、言葉遣いや思考が影響されているのかもしれませんね。

東:いや、パソコンをカラクリと呼ぶレベルはその説明で納得できる領域を超えているような。(一同笑)

小春:お気になさらず。では、次は私ですか?

GM:そですね、小春さんのシーンに行きましょうか。
 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇
 

小春:では、高校が休みなのを良い事に、実家にある祖父の書斎に入って本を読み漁っています。あれでもない、これでもない……うーん?(一同笑)

GM:一応、何を調べるのかは宣言してくださいね?(笑)

小春:ああ、失礼。南雲さんから得た情報を元に、この街で猟奇殺人事件を起こしている悪魔について調べます。

GM:ああ、そう言えば詳しく説明していませんでしたね。どうやら敵は死肉を貪る系統の悪魔のようです。血色の悪い死体のような外見をしていた、と雄仁と恵が話していましたね。

小春:わーい、PLは全然分かりません。(一同笑)

GM:じゃあ素直にダイスを振ってください(笑)。知力で判定してもらいますが、蔵書効果で+10%の成功率補正が付きます。

小春:調べるのに何時間くらいかかりますか? あと、今は何時でしょうか?

GM:え? うーん、そうですね。今は午前9時くらいで、調べるのには3時間くらいかかります。

小春:んー……じゃあ、2回ほど『集中』して成功率を更に+20%します。集中はその行動にかかる時間と同じだけかかりますから、6時間余計に経過しますが……まぁ、それでも午後6時になるだけの話ですし。多分その時間なら、『まだ』何も起こりませんよね?

GM:……読んできますねぇ。

小春:それほどでも。では、2度の集中+補正で成功率が49%にまで上がりました。これなら多分成功するでしょう。(ダイスを振る)……うん、大丈夫。64で、スワップして46で成功です!!

GM:なら、日も暮れた頃にどうにかこうにか目的の悪魔らしきものを絞り込む事が出来ました。……多分、幽鬼・グールではないかと思います。データも見て良いですよ?

小春:はいは(データを見て)……ギニャー!!?(一同笑)
 

 幽鬼・グール。Lv13幽鬼です。
 GP(ゲートパワー。つまりは、世界がどれだけ魔界に近しくなってきているかの目安)が3の現在においては、およそシナリオで遭遇し得る最高レベルの敵ですね。
 Lv13という現時点における最高レベルによるステータスの高さ。そして高い物理防御力(18)と、このレベルのキャラでぶつかるには余りに壮絶過ぎるデータの持ち主です。

 具体的にはそこまで命中高くないとはいえ、通常攻撃のダメージが2D6+20。姫子(HP24防御力8)や虎次郎(HP25防御力7)だと、ダメージダイスで1個でも6の目が出た瞬間に即死が見えるレベル。
 GM、完全に殺す気です。

 

東:おま、これ……ガチにも程が……(笑)。

GM:いざとなったら命運(分かり易く言うとヒーローポイントのようなもの)を使って切り抜けてください。大丈夫、ベテランプレイヤーも多いから、どうにかなると信じています。

虎次郎:……そんな信頼いらねぇ……(笑)。

小春:…ザンじゃなくてアギ(火炎魔法)取っておけばよかった……それなら敵の弱点属性に……いえ、念のため序盤に弱点を持ってる敵が多いアギ・ストーン(使うとアギの魔法を放つ使い捨てアイテム。高価)を作成時に手に入れてはいたんですけど……うう。

GM:まぁ、めっちゃ高いですからねそれ。

小春:売ればこれ、50万円なんですよぅ。御爺様の書斎から見つけたんですけど。

虎次郎:それ売って刀買おうぜ!!(一同笑)

姫子:いやいや、現在のGPだと売ってないし。真剣は最低でもGP4以上からでしょ?
 

 出現するアイテムや敵は、前述のGPによって左右されます。
 GPよりランクの高いアイテム、敵は出現率B、或いはCと表記され、レアアイテム、或いは強敵扱いとなります。更に上に出現率Dというのもありますが、これは通常出現し得ない存在です。
 ちなみにグールは出現率Cの一番上。GMの殺意が分かります。

 そして出現率A、つまりはランクがGPまでのアイテムは簡単に買う事が出来ますが、B以上のアイテムは適切なコネなどが無いと入手できません。
 幾ら金があっても、装備を買えなければ意味が無いわけです。
 ―――本来なら。

 

東:ツテならあるぞ。

姫子:……へ?

東:俺、作成段階で自衛官へのコネがあるから……頼めば倍額で出現率Bの装備を横流しして貰える。

GM:あ、そうですね。それは有りです。最近色々と猟奇事件が増えている為、自衛隊も都内に駐屯しているとして良いですよ。東さんのコネである黒木三佐もそこに居るのを知ってて良いです。

東:つまり、行く気があれば割とすぐに買いに行く事は可能……と。

虎次郎:……お前、自衛隊の佐官なんかとどうやって知り合ってんだ……。(一同笑)

東:さてねー♪ まぁ、コネがあるって事だけは覚えておいてくれ。金さえあれば手段としてはアリだと思うぞ。

虎次郎:OK、まぁ覚えとく。とは言っても、金のアテが現状小春の魔法石しかないから自重しておくが。

小春:まぁ、最後の手段として覚えておきましょう。ともあれ、必要な事を調べ終わったら、自宅にて首を傾げています。 グール……グール……うーん、アンデットは火に弱い? ……南雲さんに伝えた方が良いのかなぁ。

GM:まぁ、午後6時までかかってしまってる事ですしね。残りの二人に、先にシーンを回しましょう。

小春:はい、分かりましたー。
 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇
 

GM:で、街に繰り出した二人ですが……どうするんですか?

姫子:まぁ、やる事は決まってるわ。とりあえず500円ばかり消費して、近場で適当に花を買って、と。

虎次郎:花?

姫子:言い訳用。どうせ、警官や……もしくは自衛官が出張って来てる筈だしね。『級友への献花』とか言えば、悪いようにはされないでしょ。注意くらいはされるかもしれないけどね。

虎次郎:あー、なるほど。それは確かに。

姫子:まぁ、趣味に実利を兼ねてるってのもあるわよ。……別に付き合いのあった連中じゃないけど、花くらいは添えてやっても罰は当たらないでしょ。

虎次郎:……そだな。じゃ、俺も花を買ってやるか。……金は無いが。(一同笑)

姫子:……まぁ、私が付き合わせてるんだから、花代くらい出してやるわ(笑)。二人分で1000円、と。

GM:ふむ、なるほど。では確かに、街はいつもに比べて閑散としています。同時に、二人一組で巡回している警官を多く見かけますね。

姫子:まぁ、予想どおりね。なるべく現場で情報を集めたい所だけど……。

GM:そうですね。では、見咎められないかどうか加護チェックをしてください。大失敗すると悪魔と遭遇。二人とも失敗すると、警官に捕まって帰るように促されます。

姫子:加護には自信が無いのよねぇ。(ダイスを振る)……出目87。ファンブルじゃないけどこれは酷い。

虎次郎:俺も失敗。……警官に捕まったな。

GM:はい。では、事件のあった区域の近くまで来ると、まぁ当然ながらテープで区切られていて、ブルーシートで囲われていたりする区画があります。どうやらあそこが事件現場のようですね。

姫子:中に入るのは流石に無茶よね。鑑識さんとかも居るだろうし。

GM/警官:で、そこに近付いて行くと警察官に声を掛けられます。 「君達、高校生か? 近くの高校は皆、生徒に自宅待機するように伝えている筈だが……」

姫子:見ての通り献花に来ました。犠牲になった人達と同じ、斗有高校の三年生です。

GM/警官:「……昨日あんな事件があったのに出歩くとは、危機管理意識がなってないな。ほら、さっさと帰りなさい」

姫子:……GMー、ここ人通り多い?

GM:ん? ……そうですね、マスコミとかは居ませんが、野次馬やら何やらは結構います。貴方達は犠牲者と同じくらいの年代だから見咎められただけのようで。運が良ければ見咎められなかったんじゃないですかね。

東:だからこその加護チェックか。

GM:です。

姫子:まぁ、良いわ。人通りが多いなら、顔を覆って俯きます。(一同笑)

虎次郎:はっ!!?(笑)

姫子:私と虎次郎君は、彼らとは友達だったんです……昨日彼らがゲームセンターに行くと言っているのを、私達がもっと強く止めておけばこんな事には……!!(一同笑)

GM:え、ちょ……!!(笑)

姫子:どうして! どうしてこんな事になってしまったんですか、お巡りさん!! 答えてください!!(でも爆笑)

小春/いきなり野次馬:「あら奥様、見て下さいなあの警官! あんな可愛い子を泣かせるなんて……」(一同笑)

東/いきなり野次馬:「あの花を見て御覧なさいな。きっと献花に来たんですよ、今時珍しい良い子じゃありませんか。それをまぁ……」(笑)

GM:…………演技力と交渉力で押し切れるか、魅力チェックをお願いします(笑)。ただし、わざわざ花を用意する小賢しさと周囲の野次馬を味方に付ける狡さに免じて、+20%のボーナスを差し上げます。(一同笑)

姫子:やだなぁ、もっと褒めて良いわよGM。(一同笑)

虎次郎:……動じねぇ……(笑)。

姫子:ん、ま、とにかく判定っと。(ダイスを振る)…成功っ。

GM/警官:「分かった分かった! すまない、献花に来たんだったな。こっちに供えてやってくれ。それと、これを供えたらすぐ帰るんだ。君達まで危ない目に合うのは、死んだ君達の友達も望んでいないだろう」

姫子:うっ、実は良い人だ。心に痛い……。まぁ、ハンカチで目元をぬぐいながら、花を供えます。

虎次郎:ちょっと恐ろしい物を見る目で横目で姫子を見ながら、花を供えます。(一同笑)

姫子:……さて、ついでに情報収集したいわね。というか、それをしないと何の為に来たのやら……。連れて来てくれたお巡りさんに話を聞いて良い?

GM:そうですね。では、有効な情報を得られるかどうか、魅力で判定してください。ここまで持ち込んだ努力を認めて、姫子さんには+10%差し上げます。虎次郎さんもチャレンジします? ボーナス付きませんけど。

虎次郎:まぁ、やるだけやってみるか。(ダイスを振る)……駄目だこりゃ。スワップしても68。

姫子:トラ、全体に出目が悪いわね。私は28で成功。

GM:OKです。じゃあ、性格の悪い泣き真似を混ぜた姫子さんの話術によって、善良な警官を騙して情報を得る事に成功しました。(一同笑)

姫子:だから誉め方が足りないってばぁ、GMぅ。(一同笑)
 

 で、この調査で得た情報は以下の通りです。
 
・警察は未だ犯人の目星は付いていない。
・人間の犯行ではないのではないかと言う見方も出ている。
・付近に夜行性の大型の獣か何かが居るのか?
・その場合、寝床がどこかにある筈。怪しいのは下水道か?

 

姫子:ふむ、流石に悪魔だなんて言えないものね。けど、そこ以外はほぼ正解に近付いてる雰囲気じゃない。意外とやるわね警察。

虎次郎:このゲームだと警察は無能ってのがセオリーだしな……。(一同笑)

姫子:無能って言うか、敵が強過ぎるのよね。餓鬼やらゾンビならまだしも、Lv10を超えてからの悪魔なんて愚者がどーこー出来る相手じゃないわよ、概ね。
 

 愚者。これは悪口ではなく、覚醒段階の事ですね。
 この世界の人間はある程度までLvが上がり、特殊な体験(例:臨死体験・悪魔と遭遇など)を経ることにより『覚醒』し、前世以前の技能に目覚める事があります。
 愚者とは一度もその『覚醒』を経ていない、世界の深い部分に気付いていない人々の総称です。概ねLv1〜5の範疇。
 ちなみにPC達や、実は南雲や恵も『愚者』だったりします。

 

東:その『愚者じゃどうこう出来ない』相手がうろついてるんだよなぁ。

姫子:警察じゃ相性悪過ぎるわよ。魔法使いかサイキックか、或いはせめてカルトマジック使いが居ないと。

GM:魔法ダメージを発生させれる人、って意味ですね。

姫子:そね。物理攻撃にはめっぽう強いし、グール。……火炎瓶でも作ろうかしら。

GM:……皆で一斉に火炎瓶とか投げられたら……嫌だなァ(爆笑)。
 

 ともあれ、これにて姫虎コンビも一時帰宅。
 警察にこれ以上迷惑をかける前に、家に帰ります。
 そしてその日の夜―――
 

◆責任感の暴走◆
 

GM:さて、ではその日の夜……午後8時頃に、東さんの携帯に電話が入ります。隠れ家の電話からですね。

東:となると、南雲のオッサンか? ……はい、もしもし。こちら犬飼東ですが。

GM/南雲:『犬飼か!? 私だ、南雲だ! すまん、葛木に連絡はつくか!?』 と、随分慌てた様子で電話口でまくし立てているのは、予想通り南雲さんですね。

東:……小春に? 待て、南雲のオッサン。何があった?

GM/南雲:「……恵と連絡がつかなくなった。先の一件の後、『もっと自分が上手くやれれば』などと口走っていたので……軽挙に走っていなければ良いが……」

東:……分かった、小春に聞いてみる。ちょっと待ってろ。 で、小春に連絡するが……。

小春:されました。……このカラクリだけは、頑張って使い方を覚えたんですよ?(一同笑)

東:ああ、携帯持ってたんだ。そこで凄い安心したよ俺。

小春:基本的に着信専用で、自分から使う事はありませんけどね。『音が鳴ったらこのボタンを押せば通話できる』というのは理解しています!(一同笑)

姫子:小春、それ老人用の凄い簡単操作の奴……。(一同笑)

GM:まぁ、小春さんに東さんから連絡が来ますが、当然恵の件については知りませんね。

小春:…ウチの学校でも死人が出ましたし……責任感の強い恵ちゃんだから、まさか……!!

GM:うーん、知ってて乗ってくれるのはGMとしては嬉しいですね。てっきり恵の単独行動は妨害されるかと思ってたんですが。

小春:次回からはもう少しセコセコと動き回るかもしれませんけど、第一回ですしね。GMの思惑通りに進むのも、悪くは無いでしょう。
 

 今回は初回と言う事もあり、ある程度オーソドックスで先が読み易い展開になっています。
 それに関して、一部PL達はわざとそれに乗ってる感がありますが……まぁ、その辺はお気になさらず。
 次からは一部PLは悪だくみ全開でGMの思惑を破壊しに行く事でしょう。

 

小春:とにかくアレです。恵ちゃんが居なくなったのが分かったら、顔を真っ青にしてトラ先輩とヒメ先輩にも連絡します!!

姫子:じゃあ、連絡を受けたらトラを引っ張って行くわよ。集合場所は……まぁ、あの隠れ家かしら。

小春:了解です! 家を抜け出して行きますね。

虎次郎:……えー、じゃあヒメに拉致られて連れて行かれます。(一同笑)

東:とりあえず、南雲の旦那にこれから行く旨を伝えてから俺も行くか。……さて、鬼が出るか蛇が出るか。

姫子:幽鬼が出るんでしょ。Lv13の。

東:違いない。
 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇
 

 さて、現在午後8時。それから移動で30分ほどかかり、午後8時30分ばかり。
 PC達は再び、東の隠れ家に集合します。
 そこで待っていた南雲から事情を聞くと―――
 
・午後7時頃、クズノハへの定期連絡をする折に恵に連絡を付けようと思ったが、繋がらない。
・恵の母親(クズノハの活動は知っている)に聞いても、どこに行ったか分からないと言う。
・PC達に連絡した後、知り合いの情報屋に問い合わせてみた所、恵らしき少女が事件のあった区域に向かった姿が目撃されていた。

 と、いう状況だそうです。
 

虎次郎:……なるほど。こりゃあれか、責任を感じて一人で行ったか。

姫子:…一人じゃ勝てるワケないでしょうに……何を考えているのやら。

GM/南雲:「…悪魔の存在を考えると、警察に頼むわけにもいかん。頼む、私と一緒に彼女を助けに向かってくれないか?」

東:……一つ質問。原因の撃破じゃなくて、恵の確保で良いんだな? 目的は。

GM/南雲:「ああ。そこまで可能とは思っていない。だが、私だけでは土地勘が無く、夜の街で人探しは出来ない」

東:……なんていうか、関わっちまったのが運の尽きかねぇ。どうよ、諸君。

小春:私は友達が巻き込まれているので、どうにかしたい所です。恵ちゃんはそう言えば、思い込んだら一直線の所もありましたしね。ここは少し、お灸を据えねばならないでしょう。心配掛けるな、とね。

姫子:可愛い後輩が行くなら私も行くわよ。ましてやここは私らの街。悪魔なんて良く分からんもんにデカい顔させてなるものですか!

東:……ま、そーなるわな。しゃーねー、付き合いますか。 肩を竦めて、改造エアガンをベルトに挟むぞ。

姫子:当然。さ、行くわよトラ!!

虎次郎:俺だけ自由意思無くないですか!? ねぇ!!(一同笑)

姫子:まぁ、何はともあれ。各々が集めた情報を交換しましょ。

虎次郎:あー、そうだな。PLは知っていてもその場に居たPC以外は知らん情報も色々あるし。

小春:魔法の呪文はかくかくしかじかー。
 

 ここでPC達、懐中電灯などを用立てつつ、市街地へ移動しながら情報交換。
 ついでに南雲から、この一件に対する謝礼の話が出ます。
 30万円を提示され、小春は貰うのを躊躇うものの、他三名が『くれるものは貰う』精神で受取決定。
 とはいえ、装備を整える時間など無いので、そのまま移動を開始します。

 

姫子:先に皆で情報を集めておいたのがデカいわね。敵の正体、推定される生息地、活動時間帯までが出てるわけだし。

GM:そうですね、GMの想定よりは良いペースで情報が集まっているのは確かです。

姫子:OK、じゃあとりあえず、現地に移動。下水道に向かいましょう。

東:いきなり下水か?

姫子:まず、そこの入り口を抑える。入った形跡が有るか無いか……は、現場行ってから見てみないと分からないけど。入った形跡があるなら追跡。無いなら捜索するにせよ、行き違いにならない為にもそこに見張りは遺しておかないと。外を探している隙に下水道突入とかされたら、笑うに笑えないわ。

虎次郎:OK、じゃあまずは下水道入口だな。どこから入るんだ?

GM:橋の下ですね。そこから下水道に入る道があり、ぞんざいな作りの柵で人が入らないように仕切られています。それで、橋の下にある下水道入口の所で、変な生き物が地面を這っています。

小春:ゾンビ化した恵さんですか?

GM:だから私はどんな鬼畜GMだと思われてんだ。(一同爆笑)

東:あー、何が居るんだ?

GM:羽の生えた、小さな二足歩行の生き物ですね。何やら光る物が地面に散らばっていて、それを集めているようです。アナライズしたいならどうぞ。

東:(ダイスを振る)よし、成功。Lv4までの悪魔なら分かる。(一同笑)

姫子:微妙に頼りにならないわね、それ……(笑)。

GM:いえ、大丈夫です。そこに居るのはLv3夜魔・インプですね。

東:……何だ、雑魚か。(一同笑)

姫子:どうする? 潰す? 圧し折る? 捩じ切る?(一同笑)

虎次郎:……なぁ、ヒメ。お前は何でそんな好戦的なんだ?(笑)

姫子:恋も戦も全力投球。椿の女の心得よ。

虎次郎:それはサーチ・アンド・デストロイと同義じゃねェだろ!!?(一同笑)

東:……あー、まぁ待て(笑)。とりあえずここは交渉してみよう。

姫子:武力交渉?(一同爆笑)

東:おーい虎次郎、この暴力女どうにかしろ。お前の担当だろコレ。(一同笑)

虎次郎:いやー、手に負えるなら苦労してねぇんだけどなぁ……(笑)。

姫子:コレ扱いッ!!?(笑)

東:とりあえず、声をかけるぞ。おーい、そこのインプ。

GM/インプ:「あん? ……何だよ、ニンゲン。俺を見ても驚かない……ははぁん、さっきの姉ちゃんの関係者か」

小春:さっきの―――恵ちゃん!?

東:ほう、色々知ってそうだな。どれ、その辺について詳しく話して貰えないか? っていうかお前、こんな所で何やってんの?

GM/インプ:「さっきの姉ちゃんが、ここで他の悪魔と戦った時にね。その悪魔が落としたマグネタイトを回収して行かなかったもんだから、それを拾い集めてんのさ。……あげねーぞ?」

東:ふむ、その姉ちゃんってのは、俺らと同じくらいの年齢のこれこれこういう感じの女の子だったか?

GM/インプ:「あー……人間の年齢なんて良く分かんねぇからなぁ。他の特徴に関しては……そうだなぁ、兄ちゃん。物には聞き方ってもんがあるだろう?」 と、いうわけでここから、会話ルールに従って処理しますかー。インプの態度は『中立』です。
 

 覚醒篇では悪魔との会話のルールがあります。
 簡単に言うと悪魔からの要求に応えた上で魅力チェックに成功すれば、情報を教えてくれたり贈り物をくれたりする場合があります。場合によっては仲魔になってくれる時もあるでしょう。
 無論、相手の態度にもよります。インプのように『中立』の場合、普通は仲魔にするためには魅力チェックでクリティカルを出さねばならないでしょう。
 ただし、その悪魔の会話パターン次第ではいきなり仲間になる可能性もあります。

 

GM:インプの会話パターンは『下魔』。下級悪魔に多い、小物チックな会話パターンです。ただこれ、自分が有利か不利かで随分変わるんですよね。この状況は……。

姫子:良いじゃない、殴って吐かせましょうよ。内臓とか、情報とか。(一同爆笑)

GM:情報より先に内臓が出るって正直どうよ!!?(一同爆笑)

虎次郎:いかん、逃げろ! そこの悪魔逃げろォォォォ!! この暴力女を俺が抑えている隙に!!(一同爆笑)

GM:なんかそこに物凄い無差別に殺気をばら撒いている怖いのが居るんで、腰が引けます。自分の方が不利なパターンで会話しますね。(一同笑)

東:よし、良いぞ虎次郎! もうちょっとそいつ抑えてろ!!(一同笑)

GM/インプ:(ダイスを振る)……ふむ。ではインプは腰が引けまくった様子で、 「いやあの、何ですね。その……えー、情報料と言うか何と言うかで、ちょいとばかりマグネタイトを恵んじゃくれませんかね?」 と、6点ばかりのマグネタイトを要求します。

姫子:こいつ倒せば6点だったわよね。OK、差引ゼロじゃない。(一同爆笑)

虎次郎:怖い計算してる! 情報引き出した後倒す気満々の計算してる!!(一同爆笑)

東:…まぁ、払おう(笑)。僅か6点のマグネタイトで情報を得られるなら安いもんだ。

GM/インプ:「へい、ありがたく……。けど旦那、話し終わった瞬間にその姐さんを解き放つのは無しっすよ?」(一同笑)

東:……いやまぁ、ちゃんと話せば大丈夫だ。ちゃんと話せば……。(ダイスを振る)あ、魅力チェックは成功した。

GM:OKです。では、インプはぺらぺらと情報を話します。どうやら、ここを通って行ったのは恵で間違いないようです。特徴が一致しているとの事。それと、ここでゾンビ1体と戦闘になり、それを撃破して先に進んだようです。

東:それはどれくらい前だ?

GM/インプ:「へい、1時間ほど前です」

東:1時間……微妙だな。とにかく、急いで追った方が良いのは分かったか。

GM/インプ:「他には……この奥には何体かゾンビの類が居た筈ですぜ。気を付けて下せぇ」

東:りょーかい。ありがとうな、助かった。

GM/インプ:「いえいえ……では俺はこれで」 と、インプはパタパタ羽ばたいて去って行きますね。

虎次郎:…なんていうか、小物感に親しみの持てる悪魔だったな。

GM/南雲:「悪魔も全てが人間に敵対的なわけじゃない。あいつのように中立的な者、或いは友好的な者も存在している。……最も、ゾンビやグールといった類は……残念ながら会話の余地がある相手じゃないがな」

姫子:そう言えば、奥に居るのはゾンビの系統だっけ。……素手で殴るの嫌だなぁ(笑)。

虎次郎:さっきまでノリノリでインプを殴り倒す気だった奴の言葉とは思えんな(笑)。

東:とにかく、急ぐぞ。懐中電灯は俺が持つ。前は虎次郎、姫子、頼む。

虎次郎:あいよ。……さて、間に合うかね。

小春:間に合わせます。……急ぎましょう!!

GM:はい。それでは、皆さんは暗闇の中、夜の下水道に踏み入ったのでした。
 

◆偶発戦◆
 

GM:さて、それでは下水道の中ですが―――無秩序な開発計画のせいなのか、計画の結果こうなのか、はたまた別の理由か。中々に入り組んだ作りをしています。あと、臭いです。

虎次郎:……後者はともかく、前者は厄介だな。入り組んでるか……。

小春:思い切り声出して呼んじゃいます?

姫子:最後の半歩手前くらいの手段ね。敵を呼び寄せたら笑うに笑えないし……。

GM:と、いうわけで。皆さん直観チェックをお願いします。誰か一人でも成功すれば足跡を追跡する事が出来、無駄な消耗と時間の浪費を避けたまま進む事が出来ます。……とはいえ、ぶっちゃけ時間に関しては先に情報収集をされたせいもあって、大分余裕があるんですけどね。

東:じゃあ、そこまで気張る必要もないな。ゾンビなら出て来てもどうにでもなる相手だし。

姫子:じゃあ、直観判定タイムーっと。
 

 一同ざらざらとダイスを振ります。
 が、しかし。全員見事に失敗。含、NPCである南雲。
 更には小春が出した出目は、なんと88。見事にファンブル、大失敗です。

 

東:……うーわぁー。

GM:(凄い笑顔で)おめでとうございます、それでは遭遇です。

小春:めでたくありません。めでたくありません。大事な事なので二回言いました!!(一同笑)

GM:えーとですね、どこかで見たような青い制服を着た方が2体、不自然な足取りで皆さんの方に歩いてきます。露出度120%、内臓モロ出しで。

東:うーわぁ、全く嬉しく……って、オイ待て青い制服?

GM:ええ、姫子さんと虎次郎さんは今日見たでしょうね。警官の服です。……ああ、今日会った方とは違う方ですのでご安心ください。

虎次郎:安心できるか! それゾンビじゃなくてゾンビコップ! 一ランク上の敵!!

GM:誰もゾンビだけとは言ってないでしょう。ゾンビ『系』ですよ、ゾンビ『系』。

姫子:参ったわねコレ。ゾンビなら消耗も殆ど無く倒せるかなーって思ったけど、ゾンビコップか……。

GM:多少バージョンアップされてますし……っていうか、アナライズもせずに敵の情報を語らないで下さいよ。(一同笑)

東:あ(笑)。じゃあ、アナライズを―――(ダイスを振る)ごめん、あれ何?(一同爆笑)

虎次郎:(棒読みで)わぁ、死体がうごいてるぞぉ。(一同笑)

姫子:(棒読みで)きゃあ、しょうたいふめいの敵ね。こわいわ。(一同笑)

GM:……これだけ敵について語った挙句、判別失敗しますか……(笑)。

東:まぁ、とりあえずゾンビ系が居るのは聞いてたしな。その系統だとは分かったと言う事で一つ。

GM:はいはい。まぁ、良いでしょう。

小春:とりあえず、散々冷静に観察した後ですが、そんな警察官の末路を見て喉の奥で悲鳴を上げますよ。 ……ひっ!!

GM/南雲:「……グールに食われた警官のなれの果てか」

東:ミイラ取りがミイラならぬ、ゾンビ取りがゾンビに……って奴かね。正確にはグールはゾンビじゃねぇから、違うのかもしれねーけど。

GM/ゾンビコップ:「き、貴様らこんな場所で何をしている……!? こここ、公務執行妨害で射殺する……!!」

東:お前ちょっと、法律について勉強し直してこい!(一同笑)
 

◇VSゾンビコップ◇
 
▽ラウンド1▽
 
 さて、偶発戦となったVSゾンビコップ戦。
 ゾンビコップのLvは5。PC達よりやや格上であり、ゾンビ系の常と言うべきか物理に強く魔法に弱いタイプです。
 敏捷性も低い為、然程行動速度の速くない虎次郎を含めて全員が先手を取る事に成功。
 消耗を避けつつ、一体ずつ片付けようという作戦に落ち着きます。
 
 前衛に虎太郎、姫子、そして南雲。後衛に東、小春という配置で攻撃を仕掛けるPC達。
 結果は―――

 

姫子:ゾンビコップAに『突き蹴り』!当たってダメージ20点!

東:(南雲のダイスをも担当中)……んー、俺のエアガンは外れたが、南雲のモーゼルでの『シェア・ショット』が良い感じで2発とも当たった。ダメージ、23と22!

姫子:強っ。やっぱ実銃は違うわね。

東:SA(セミオート)武器だから、ラウンド2回攻撃だしな。

GM:NPC活躍中。うーん、いかんいかん。

虎次郎:こりゃなんとしてもグール戦まで連れ歩こうぜ。(一同笑)

姫子:絶対、ボス戦には参加させないようなギミックがあるだろうけどね……(笑)。

GM:何の事かなー。私むつかしいことわかんな〜い。(一同笑)
 

 そんな会話をしつつ、姫子と南雲の連続攻撃でいきなりゾンビコップAはボロボロです。
 しかし残り三名がそれに続けず。小春のザンはスカ。東のエアガンは当たりかけるも避けられ、虎次郎の剣は案の定ハズレ。
 鳴海虎次郎、本当に剣技を修めているのかどうか疑わしくなるレベルの命中率です。
 
 続くゾンビコップの反撃は、ボロボロのAが東に拳銃をぶっ放し、健在なBが南雲にデスタッチ。
 デスタッチは触れた相手の生命力を奪い取り自分を回復する接触発動型魔法攻撃(回避は近接攻撃扱い)なのですが、健在な奴がやってもあんまり意味は無し。
 東を狙った拳銃弾は出目悪く明後日の方向に飛んで行き、デスタッチを食らった南雲に少々ダメージが入るものの、敵のHPが回復したわけでもないので問題は然程ありません。

 

虎次郎:大丈夫か、オッサン!!

GM/南雲:「大した傷ではない……問題無い」

姫子:これでAが回復してたら、ちょーっと面倒だったけどね。HP満タンのBが使ったデスタッチだから問題なし、と。GM、南雲さんのHPは後どれくらい?

GM:一応Lv5キャラなので、3/4は残ってます。

姫子:問題無いわね。押し切っちゃおうか。

東:だな。
 

▽ラウンド2▽
 

姫子:上手い事私で倒せれば良いんだけど……MP消耗が怖いから、ただの蹴り。(ダイスを振る)……あ、駄目。外れたわね。

GM:では、南雲はゾンビコップAに銃を向けます。ダイスをお願いしますね。

東:あいよ。(ダイスを振る)一発命中しかけてるな。

GM/ゾンビコップ:(ダイスを振る)あ、スゲ。避けた。 「じゅ、じゅじゅじゅ、銃刀法違反で射殺するゥゥゥ!!」

虎次郎:ええい、ギリギリで粘りやがって!!

小春:えーと、どうします? ザンをブチ込みます?

東:火力の低めな俺、虎次郎、姫子の通常攻撃辺りで落とせてりゃ消耗も少なかったんだがな……すまん、頼む小春。

小春:まぁ、これも当たるとも限らないんですけどね。(ダイスを振る)お、良い感じ。命中しかけです。

GM:(ダイスを振る)むぅ、そう何度も回避は出ませんね。これくらいの低レベルですと特に。ダメージください。

小春:10点魔法ダメージ。えい!

GM:OK、それでゾンビコップAは崩れ落ちます。Bがそれを見て『きぃぃぃ!』と鉄砲をバンバン天井向けて乱射しますね。

東:おわ、おっかねェなオイ。跳弾とか来たらどうすんだよ。

虎次郎:言って聞く相手かよ。とにかく東、あいつを抑えるぞ。

東:へいへい、了解……っと。
 

 で、行動が残っていた東と虎次郎はゾンビコップBに攻撃を仕掛けます。
 しかし、東の銃はハズレ。虎次郎の剣は珍しく当たりかけるも、ゾンビコップは奇跡的な出目(01)で回避成功。

 

姫子:ちったぁ役に立ちなさいよ、このダメンズコンビ!!(一同笑)

虎次郎:ダメンズって俺ら!?(爆笑)

東:いかん、強気で否定できねぇ……(笑)。

GM:そんなダメンズの片割れに向けて、ゾンビコップが銃を撃ちます。(ダイスを振る)虎次郎さんに拳銃、当たりかけですよー。

虎次郎:(ダイスを振る)チッ……射撃回避にゃ自信あったんだがな。駄目だ、当たる。

GM:ではダメージ12点、物属性です。

虎次郎:3点抜けて来た。掠めただけか。

姫子:ちょ、トラ!!? 流石に銃で撃たれたの見たら悲鳴上げるわよ。

虎次郎:掠めただけだ、問題ねぇ。……心臓にゃ悪いがな。

小春:このゲーム、銃で撃たれても結構無事ですよね。(一同笑)

東:それを言ったらお終いだな(笑)。
 

▽ラウンド3〜4▽
 
 そして、ラウンド3。
 残り一体になったゾンビコップに向けて総攻撃を仕掛けますが、これがいかにも出目悪し。
 MPを温存する為、特技を使わない完全な徒手空拳となった姫子のキック、当たるもダメージは僅か6点で、ゾンビコップの装甲を貫けず。
 南雲のモーゼルは一発だけ当たりかけるも、ゾンビコップBは幸運にもこれを回避。
 小春はMP温存の為、このターンは『集中』で終わり。
 残るダメンズコンビの攻撃は、やはりダメンズらしくスカで終わりました。
 ゾンビコップのデスタッチも外れたのは、幸運でしたが―――

 

姫子:なんてーの? この、私と小春が主力張ってて男性陣が役立たずみたいな戦力比。最近流行りのアレ? 戦う女の子と、守られる主人公みたいな? 私的には好きじゃないんだけどね、そういうの。並んで戦うなら大好きだけど、女の陰でバトルの解説してるだけの主人公は正直どうよってワケで。

虎次郎:戦ってる! 必死で戦ってるから俺!!(一同笑)

東:ああ、でも強気で言い返せねぇよ!(笑) つーかゾンビにエアガンって実際ありえねぇだろ! バイオハザードの最初の戦闘でもせめてもう少しマシな銃使ってるよ!!(一同笑)

GM:……元気ですねぇ(笑)。
 

 男性陣の役立たずぶりが露呈しつつ、続く第四ラウンド。
 特技を使わない以上、命中したとしても東や虎次郎以上に火力としての役には立たない姫子。それどころか攻撃を見事に外します。
 続く南雲のモーゼル、命中値はかなり高い上に二回攻撃なため、今度は2発とも命中。
 敵のHPをごっそり削り取った所で―――

 

小春:えい、集中込みザン!(ダイスを振る)34だけど、集中のおかげで命中です。当たったならダメージ13点魔法ダメージ!!

GM:ありゃ、そら駄目だ。丁度でゾンビコップは倒れます。

小春:……残念ですが、貴方達はここで終わりです。死者は死者らしく、彼岸へと渡ってください。大丈夫、貴方達が善き人ならば、閻魔の沙汰もそう悪くは無い筈ですから……。

東:相も変わらず古風です事で。

姫子:というか、いざって時に遠慮というか容赦無いわよね、あの子。

小春:……聞こえてますよ、お二方。まぁ、この警官さん達には同情すべき点があるでしょう。被害者ですからね。……けど、それが原因で私達が殺されそうになってる時に、わざわざ手を抜いてあげるほど私はズレていませんよ。

東:それをズレていると表現する時点で、お前も相当だよ。……さて、通路の向こうからゾンビが来た以上、ここはハズレっぽいな。どっかで道間違ったか?

GM/南雲:「……かもしれんな。途中で幾つかに道が分岐していた。恵の足跡と思って追ったものが、先の警官の足跡だったと言う可能性も十分にある」

東:オーライ。一度、途中の分岐点まで引き返そう。

姫子:了解。それじゃ、行きましょ。……っと、待ってGM。ゾンビコップ、さっきからバンバン拳銃撃ってたわよね。それ、拾えない?

GM:む? ……なるほど、確かにアリですね。良いでしょう、倒したゾンビコップの数だけ、代表者が加護チェックを行ってください。成功すれば、ニューナンブ(制式拳銃)がまだ使える状態で手に入ります。失敗したら、ひしゃげてたりして上手く使える状態ではないとしましょう。

小春:一番加護値が高いのは、トラ先輩か私ですね。……問答無用で私が振りましょう。

虎次郎:おいお前今俺のダイス目思い出したろ。目ェ逸らしたろ、オイ!!(一同爆笑)

小春:……いやだって、さっきまでの先輩の運を見てると絶対振らせたくないでしょう。大丈夫、目標値が19%もあれば、スワップ考えれば35,6%くらいでしたっけ。それが2回だから、どちらか片方でも成功する確率は60%前後くらいかな? それくらいなら―――(ダイスを振る)ほら、片方成功しました。まだ使える短筒がありましたよ。(一同笑)

姫子:……短筒……(笑)。

東:よくやった、小春。 ……GM、これ弾は?

GM:ん……そうですね。弾倉に入っている分も含めて、合計1ダース差し上げます。

東:OK、じゃあこれは俺が借りるぜ。改造エアガンよか大分頼りになりそうだ。 ジャカッと音を立てて、リボルバーの中をチェック。弾丸を込め直す。

虎次郎:……手慣れてんな。ていうか、お前実銃なんか撃った事あんのかよ?

東:リボルバーは初めてだが、まぁ実銃って括りならあるぜ? 自衛隊の射撃場で。筋は良いって言われたな。

虎次郎:……色々と言いたい事はあるが、相当に変な経歴を送ってるよお前。

東:そいつァどーも。何にでも首を突っ込みたがる性質なんでね。―――と、さて。無駄話はこの辺までだ。時間食っちまったしな。急ぐぞ。

小春:はい。……恵ちゃん、無事だと良いけど。
 

◇戦闘終了・決算◇
合計経験値:44点(一人頭8点/端数切り捨て)
CP:18
 

◆虎の尾◆
 

 偶発的に始まったゾンビコップ戦後はこれと言う事もなく、懐中電灯の光を頼りに進んで行くPC達。
 途中でネズミが飛び出してくる程度のハプニングはありましたが、『まぁ可愛い』と言って尻尾を掴んで持ち上げる小春と言う素晴らしい光景が見られた以外はこれといった事はありませんでした。
 ……精神力チェックをして貰って、ファンブルしたら悲鳴を上げてしまって敵がその悲鳴に引き寄せられて近付いて来るといったイベントだったんですが、無駄にクリティカルするんですからね……。

 そして、暫く進んだ頃―――
 

GM:さて、足跡はまだこの奥に続いています。……そして時刻も、そろそろ日付が変わろうと言う頃合いになってきました。

虎次郎:……やっべぇな。これ以上ぐだぐだやってると、ゾンビ取りがゾンビになりかねねぇ。

姫子:さて、グールと遭遇したらどうしよっか。強いんでしょ? アレ。

小春:…まぁ、私が調べた限りでは。

姫子:まあ、そこで『たら』『れば』の話してても仕方ないか。けどタイムリミットが近いと言うのは本当。タイムリミットって言うか、ボーナスタイムかな? 大物が出ちゃうわよ、これ。

東:嬉しくねぇ大物だな、オイ。……流石にそろそろ、追いついても良い筈だが……。

GM:と、そこで―――通路の向こうの方から、銃声を含む戦闘音が聞こえますね。聞き覚えのある女の子の声も。

小春:恵ちゃん! はい、走り出します!!

GM:南雲さんも顔色を変えてそれを追います。他の皆さんはどうします?

姫子:まぁ、少し遅れてそれを追うわ。

GM:ふむ、では―――少し遅れるなら、残りのお三方、直観チェックをして貰えますか?

東&虎次郎:……成功。

姫子:私は失敗したけど、どうしたの?

GM:はい。では、虎次郎さんと東さん。後ろの方から、何か嫌な気配を感じますね。

東:――――。足止めて、後ろを見ます。

虎次郎:東の横で足を止めて、横目で東を見て問い掛ける。 ……『お前も』か?

東:あー……『お前も』なわけね。こりゃ……勘違いじゃねーな。

虎次郎:背後……よりによって退路か。

GM:……さて、どうしますね? 徐々に近づいて来ている感じがしますが。

虎次郎:…来てるぞ。

東:それもまぁ、おっかない奴がな。タイラントに追われるってな、こんな気分だったのかね。バイオハザード・シリーズの追体験なんざしたくもねぇが。

虎次郎:東、お前頭は回るだろう? このルート、この先に迂回路はあるか? 後ろの敵に会わずに逃げおおせるような、都合のいいルートは。

東:知るかよ、人を便利屋みたいに扱うな。誰が作ったのかも分からないが、こんな混沌とした下水道の構造なんて俺が知るか。……しくじったな、調べりゃ出て来たのかもしれねぇんだがな。

虎次郎:お得意のCOMPでか? デビルサマナー。

東:ハッ、良いねその呼び方。気に入ったわ、悪魔召喚師よりハッタリが効いてる。

虎次郎:横文字をカッコイイと思うのは、欧米に毒された証拠だとか小春が言ってたぜ?

東:放っとけ、あいつは戦前どころか明治時代の感性の持ち主だ。少なくとも俺的にはカッコ良いから良いんだよ。

GM:……噛み合ってますねぇ(笑)。

小春:すらすらと、よくもまぁ……(笑)。

姫子:…ちょっとアンタら、唐突に二人だけの世界を作らないでよ。っていうか今の話―――。 声を落として、二人に問います。 ……来てるの?

虎次郎:多分な。勘は良いんだよ、俺ァ。

姫子:……急がないと不味いんじゃないの?

GM:あー……そうですね、お三方。ここで再度、直観判定して貰えます?

虎次郎:(ダイスを振る)……今度は俺だけ成功した。

GM:じゃあ、虎次郎さんは気付きます。―――この先、空気が淀んでいますね。

姫子:はい、アウト。

虎次郎:……あ? ちょっと待て、それどういう……。

姫子:空気が淀んでる=空気の流れが無い。その意味する所は―――

虎次郎:……行き止まりか。

姫子:そういう事。―――……さて、どうしよっか。 言いながら、手の革手袋を嵌め直すわ。

虎次郎:……逃げ道が無ぇってのも、ハラ決まるもんだわな。 腰の木刀に手を当てて、腰を落とす。居合いの構え。

東:小春はどーすんだよ? 軽く笑いながら、新武装である拳銃を構えよう。

虎次郎:ま、行き止まりなんだからすぐ戻って来んじゃねーのォ?

東:そこまで後退してから戦線立てなおすって手は?

虎次郎:いやまぁ、それでも良いんだけどよ。……ここまで全く良いトコ無しってのは、ちょいと業腹っつーか?

東:……あー、へいへい。京女かお前は、ねちっこい。俺はダメンズ言われようが全く気にしねぇってのによ。姫子、こいつお前に言われたこと気にしてるぞ。

姫子:ちょ、私のせい!?

東:あーあー、お前のせいだ。だから、こいつが暴走しない程度に見張っとけ。―――ピクシー、召喚。

GM:む、呼ぶんですか。ではピクシーがCOMPから出て来ます。

小春/ピクシー:「わふー、ひゃっほー。あれー、どこここー。暗いし狭いし臭いー」(一同笑)

東:……お前、精神年齢下がってね?(笑) ……あー、まぁ良い。いや、良くないが。……何だ、アレだ。ピクシー、ここ頼む。俺はちょっくら先行って、他の連中引っ張って来る。

GM/ピクシー:なるほど、そう来ますか。良いですよ、ではピクシーは胸を叩いて請け負います。 「なんだか分からないけど、とにかく分かった!!」(一同笑)

虎次郎:……全く頼りにならねぇー(笑)。

東:戦力分散かもしれんが、っつーか実際そうだが、ここはピクシーを後衛に配置した上で、ヒメトラコンビで迎撃する。俺は先に進んで小春を、出来るなら南雲と恵をも連れて戻って来る。それで行く。

GM:OKです。―――では、東さんが小春さん達の方へ向かって程無く、下水道の向こうに青白い肌をした影が見え始めます。

虎次郎:……さて、と。んじゃ、どうするよアレ。

姫子:決まってるでしょ、戦るのよ。 ―――言って、虎次郎の方を向いて軽く笑いましょうか。 頼りにしてるわよ、相棒。

虎次郎:……あいよ、相棒。

小春/ピクシー:「え、なにこの状況? なんか向こうからスッゲーおっかないの来るんですけど。ちょ、チェンジ! チェンジ! 私だけありえない状況に何の説明もなく放り込まれたんだけど何これ――――ッ!!?」(一同爆笑)

GM:……それでは、小春さんの方に場面を移しましょう(笑)。
 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇
 

GM:さて、では南雲さんに先んじて駆け出して行った小春さん。貴方の目に映ったのは、3体のゾンビに向けて果敢に銃を向けている恵さんの姿ですね。

小春:恵ちゃん!

GM/南雲:雄仁も「恵!」と叫び、恵の視線がそちらに向きます。

姫子:あ、馬鹿……。

GM/恵:そして次の瞬間、そちらに意識を向けた恵の身体は、ゾンビが振り回した腕に弾き飛ばされます。元々、あまり直接戦闘向きのキャラでもありませんし。 「きゃあああああああ!?」 と悲鳴を上げて、恵の身体が転がって来ますね。衝撃で意識を失ったようです。

小春:うわぁぁ、でもこれは好機! 恵ちゃんの身体を確保して下がりますよ!!

GM/南雲:では、雄仁が貴方達を庇うように前に出て銃を撃ち始めます。 「恵、お前には説教が山ほどあるがそれは後だ! 今は退くぞ!!」

東:そりゃ、無理な相談だわな。少なくとも現状では。 じゃ、そこらで登場する。小春と恵の後ろから出てこよう。

小春:東先輩? それって―――

東:来てるぜ、例のおっかねぇの。

GM/南雲:「グールだと!? ……くっ、この状況……図らずも挟撃になったか!!」 そう叫ぶ雄仁の目の前には、緩慢な動作で3体のゾンビが接近してきています。

東:悠長に話してる時間は無いな。こっちも、向こうも。……さて、南雲の旦那。アンタ一人でここを如何にか出来るか?

小春:……何か手が?

東:ここをゾンビを倒し得る誰かが引き受けて、残るメンバーでグールをタコ殴りにする。強いは強いが、結局アレだ。伝承に残ってる魔王みたいな類の相手じゃねぇんだろ? 逃げ場が無いならやるしかない。ああ、ついでに言っておくが、このゾンビを撃破して先に進んでも道は無いっぽいぞ。空気が淀んでる。―――行き止まりだ。

GM/南雲:「……っ! 確かに……」 と、言われて初めて雄仁もそれに気付いたようです。

東:魔法を使える小春には、主火力として嫌でも向こうに行って貰わないとならない。となると俺か南雲の旦那が、或いは二人揃ってここに残ってゾンビの相手をするのが正解なんだろうが―――

GM/南雲:「君では、この数の敵には抗し得ない」

東:正解。となると選択肢は二つ。アンタが残るか、それとも二人とも残るか。

GM/南雲:「……ゾンビがこの数程度なら、私だけで十分だ。問題は、それよりも……」

小春:……私達がグールを倒し得るか……ですか?

GM/南雲:「…そう言う事だ」

東:まぁ、やるしか無ぇだろ。行き止まりで、後ろからタイラントが迫って来てる。ここで残った勝機は、まぁタイラントを倒すことしか無いわけだ。そこに倒れてるような足手纏いが居るなら、横すり抜けての逃げの一手も使えないだろうしな。

GM/南雲:「……分かった、向こうは任せる」

東:ああ、ここは任せた。恵だったか? そいつのお守りと、雑魚の排除な。行くぞ、小春。もしかしたら向こうも、もう始まってるかもしれねぇ。

小春:は、はい。あの、南雲さん。―――恵ちゃんを、よろしくお願いします。

GM/南雲:「……心得た」

東:つーわけで、だ。これがGMの想定していたギミックなのかどうかは分からんが、小春を連れて他の連中と合流しに行くぞ。ここは南雲に任せた。

GM:はい、了解です。……しかし、予想外に動く癖に予定調和の如しというか。過程は全然違うのに、私の想定通りの戦闘バランスになってると言うか……。

姫子:そこは喜んでおきなさいな。……初回でVSLv13が想定通りとか言われる側としては全く喜べないけど。

GM:はいはい。では、東さんと小春さんが移動を開始した所で、カメラを再度向こうに移しましょう。即ち、戦闘開始です!!
 

■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇■◇

◇VSグール◇
 

GM:さて、ではボス戦です。グールはボス扱いなので、悪運を2点持っています。

姫子:……致命傷も無効化するから嫌なのよ、それ。

GM:お互い様ですけどね。ま、そっちは完全に有限リソース、ここで使い続けると後で詰みますけど。
 

 命運と悪運。これは前者はPC、後者は敵やNPCが持っているヒーローポイントのようなものです。
 「自分が食らった攻撃1回の効果を打ち消す」「判定値を+20%する」「威力ダイスを1個振り足す」「振ったダイスを振り直す」「一部の特技のコストとして支払う」「HPやMPを緊急回復する」といった凶悪な効果を持ちますが、当然ながら使用回数は限られています。
 また、PCの使用回数は1シナリオ5回まで。キャンペーン中持ち越しな上、回復手段など本当に限られている有限リソース。
 今だ未定ながら、このキャンペーンが後々まで続く場合、ここで使いまくると後に本気で詰みかねないリソースです。
 
 ちなみに悪運は命運に比べて若干使い方が限定されており、『自分が食らった攻撃打ち消し』と『ダイスの振り直し』、『一部特技のコスト』にしか使えません。

 

小春:私と東先輩の到着はいつですか?

GM:3ラウンド目の頭としましょう。2ラウンドは耐えて下さいね、虎次郎さん、姫子さん。

虎次郎:おっしゃ、来いやァ!!
 

▽ラウンド1▽
 
GM:さて、グールの敏捷度は23。……機敏ですね。

姫子:機敏なゾンビなんて、おぞましいわよ! 先手必勝……防御力を半分無視出来る『弾き』で攻撃! 基本ダメージと命中は落ちるけど……(ダイスを振る)くっ、ハズレ。

GM:ではこちらの番ですね。グールはその爪で、今殴りかかってきた姫子さんに斬りかかります。(ダイスを振る)お、当たりかけ。

姫子:うげっ、いきなりピンチ!(ダイスを振る)……よ、避けた! 辛うじて回避!!

GM:では、コンクリート製の下水道の壁があっさりと斬り裂かれます。

姫子:ちょ……っ。 流石にぞっとしたように半歩退きます。 なんつー斬れ味で、なんつー力よ、あれ!!

虎次郎:……あかんな、これは。ピクシーは一旦待機。東と小春が帰って来るまで、総攻撃は控えるぞ。敵はHP回復手段もある。押し切るのは、あいつら戻って来てからだ。

姫子:……了解。

小春/ピクシー:「帰っちゃ、駄目ー?」(一同笑)

虎次郎:帰るな!(笑) ある意味お前がこっちの生命線なんだよ!!?(笑)

姫子:良いからトラ、実際期待して無いけど殴って。万が一でもダメージ与え得るかもしれないし。

虎次郎:……お前、俺がダメージ与えること期待して無いだろ?(ダイスを振る)あ、うん。駄目。武器が折れなかった分マシなレベル。(一同笑)

小春:出目97、スワップして79。当たるわけが無いレベルですね。(一同笑)

GM:……はっ。(一同笑)

虎次郎:鼻で笑った! こいつ今、鼻で笑った!!(一同笑)
 

▽ラウンド2▽
 
虎次郎:さーて、どうするかね姫子。このまま東と小春が戻って来るまで待つか?

姫子:……それも悪くは無いけどね、っと。GM、私は行動をグールの次まで遅らせる。

GM:……ふむ?

姫子:グールはHPを回復する能力があるから、万全を期すならHPが満タンの今ならグールの行動の後に動くのが望ましいわけなのよ。少しでも削っておく気があるならね。

虎次郎:なるほど。削れるだけ削る、か。

姫子:そう言う事。嫌がらせのチャンスは惜しまないって事ね。

GM:ほほう、では……(ダイスを振る)嫌がらせの為に行動を遅らせた姫子さんに、『デスタッチ』。当たりかけていますよー。

姫子:ええい、何で確立50%弱でこうも当ててくるかなぁ……。(ダイスを振る)あ、ヤバ。回避失敗……。

GM:っしゃオラー!!ダメージ、回って26点ですよー!!

姫子:で、でかっ!! ギリギリで立ってるけど……。

虎次郎:うげ、俺に来たら倒れてた……。

小春:や、HPと魔法防御の双方が高い姫子先輩以外誰も耐えれませんよ……。何点残ってます?

姫子:あと3点。次何か食らったら、命運使用決定ね。

GM:では、姫子さんは触れられた場所から生命力を吸われ、激しい虚脱感に襲われますね。グールはその分HPを21点回復しますが……無傷だったので意味を成しません。

姫子:『弾き』で反撃するわよ! ……っこのォ!!(ダイスを振る)命中!!

GM:(ダイスを振る)残念、それは回避しました。

姫子:……ぐっ……!! ふらついて、辛うじてこらえる。

虎次郎:ヒメ!?

姫子:…ごめん、トラ……ここまで強いなんて、思ってなかった……。

小春/ピクシー:「ひ、ひぃ!? ちょっと待って、回復するからちょっと待って!!」

姫子:それは良いわ。……それより、次のラウンドから勝負に出ましょう。回復しても、多分ジリ貧…。そのMPはフルメンバーが揃ってからの集中攻撃に取っておいて。

小春/ピクシー:「OK分かっ……たけど、だいじょぶ?」

姫子:PL発言だけど、次以降何か食らったら命運で耐える。出し惜しみはしないわよ。

虎次郎:……とりあえず、俺の行動だな。通常攻撃で……(ダイスを振る)……ん?33?

GM:おや、ファンブル……いえ、クリティカルですか!(ダイスを振る)……駄目、回避出来ない!!

虎次郎:今の命中値は33だから、ギリギリだけどな。よし、クリティカル命中だから……最終ダメージが倍になる!!

GM:ギャー!!?
 

 攻撃でのファンブルは、以前虎次郎が出したように味方に命中。クリティカルは敵が回避した場合、ダメージが倍になると言う効果になります。
 ちなみにクリティカル命中に対して回避を普通に成功させれば、倍には成らず通常ダメージのみを食らう事になります。
 また防御クリティカルは、敵が命中でクリティカルしてても回避成功。
 防御ファンブルはダメージを防御力で軽減する事の出来ない、『パワーヒット』と呼ばれる状態になるわけです。
 
 今回は虎次郎の攻撃がクリティカルし、グールが回避失敗した為、ダメージは『(2D6+5)×2』となり―――

 

虎次郎:(ダイスを振る)……ダメージ、回って19が倍で38点!!(一同笑)

姫子:うわ、それは酷い(笑)。

GM:ちょ……何それ!!? 一撃で20点削られた……!

小春:ヒメ先輩がやられた瞬間、トラ先輩が覚醒したようにしか見えません(笑)。

GM:い、いかん。これは虎の尾を踏んだ!?(笑)

虎次郎:……じゃあ、据わった目でグールを睨もう。 ―――おいおい、俺を無視して遊んでんじゃねェよ。なぁ?

GM/グール:「……ぐ、るぁぁ……?」 ではグールは横合いから食らった一撃に反応するように、虎次郎さんの方へ向き直ります。

姫子:……トラ……?

虎次郎:……ま、お陰でちょっとばかりやる気は出たがな。誰に断り入れてそいつボコってんだよ、オイ。

姫子:…あー、据わった目付きにその言動。良い感じにラリって来たわねアンタ。 よろよろしながら、トラの横に立つわ。 つーか、毎度毎度エンジンかかるの遅いのよ、アンタは。

虎次郎:そいつぁ悪かったな。だがまぁ、流石に今のは効いたみたいだな。

姫子:……みたいね。それに―――。 GM、次のラウンドの頭から他の面々が到着するのよね?

GM:そうですね。では、丁度小春さんと東さんが戻って来ましたよ。

小春:先輩達! 無事ですか!?

虎次郎:ハッ、遅ぇ。遅ぇよ小春、東。このままじゃあ遅過ぎて、さっさと俺が大将首取っちまう所だったぜぇ?

東:……あー、スイッチ入ってるな。ていうか、キレてる? ……ピクシー、何あったんだこれ。

小春/ピクシー:「えー、えっとねアズマ! 何かこう、あっちのお姉さんがドガーンってやられたと思ったら、あっちのお兄さんがズガガーンって!!」(一同笑)

東:なるほど、分からん!!(一同笑)

GM:では、次のラウンドに入りますよー。配置を決めて下さい。
 

▽ラウンド3▽
 
 さて、このラウンドから全員参加となったこの戦闘。
 前衛は虎次郎、姫子(HP3)、東。後衛に小春とピクシーです。
 後衛にしては比較的頑丈な東ですが、流石にグールの攻撃を食らったらほぼ即死。けど、誰かが前に出なければならないので仕方ありません。

 

姫子:トラがノリノリになったのは良いけど、とりあえず私から行くわよ。上手く防御を抜ける事を願って、『突き蹴り』!!(ダイスを振る)よし、当たってる!!

GM:(ダイスを振る)ふむ、残念。それは回避しました。

姫子:……っ、このぉ!!

東:無理すんな、姫子!

姫子:やられっ放しってのは、私のプライドが許さないのよ!!

GM:それが命取りにならない事を祈りますよ? さて、ではグールの行動。(ダイスを振る)…ふむ、虎次郎さんに毒爪ですか。

姫子:危ない、トラ!!

GM:(ダイスを振る)よし、当たりかけている。死ねぇ、鳴海虎次郎!!

虎次郎:『見切り』!(ダイスを振る)出目73。スワップして37。回避成功!!

GM:……げっ。

虎次郎:更に抜刀術の特殊ルールに依り、『抜刀術の特技に成功したので、刀を鞘に納める』事が出来る! 刀が鞘に収まったらその瞬間、反撃タイミングで『居合い切り』!(ダイスを振る)よし、命中!!

GM:うげっ、回避しつつ斬り込んできた!!?(ダイスを振る)…避けれません! これだから抜刀術は!!

虎次郎:ダメージ26点!!

GM:それは流石にグールでも痛い……。やってくれますね。

東:っしゃ、今だ! ピクシー、小春! 魔法攻撃!!(ダイスを振る)よし、信頼度以下が出た。ジオだ、ピクシー!!

姫子/ピクシー:「はいはーい! せーのォ!!」

小春:合わせます! ブフ!!(ダイスを振る)よし、行った!!

GM:うっげ。(ダイスを振る)…くっ、ジオは避けたけどブフは食らいます。

小春:(ダイスを振る)ダメージ、17点! 副効果発生ですよー。状態異常『凍結』です。

GM:……いかん、行動不能・回避不能になる凍結は受けられない。ここで悪運を使用。攻撃を無効化します!!

東:じゃあブフが直撃したのを見て、『やったか!?』と叫びます。(一同笑)

姫子:(悲痛な声で)駄目、その台詞は失敗フラグ!(一同爆笑)

小春:グールが咆哮すると、周囲に纏わり付いた氷が弾かれるわけですね!!(笑)

姫子/ピクシー:「嘘っ!?」 と、ピクシーが叫ぶ!(笑)

GM:もうあんたらピクシー好き放題喋らせてますね(笑)。

東:ま、とにかく。後は俺と虎次郎か……。『シェア・ショット』でグールを狙って射撃。(ダイスを振る)……チッ、駄目だ。外れた……。命中は高い筈なんだがな、シェアショット効果で。

虎次郎:まぁ、仕方ねーわな。そこで銃撃の後を縫うように、飛び込んで腰の刀に手をかける。『燕返し』!(ダイスを振る)…っし、二発とも命中!!

GM:アンタさっきまでのダイス運どこにやった!!?(一同爆笑)

東:お前はホント、ダイス運が主人公向きだよ……(笑)。

GM:(ダイスを振る)……チッ、片方避けたけどもう片方は食らいます。

虎次郎:おっしゃ! ダメージは26点!!

GM/グール:では、辛うじて初太刀を避けるも、翻って来たもう一撃は避け切れず、グールが大きくよろめきます。 「……ぐる、あぁぁぁぁぁ!!?」

虎次郎:……ちっ、骨の2,3本はとっくに逝ってる筈なんだがな。この程度じゃ動きは止めねぇか。

東:……殆どお前一人で押し込んでるな、10Lv以上上の相手に。

GM:あの、姫子さんを殴った直後にダイス目覚醒したんですがこの人……(笑)。

小春:ヒロインがやられた瞬間に激昂して本気出す。どこの主人公ですかトラ先輩(笑)。

姫子:つっても、守られキャラじゃないのよね。私も。

虎次郎:じゃあ、悔しかったら手ェ出してみな。どっちが先にこいつを潰すか競争と行こうじゃねぇか。

姫子:……分かり易いわね。良いわよ、そういうのは大好き!
 

▽ラウンド4▽
 
 第四ラウンド、気合を入れ直した姫子は突撃して『弾き』。
 これは当たり、10点ダメージをグールに与えます。
 とはいえ装甲半減でも、グールの防御力は9点。僅か1点の実ダメージです。
 グールの行動は『再生』。自分のHPを6点ほど回復―――したところで。

 

姫子/ピクシー:「氷と雷の融合!」(一同笑)

小春:合体魔法!(笑)

東:いや、そんなルール無いから!?(笑)

小春:まぁ、移動力21と20のタイミングで、ピクシーと同時に攻撃を仕掛けるだけのお話です。行け、氷結狙いのブフ!(ダイスを振る)……ゲゲェー!!? ファンブル!!?(一同笑)

GM:おめでとうございます、味方に飛びます(笑)。

小春:め、命運使って振り直しです。よもやここまで狙いを外すとは……猿も木から落ちる、にとりの川流れ、弘法も筆の誤りという奴でしょうね。

虎次郎:で、振り直しの結果は?

小春:普通に外れました。ピクシーのジオは……。

GM:(ダイスを振る)駄目、避け損ねましたね。ダメージは……10点? 甘んじて受けましょう。それくらいなら、さっきの再生でほぼトントンですしね。

姫子/ピクシー:「もう駄目ー、MP切れだよー」

虎次郎:はやっ!? 先の戦闘の消費が残ってたのか!?

GM:仲魔は放っておいても回復したりしませんからね。回復スポットに連れて行かないといけないのです。南雲さん辺りに聞けば、教えて貰えたんじゃないですか?

東:まぁ、それは今言っても仕方ない。とりあえず『シェア・ショット』で、(ダイスを振る)おい虎次郎、俺のダイス運返せよ。(一同爆笑)

虎次郎:濡れ衣だ!!(爆笑)

東:うるせぇよいきなり出目良くなりやがって!(笑) くそ、ラストバトルで本領を発揮するそのダイス運が羨ましいぞ!!(笑)

虎次郎:別に極端にぶっ飛んだ出目じゃないと思うんだがなァ……(ダイスを振る)ほら、外した。

姫子:不味いわね、このラウンドは殆ど有効打無しか。

小春:敵のHPは大きく削れてますけど、まだ悪運が1点残ってるんですよね。

GM:うーん、実は虎次郎さんから食らった大ダメージを無効化するのに使っておけば良かったかなと後悔中。攻撃、或いは状態異常対策に残しておいたんですけど……ううん。

姫子:まぁ、そろそろ大詰めね。決めに行きましょうか。
 

▽ラウンド5▽
 

姫子:……じゃあ、少しよろめきながらも前傾姿勢で拳を構えるわよ。 ―――トラ、東、小春。まず私が突っ込むわ。

虎次郎:……おい、ヒメ。

姫子:あのね、トラ。私がやられて怒ってくれたのは嬉しいけど、私は守られるばかりの御姫様なんてガラじゃないの。お分かり? それに、さっき競争だって言ってたでしょ?

虎次郎:そんなんじぇねぇっつの……ああ、もう良い! 無茶すんなよ?

姫子:任せなさい! ―――それじゃあGM、ここで命運使って攻撃の命中を+20%します!!

GM:お。押し込みに来ましたね。

姫子:まぁね。更に、『高度な技』を使う事で自分の判定値と敵の回避率を20%落とす!!

GM:ぐはっ!
 

 『高度な技』。姫子がやってる通り、自分の判定の判定値をわざと落とす事で、同じだけ敵の対抗行動にペナルティを負わせる事です。
 Lvが高くなってくると割とデフォで行われる行動ですが、この段階ではかなり使われ難い行動です。
 敵味方共に判定値が低いですからね。
 ……つまり姫子、それだけ確実に『当てに』行ってます。

 

姫子:で、攻撃手段は『突き蹴り』を選択。命中値は37だから、60%以上で……(ダイスを振る)出た、26! 命中!!

GM:うげ、それは……回避ペナ20%ですよね。判定値が3%……どうやって避けろと。(ダイスを振る)駄目、避けれません!!

姫子:食らいなさい。これが私の―――全力全開!!(ダイスを振る)ダメージ21点!

GM:微妙に削られました。……微妙ですけどね?

姫子:でも傷は与えてる!

GM:しかし、次はグールの行動です。そうですね、折角突っ込んで来てくれた姫子さんに通常攻撃!(ダイスを振る)よし、当たりかけてる!!

姫子:大丈夫、敏捷は高い。26以上、26以上……(ダイスを振る)出た!! 振り回された爪を、掻い潜ると同時に叫ぶわよ。 ――――小春ッ!!

小春:はい! ここでブフ―――いえ、アギ・ストーンを投げつけます!! 呪文石だから自動成功で命中!! 回避失敗ですか? だったらダメージ、13が弱点で倍で26点魔法ダメージ!!

GM:あ、駄目、それは死ぬ! ここで最後の悪運を使用。その攻撃を無効化します!! グールが咆哮すると、周囲の炎が弾かれます!!

小春:嘘っ!? アンデットは火に弱いって、民明書房の本に……。(一同爆笑)

虎次郎:あかん、その出版社はあかん!!(爆笑)

東:まぁ、これで敵はもうギリギリまで追い込まれてんだ。今度こそ当たれよ……。『シェア・ショット』!!(ダイスを振る)うし、出目17! 久々の良い出目で命中!!

GM:(ダイスを振る)……駄目、避け切れません!!

東:問題はここからだが……(ダイスを振る)20点! 低くはないんだが……。

虎次郎:…とりあえず、腰の刀を引き抜きつつ攻撃だ。(ダイスを振る)一応、当たってる。

GM:(ダイスを振る)回避成功! 避けましたよー!!

虎次郎:チッ……もう少しなのに、押し切れん。
 

▽ラウンド6〜7▽
 
 さて、第六ラウンドは割と単調な展開でした。
 姫子の攻撃はハズレ、グールの反撃もハズレ。
 小春のザンは当たりかけるもグールが回避成功。
 ピクシーは応援をしているだけ。
 東のシェア・ショットと虎次郎の木刀が命中するも、双方ダメージダイスが低くグールの装甲は抜けません。
 
 そして迎えた第7ラウンド。

 

姫子:『弾き』! 当たってダメージ8点……。

GM:それなら装甲で弾いてますね。

姫子:こんの……!!

GM:で、グールの反撃は……(ダイスを振る)虎次郎さんに毒爪!当たりかけてます!!

虎次郎:げっ。『見切り』で回避を――(ダイスを振る)ぐあ、失敗!?

GM:おっしゃ! ダメージ26ですよ!

東:あーあ……生きてるか?

虎次郎:……ヒメと仲良く残りHP3だがな。胸元ざっくり裂かれて、血が噴き出す。

小春:ひっ!? 喉の奥で悲鳴上げますよ、それ。

東:俺なら食らってたら倒れてたな……。やっぱ長期戦は危険か。

小春:だったら、ここで幕引きです! ザンで攻撃。(ダイスを振る)当たりかけですよ!

GM:(ダイスを振る)あ、駄目。それは避けれない!!

小春:ダメージ11点! 更に副効果発生で『転倒』!!

東:っしゃ、決めるぞ! 弾倉に入ってる最後の弾で『シェア・ショット』!(ダイスを振る)当たった!

GM:げっ、回避は……(ダイスを振る)あ、22。クリティカル回避ですね。

小春:いえ、GM。『転倒』の効果で回避値が10%下がってますからそれ……ファンブルです。(一同爆笑)

GM:げ、ゲゲェ――――ッ!!?(一同爆笑) パワーヒット発生!?

東:ダメージは低くて15点だが、素通しだな!?

GM:ぐ、対抗手段はありませんね。弾丸を頭部に食らい、グールは頭を弾けさせます。

姫子:おー、ヘッドショット!

東:JACK POT!! ……なんつってな。 リボルバーをくるくる回して、ベルトに差し込む。

虎次郎:テメ、何美味しい所かっさらってんだ東!(笑)

東:いや、だって敵のファンブルなんか予測つかんし(笑)。

小春:見事です、東先輩。その短筒捌き、かの名高き那須与一の弓捌きもかくやという腕でした。(一同笑)

東:…だから短筒って……(笑)。

GM/南雲:で、戦闘が終わった所で、向こうのゾンビを片付けたらしき雄仁が恵を背負って走って来ました。で、倒れているグールを見て瞠目します。 「……まさか、もう片が付いているとは」

虎次郎:……ま、なんだかんだで鍛えられてたし。この手のバケモノ相手でも、結構やれるもんだな。

姫子:……でも、今日はもう無理。もう動けないわよ、私。 えーと、スカートが汚れるのも気にせずぺたんと座りこむ。HP3だし。

虎次郎:どーしたどーしたァ、元気ねぇぞヒメ。ん? どうした、二人に分身して。 と、少し虚ろな目で胸の傷からだくだく血を流しながら。(一同笑)

姫子:視界霞んで来てるわよそれ!!(笑) ちょ、ピクシー! 回復魔法回復魔法! コイツ、放っておくとヤバい!!(笑)

虎次郎:ははは何を言ってるんだヒメ。俺は見ての通り元気いっぱいだフラフラバタン。(一同爆笑)

小春:倒れた――――っ!!(爆笑)

東:そりゃ『元気いっぱい』じゃなくて『いっぱいいっぱい』だぁぁぁぁぁぁ!!(一同爆笑)

GM:……と、東さんが叫んだ所で、シーンを切らせて頂きましょうか(笑)。

姫子:メディック! メディィィィィック!!(一同爆笑)
 

◇戦闘終了・決算◇
合計経験値:232点(一人頭58点/端数切り捨て)
CP:23
 

◆後始末◆
 
 さて、その後下水道を抜けて脱出した彼ら。
 幸いにしてそれ以上の敵に出会う事もなく、戻った彼らを待っていたのは白み始めた空でした……。

 

東:……あー、もう朝か。

姫子:私、身体もガッタガタだし、今日は学校サボるわー……。

虎次郎:何だよ、俺は行くつもりなのに。授業中寝れば良いじゃん。

姫子:アンタこそ休みなさいよ!! その胸の傷どーすんのよ!?(笑)

GM/南雲:「…あー、一応クズノハ関連で世話になった事もある回復スポットが近くにあるんだが」

東:回復スポット、ねぇ。じゃあそこ行ってみるか?

GM/南雲:「ああ、分かった。しかし回復スポットに、これだけの悪魔……ここも既に、立派な特異点の一つだな」

姫子:ちょっと嫌な事言わないでよ、私らの街よここ?

GM/南雲:「……そうだな、失礼した」 と、言いながらもどこか不安げに街並みを見やる南雲です。

姫子:……やめてよ、ほんと……。

虎次郎:あー、まぁヒメ、南雲の旦那もそういう話は今はやめようぜ。回復スポットだっけ? そこ、行くんだろ?

GM/南雲:「ああ、それと君達が拾ったマグネタイトも、余剰があれば生体エナジー協会に行けば買い取ってくれるだろう」
 

 回復スポットというのは、世界各地にある霊的な回復能力のある『場』の事です。回復の泉と言えば分かり易いでしょうか。
 そこで管理者にCPを払う事で、PCや仲魔のHPやMP、バッドステータスを回復させて貰う事が出来ます。
 また、極めてコストが高いですが死者蘇生も可能だったりします。
 ……まぁ、このゲーム……生死判定なるものがなく、倒れたらほぼ一直線で死亡コースなので、無かったら無いで困りますが。
 
 また、生体エナジー協会はその名の通り生体エナジー(=マグネタイト)を扱っている協会です。
 悪魔や悪魔召喚師相手にマグネタイトを売るのを生業としており、この店ではマグネタイトを売り買いする事が出来ます。
 1CPあたり9千円で買い取ってくれるので、資金源としても中々優秀。

 

東:マジか。それは嬉しい。

小春:そのような場所がこの街にあるとは……あ、いや、御爺様の書物に書いてあった気も。(一同笑)

虎次郎:……与太話だと思って見逃してたのか(笑)。

GM/恵:それと、恵は憔悴した様子で雄仁に背負われています。 「……皆さん、本当にご迷惑をおかけしました……」

東:まぁ、次からは先走りは控えるこったな。今度からは、俺も手ェ貸せる時には貸すし。

虎次郎:あ? ……おい東、お前まさか……。

東:こんな面白そうな事、俺が見つけて放っておかないワケねーだろ? デビルサマナー東様だぜ、かっけーだろ?

虎次郎:……面白そうってお前……ああ、いや、お前はそう言う奴だったなそういえば……。

姫子:当然、私も何かあったら動くわよ。ここは私らの街だもの。

小春:お二人が動くなら私も動こうかなー、なんて思うんですが……。

姫子:じゃあ、南雲さん、恵。何かあったら東に話を通しなさい。この場に居る四人が、何かあったら手を貸す事で方向性一致したみたいだし。

虎次郎:…………あれ?(一同笑)

姫子:私が行くんだもの。トラも行くでしょ?

虎次郎:あぁクソ! 俺はお前のオプションかよ!?(笑) 分かった、分かりましたよコンチクショウ! ただし、敵を見ろよ、敵を。手に負えない相手だったら専門家に任せる! 良いな!?

GM/南雲:「そう言ってくれると助かるよ。……クズノハも人手不足でな」

GM/恵:「そう、ですね……次からは、こんな事が無いように気を付けますから……手を貸して下さい」

東:おう、任せとけ。デビルサマナーと愉快な仲間達にな!!

虎次郎:その名前はお前がリーダーっぽいから却下。

姫子:リーダーは私に決まってるでしょうが! でしょ、トラ?

虎次郎:………お前暴走するからリーダーに向かん気もする。パス1で。(一同笑)

小春:じゃあ私ですか?

虎次郎:……案外適任かもな(笑)。

小春:いえいえ、私が頭領などとは恐れ多い……(笑)。

GM:と、皆さんでわいわい話しながら、朝方の街を回復できる場所へ歩いて行っている所で―――今日のシナリオは終了と致しましょうか。お疲れさまでした!

一同:お疲れさまでした――っ!

GM:さて、それでは決算です。シナリオ終了と同時に、現在のLv×20の経験値を入手してください。皆さん、先のグール戦でLv上がってましたし、60点ですね。

東:となると、Lv4に上昇か。

虎次郎:このゲーム、1シナリオで序盤はそれなりに一気に上がるよなー。後半はかなりペースダウンしてくるけど。

GM:まぁ、その成長報告で今回のシナリオを終了としましょう。皆さん、方向性は決まっているでしょうしね。

虎次郎:特に格闘系は序盤は一本伸ばしがデフォだしな。じゃ、まず俺から。鳴海虎次郎、強さ、直観、耐久、精神が2ずつ上昇。抜刀術が4Lvに上がりました。買い物なんかはGPの関係もあるから次回かな?

GM:ですね、それは次回お願いします。ネタも少々考えていますしね。

虎次郎:了解。早めに真剣が欲しいなぁ。

姫子:次、私ね。強さと敏捷、耐久が2点ずつ。魅力と精神が1点ずつ上がったわ。これで魅力20!

GM:装備条件が魅力20以上の装備、序盤にも結構ありますしね。

姫子:買うかどうかはまだ未定だけどね。まぁ、高くて困るもんでもないかなーって。それと、骨法を4Lvに上げたわ。トラはメインで使える特技は増えなかったみたいだけど、私は『曲がり』を覚えたから満足。威力の高いフック掌底ね。

GM:掌打ですから、防御力半減なのも大きいですね。おっかないおっかない。

東:で、俺か。犬飼東、魅力、器用、知力、耐久を2点ずつ上昇。次からは耐久の代わりに精神や強さを上げ始める予定。技能はちょっと悩んだが、コンピューターを3に上げた。出来ればニューナンブじゃなく、セミオート式の拳銃が早めに欲しいなぁ。

姫子:ま、その前にトラの刀でしょうね。それ一本で劇的に攻撃力が変わるし。

東:そだな。上手く手に入れられりゃいーけど。

小春:……しかし私達、銃刀法とかガン無視ですね。(一同笑)

姫子:銃刀法で命が守れるなら遵守するけど、悪魔とかがその辺うろついてると……ねぇ?(笑)

虎次郎:主に違反してるのは俺と東だけどな。で、小春。成長は?

小春:ええ、結構悩んでたのですが……。ザンを2Lvに、強化魔法を1Lv新規取得しました。タルカジャ(味方全体の物理攻撃の基本威力上昇)が欲しくて。

東:メガテンで強化魔法って結構重要だしな……。

小春:それと、上がった能力は魔力、精神、敏捷が2ずつ、知力と加護が1ずつ上がりましたー。魔力が30に届いたんで、魔法火力もアップ。これぞ伴天連の妖術!!(一同笑)

虎次郎:…いやまぁ、別に良いけど(笑)。

GM:それと、南雲雄仁からの報酬が30万。その後にクズノハから追加で20万の報酬が出ます。

東:…どうするよ、虎次郎。悪魔退治ってボロいぞ。(一同笑)

虎次郎:……ちょっと心惹かれそうだ(笑)。

姫子:バイト感覚なのもどうかと思うけどねー(笑)。

GM:……そもそもこのキャンペ、続くんでしょうか。

一同:お前(GM)が言うな、頼むから!!(一同笑)
 

 さて、というわけで。
 なりゆきと勢いで開催した真・女神転生覚醒篇のTRPGリプレイでした。
 第2話以降……需要あるんですかね?
 まぁ、その辺は成り行き次第という事で。
 
 少しでも楽しんで頂ければ、そしてこのシステムに興味を持って頂ければ幸いです。
 あと、感想とかも貰えると……。
 
 それでは、閲覧ありがとうございました。
                               ―――サークル竜鳴艦一同より。
                                             See you♪

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